ピンクのおっさんとホイみっ♪   作:せーや lv71

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過去最高にひどい話




投稿ボタンを押すのに初めて「勇気」を使った。


次回!クロコダイン死す!! ぐわあああーーーーーッ!!!

 現在神殿跡地で先勝の宴が設けられています。あ、おれですか?姫様のイオナズンでバルジ塔最上階からひも無しバンジーをさせられまして、現在手当を受けています。全身包帯ぐるぐる巻きにされて寝かされてるので眼も開けられませんが。

 「はい、これでもう大丈夫よ。モルグさん仕込みの手当だから、もう安心してね」

 マミさんマジ天使。見た目はミイラおとこだけど。あ、先ののぞきの件はきちんと謝って許してもらいました。バルトスさん縁の品を探していたと説明したら納得してくれましたよ。

 「ホイみっ♪ホイみっ♪」

 お、嫉妬かホイみん。手当はお前の専売特許だったもんな、お株を奪われたんで必死に自己アピールしてるのかな?あ、こら触手で目蓋の上から眼球をぐりぐりするんじゃない。わかったから、次からもお前に治療してもらうから落ち着いて。

 「ホイみっ♪」

 「仲がよろしいんですのね。では続きはホイみんさんに任せて私は少し離れますわ、安静にしててくださいね」

 もう少しお話したかったのに、残念です。

 レオナ姫の声と拍手が聞こえますね。そっかーヒュンケル許されたか。本人的には割り切れない所もあるだろうけどなに、人生これからさ。切り替えて行こうぜ。

 

 おや?何やら声がきこえてきますね。

 

 「あたし、最低なことを考えてた。ヒュンケル様が許されないのならこれからも私たちと共に居られるんじゃないかって」

 「サヤカさん…」

 

 マミさんとサヤカちゃんの声ですね。元気いっぱいのがいこつ剣士だったので覚えてますよ。

 「最初はカッコいい人だなって、それだけで気になってたの。でもヒュンケル様は騎士として素晴らしい人だった。ヒュンケル様の為なら命懸けで戦うハメになったって構わないってそう思えるようになったの」

 「でも、ヒュンケル様は日の当たる世界を胸を張って歩いて行ける人なんだ。だから、だからっ!」

 サヤカちゃんの言葉には嗚咽が混じり始めていた。

 「そう、あなた本当にヒュンケル様が好きになったのね」

 「あたしって、ほんとバカ」

 

 「だって私、もう死んでるもん。骨の体だもん。こんな身体で抱き締めてなんて言えない。キスしてなんて言えないよ…」

 

 

 

 サヤカちゃんはしばしの間、泣き崩れていたようだ…。

 どないせーちゅうねん。こればっかはおれに出来る事は無いな。前世含めて異性経験ゼロだし。

 「ホイみっ♪」

 こら茶化すでない。

 

 

 

 

 

 「サヤカさん、人を想う形はそれぞれあるわ。けれども私たちは」

 

 マミが不死騎団の旗を掲げ剣を地に突き立る。その気風は紛れもない騎士のそれであった。

 「此の御旗の元に集う騎士なのよ。私はかわいい後輩のあなたの想いを否定はしないわ。けれども我が不死騎団が尊ぶ精神は忠義であって情愛ではないわ!!」

 「選びなさいサヤカ。女としてヒュンケル様を慕うか、それとも騎士としてその忠を全うするか!」

 「生き様とは一事が万事なのよ!横道にかまけていては本懐など遂げられるはずはありません!!」

 「二者択一!!ここであなたの道を選びなさい!!!」

 「ッ!!」

 衝撃を受けたような息遣いが聞こえてくるようです。おれ、とんでもない場所に居合わせちゃったな。

 

 

 

 一時の逡巡の後、サヤカは力強く剣を抜き放った。

 「迷うことなんてないわ!!」

 

 

 「我ら、命《メイ》無き死者の兵!!」

 サヤカが剣を正面に掲げ礼をとる。

 

 「人に合っては人を切り、鬼と合っては鬼を切る」

 マミがその礼に倣って旗を掲げる。

 

 「「引かず、迷わず、朽ちず、恐れず、此の身一つが一振りの刃」」

 

 「「我ら!!不死身の不死騎団!!」」

 

 「「義無く、情無く、仁も無し!!!ただ忠によりてここに有りッッ!!!!」」

 

 「「そう、総てはヒュンケル様の為に!!」」

 

 その声は凛々しかった。おれは今、眼を開けられなくて良かったと思った。もし眼が見えていたら彼女たちの方を向いていたかもしれない。彼女たちの誓いは他者が軽々しく踏み込んではならぬ神聖なものであろうと感じたからだ。

 

 「ホイみっ♪」

 おいホイみん顔の包帯を取るんじゃない。今一番良い所なんだろうからさ。あれ?

 

 

 「…いつから居たんですか?クロコダインさん」

 包帯が外されましたね。あれ見上げるとマミさんとサヤカちゃんが割とすぐそばに居ます。って君らこんな近くで話してたの??

 「え?さっきから足元に転がってましたけど…」

 「あら、クロコダインさん。乙女の会話を盗み聞きなんて、はしたないですわよ」

 「いえ、ですから少し離れるって…」

 「ええ、少し離れましたよ」

 ホントに少しかい!!?

 「いつからいたんですか」

 気づいてなかったの!?サヤカちゃん??

 「あの…」

 「い・つ・か・ら・?」

 「…最初からです、ハイ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「記憶を失えーーーーー!!」

 「ぐわああああーーーーーッ」

 サヤカの踏みつけによって傷口が開き、またしばらく寝込む羽目になりましたとさ。

 

 「恥ずかしいーー。ずっと秘密にしてたのにー。マミさん私もうお嫁に行けないーー」

 「あらあら」

 「ホイみっ♪」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ちゅちゅんがちゅん

 

 

 眼が覚めて現状をバダックの爺さんに聞くとことによると。ヒュンケルは一人で斥候に出たようです。魔王軍の足取りを追うと言ってました。

 不死騎団ら地底魔城の残党と氷炎魔団残党とでバルジ島を仮の拠点としてパプニカ王国から一時預かって住み着くことになったそうです。なんでもバルジ塔での活躍が評価されたからとのこと。

 そしてダイくんはベンガーナへ武器を買いに行ったとのこと。なんでも3日前に。

 そっかー丸3日も寝込んでたのかー。

 

 「遅刻だーーーーーー!!!」

 

 次は「あの男」が出張ってくるんだよ!!?下手したらダイくん達全滅しちゃうじゃないか!!確か決戦の地はテラン王国だったよな。

 

 

 いざ行かんテラン王国へ!!

 「準備なし!!!!!!」

 「ホイみっ♪」

 

 

 

 

 

 テラン王国へ急行します。がる太いつも無理させてごめんね。げ、空が黒くなってる。もう始まってるのかな?ギガデインが怖いのでがる太に離れたところで降ろしてもらいました。

 

 遠巻きにバランが見えてきました。もう交戦中ですね、ギリギリセーフだよ。ダイくんがやられて湖へ水没しレオナ姫が後を追って飛び込みました。なんとか間に合ったかな。

 ここでダイくんを連れ去らせるわけにはいかない。援軍は望めず、備えは無し。この身一つで切り抜けるしかない。なんだ、いつものことか。

 「ホイみっ♪」

 そうそう、ホイみんがいたね。心強いわ。よし、いっちょやったるか。いつものアレ頼みます。

 「ホイみっ♪」

 

 「来てくれたのね、クロコダイン」

 「おっさんが来てくれれば百人力だぜ」

 「「あとは任せるぜ(わ)」」

 

 二人ともぐいぐいとバランの前面におれを押し出します。ちょ、気持ちはわかるけど人を弾除けにするのはやめてくださいませんか。

 

 「「だってアイツ呪文効かないし」」

 

 まーそうでしょうけどよ。ええい結局は原作道理か、どうせ負けイベントなんだ。死なない程度にボコってもらおう…本当にいつもの事だなオイ。

 

 「獣王クロコダインか…まさか人間に組するとはな」

 人間の味方ってわけじゃないです。強いて言うならおれとおれの友達の為ですかね。ダイくんに大魔王(バーン)を倒してもらわないと世界がヤバイですからね。未来を知ってても良いことばかりじゃないなー。

 

 「勇猛で名高い獣王クロコダインが相手ならば私も本気を出さざるを得まい」

 

 どうしてみんなおれに対して評価が高いの?全然嬉しくないよぅ。油断してくれても良いんだよ??

 とにかくまともに戦って勝てる相手じゃありません。とにかく身を固めて「ぼうぎょ」します。自慢できることと言ったら体の頑丈さしかありません。原作道理に持久戦を仕掛けるしかありませんね。

 「バランよ、お前に勝つことはできんだろう。だが、死んでも負けてやらん!!」

 生まれてこれから何度理不尽な目にあったとおもっとんじゃい。いつだってこの身を楯にしてきたんだぞチクショー。

 

 「よかろう、竜の騎士(ドラゴンのきし)の秘められた力を見せてやる」

 バランは神魔豪竜剣を地に刺し置き、素手の構えをとった。両手を正面で合わせ腰だめにひねるように構え竜闘気(ドラゴニックオーラ)を収束させてゆく。

 ま、まさか…いきなりドルオーラ??

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「波○拳!!!」

 

 「ぐっはぁ!!」

 

 気弾の不意打ちを喰らいのけぞったところにアッパーの追い討ちが迫る。

 

 「昇○拳!!!」

 

 「おぼふ!!」

 

 空に打ち上げられ、地面に着地前を狙って追撃が入る。

 

 「竜巻旋○脚!!!」

 

 「ぐわああああーーーーーッ!!!ってそれ違うリュウの人の技ーーーー!!!!」

 

 「歴代の竜の騎士(ドラゴンのきし)ははるか古より戦いに明け暮れていた。この私にしか伝わっておらぬ戦闘法があるのだ」

 

 それ先代の竜の騎士(ドラゴンのきし)に転生者が居たんじゃないですかねえ…。

 

 「はるか神話の代に失伝した呪文も体得しているのだ。魔力はまだこんなものじゃないぞ!!」

 

 「メラガイアー!!!」

 

 「ぎょええええーーーーーッ!!!」

 

 「イオグランデ!!!」

 

 「ぬわーーーーーッ!!!」

 

 「ギラグレイド!!!」

 

 「ぐわああああーーーーーッ!!!」

 ちくしょうやっぱり居ただろ転生者ーーーー!!!何考えて技をラーニングさせやがった!!?いずれダイくんに受け継がれるかも知れんけど今苦労するのはおれなんだぞーー!!!

 くそう、やられてばかりと思うなよ。こっちにはメインヒーラーが居るんだぞ。

 

 「ホイホイホイホイホイホイホイホイホイホイみっ♪」

 

 でたーホイみんさんの一秒間に10回ホイミだー!!

 この高速じわり回復のおかげでなんとか今まで死なずに済んでたのよ。おかげで一昼夜近くあばれざるにボコられ続けたこととかあったけど。なあに死ななきゃ安い。

 

 ばくれつけん、まじゅう斬り、ライジングタックル、せいけんづき、ジェノサイドカッター、ムーンサルト、ヨガフレイム、まわしげり、スピニングバードキック、なめまわし、しんくうは、ぱふぱふ…。

 

 「ぐわああああーーーーーッ!!!」

 「ホイホイホイホイホイホイホイホイホイホイみっ♪」

 一撃一撃が致命傷に近いが即死技じゃないから即、ホイみんが回復してくれる。つまりは生殺しである。誰か止めて。

 くっそ、何が飛び出すかわからん。バランが技のデパートと化している。そもそも、特技はMPの消費が少ないから持久戦術が崩れてしまう。いかん、流れを変えねば。

 

 「ぬぐぐ、いかな竜の騎士(ドラゴンのきし)の戦闘経験が多かろうと、それはお前のあみ出した技ではなかろう、おれの命に届かんぞ!!!」

 

 「なにっ!!!」

 

 「バラン!!ギガブレイクでこいっ!!!」

 ここはあえてバランを挑発します。仕方ないっしょ、こうしないとキリが付きそうにないし。あ、プライドを傷つけられたのかバランが鬼の形相で呪文を唱えました。

 

 「ギガデイン!!!」

 

 キター、やっぱやめときゃ良かった。おれを5回殺して有り余る闘気じゃねーか??

 

 「やめろっ!!!」

 なんとダイくんが復活し、湖より飛び出しました。

 

 「うおおおおおおっ!!!」

 なんと勢いそのまま跳躍しギガデインを剣先に落とします。あれはドラゴンキラーか?ベンガーナで手に入れたのかな?

 「ああ、俺が借りて(チョバって)おいた」

 「ポップさん…」

 おい、ポップくんいつの間に盗賊のスキルを取ったんだい?メルルちゃんが見咎めてますよ。

 

 「バ…バカなっ!!」

 

 「ギガデイン!!ストラーーーーーーーッシュ!!!!」

 

 うへえやっちゃった…訳はないな。傷ついてるけどまだ余裕ありそうです。

 

 「クロコダイン!!来てくれたんだね」

 ダイくんが満面の笑顔でおれを迎えてくれます。あ、抱きつかないでキズが痛むから。うん、もう瀕死近いから。戦力としてアテにしないでね。

 

 「いいだろう…獣王クロコダイン!!!我が息子ディーノへ至る最大の障害が貴様であると悟った。我が最大の技で葬ってくれるわ!!!」

 

 おれに抱き着くダイくんを見てバランがヤル気を出してますね。違いますから、別にダイくんを取ろうとしてるわけじゃありませんからね。

 

 「お前なんか父さんじゃないやい!!クロコダインの方がずっと強くて頼りになるんだ!!べー」

 ダイくんあっかんべーなんて止めなさい、はしたない。子供じゃないんだから…子供だった。そういう人と比べるようなことを言っちゃいけません。

 

 「クロコダイン…やはり貴様を葬らねばディーノは手に入らぬようだな…」

 

 ああっ、また変に勘違いされてる。完全に殺る(ヤル)気になってるよ、このバカ親め。

 すさまじい闘気の奔流に腰を落としたバランが唸りを上げます。

 

 「ぬううううううううっ!!!!!」

 大地がひび割れ、岩が舞い上がり、竜巻が発生します。天は暗雲に包まれ稲光を発しその光の牙を主の号令のもといつでも振り下ろさんとしているかのようです。

 「冥竜王ヴェルザーをも切り裂いた我が一撃をとくと見よっ!!!」

 バランが大上段に剣を構えました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「テンショーーーーーン!!上がってきたぜーーーーーーーッ!!!」

 

 「     」

 「     」

 「     」

 「     」

 「     」

 

 「テwンwシwョwンwテwンwシwョwンw」

 「テ・テ・テ・テwンwシwョwンw上がってきたぜーーーッwwwww!」

 

 

 (゚∀三゚三∀゚) 「テンション上がってきたw!!」

 (゚∀三゚三∀゚) 「テンション上がってきたw!!」

 (゚∀三゚三∀゚) 「テンション上がってきたw!!」

 (゚∀三゚三∀゚) 「テンション上がってきたw!!」

 

 「テwンwシwョwンww上がってきたぜーーーッwwwww!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 …テンションシステムかーーーーーーい!!!!

 

 

 ちらりとダイくんを見る。両手で顔を覆って膝から崩れ落ちてますね。父親を名乗るカイゼル髭のダンディなおじさんが満面の笑みでみなぎってたらこうなるわ。もうやめて、ダイくんのメンタルはもうボロボロよ。

 ああ、みなさんも顔が引きつってますね。

 「おばあさま…」

 「言うなメルル、アタシたちは何も見ちゃいない。いいね」

 あ、ナバラのばあちゃんそっぽ向いてら。気持ちはわかるよ。

 

 「テwンwシwョwンwがwみwなwぎwっwてwきwたwww 」

 

 どうフォローすればいいんだ…これ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

                   た  w  ww 」

               き

            て

          っ

        が

       上

      ン     

     ョ         

    シ             

   ン                

 「テ                   

 

 

 

 セリフで遊ぶなオッサン。もうそこまでにしとこうよ。

 

 

 「このwスーパーwハwイwテwンwションw状態wはw竜闘気wをw爆w発w的wにw高めwっwるwことがwできるのwだっうぇww」

 

 これがこの世で見る最後の光景なのだろうか。

 

 「ギwwガwwwデwwイwwンwwwwwwww」

 

 天より落ちる豪雷が桁違いの魔力と闘気を孕んで剣に宿る。

 だがそこにシリアスはなかった。

 

 「イヤッwッwホォwォwォwオオォwオウwww」

 

 バランが跳躍した。これはひどい。なにがひどいって全てがひどい。地獄はここにあった。

 

 「 ギw ガw ブw レw イw ク www 」

 

 もはや避けようとする気力も湧いてこない。

 薄れゆく意識の中やるせない無気力感とむなしさだけがおれの胸を占めていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「ぐわああああーーーーーッ!!!」




おお、クロコダインよ死んでしまうとはなさけない。



ホントに死んだよ。
続かない。

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