ムリゲー開始
がちょんがちょん
おぼつかない足取りで
侵入するに至って真正面から突撃するのは下策。ブロックに頼んでガワを借りてスネーキング中という訳です。
もちろん土下座して頼み倒しましたよ。バレたら確実に死ぬでしょうしね。
「ぶろ~~~むぅ///」
脱衣(脱皮?)してもらう時にブロックがもじもじしてましたがなんじゃらホイ??普段ダイナミックなのに意外なところでシャイなんですかね彼?
「ホイみっ♪」
え?デリカシーが足りないって??悪かったな。こちとら単身で魔王城に乗り込むのにほかの事考えてる余裕がないの!
そうそう、お姉ちゃんズから「「しっかりと責任は取ってくださいね」」と念押しされたけど何のことやら??多分レンタル料でも取られるんですかね?
まあ、この完璧な変装はバレることはないだろう。はっはっは。
「ホイみっ♪」
「マキシマム様?」
「しっ!何も言うな、黙って見逃せとの命令だ」
「あれで偽装のつもりですかね??真っ二つに切れ目があるし、動作がぎこちなくて不信感を隠せてませんよ」
「しかし
「きっと我々には計り兼ねぬ思慮遠望があるのでしょう」
「ウム、相手は名にし負う獣王クロコダインであるからな」
「「何より尻尾が出てるしなぁ…」」
マキシマムのスキャンを使うまでもなく正体はバレバレだった。
パカッ
「ぬわーーーーーー!!」
「ホイみっ♪」
「「あ、落ちた」」
彼らの目の前で落とし穴に落ちたクロコダイン。
一体如何なる罠が待ち受けているのであろうか!!?
天を突きそびえ立つこの城を、人は『バーン城』と呼ぶ!今まさにこの城をめぐって壮絶なる戦いの火蓋が切って落とされようとしていた!!今日もまた獣王クロコダインを先頭に新たなる攻撃部隊が怒涛のように攻め込んできた!!獣王は打倒大魔王の熱き想いに燃えている!!新たなる勇士よ今日こそ「バーン城」を攻め落とせ!! (ナレーション キルバーン)
「た○し城じゃねーか!!」
落ちた先の
くっそ、無駄にいい声でナレしやがって。
もうバレてるなら仕方ない、とブロックスーツを脱ぎ捨てた所で大きな浮き輪のようなものを被せられました。
…ホイみんに。
「ホイみっ♪」
「ホイみんさん…何をしてるんですかねぇ??」
「やあやあ、ボクは案内役のピロロだよ。ここからは両腕を縛っての参加になるから頑張ってね」
だからなんでノリノリで進行してんのおおおお!!面白くなってきたって顔しやがってええええ!
「それじゃーいってみよーー!」
「ホイみっ♪」
「おー、じゃねえええええ!!!」
かくして、獣王は『バーン城』へ挑むのであった。
こんなこともあろうかと、一度は言ってみたいセリフですね。実はキルバーンの罠を想定してアバン先生に「ミエールの眼鏡」を借りていたのですよ。どんな仕掛けをしているのか知らないが、事前に察知して踏み込まなければいいだけの事。今回は楽できそうですね。
…そう思っていた頃がおれにもありました。
―――――一の門―――――
「ぐわああああーーーーーッ!!!天井から生卵がああああ!!!」
門を潜った直後に、上から奇襲を受けました。
更に全身ぐちょ濡れになった所で階段の段差が傾いて坂道になりました。
「滑るーーーー!!これ両腕なしで登れってかーー!!」
「ホイみっ♪」
「助けろーーー!!!」
―――――二の門―――――
非常口《安全》と書かれた扉ともう一つの扉《ドクロマーク》があります。どうやら二択のようですが…。
「その手に乗るか」
あの根性悪どもの考える仕掛けがマトモであるはずがない。なら《ドクロマーク》の方だ!!
腕が使えないので体ごと扉に体当たりをすると…。
ドボン
全身小麦粉まみれになりました。
「両方ともハズレじゃねーか!!」
「おっと、正解は扉の真ん中の壁をブチ破ってのショートカットでした。これには獣王も苦笑い」(byキルバーン)
「うっせー笑ってねーよ!!わかるかこんなの!!!」
―――――三の門―――――
天井の高い個室に閉じ込められました。
礼のBGMが流れてきます。
上を見上げるとそこには…。
「そこには元気な顔でテトリスブロックを落とすホイみんが」
「ホイみっ♪」
「ホイみんーーーーー!!?」
上からブロックが降ってくるんだが落下衝撃がおかしい。『ズドン!!』っていってからバウンドしないの。下敷きになったら死ぬわ。
ん?テトリス??なら一列揃えば消えるのか?
「そうだよ、列が揃ったらこうなるからね」
壁越しに放たれた
「巻き込まれたら死ぬわーーーー!!!」
なんとかブロックを踏み台にして上部の通路へ逃げ込みました。
―――――四の門―――――
今度は浮遊する足場の群れか。冷静にタイミングを見れば…。
「もたもたしてると、後ろの通路が崩れて埋もれるから早く飛んでね」
「この鬼畜どもがあああああああ!!!」
急いでジャンプして足場に乗り移ります。
「そうそう、足場の三分の一は着地すると沈むダミーだから気を付けてね」
「だから早く言えーーー!!」
落下した先に敷き詰められていたパン粉で粉まみれになりました。
み…「ミエールの眼鏡」が役に立たない。どういうこと?
「そりゃ隠された罠は見抜けても見えてる罠は見抜きようがないじゃないか」
「くそったれーーーーー!!!」
「ホイみっ♪」
「それにしてもこのワニ、ノリノリである」(ナレ)
「うるせぇ!チクショーがあああーーー!!!」
くそう。卵と小麦粉とパン粉か、猛烈に嫌な予感がするぞ。
「ホイみっ♪」
「わーい♪」
こら小悪魔ども、大釜で油を煮えたぎらせるんじゃない。揚げる気か。
―――――五の門―――――
どうやら揚げる気のようです。
次の通路への道に移動床と浮遊する縦回転のローラーが見えます。マリオのステージかよ。
その下には大釜に煮えたぎった油が見えます。殺意高くね?
ええい向こう岸まで跳び続ければいいんだろ。
「ホイみっ♪」
ホイみんによる放水攻撃!!
「ちょ、やめ、しゃれにならん、よせっ、やめ…ああっ~~~~~」
クロコダインは落下した。
「熱ィ!!熱く……ない、痛い痛い痛いーーなにコレ?しょわしょわするーーー!!」
大釜の淵から見渡すとホイみんとピロロがタンクから炭酸水をどばどばと注いでいました。ジンジャエールって書いてありますね。
「ほ”い”み”ん”ん”ん”ん”ーーーー!!?!!?」
「イェーイ、大成功ーーー!」
「ホイみっ♪」
《大成功》のカンバンを掲げドヤ顔のホイみん。
「ハイタッチすんな!子鬼どもがあああ!!」
「そこには元気な顔で泳ぎ回るワニさんの姿が!」(ナレ)
「やかましいっってーの!!」
もう許さん、こちとら悲壮な覚悟で臨んでるっつーのにおちょくりやがって。
ホイみんに掴みかかろうとしたところで…俺の体は何者かに拘束された。
「何っ?」
「ホイみっ?」
俺の体をひも状のようなものが這うように締め上げてきた。
「ぐええ、こいつは!?」
他のひも、いや触手がおれの腕の中へその魔手を伸ばさんとしている。おれは直感的に腕で庇ってホイみんを抱きしめた。
「ホイみっ!」
「ヤバイ!こいつの狙いはホイみんか!」
十重二十重に拘束され引きずられていく。
「うおおおああおーーー!」
「ホイみ~~っ」
魔力炉だっけ?餌にされてたまるか!!
「ああっ触手が!!触手が!!」
鎧の隙間から触手が侵入しようとしてくる。ホイみんを抱きかかえているのでおれに狙いを定めたらしい。
「おっさんと触手とか誰が得をするんだこんなシーン!!?」
声を大にして叫んだら触手が口の中に入ってきた。うわ、マズイ。
にゅっちょんぬっちょん
「イ”ヤ”アアアアアアアーーー気持ち悪いーーーー!!!誰か助けてーーー!!」
嫌悪感に悪寒が奔るがここでホイみんを手放すわけにはいかない。
頑固に身を固めるおれに対して触手は…くすぐり攻撃に切り替えたらしい。
こちょこちょこちょこちょこ~~ちょこちょ。
「おほぼぼぼぼべべべべべがぼぼぼぼぼっぼっぼぼぼ」
Q、鼻と口から触手をブチ込まれてる時にくすぐられるとどうなるでしょう?
A、ご覧の有様ですよ。
鏡を見たらアヘ顔よりも酷い醜態をさらしている事でしょう。
もっともこちとら苦しすぎてわが身を振り返っている余裕はないんですが。
「くっ、殺せーーー!!!フリじゃねーからな!!いっそ殺せーーーッ!殺してくれーーーーー!!!」
果たして捕らわれのおっさんはこの危機を乗り越えることができるのであろうか?
「ぐわああああーーーーーッ!!!」
「ホイみっ♪」
ちなみにこの状況は逐一
「メwシwウwマw」
「おかわりをどうぞ」
(五杯目…か)
初めて書いた小説で、初ネチョシーンがおっさんと触手って書き上げてから気づいた。
前世で何かやらかしたんだろうか…。