お船の夏イベに間に合うか微妙です
張角達三姉妹の保護に向かった矢先、目的は達したが于吉の出現により彩華が負傷する形となってしまった。幸いにて命に別状はないのだがこのまま放っておくようなバカな真似はしない
「耐えろよ彩華……すぐに治してやるからな!」
懸命に馬を走らせ尚且つ彼女の容態に響かない様にする、口で言えば簡単だがいざやってみるとそうはいかない
「暁兄……彩華ちゃん……」
桃香もまた自身の非力を恨んでいた、武に秀でた兄でさえ手出し出来ないのだから気に病むことはない……と言われるだろうが彼女の性格がそれを許さない
「……っ!?」
そこへ春藺が何かの気づいたように俺に話しかけに来た
「どうした春藺?」
「こっちに向かってくる気配を感じる……」
「チッ……敵か?」
この状況で戦闘になるのは御免被りたいのだが……しかし、次の春藺の言葉で解消されるのである
「この気配は……張郃の氣……」
「美優か!」
やがてそれは肉眼で見えるまでの距離となる
「暁人様!ご無事ですか!!」
自身に与えられた兵を引き連れた美優が暁人達の元へ合流した
「出立されて以降ご連絡が無かった為に愛紗さんに許可を頂きまして直属兵のみでお迎えに上がりました」
馬から降り暁人に平伏する姿勢を取る美優
「すまない助かる、合流したばかりで悪いが彩華が負傷している。急ぎ陣まで彼女を送り届けてくれないか?」
「彩華殿が!?承りました、直ちに高覧に命じましょう。高覧!」
「はっ!お呼びでしょうか張郃様?」
「先程の話を聞きましたね?貴方の力で田豫さんをすぐに陣まで送り届けて下さい」
「ははっ、直ちに!」
高覧と呼ばれた青年が美優に命じられると彩華を預かり目にも止まらぬ速さでその場から走り去っていった
「オイオイ……いつの間にあんな奴がうちに?」
不思議そうに思っている暁人に美優が答えた
「高覧は私の同郷の者です、故郷では「疾走の高覧」で有名なんですよ?私も最初は目を疑いました。馬術や弓騎も扱えますので彼に頼む事も増えました」
「そういう事だったのか、思わぬ形で役に立ったな」
「我々も急ぎましょう、道中は私の兵がお守り致します」
こうして俺達も帰路を急ぎ自軍の陣まで無事に戻るのであった
彩華の治療を行なわれて暫く……容態が悪化と言うわけではないが野営地が故に満足な治療が施せない
「(医術は現代の知識を齧った程度……時代が余りにも違いすぎるとな……)」
歯がゆい思いであったが下手に手を加える事も出来なかった。そんな折に盧植将軍の伝令がやって来たとの報せを受ける
「幽州の公孫瓚の所へ向かってくれだと?」
どういう事かと伺う為に暁人は詳細を聞き出した
「はっ、何でも今幽州には有名な医者がいるのだとか、将軍は劉騎殿を思い公孫瓚殿と連絡を取られたとの事です」
なるほど……そういう事だったのか……それならすぐに向かうべきだな
「分かった、直ちに出立するとしよう。して、盧植将軍は?」
「将軍は朝廷より召還の命で都に戻っておられます、自分はそれを伝えるようにと仰せ仕りました」
「了解したお役目ご苦労、盧植将軍にはお世話になりましたとお伝え願いたい」
「御意、では失礼致します」
伝令兵は一礼しその場から退出した
「春藺」
「ん……」
「彩華のとこに主だったみんながいるはずだ、公孫瓚の元へ行く事を伝えてもらえないか?」
「御意……」
春藺はそう受け答え彩華の所へ赴くのだった
「……」
1人残った暁人は于吉との対面の時を思い出していた。あの時……自身の勘で仕掛けてはならないと判断した、その結果は……
「クソッ……!!」
結果的に彼女を傷つける形となってしまった、俺が仕掛けたなら彼女はどうしただろうか?
「……っ」
頭の中に初めて彼女に出会った光景が目に浮かぶ……
彩華と出会った時初めに浮かんだのは俺より年下の人懐っこい女の子だなっと思った
俺や桃香、愛華とかとすぐに仲良くなり遊ぶことも多くなった。俺も彩華とはよく気が合うらしくイタズラとかもよくやったりしてその度に叱られたりした。
けれども不思議と気持ちの良い物であった、現代ならしょっぴかれるだろうがこの世界には関係の無いことだ
「そういや……」
ふと思い出した、あの事を……
「わたし、おおきくなったらお嫁さんになりたいんだ」
「おまえがお嫁さん?むりむり、桃香や愛華みたいなかんじならおれもいいとはおもったけどなぁ……」
「そんなことないもん!ぜったいなれるもん!」
「はいはい、いつのことだろうな」
「むぅ〜……ばかにしてぇ……」
「そもそもおまえ、だれかすきなひとでもいるのか?」
「へっ!?そ、それは……その……」
「まさかいないのにお嫁さんとかいってたのか?」
「……いるもん、目の前に……」
「なにかいったか?きこえなかったぞ?」
「なんでもなーい、そろそろ暗くなるからお家に帰るね」
「ああ、またな」
「うん、また明日ね」
「……」
あの時、彩華が何を伝えたかったのか当時の俺は全く分からなかった、あの後は普通に遊んだりイタズラしたりして言いかけた言葉を切り出すことは無かった
「こんなに彩華の事を考えたのは初めてだな……」
そばにいない事で初めて気付かされる気持ちとはまさにこれであった
「ははっ……俺って奴はつくづく大馬鹿なんだな……こんなになるまで気付かないなんて」
頭の中は彩華でいっぱいだった。そうだ、俺は彩華を……
友人でもなく、義妹でもない……
一人の女性として……
彼女を好きになっていたんだ
何故こんなストーリーばかり思い浮かべるのか自分すら迷走しそうな感じです(エロゲとギャルゲがごちゃ混ぜ状態)
ボチボチ公孫瓚と合流、高覧の設定は騎馬と弓騎以外はこの物語のみの設定です