転生先は桃香の兄   作:Pasukayuri

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いざ開戦


葭萌関防衛戦、梓潼部隊合流

「さて……改めて見てみれば数は多いのう……」

 

葭萌関へと迫り来る劉璋軍をみた厳顔は城壁の上からそう呟いた

 

「ですが決めた以上はここを守り抜くしか御座いません、張任殿が漢中からの援軍を引き連れる事を願いましょう」

 

呟きを拾った法正がその様に答えた

 

「それもそうじゃのう」

 

「では手筈通り、厳顔将軍には一度打って出て貰います。敵部隊突入後に合図があり次第部隊を後退させて下さい」

 

「そして左右に伏せた孟達、鄧賢を繰り出し後退していた儂の隊を反転させると言うことじゃな?」

 

「ええそうです、葭萌関の指揮は私が行いますから」

 

「うむ任せた、では出るとしようかの」

 

「ご武運を」

 

「門を開けよ!厳顔隊打って出るぞ!」

 

「「「おおー!!」」」

 

 

 

 

葭萌関に迫る劉璋軍の先陣部隊を率いているのは向存、扶禁の部隊合計2万であった

 

「よし、葭萌関を捉えたな」

 

「うむ、攻城部隊を繰り出せ関には大した兵力はいないぞ!」

 

劉璋軍から繰り出されたのは投石車であった、これは文字通り石を投げて城壁を削るのを目的とした兵器である

 

尚、これは余談であるが……投石用の石の代わりに人間の首を使っていたともある記述が少しだけ見られる。無論、人の首では石より火力は出ないであろうが精神的に来る物は相当な物である。どの時代であれ人のメンタルに付け込むのはある物である

 

「ちぃ!厄介な物を持ち込んでおるわい!」

 

「敵将厳顔!覚悟せよ!」

 

劉璋軍の部曲将の一人が厳顔を見つけ厳顔に急接近して来ていた

 

「ちょこざいな!」

 

サブ武器である曲刀を抜き1合もせずして敵の首を切り落とした

 

「まずはあの投石車をなんとかせねばのう、各弓隊火矢の用意じゃ!」

 

弓隊各自は予め用意していた矢先に火を灯し始めた

 

「歩兵部隊は弓隊の準備を邪魔する敵を蹴散らせ!」

 

厳顔率いる歩兵部隊は円を描く様に火を番える弓隊を守るように陣形を作り上げた

 

「厳顔様!敵将接近!」

 

「む?」

 

「我こそは劉璋軍の向存なり!謀反人厳顔前に出よ!」

 

迫り来る敵将は劉璋軍の先陣部隊を率いていた将の一人である向存であった

 

「ふん、若僧のくせに長年仕えた儂を謀反人呼ばわりとは片腹痛いわ。ちぃと灸を添えてやろうかの」

 

「ほざけ!我が槍を受けてみよ!」

 

向存は槍を構え厳顔に向けて突撃を開始した

 

「ふっ!」

 

厳顔はメイン武器である豪天砲を使わずサブ武器の曲刀にて迎撃を開始した、対人では豪天砲は向いてないからである

 

向存から突き出される槍を全て受け止め厳顔はカウンターの機会を伺っていた

 

「くっ……先程から防いでばかりおりおって!」

 

向存は怒りに身を任せさらに連続で攻撃を行い始めた

 

「どうした、息が上がっておるようじゃのう?」

 

「だ、黙れ!」

 

厳顔の煽りとも言える言葉に向存はますますヒートアップしていた

 

「(ふむ……頃合いじゃのう)」

 

向存の攻撃を防ぎながら厳顔は作戦通りの行動を取り始めた

 

「おっと……手強いのう、ここは退いた方が良さそうじゃ。者共引き上げい!」

 

向存の槍を弾いた後に厳顔率いる部隊は葭萌関に向けて撤退を開始した

 

「なに!?逃がすものか!」

 

ここで逃すものかと言わんばかりに向存は弾かれた槍を放棄し腰に刺してた長剣を抜き厳顔の追撃を行い始めた

 

「ただでは帰らぬがな!今じゃ火矢を放てぃ!」

 

火矢の用意が整った弓隊から一斉に火矢が放たれ辺りは火の海と化し始めた

 

「うわぁ!火が!火が!」

 

投石車を操作していた劉璋軍の兵が一斉に外に出始めていた

 

「おのれ……小癪な真似を!ならばせめて厳顔だけでも!」

 

気が付けば向存率いる部隊は葭萌関の近くまで引き寄せられていた

 

「今だ!孟達と鄧賢の部隊に合図を繰り出しなさい」

 

葭萌関の城壁から戦況を眺めていた法正が合図を送り始めた

 

「む?あれは法正の合図じゃな、者共反転せよ!孟達、鄧賢の部隊と連携し突出した敵部隊を叩く!」

 

「「おおー!」」

 

この時、葭萌関の城外に伏せていた孟達、鄧賢の部隊が左右から挟み撃ちする様に向存の部隊に切り込んできた

 

「鄧賢ここにあり!命が要らぬものは前に出よ!」

 

「甥に抜かれるほど朕は甘くないぞ、我が鎌からは逃れられぬ」

 

三方向から攻撃を受けた向存の部隊は混乱によるパニックで兵が散らばり始めていた

 

「こら!逃げるな!戦え」

 

向存は逃げ惑う自身の兵を鼓舞したが、人間パニックに陥るとなかなか戻るまでに時間を要するのである

 

この時、反転した厳顔率いる部隊が再び向存の部隊にぶつかり始めていた

 

「今度は遠慮なく殺れるのう、我が豪天砲を喰らうがよい!」

 

厳顔から放たれた豪天砲の砲撃は向存を守ろうとした兵をも吹き飛ばしていた

 

「ひぃぃぃ……とても敵わねぇ!」

 

「あ!おい!貴様ら!」

 

豪天砲の攻撃を改めてみた向存の兵は蜘蛛の子散らすように逃げ始めた

 

「トドメじゃ!豪天砲最大出力!」

 

豪天砲により向存は木っ端微塵と砕けた、同じく先陣であった扶禁も乱戦のさなかに孟達により討ち取られる結果となった

 

先陣部隊壊滅の報告を聞いた後陣の劉璝、高沛、楊懐の部隊は一旦進軍を辞め剣閣へと撤退する構えを取り始める。厳顔、孟達、鄧賢は勢いのまま追撃を行ったが剣閣の抵抗が厚いと見えると被害を最小限に抑え葭萌関へと引き上げるのであった

 

その頃、梓潼を進発していた劉循を主将とした部隊が剣閣に到着し劉璝達と合流していた

 

時を同じくして暁人達も葭萌関へと部隊を進駐させた

 

初戦は劉騎軍の勝利を飾る結果となったのであった




前半戦終了

二軍とは言え簡単に殺したらダメですからね、味を出してあげないと……

騎馬隊は涼州指導によりある程度の山道でも操る事が可能です

次回も宜しくお願い致します

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