武関より進発した軍勢は商県に到着
先の軍勢に張繍を加えたメンバーである
商県に到着した俺達はこの地を拠点とする為に砦の建設に取り掛かっていた、各必要な資材は現地調達を含め西城、宛から輸送させる手筈を整わせている
その間に手が空いてるものは周辺の偵察、警備巡回等を行うようにしていた
そして商県内を探索していたある日
俺は鄧艾を率いて周辺の探索及び警備を任として出向いていた、その際に探索に参加していた兵からとある書物を見つけ回収したとの報告を聞いた
確認すべく天幕に戻り回収したとされる書物を見せてもらうことにした。席には鄧艾も同伴させている
「これが先の探索にて見つけました物となります」
そう言って部下の兵は現物の一つを差し出した、俺はそれを受け取り封がされていたのを紐解き中身を確認した
「どれどれ……富国強兵や法を重視した国の国家を……ってこれって……」
間違いない俺の記憶が正しければ……
「……鄧艾、これを見てみろ」
傍にいた鄧艾に確認の意味を兼ねて現物を手渡す
「では失礼致します……ふむふむ……これは秦に仕えたと言われる商鞅著作の「商君書」のようです」
やはりそうであったか……確か今現在にて現存してるのは全29巻の内24巻だったか……しかし今、目の前にあるのは全巻29が全て揃っている状態である、まさかこんな貴重な物を見つけれるとは……
「かなり貴重な物を見つけたな。鄧艾、これは是非朱里や雛里にも見せてやるべきだな」
「ええ、軍師殿のお二人も喜ばれる事でしょう」
思わぬお土産話が出来上がったな、朱里と雛里に会う時が楽しみだ
そして見つけたこの兵の功績に応えないとな
「よく見つけてくれた。この発掘の功績を認め其方の小隊員全員に褒美を取らせる、目録内容は追って通達とする」
「有り難き幸せ、部下にも早速知らせて参ります!」
「商君書」を差し出したその兵は目を輝かせその場を後にした
「鄧艾、「商君書」の管理は君に任せる。この戦が終わるまで無くさずに持っていてもらいたい、頼めるか?」
「主君のご期待に応えてこそ臣下の務め、お任せ下さい」
頼もしい返答が帰ってきた、彼女ならば大丈夫であろう
それから暫くして、商県にて拠点となる砦……「商県砦」が完成をした
野営していた部隊を一度砦に収容し、長安、郿を攻める手順を決めるための軍議を開く事にした
「此度の砦建設に関わったものは改めてご苦労であった。して、今回の召集はこれより攻め込む長安及び郿を手中にする為の物である。意見がある者は述べるように」
そう言い終わると先に発言し始めたのは李傕であった
「劉騎様、私と郭汜ちゃんを別働隊にしてくれないか?」
「ふむ……理由を聞こう」
「私達二人はこの辺りの地理も把握している。もし敵に伏勢がいたら私達で蹴散らしてやろうかと思ったからです」
そう李傕が言い終わると郭汜も同じ意見なのであろう李傕の意見にうんうんと頷いていた
「場所的に怪しいところは?」
「この近くなら子午谷でしょう、我が軍勢が長安に向かった際に背後を突くならこの場所です」
なるほど……確かに背後を突かれるのは不味いな、鄧艾に視線を送ってみたところ特に否定はないようだった
「分かった、李傕の意見を取り入れ一軍を預けよう。郭汜を率いて事に当たるがいい」
「ありがとうございます!郭汜ちゃんと一緒にぶっ飛ばしてきます。それでは距離がありますので準備に掛かります」
そう言って李傕は準備の為にその場を後にし続けて郭汜も失礼します、と一礼して李傕の後を追いかけていった
「背後にいるかもしれない敵は李傕達に任せて俺達は眼前の長安を攻める。呂布、君には先鋒を任せる」
「ん、わかった……」
「高順は呂布の補佐を頼む、陳宮は鄧艾と共に行動してくれ」
「ああ、任せておけ」
「了解ですぞ」
「御意」
「俺と美優、高覧は攻城部隊を率いて長安へ向かう。衝車は使わぬと思うから井闌部隊を連れていく」
「はっ、承知いたしました」
「あいわかった、必ずや戦果を上げてみせましょう」
その他、各将にそれぞれの命を伝え終わる
「これにて軍議を終わりとし長安へと向かう事となる。全軍、生きて帰って来るように!」
「「「おおーー!!!」」」
かくして商県砦より先に李傕の部隊が出発しその後に長安攻略部隊が出発する
井闌部隊は脚が遅いために先鋒の呂布がどれだけ削るかにもかかっている
「さあ……行くぞ!!」
いざ、長安攻略だ!
「走れ!構えよ!今こそ我が必殺の「飛射」で胡軫隊に引導を渡す時よ!」
呂布率いる先鋒部隊は長安より打って出てきた胡軫隊との戦闘となっていた
「チッ……さすがは呂布だぜ……こっちに付いたのは間違いだったか……」
以前の戦にて上官の華雄が討たれた際に胡軫は董擢に降っていた
「だがやられっぱなしって言うのはしょうに合わないんだよ、お前らついて来い!呂布隊に「突破」を仕掛けるぞ!」
胡軫は散らばっていた自身の味方を掻き集め包囲を突破しようと試みた、だが……
「それを止めるのが私の役目だ」
突破を試みようとした先に待っていたのは「陥陣営」こと高順であった
「お、お前は高順!?」
「久しいな胡軫、華雄が生きてた以来か?」
互いは嘗ての董卓軍同士で面識があった二人である
「だがこれも乱世の倣い、そこをどけ高順!」
「断る、嘗ての戦友であろうと私は容赦はせんぞ!」
互いの得物を構え二人は真っ向から勝負に向かっていった
そして……
「がふっ……!!」
20合撃ち合った末、高順は胡軫に致命傷を負わせる事が出来たのであった
「勝負あったな、胡軫」
大剣を突き付けそう言い放つ高順
「ごふっ……へっ、今更情けはいらねぇよ……さっさと一思いにやってくれ」
「分かった……では、御免!!」
高順はそう言い放つと大剣を構え胡軫の首を切り落した
「華雄が生きていたら我等は共闘出来たかもしれないな……あの世で先に待っているんだな……」
一人となった高順はその呟きを誰に聞かれることなく胡軫の首を馬に括りつけその場を後にした
先鋒の呂布隊が迎撃部隊の胡軫を討ち取ったとの報告を聞き井闌部隊を急がせていた、さらに先の賈詡と李儒の策にて呼応した天水の薛蘭、李封と潼関の李蒙が到着し長安を包囲する形を取っていた
長安の守将段煨は迎撃に出た胡軫が戻らないことにより戦死した物とみて必死に抵抗していた。それから後に南から攻め上がっていた井闌部隊が到着した
井闌部隊には朱里の発案した連弩を搭載し城壁の高さに匹敵するほどの大きさである、その井闌から幾多の矢を放ち空を覆う形とする
かくして守将の段煨も流れ矢に当たり戦死、生き残っていた長安の将兵は全て降伏した
こうして足掛かりとなる長安、後に暁人達のメイン都市となる場所を確保する事に成功したのであった
次回、反董卓連合ルート最終回 「郿城、燃ゆる」
をお送り致します
夜か明日には更新すると思います
それではサラダバー|゚Д゚)ノ