さて、徐栄の首ぶら下げたままではあるが急がねばなるまい
そして呂布を探す最中にも武将クラスを何人か斬ったが誰だったかは知らん(キッパリ)
「お?あれか?」
眼前にて方天画戟の旋風を確認、どうやら無事なようだな
俺は馬を走らせ呂布の元へ迫った
「馬上にて失礼、君が呂布かな?」
「……誰?」
「俺の名は劉騎、李傕達の要請に応え此度の援軍に参った総大将だ」
「なんと!?当主自らでやがりますか!?」
暁人の行動に驚く陳宮、まあこの時代ならな
「単に机に座ってじっとしてるのが嫌なだけだ。それよりも急いで撤退をするんだ」
「ん……援軍助かる……」
「さあ急ぐでやがりますぞー」
よし、急いで指定ポイントまで撤退だ……っと思ったがこちらに迫る軍勢を見つける
「む、あれは侯成達の部隊だな」
なんだ、侯成達なら呂布軍やな。ところでこちらの女の子は誰なんじゃい?
「……ん?なんだ?私の顔に何か付いてるか?」
つい見つめてました、サーセン
「あ、いやスマン……つい可愛くて見蕩れてしまってな」
誤魔化すどころか本音が出てもうた、おうち帰るべきやな、うん
「こんな返り血だらけの女によく言えたものだな……そういや名乗って無かったな。私の名は高順、呂布の提案に乗りこの軍に加わった者だ」
おお、これがあの噂の「陥陣営」こと高順なのかなかなかええやん
「陥陣営の異名を持つ高順殿だったか、ともに戦えるとは光栄だな」
「誇れる程でもないんだが……こちらも噂はかねがね聞いている。こちらこそ宜しく頼む」
そう会話していると侯成達の部隊が合流した
「呂将軍、戦況を見定める為に合流致しました……おや?そちらの方は?」
「この人は新野の劉騎殿……こっちの援軍に来てくれた人」
「援軍の方でしたか有難い。申し遅れました、私の名は曹性と申します。以後お見知りおきを」
演義で夏侯惇の目を射抜いた人物が文官だったでござるの巻
「曹性……急いで新野まで撤退する。侯成達の指揮をよろしく……」
「承りました、では直ちに」
そう言い残すと曹性は侯成達の指揮を執り始めた
「おっと……皆、ちょっと聞いてくれ」
居合わせた全員がキョトンとする
「どうせ撤退するなら一泡吹かせてやらないとな、って訳でな……」
かくかくしかじか、かゆかゆうまうま……いやなんでやねん
ここはあの博望坡の戦いで有名な地形なんだぜ?となると燃やす場所があるはずやと思って探させたところ……
やっぱりありました
って訳でそこまで誘い込んで後は燃やすだけ、俺以外のメンバーをその準備を行っていた訳だ
かくして追撃をしていた徐栄も戦死していたのもあり残存部隊は統率が取れておらず火計にて殲滅完了となった
こうして生き残った呂布軍を引き連れ新野へ撤退することに成功した。呂布に付き従った将は侯成、魏続、宋憲、曹性以外は戻ってくることは無かった……帰路途上にて聞いた話は張遼は張済と樊稠を引き付けていたとのこと、合流は叶わなかったが生きてる事を願うしかない
徐栄が討たれ張済、樊稠の部隊も離れた事で手薄になった董旻の本陣は張繍の進言を聞き入れ宛に撤退を開始した
一方その頃、敵を引き付けていた張遼は潁川まで来ていた。彼女の周りに付き従っているのは20騎程であった
「アイツらホンマしつこいな……せやかてここでウチが負けたら意味があらへん」
愛用の武器を振り回し飛んでくる矢を弾いたり、群がる敵を一掃するなど大忙しである
「面倒になりそうや、大将討ち取った方が早そうやな」
そう言って張遼は追撃して来ている部隊の将を探す為に敵陣に切り込んで行った
そして敵陣にて張済、樊稠を見つけこれを討ち取る
この隙を逃さず張遼の部隊は豫州を経由し兗州方面まで引き上げることに成功していた。折しも譙県付近にて英人率いる部隊が偵察に出ていた所に遭遇する
英人は張遼に事情を聞き董卓軍の真相を知る事となる。また、張遼にはその際の説明をとの事で曹操の元へ向かう事となった
新野に凱旋をした後、旧呂布軍をこちらに組み込む事に成功
それと同時に董卓の名を語る男から董卓を奪還するための協議が開かれた
「皆集まっているな?」
新野の玉座の間に劉騎軍の将と旧呂布軍の将が並び立っていた
西城の桃香達には高覧にて事情を伝える事とする
「此度集まってもらったのはこちらに控える呂布達の主君であった董卓の奪還の為である」
「では都にて名乗った董卓の正体は……」
「美優の懸念通りだ、奴は董卓ではなくその正体は董卓の兄である董擢と言う奴だ」
城内は騒然となる、あちらこちらで聞こえる声や内容は想定通りだ
「奴が何故自身の妹の名を使ったかまでは分からぬ、だが何にせよ汚名を被るのが董卓であってはならん」
「しかし劉騎様、董卓様を奪還する為にはその所在を割り出さないことには……」
曹性がそう言い放ったが俺を手で制した
「案ずるな曹性よ既に手は打ってある。鄧艾」
「はっ!」
「曹性達含めこの場にいる者達に説明を頼む」
「承りました、先に放っておりました我が方の密偵と張繍の密命で動いていた胡車児との合流に成功、我が方の密偵と胡車児はその場所に留まり機会を伺っているとの事、そして幽閉されている場所は……隴西郡との事が判明致しました」
隴西郡は董卓達の故郷の地である
「まさか董卓様の出生の場所に幽閉されているとは……」
「灯台もと暗し……言わば隠し物は近場にあるという事だ」
「……そう言えば……最近、詠を見ていない……」
ふと思い出した様に呂布が呟く
「呂布殿、それはもしかして賈詡殿の事でしょうか?」
心当たりのある鄧艾は呂布に尋ねる
「うん、合ってる。最近月がいなくなってからずっと見ていなくて……」
「それならば胡車児との件も含め伺っております、賈詡殿は董擢の軍師である李儒と結託し董擢を取り除く為の策を弄していると、この件は胡車児と張繍のみが共有しているとの事です」
「なるほど……それで詠を見なかったのだな、あの男に遠ざけられた際にどうなっているかを案じていたぞ」
呂布を初めとした呂布軍のメンバーは賈詡の無事を知り安堵していた
「その為の足掛かりとしてまず決めているのは眼前の宛を落とす事である。隴西郡まで向かうには今の位置からでは遠く敵に手を打たれる恐れが出てくる。先の反董卓連合はどうなっているかは知らないが我々は加盟していない為に動く事には縛られる事は無いからな」
「では決まりですな。劉騎殿、宛攻略には我々呂布軍をお使い下さい」
方針が決まるや否や陳宮が声を上げた
「やる気があるな陳宮よ。無論、呂布軍の主だった者にも加勢してもらう。その力を存分に奮ってもらいたい」
「ん、わかった……」
「再び戦場だな、血が騒ぐ……」
「数日の休息を行い宛攻略へと向かう事になる。各自準備は怠りなくするようにと伝えておく。朱里、細かい策の立案を鄧艾と陳宮を交えて相談しておいてくれ」
「はい、分かりました」
さて、董卓軍もとい董擢軍を蹴散らすとするかな
次回、宛の戦い
胡軫がマジ空気でサーセン
董卓配下の名義探すのメンドインゴ……
それではサラダバー´ω`)ノ