ピンクのおっさんとホイみっ♪   作:せーや lv71

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おっさんの冒険はこれからだ!




ぱっぴーえんど ぐわああああーーーーーッ!!!

 「ハッ!!!」

 変な夢を視た

 おれが二次小説のオリ主みたくおれTUEEEして大魔王をボコる夢だ。

 ドコの次元の獣王様ですかねえ。おれはそんなカッコよくなんてありませんよ。あれがおれの願望だってーの?ハズかしいいいいーーーー!床をゴロゴロしちゃうーー。現実はそんなご都合主義はないんですよ。

 

 いつしか気を失っていたらしい。触手はその力を失ってぐったりとしている。ホイみんも無事だ。

 「ホイみっ♪」

 能天気にいつものカオをしている。コイツがあの夢の中のホイみんとは到底思えない。

 魔力炉はでっかい目ん玉を閉じてぐーすか寝ている。その傍らで妙な太鼓の音が聞こえる。

 ぼい~~んぼい~~んぼい~~ん。

 「いんや~あ、アブない所だったねぃ」

 彼はドラムというらしい。この男の重力波に助けられたそうなのだが。

 「ちょっとトイレに行ってたら魔力炉が外に触手を伸ばしっちゃってさぁ~~、めんごめんご」

 「ちゃんと管理しろよこちとら消化されそうになったんだぞ」

 「生物の老廃物を餌に魔力を生み出してるからね~命に別状はないよ~。むしろお肌の角質とか落ちてツヤツヤになってるんじゃ~ないかな?」

 「魔王城は老廃物で浮いてるのかよ」

 彼はツッコミを無視してお腹の太鼓をボンボンと鳴らして陽気に語る。

 「大魔王様からアンタらに手出しは無用って言われてるからね~」

 どういうこった?よほど自信があるのか、そも脅威と認定されてないのか?どうも釈然としない。

 「いってらっさ~い」

 ブンブンと腕を振るドラムを尻目に宮殿へ歩を向ける。

 「ホイみっ♪」

 

 …しかし嫌な夢だった。

 ホイみんが大魔王に握りつぶされる夢だったが、あの悲壮感と喪失感は味わいたくないものだ。

 だからこそおれは頑張るしかないんだ。

 「ホイみっ♪」

 …決意を新たにしてるんだから脇の下に滑り込んで卵を仕掛けるのは止めてくれませんかね?ホイみんさん。

 

 

 

 「よくここまで来た獣王クロコダインよ」

 宮殿へ到着早々、いきなり大魔王様が直々にお出迎えしてきました。相変わらずものすごい威圧感である。漏れそう。

 

 「ミストバーンよ、長らく預けていた物を返してもらう時が来たようだ」

 「ハッ」

 え?もう正体明かすの!?気が早すぎるでしょ??

 

 「そしてお前も……よく戻った」

 「ホイみっ♪」

 え?あ、こら待ちなさい。ホイみん行くな!!危ない!!

 

 「かつて、余は自らの体を三つに分けた」

 「は?」

 「魔力と英知を兼ね備えた精神体を本体(ベース)とし、若さと力を分離させ凍れる時の秘宝で封印し……遊び心とお茶目さをホイミスライムとして分離させたのだ」

 オイマテ最後!!?

 

 「永かった…ようやく悲願が叶う」

 「おめでとうございます、大魔王様」

 

 ミストバーンから肉体が分離し(ミスト)は下がって行った。ホイみんと大魔王とその若々しい肉体は重なり合うように光に包まれ、そして…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

  真・大魔王バーン(♀)が降臨した。

 

 …………女ぁ??ってそんなことはどうでもいい!!

 

 「ホイみんを返せっ!!!」

 「余がホイみんだ」

 「バカな!!おれ達は生まれた時からホイみんと一緒だったんだぞ!」

 「そうだ、余はお前と共に有ったのだ。ホイみんとしてな」

 あまりのことに頭が追い付いて行かない。リアルメダパニを喰らった様だ。

 「お前の赤子の時のぷっくりとした丸っこい体はなかなかに愛らしかったぞ、そんなお前を魚のエサにして釣竿に括り付けるあたりお前の家族も大概バイオレンスだったな」

 「なんでソレを知ってる!!?」

 「他にもあるぞ。さそりばちに刺された尻の傷はまだ残ってるだろう。それからマッドオックスに引きずらせてぐったりしてた時にきりかぶこぞうに思いっきり股間を強打されてたな、あれはなかなか愉快だったぞ。そうそうあのラドンの巣で昼寝したことががる太との縁だったな」

 「もういい、わかった。黒歴史の開帳はそこまでにしよう。100歩譲ってお前がホイみんだということは認めよう。しかし、一体全体どういうことなんだ?説明してくれ」

 「前世の話になるが世界を破壊せんとした余の野望は獣王クロコダインと竜の騎士(ドラゴンのきし)の前に潰えた。その今際の際にこう思ったのだよ」

 

 「このような結末は認めぬッ!いつか再び相まみえようぞ!獣王!!」

 「お別れなんてイヤだよ…。ぜったいまた会おうね、クロコダイン…」

 

 「余の願いとホイみんの願いが奇しくも重なったようでな。手に付着していた最後の『神の涙』のカケラがその願いを酌んでくれたようなのだ。そして気が付いたとき、余は女として転生していたのだ」

 ん?前世がダイくんと闘った大魔王??ってことはこいつは時間逆行系のバーン様か!??

 「それではお前は大魔王バーンだったのか?」

 答えを聞くのが怖いが問わずにいられない。おれの知っているホイみんは虚像だったのだろうか?

 「是であると共にホイみんでもある」

 ますますわからない。

 「転生した際に互いの意識が融合したようなのでな。まぁ気にせずに今まで道理にホイみんと読んでくれて構わぬぞ」

 なんという超展開か、しかしそれならば見過ごせない事がある。

 

 「お前がホイみんだとしたらなぜこんなことをした!!?地上の侵略、いや破壊などと」

 「ん?余は侵略も破壊もしとらんぞ」

 おおよそ大魔王の言葉とは思えぬセリフが出てくる。

 「世界各地へ侵略の魔の手を伸ばしたろう?ロモス王国もおれに命じて攻めただろう?」

 「お前が踏みとどまって王宮以外無傷よな」

 しれっと返答する大魔王。余裕綽々である。

 

 「パプニカの件は?」

 「ヒュンケルが攻め入る前に裏から手を回して人間は避難させたぞ。あのネガティブイケメンは当時復讐心だけで突っ走ってたからな。先んじて手を回すのは少々手間取ったが、パプニカの神殿に被害が出ただけだろう」

 

 「ベンガーナ、オーザム、リンガイア、カールへは?」

 「各軍団長には指示を出した後待機命令を出したぞ。交戦は一切起きておらん」

 

 「…この戦争の被害者は?」

 「ない!」

 

 

 ガックリと力が抜けるのを感じる。しかし、騙されているんじゃないかと疑い、更に追求する。

 

 「パプニカの町も鬼岩城で壊れたろ」

 「あらかじめ挑戦状を送っといたから。世界首脳部が対処したはずだぞ」

 あの手際の良さはそれが原因か。

 

 「アバン先生は?」

 「生きてたじゃん」

 

 「バランは?」

 「勝手に殺すな。本人聞いたら怒るぞ」

 

 「ええと、ええと、犠牲者犠牲者…そうだ!フレイザードは?」

 「生き返ったよ、ってか生き返らせた。ちなみにテトリスで隣の部屋からメドローア撃ってたのも彼だ」

 「あ、ども~、いろいろあって生き返りました。いやー、大魔王様の命令とはいえ悪役(ヒール)はいろいろキツかったっす」

 ひょっこりと顔を出すフレイザード。

 (一人だけ外道キャラだったフレイザードまで…ッ)

 

 今度こそおれは膝から崩れ落ちた。

 

 

 「おれは…おれはこの地上が消えて無くなるんじゃないかと、みんなが消し飛んでしまうんじゃないかと思っていた。だから、力ではかなわぬまでも未来のために頑張ろうと必死だったのに…」

 涙があふれてくる。これが安堵感から来るのか虚脱感から来るのか失意なのかはわからない。

 

 「それがお前の原点(オリジン)だったな。大切な家族と友達の命を守るという素晴らしく崇高で悲壮な決意だったな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 まぁ全部無駄な杞憂で取り越し苦労だった訳だけどね」

 

 「ぐわああああーーーーーッ!!!」

 人生最大の衝撃にクロコダインは真っ白になった。

 「死んだ?」

 「まだ死んどらんわ!!」

 

 ぎりぎりで踏みとどまって気を取り直す。

 「まだ肝心な事に答えてないぞ!!なぜ魔王軍を結成した!!?」

 「こうでもしないとお前は「ダイの大冒険」のシナリオ道理にここまで来ないからな」

 (ダイの大冒険…シナリオって…まさか…)

 嫌な予感がよぎる。

 

 「この世界にジャンプがあるのは…?」

 「HUN○ER×HUNTERの続きが見たくてな、起業したのだ。初代社長と編集長は余だぞ。ネタは腐るほどあったから原作者はほぼ余であったよ、絵師を育てるのに苦労したがな」

 

 「竜の騎士が妙な特技を覚えてるのも」

 「5代くらい前だったかな?竜の騎士は呑み込みが早かったなー」

 

 「マジンガ様が居たのも」

 「ドラクエⅥは名作だったな。頑張って性能を再現したよ」

 

 「鬼岩城を量産して合体させたのも」

 「合体ロボってロマンだよねっ。いや~人類側が不公平だと思って『破邪の洞窟』に色々とアイテムをバラ撒いておいたらアバンあたりが有効活用すると思ったけど、まさか巨大ロボットの設計図を製作するとはね~。うれしい誤算だったわ」

 「ってことは『ミエールの眼鏡』もお前の仕業かあああ!!!」

 

 事ここに来てようやくおれも確信が持てた。

 「お前も…おれと同じッ!!」

 「そう余が原作知識を下に仕組んだのだ」

 荘厳な態度をかなぐり棄て不敵に嗤う大魔王。只のドヤ顔である。

 

 「お前が転生者だったからかあああああああああ!!!」

 

 「正確にはバーン(♂)→現代人→バーン(♀)だね。キミと同じく」

 「へ?」

 「キミは間違いなくボクの待ち望んだ獣王クロコダインさ」

 大魔王の一人称が変わり、声のトーンも高くなる。雰囲気が若干和らいだ気がした。

 「いや、おれはしがない元一般人の転生者だぞ?お前が知っている前世とやらのクロコダインとは別人のハズだが何を根拠に??」

 

 彼女は額の『第三の眼』を指して言った。 

 

 「魂が観えている。間違いなくキミはあの獣王クロコダインなのさ。ついさっき夢で教えてあげただろう?この世界に輪廻転生するのは定められた運命だったのだよ」

 「ほげえええええええ!!?あのおれTUEEE系オリ主ダインがおれの前々世ぇ!!?」

 「ま、ボクの方がだいぶ先に生まれ落ちたのでキミが現れるまでの暇つぶしに世界中で色々と仕込んでおいたけどね」

 

 「その結果世界をメチャクチャにしやがって!!」

 「そうでもないよ、これでも随分と世界平和に貢献してるつもりさ」

 さらりと切り返す大魔王。

 

 「荒れ果てた大地は?」

 「それ大部分がパパンのせいだと思うんだけどな。でもボクの超魔力でそーれこの通り」

 大魔王はパルプンテを唱えた。

 天空から流星が降り注いだ!

 大地は穴だらけになった。

 「ああああああああああああああっ!!!」

 「おっと間違えた」

 大魔王はパルプンテを唱えた。

 時間が逆戻りした!

 荒れ果てた大地が元に戻った。

 「ついでにアルキード王国も元に戻しといたよ」

 クロコダインはずっこけた。

 

 「気になってたけど…黒の結晶は?」

 「そんな物騒なもんハナっから作る訳ないでしょ」

 

 「魔界はどうなった?」

 「今じゃ人工太陽がさんさんと降り注ぐ楽園(ユートピア)だぞ、今度観光にくるかい?」

 「原作最大の環境問題を解決したってのかよ…。」 

 「現代知識チートでNAISEIしたからね。大丈夫だ問題ない」

 (一度失敗作の人工太陽を竜の巣に放り込んだけどね)

 

 「ヴェルザーはどうなった??」

 「オメガルーラで異次元に飛ばしたよ」

 「…………」

 「質問終わり?もう何も問題ないよね」

 

 

 「これは……これだけは言っておきたい」

 「ん?何だい??」

 「お前は世界の歪みだ!混乱と混沌をを生み出す権化だ!!」

 「あっはっは♪でもおかげでキミはここに来てくれた」

 「なんだとう!?」

 「決まってるじゃないか。大魔王として世を席巻すれば必ずキミはボクの前に立つだろうさ」

 さも当然と言わんばかりに胸を張り…。

 「そして、再開したのなら……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

   おヨメさんにしてくれるんでしょう」

 

 バーンのしなだれかるこうげき。

 クロコダインの時は止まった。

 

 「永かった…ようやく同じ時を歩めるわ。余の…いいえ、ボクの人生はここから始まるんだ。これでずうっと一緒だよ♪」

 

 事ここにきて俺は魂で理解できた。こいつは紛れもなくあの「ホイみん」なのだ。わがままで、いたずらが大好きで、気分屋で、いじわるで、そのくせ人一倍あまえんぼで、さみしがり屋の。

 そう思えばこれまでの大魔王の奇行も腑に落ちた。

 だから俺は…。

 

 「わかった。ずっと一緒に居よう」

 

 今の大魔王(ホイみん)を受け入れた。

 

 

 「ええ、死が二人を分かつまで。いいえ、死んでも(転生して)一緒よ」

 「あ、やっぱ早まったかも」

 

 「おめでとうございます大魔王様」

 「ようやく本懐が叶いましたな」

 「式の仲人はワシに任せてもらうぞい、キィ~~~ヒッヒ」

 「わーい、ケッコンだーケッコンだー。おっめでとー」

 「お喜び申し上げます大魔王様。うん、今日くらいはいくらでも囃し立てて良いからね、ピロロ」

 いつの間にか魔王軍の重鎮が祝辞を述べに出てきました。

 

 「ありがとうっみんな。ボクおヨメさんになりますっ♪」

 

 

 

 「これにてハッピーエンドだね」

 「いいのかなーこれで??」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「遂にたどり着いたぞっ!!」

 勇者ダイとその一行があらわれた。

 やべ、すっかり忘れてたわ。

 みんな小麦粉や卵まみれで頭にコブを作ってるメンバーもちらほら居ます。脚にトラばさみとか服にゲジゲジとか装備品に痛々しいアクセントが増えてますね。

 アフロヘア―のラーハルトが目に付きます。彼をハメる罠ってガチすぎるでしょう…。恐るべしキルトラップ。

 

 「よくもあんなエゲつない罠を仕掛けやがって…」

 「絶対に許さねえぇ…」

 ひええ皆さん殺気立ち過ぎィ。

 「おかしいな、キル(しない)トラップは解除したハズなのに…」

 首を傾げるキルバーン。

 「あ、再起動したのはボク♪」

 「何やらかしやがるか大魔王!!!?」

 「だってその方が面白いっしょ♪」

 「この性悪魔族がぁ!!!」

 

 「大獣魔王クロコダイン様!バーン様が腰痛で倒れた今、最早これまでです。貴方様の力をお示しください」

 こらおれの後ろに隠れて大魔王オーラを出すんじゃない。ああっすさまじい暗黒闘気がおれの後ろでっ!!

 

 「お前が黒幕だったのか!!大魔獣王!!!」

 ダイくんが剣を抜き放って吠えます。

 あちゃー、やっぱり勘違いされてる。

 

 「うおおおおおお!!!喰らえっ!!!おれの培った全ての力をっ!!!!」  

 

 ああ、いつものパターンだコレ。

 「こうなるように大魔王パワァーで誘導してたんだけどね」

 「魔力を盛大に無駄遣いすんじゃねーよ根源的邪悪生命体があああ!!!おのれホイみ”ん”ーーーーー!!!!」

 

 

 

 「100倍ギガストラーーーーーーッシュ!!!」

 

 

 

 「ぐああああーーーーーッ!!!」

 「ホイみっ♪」

 




犠牲者ゼロの完全無欠のハッピーエンド!!


Q.その後のおっさんはどうなったの?
A.美人でいたずら好きの女魔王と結婚して末永く幸せに「ホイみっ♪」されましたよ。



ご愛読ありがとうございましたアアアァァァァッ!!!!
終わりィッ!!!!!

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