正義の法則   作:ジャギィ

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切りが悪かったのでもう1話追加


合否の法則

『敵ノ姿ヲ確認!!』

『近ヅケ!近ヅイテブッ殺セ!!』

「そぉりゃあ!!」

 

大小別々の仮想敵が植木を狙って近づくが、ペットボトルのキャップをそれぞれの手で握ると、変化させた木を杭のように伸ばして2体の仮想敵を貫く

 

「確か、今のが1点と2点だから、さっきまでのと合わせて1点が7体、2点が12体、3点が4体で………43点か。あとどれくらい点上げりゃあ合格できんだ?」

 

次の敵を探しながらも、これまで倒してきた仮想敵のポイントを計算する植木。壊れた仮想敵から飛び出たコードをポケットに突っ込んで、植木は市街地を走り抜ける

 

「イ、イテテ……」

「うん?」

 

声の方を見ると、受験生の1人が足を抑えながら座り込んでいた。近づいてみると受験生の足首が赤く腫れあがっている

 

「大丈夫かお前?」

「い、いや、正直かなりキツイな。さっき仮想敵との戦いで足をくじいてしまってな…これ以上ポイントは取れないだろうな」

「そうか」

 

悔しそうな顔をしながらも痛みに堪える受験生の少年を見て、植木は手慣れた手つきで受験生を背負い、試験会場のスタート地点へ走り出した

 

「お、おい!何やってんだ!?」

「放っておいたら怪我がひどくなるだろ。さっき他の奴もスタート地点に運んだらちっちゃい婆ちゃんが怪我を治してくれてたから、足の怪我も治してくれると思うぞ」

「さっき…?…もしかしてお前、他にも怪我をした受験生を運んでたっていうのか!?」

 

少年は信じられなかった。合格できるか否かという大事な試験を放って躊躇なく人を助けようとする植木の行動が

 

「なんで…?」

「困ったときはお互い様だろ?それにーーー」

 

その時、凄まじい爆音と共に市街地内が大きく揺れた。倒れそうになったのを必死に堪えて後ろを振り向くと、超巨大なロボットが奥から姿を現した

 

「デッケェー……」

「あれが0ポイント(ヴィラン)かよ…」

 

植木は巨大仮想敵をボーッと眺め、背負われた少年はあまりの大きさに戦慄していた。巨大仮想敵の登場に、殆どの受験生たちが離れるべく走る

 

「残りの仮想敵、みんな踏み潰されそうだな」

 

のんきにそんなことを考えながら再びスタート地点の方へ向かおうとして……そこで植木の目に、建物の上でジャージと靴が巨大ロボットから逃げるように走る姿が映った。植木は服だけのそれが誰なのかすぐに分かった

 

「葉隠!」

 

植木は全速力でスタート地点まで戻ると、怪我人の治癒のために待機していた小柄な老婆「リカバリーガール」に植木は話しかける

 

「婆ちゃん!こいつは足を怪我してるから治してやってくれ!」

「ハイハイ、懲りずによくやるねぇ…ってどこ行くんだい?」

 

怪我人の少年をリカバリーガールに預けると、ポケットに入れてたライターを握り締めながら全力疾走し、植木の手から急成長したしなりのある木の先端を地面に突き立てる。さながら棒高跳びのように

 

「俺は今から……助けに行ってくる!!!」

 

それだけ伝えると、グンッと曲がった木の強い反動と共に巨大仮想敵に向かって植木は飛んでいった

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

建物の上を伝いながら巨大ロボットから葉隠は逃げ続ける。先ほどまで連続で仮想敵と戦っていたこともあって、彼女の体力、精神共に限界を迎えていた

 

「ハァ、ハァ、やばいよぉ!これピンチだってー!」

 

声を上げようと、誰も彼も彼女のSOSに気づいていなかった。せめてそろそろ下に移動しないと危ない…

 

葉隠がそこまで考えたその時、巨大仮想敵が放った一撃で飛んできた瓦礫、それが葉隠のいる建物を下から壊していった

 

「えっ!?」

 

足元が突き抜ける感覚と浮遊感に危機感を抱くが、もう既に遅い

 

「キャアアアアア!!!」

 

衝撃で市街地の大通りに放り出され、コンクリートと瓦礫とガラス片と一緒に葉隠は落下していく。受験生はみんな逃げてる最中、受け身は取れない、「透過」の“個性”では何もできない

 

悲鳴をあげながら、葉隠は歯を食いしばって衝撃に耐えようとし

 

 

 

ガシッ!!

 

 

 

落ちる一歩手前で、誰かが彼女を受け止めた。おそるおそる葉隠が目を開けてみると…そこには、案内しながら試験会場に一緒に行った緑髪の男の子の顔が映っていた

 

「大丈夫か、葉隠?」

「う、植木くん!?もしかして、植木くんが助けてくれたの?」

 

ふと、葉隠は自分の態勢を見返してみる。膝裏と背中から持ち抱える形で植木は葉隠を持っており…いわゆる、“お姫様抱っこ”な状態だった。見えない顔が赤くなる

 

「わ、うわわ!植木くん、早く下ろして!早く!」

「…?おう」

 

言われるがままに、すぐに植木は葉隠を優しく地面に下ろした。ちょっとだけドキドキしてる心臓を整えていると、強い地鳴りと共に巨大仮想敵が地面の植木たちをロックオンする

 

「わわわ!植木くん、早く逃げたほうがいいよ!」

「葉隠は先に逃げろ。こいつは俺が止める」

「え、ええ!!?」

 

ロボットが大きく右腕を構える。植木は左のポケットから仮想敵から取ったコードを出して、両手で覆う

 

「大丈夫だ」

 

植木は思い返す

 

子供の頃、植木はデパートの屋上から誤って落ちたことがあった。人々が、ヒーローが助けてくれない中……植木を受け止めて助けれくれたのは、1人の男だった。無精髭を生やして、教師のくせにいつもダルそうにしているメガネをかけた細いオッサン

 

だけど、そんな彼の中にある“誰かのために強くなれる正義”に、植木耕助は憧れた。植木耕助の中にある“正義”の原点(オリジン)

 

「お前は俺が守る!!」

 

振るわれる右腕と同時に、植木が両掌を地面に当てると目の前の地面から()()の木が螺旋状に生える

 

バネのようにグルグル巻きになった木が巨大仮想敵の右拳とぶつかり、しかし折れることなく攻撃の勢いを徐々に弱め……植木の目の前で、完全に拳をストップさせた

 

「止めちゃった…」

 

植木はそれで終わらせず、木から小さく伸びてる枝を折って、両手で握る

 

「これで、終わりだァ!!」

 

ゴミとして覆った木の枝は新しい巨木に変化し、巨大仮想敵の体をがんじがらめに巻きつけ、完全に沈黙させた。腕や足を必死に動かそうとも、可動域が締め付けられてることで動くことができない

 

『終〜〜〜了〜〜〜〜〜〜〜!!!』

 

直後、実技試験終了の合図が会場いっぱいに響き渡った

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

雄英高校の試験が終わった植木は、何事も無いまま少ない中学生活を送っていた。そしてある日…

 

「弱キック、弱キック、強パンチからの〜アッパー!!」

『K・O!!winner!!』

「ゲッ、また負けた…。姉ちゃん、手加減してくれよ」

「フッフッフッ!手加減してもらってるようじゃ、私には勝てないわよ!」

 

休日、いつも特にやることがないから街のゴミ掃除などをしている植木は、姉である植木翔子と久々に格ゲーをしていた。ちなみに現在5連敗中

 

そんな中、ドタドタと忙しない足音と共にリビングに植木源五郎…植木の父が入って封筒を見せる

 

「耕助ー!雄英からの合格通知が届いたぞ!」

「あ、父ちゃん」

 

そう言って植木に渡してきた合格通知を躊躇いなく開く。が、手紙の中には小さな円盤みたいなのが入っているだけだった

 

なんだこれ?と思いながら円盤を弄っているとカチリとスイッチのようなものが入り…中心からホログラムが投影される

 

『私が投影された!!!』

「うお」

「うおお!なんだこれは、ホログラム!?事実は小説よりも奇なり〜!!」

 

映し出された小さいオールマイト…というかホログラムを見て、息子を差し置いて興奮する源五郎。そんな中で録画オールマイトが合否を伝える

 

『筆記は問題なし、実技試験は敵P43とギリッギリだったね!そして先の入試、我々が見ていたのは敵Pのみにあらず!それこそが、もう1つの基礎能力!ヒーローとしての本分ともいえる人助け!!審査制の救助(レスキュー)P!』

 

ホログラムが切り替わり、デカデカと70の数字が映る

 

『試験の最中、しかも巨大仮想敵が出ようとも躊躇いなく(たす)けにいく精神!!そして見事に無力化する力!10Pと60Pで70P!合わせて113P!!文句なしの首席合格だ!!』

 

ホログラムのオールマイトが手の伸ばす

 

『来いよ植木少年。雄英(ここ)が君の、ヒーローアカデミアだ!!』

 

オールマイトが締めの言葉を言い終わると、ホログラムがプツリと消えた

 

合格。その言葉を聞いた翔子が植木を抱き締める

 

「きゃー!合格!耕ちゃん、しかも首席合格だって!」

「今晩は合格祝いだ!耕助、寿司を食べるのとすき焼きを食べるの、どっちがいい?」

 

植木の合格を自分のように喜ぶ父と姉を見て、植木は自然と表情をほころばせた




「みんなを助ける正義を貫く」植木耕助

植木’sヘア:草みたいな色とモッサリ感
植木’sアイ:三白眼
植木’sハンド:モリモリ木が生えてくる
植木's全身:超絶タフ。何度でも立ち上がる
植木's脚:地道に早くなってきている


ホントにね、アイデアだけなら湧いてくるんだよね〜…続きが書けないけど

誰かが続き書いてくれないかな

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