ピンクのおっさんとホイみっ♪   作:せーや lv71

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そろそろ広げた風呂敷を畳みに掛かります

おそらく今まで以上に更新が遅れますので気長にお待ちくださいませ




光の巨人!現る!! ぐわああああーーーーーッ!!!

 「グガアアオオンン!!」

 

 満身の雄たけびと共に黒い龍は歩を進めている。 

 彼の一息によって大地は一直線に融解して溶け出し、赤い線となって地の果てまで続いています。血の色の絨毯というか、まるで地獄への道ですね。

 湖は瞬く間に干からびて蒸気と化し、上空で乱雲となっています。降り始めた雨はまるで世界が哭いているようでした。

 

 「ホイみっ♪」

 「ピェ~~ン」

 ゴメちゃんがホイみんに泣きついてきました。皆が倒されて不安だったんでしょうね。スライム同士で感動の再開をしてます。相変わらず仲が良いね、キミら。

 

 戦士はことごとく倒れ伏し魔城は墜ち世界は火の海。どこから見ても大惨事である、なにがどうしてこうなったやら?

 「僕から説明します」

 あれ?ザムザくん?妖魔学士のザムザくんじゃないか?

 「ところでそちらの方は…??」

 「私は旅の学者「ミエール」と申します!」

 瞬時に例のメガネを装着した先生。アンタまだソレ持ってたんですか。まぁ、魔王軍には正体隠さないといけないか。

 

 「実は今回の一件、父に責任があるんです。何とか大魔宮(バーンパレス)の修理が終わりかろうじて飛行可能になった頃、父は超魔生物の研究に行き詰っていました」

 え?行き詰った?頭脳だけは悪魔的な冴えを見せるあの爺さんが?

 「研究自体は進んでいたのですが。想定したスペックを上回る生物がたくさん出てきまして……」

 みんなたくましく育ったもんなあ。向こうも身近にハドラーという成功例が居たからねぇ。

 「そこで気づいたのです。「あれ?生物って改造するよりレベルアップさせた方が強くなるんじゃね!?」と」

 まさかの改造研究全否定か。

 「改造など邪道ですよ。智と力は修練によってのみ培われるのです!」

 こんがり焼けた日焼け肌と力こぶをアピールするアバン先生。先生も染まったなあ、ハドラーといいライバル関係になれそう。

 

 「そこで以前驚異的な成長速度を見せたあのあばれざるに目を付けたのです」

 「大体オチがわかった」

 コントロールしようとして失敗したな。

 「その通りです。僕の額にある記憶装置をベースに改造した洗脳装置を取り付けたのですがあっさりと気で粉砕されてしまいまして…」

 「よくアイツに取り付けられたな」

 「眠り薬入りのバナナを大量に置いておきましたから」

 「あぁ…」

 しかしながら取り押さえようとしたハドラー様と親衛隊は全滅。巨大化し暴走したあばれざるによって大魔宮(バーンパレス)も墜とされました。

 「巨大化するんですか!!?」

 「先生は知りませんでしたっけね。強大な闘気を身に纏うと巨大化したかのように見えるんですよ。パパンのデカさもそれが原因です」

 「まるで大豪院○鬼みたいですね…」

 と、ザムザくんがボヤく。そういえばこの世界ジャンプあったね。

 

 「錯覚…いや、現に山が踏みつぶされ…あれ??」

 「先生、深く考えるとハゲますよ」

 世の中深追いしない方がいいことが多すぎる。おれが人生で学んだ教訓である。

 

 「その後駆けつけた勇者パーティーも蹴散らされてしまい…打つ手が無くなった所で…」

 「うちのパパンが現れた、と」

 そんで乱入&大惨事怪獣大決戦と。

 

 「ホイみっ♪ホイみっ♪」

 ホイみんが治療に廻ってますが、ここで体制を立て直すのは難しいだろう。

 いっそ逃げようかとも思うけど、世界が滅んだらどっちみちデッドエンドなんだよな。くそう人生に逃げ場がない。

 「うぅーん」

 ホイみんとアバン先生の治療で勇者一行が目を覚ましましたね。ぶっちゃけ早く非難しないと地上に穴が開いて巻き込まれかねん。

 

 「あなたは……一体…??」

 「私は旅の学士「仮面ミエール」と申します」

 アバン先生…さすがに身内相手には無理があるでしょう…。

 

 「仮面ミエール……」

 「一体何者なんだ……?」

 「でもどこか懐かしい感じがするわ」

 「ドコの誰だかは知らないが、感謝する」

 「済まない、恩に着る」

 「ありがとうございます」

 あるぇー?使徒の皆さん気づいてない?うっそでしょう!?

 

 「では、私はこの辺で失礼します」

 「待ってください」

 小声で立ち去ろうとするアバン先生を呼び止めます。

 「なんとなくわかりました。死ぬ気ですね、アバンさん」

 「皆さん素晴らしい成長を遂げていますね。彼らにとって最早私は過去の人のようです。今更名乗り出て無用な心配をさせるわけにはいきません」

 無用な心配って、まさか!

 「ここは私の命の使い所でしょう、教え子たちにあの時と同じ苦しみを味あわせるわけにはいけませんからね」 

 ええい原作のハドラー戦といいキルバーン戦といい、この人体を張りすぎなんだよ。自己犠牲精神ってのは尊いかもしれんが、周りの人間はたまったものじゃないんだぞ!

 

 

 「鍛えて得た力というのは誰かのために使うものだと思うのです」

 

 

 止めようとしたが言葉が出なかった。メガネ越しに有無を言わせぬ決意の顔をしてるんですもの。誰が止められるかと。

 

 「あとは頼みます、クロコダインさん」

 (若き頃『破邪の洞窟』で会得したこの『秘法』!!遂に使う時が来たのだ!)

 先生の顔が若干嬉しそうだったのは気のせいかな??

 

 アバン先生はメガネをはずし…。

 

 「え…」

 「まさか!?」

 「あの人はっ」

 「そんな」

 

 

 

 「でゅわ!!!」

 

 再び装着した。

 

 ズギュウウウウウウンン!!

 

 そこには光の巨人が胸を張って立っていた。

 赤を基調としたカラーリングに、西洋甲冑を思わせる肩パーツ。音楽室で量産されているカールのヘアースタイルにキラリと光る角突きのぐるぐるメガネ。

 

 

 

 

 「今の私はミエール…

 

        ウ ル ト ラ マ ン ミ エ ー ル です!」

 

 

 今ここに新たなヒーローが誕生した!!!

 

 

 

 

 ……アバン先生…染まったなあ。

 

 

 

 次の瞬間!地響きとともに大地が割れマグマが吹き上がり、裂けた地面から巨大な腕が伸びて出て来た。

 

 「あンのは虫類どもおおおお!!」

 あれー、あの腕どっかで見たような…?

 「よくも中途半端に寝ぼけているところをたたき起こしてくれたなあああ!!!完ッ全に目覚めた所で生き埋めにしやがってえ!ようやく出てこれたわあああ!!!」

 げぇ!『地獄の帝王』!!ってか這い出てくるのに10年かかったんかい!?

 「途中で昼寝したからなあああああ!!!」

 そんまま永眠してればよかったのに……。

 

 「ホギャアアアアオオオオ!!!」

 「ガアアオオオオオンンン!!!」

 「ぶああああああっ!!」

 

 ほら言わんこっちゃない。出てきた場所が丁度パパンとキングくんの中間だったため、後ろから復活したキングくんにド突かれ、正面からパパンに殴られてます。あ、クロスボンバーがモロに入った。

 っつーかパパンの放射熱線をまともに喰らってコゲ目で済んでるのか。パネェ。

 あ、キングくんのドロップキックでつんのめった処をパパンが尻尾でカチ上げた。見事なコンビネーションですね。

 

 「ホギャアアアオオオアアオオオオンン!!!!」

 

 あれ?よく見たら胸部と掌、そして顔以外の体毛が無くなっています。体毛は赤く変色し、頭髪が黒く染まっています。全身から噴き出る緑色の闘気がケタ違いに増大し、その奔流が天変地異を引き起こして絶え間ない地震と暴風が吹きすさんでいます。

 スーパーサ○ヤ人(猿?)4じゃねーか!!?コイツこのドタん場で更にパワーアップしたのか。

 

 「カカロットオオオオオオオ!!!!」

 

 変な言葉を覚えやがって。そんな人は居ません…居ないよね??居たら何とかしてくれませんか!?

 

 瞬間移動さながらの超スピードでクロコパパンの背後を取ったキングは剛腕を振り下ろして地に沈めます。その衝撃で巨大なクレーターが彼らを中心に形成され、外周の山々は5倍ほど隆起し、中心は穴の底が見えないほど抉られてしまいました。『地獄の帝王』も巻き込まれて穴に落ちました。お早いお帰りで。

 空を奔った衝撃波ががる太を吹き飛ばします。

 

 「がる太っ」

 「グアアッル!!」

 

 がる太パパが身を挺して衝撃波を庇ってくれたようです。親子はそのまま別方向へ避難していきました。

 『地獄の帝王』はついでに蹴とばされてました。

 

 なんか互いの闘気とか熱線とかで球体状の竜巻が起こって近づけないんですけど?

 あの中に割って入れます?アバンさん??

 「いつでも動けるように準備運動をしておきましょう」

 打つ手なしですね。わかります。

 

 キングが調子に乗ってパパンを殴りつけています。でかい木を引っこ抜いてパパンの口に押し込みましたね。世界樹かな?

 

 「グアアアツッ!!」

 パパンの口からビーム一閃。大木が一瞬で蒸発しました。

 「ホギャア!!?」

 キングくんの顔に初めて恐怖が浮かびます。

 

 

 「汝を敵と認めよう」

 

 

 クロコパパンの体が赤く発光し始めました。胸部を中心に赤い光が血管を添って奔って行き、背びれの白熱色も赤みを帯びました。射殺さんばかり覇気と共に眼が赤く燃えています。今までもケタ違いのエネルギーを放出していたのですがそれ以上の力を溜めこんでいるようです。

 

 「ぬんっ!」

 

 熱線の体内放射で近づいて来たキングを怯ませると、流れるようなコンビネーションで尻尾による追撃が入りました。

 

 チャージが完了したのでしょう。背びれが若干溶け出し、背部から光線のような衝撃波が扇状に広がり熱風と赤く輝く粉塵を飛散させます。パパンの背後はブレスで薙ぎ払ったかの如く爆炎で吹き飛ばされて行きました。そして周囲の温度が急激に上昇しあらゆる可燃物が自然発火を始めました。

 

 「ミエールバリアーー!!!」

 先生がとっさに周囲をバリアーで覆います。次の瞬間!!

 

 

 

 「グワアアアアアアアオオオオオオォォォォオッ!!!!!」

 

 

 

 怪獣王の口よりインフィニット・スパイラル熱線が放射されました。

 「ホギャーーーーーー!!!!」

 赤い螺旋状の超エネルギーはキングくんを飲み込み、辺りの地形ごと朱く染め上げます。大地が真っ二つに割断され、二大怪獣とおまけの帝王を地底深く飲み込んで行きました。

 

 「うわああああーーー!!」

 「ピィッピィ」

 「ホイみっ♪」

 「ひええ」

 「   」

 「ちょ、みんなおれにしがみ付かないで、ぐわあああーーーーッ!!!」

 

 熱線の余波で総ての雲が消し飛び、熱と衝撃波が全方向に撒き散らされて行きます。 

 

 「グワアアオオーーーーーン!!!」

 「ホギャアアアーーーーーオ!!!」

 「なんか扱いひどくね~~!??」

 

 地の底に呑まれていく怪獣たち。

 その恐ろしくも神々しい有様は、まるで地上の意志が荒ぶる神々を鎮めているかのようでした。

 

 「おう、クロコダイン!夕飯には帰るってママンに伝えといてくれグアッハッハッハ!!」

 …台無しだよパパン。

 

 

 先生のバリアーがなかったら全滅していたでしょう。

 先生の背後にあった大魔宮、そしておれ達とハドラーのパーティー以外はキレイに消滅し、赤く脈打つ巨大な亀裂とクレーター、地の果てまで続く荒野しか残っていませんでした。

 

 「あれが最後の怪獣王と思えないわ……このままインフレが進めば第二第三の怪獣王が現れるかも知れない…」

 マァムちゃん、流石にアレクラスはそうぽんぽん出現しないと思うよ。しないよね?

 

 「助けてくれてありがとうございました。ウルトラマンミエールさん」

 「礼を言う、ミエール!!」

 「誰だか知らないけどありがとうミエール!!」

 「あなたのおかげよ、ウルトラマンミエール!」

 「ピッピ~~ィ」

 みんなが口々に拍手喝采を上げる中…。

 

 「そういえば仮面ミエールさんはドコに行ったんだろう?」

 「へっ??」

 「そういえば、いつの間にかいなくなってるわね」

 「おおかた怖くなったんで逃げ出したんじゃねーの?」

 「むぅ…」

 ちょっとみなさん、今目の前で変身しましたよね。ワザとやってんの!?

 

 「……でゅわっ」

 あ、飛んで逃げた。素直に正体明かせばいいものを。

 

 「いやあ、素晴らしい人でしたね。仮面ミエールとウルトラマンミエールは」

 

 「「「「先生!!?」」」」

 結局出てくるんかい!!!??

 「ホイみっ♪」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「大魔宮(バーンパレス)は墜ち敵は浮足立っている。チャンスは今しかない」

 「ヒュンケル!!?」

 感動の再開が終わった後、全身傷だらけになりながらもヒュンケルが声を掛けてきました。

 「大魔宮(バーンパレス)は墜ち、敵も浮足立っている。大魔王を討つならば今を置いてほかにない!」

 こんな時に攻め手を考えるとか、HP1の状態で戦い抜いた食いしばり持ちは格が違った。

 

 「気持ちはわかるけど…」

 「そんなこと言ったってみんな傷ついているのよ…五体満足な人なんて……」

 

 ん~~なんだか視線を感じますね。あれ?みんなこっち見てない?

 

 「じ~~~~」

 「じ~~~~」

 「ぴぃ~~~」

 「じ~~~~」

 「じ~~~~」

 「じ~~~~」

 「じ~~~~」

 「ホイみ~♪」

 

 「え?おれ??」

 

 

 

 「「「「「「頼んだぞ!クロコダイン!!」」」」」」

 

 「ぐわああああーーーーーッ!!!無茶ブリぃ!!!」

 「ホイみっ♪」




 大魔王ソロ攻略はっじまるよ~~

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