ピンクのおっさんとホイみっ♪   作:せーや lv71

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なんで大魔宮(バーンパレス)すぐ落ちてしまうん?



先代獣王 起つ! ぐわああああーーーーーッ!!!

 「おきなさい、わたしのかわいいクロコダインや。」

 

 「うわあ」

 目の前に赤いワニがいた。あれ?既視感?

 「ホイみっ♪」

 うお、ホイみんおはよう。

 

 「あ、ホイみんと……ママン!?」

 フリル付のかわいいリボン。

 アップリケ付のエプロン。

 長いまつげ、あと手におたま。

 どう見てもウチのママンと……。

 

 「でゅわっ!」

 

 なんで居るの?アバンさん?

 

 「私は流れの武術家『ミエール仮面』です」

 …そっとしておこうか。事情があって世を忍ぶ仮の姿かも知れんし。

 

 「いやーやられたやれれた」

 「姉ちゃん?」

 ドアを蹴り破って薄紅色の蜥蜴人(リザードマン)が乱入してきました。家の姉です。

 所々生傷だらけですね。あの関節中毒者(サブミッション・パラノイア)にこうまで傷つけられる相手って誰やねん?

 「俺も居んぞ」

 「兄ちゃん?」

 姉より一回り大きい青色の蜥蜴人(リザードマン)がひょっこりと顔だけ出してきました。

 

 「よう起きたか愚弟。しっかしお前いい子を見つけてきたな」

 「ぶろ~~むぃ~~」

 地響きを立てて姉ちゃんが担いできたブロックを居間に放り投げた。完全にグロッキー状態ですね。所々凹んでるように見えるけど、何?喧嘩したの?

 「ホイみっ♪」

 あ、治った。

 「ぶろ~~~~~むっ♪」

 「ぐわああああーーーーーッ!!!お約束ぅ!!!」

 

 

 

 

 なんでも一週間ほど前に実家の近くにおれとブロックが降ってきたとのこと。

 飛んできたおれが兄ちゃんのお昼寝用のハンモックを吊るした木をなぎ倒し、倒壊した木が兄ちゃんの部屋の窓をブチ割ってメチャクチャになったのだとか。

 逆上した兄ちゃんがおれを素材にしたぼろ雑巾を作成してる処に目を覚ましたブロックが兄ちゃんを敵と勘違いして強襲し、そのまま夕日が沈むまで殴り合い(マモノミュケーション)したんだとか。その後、アバン先生から仲裁されてママンの手料理で仲直りしたらしいです。

 

 「素直でいい子だよなー。物覚えも早いし、どこぞの愚弟とは大違いだぜ」

 「ほっとけ」

 「ホイみっ♪」

 「ブロック君は実に素晴らしい素質を持っていましてね、アバン流牙殺法を1日でマスターした時は驚きましたよ」

 さらっと凄いこと言ってません?アバン先生??

 「ぶろ~~~~~むっ♪」

 あ、すごい自慢げ。

 「アタシも地獄の九ヶ所封じは仕込んだぞ」

 オィ

 「俺も陣内流柔術と破傀拳と陸奥圓明流は教えておいたぞ」

 過剰戦力ぅ!!

 「ぶろ~~~~~むっ♪」

 凄いでしょって?うんわかるわかる。達成感と誉められてるのが純粋に嬉しいんだね。分かったから鉄菱で脇腹押すのはヤメテぇ!!

 

 「さて、愚弟よ」

 「ひょ?」

 「ボロクソになって飛んできたってことは不覚を取ったって事だろ。鍛え直しちゃる」

 「ちょ、ま」

 「丁度グリズリーの巣に子供が生まれたばっかなんだ。全身にハチミツ塗ってお祝いしてきなさい」

 可愛がられる(物理)わけですね。わかります。

 「ぐわああああーーーーーっ!!!」

 「ホイみっ♪」

 

 

 

 あれからもみくちゃにされましたが、夕飯時に解放されました。みんな怪我人相手に無茶するなあ。

 所でそろそろ気になってることを聞きましょう。アバンさんなぜここに?

 身の上を明かして聞き込みをしました。

 デルムリン島でフローラ様から授かった『メガンテの腕輪』×5を使い、『破邪の秘宝』による増幅メガンテをハドラーに叩き込んだものの自身も吹き飛ばされてここまで飛んできたとか。素で生き残ったんですか先生。

 ベンガーナ南部の山岳部なんですが…ここまで飛ばされたの?

 それからママンに拾われて実力不足を悟って修行を積みつつ今に至る、と。

 

 「本来なら『破邪の洞窟』で修行をしたかったのですが、洞窟が10年ほど前に崩れてしまって使えなくなったためにお姉さんとお兄さん相手に修行を積んでいたのです」

 うん、ごめん。それおれ達兄妹のせい。

 

 10年ほど前に『破邪の洞窟』に迷い込んだホイみんを探して潜ったおれ達兄妹が洞窟を潰してしまったんだよね。

 兄と姉の「めんどくさい」の一言によって階段を無視して地下をブチ破って下降した為、地盤が弱体化。

 更に最下層で遭遇した『地獄の帝王』と大乱闘スマッシュブラザーズをかました結果洞窟が崩落。

 いやあ『地獄の帝王』は強敵でしたね。

 おれ?『地獄の帝王』のおデコの上でぐーすか寝てたホイみんを回収して逃げ出しましたよ。

 昔っから死にかけてるなあ、おれ。

 

 アバン先生は現在程よく日焼けして健康的になってますね。

 「私に足りなかったのはフィジカルでした。これならハドラーにも負けませんよはっはっは」

 自信満々ですがいや、あのマチョラー相手じゃ力不足じゃないかなー?

 

 「これでパパが居れば家族勢揃いね」

 そういやパパンが居ないね。どこか行ったの?

 「それがね、三日前に急に出て行っちゃったのよ。嬉しそうな顔をして「久しぶりに暴れられそうだ」って言ってたわ。若いわねえ」

 

 がちゃん

 

 食器を乱暴に置き、踵を返して外に出ます。後ろでママンの声が「食べてから行きなさい。お行儀が悪いわよー」聞こえますがそれどころじゃありません。

 視界の端で兄と姉が真っ青になっているのが見えました。現実から目を逸らしてたな。無理もない、俺だって行きたくないけどそうも言ってられない。

 

 「がる太っ!!!」

 「クアアアッ!!」

 

 がる太に掴まって飛び立ちます。ブロックもスカート部に脚部を収納してジェット噴射で追って来ました。そんな機能あったの?

 少し遅れてアバン先生が飛翔呪文(トベルーラ)で追い付いてきました。

 「何事ですか?クロコダインさん?」

 「事情は飛びながら説明します。急がないと、もし父が本気で暴れたら世界が焼き尽くされます」

 「そんな大げさな…」

 うん、知らなければそう思うよね、でもおれは知ってるんだ。

 「アルキード王国を知っていますか?」

 「ええ、12年前に消滅した国でしたね。それがどうかしたのですか?」

 

 

 

 「大陸ごと国を消し飛ばしたのは父です」

 

 

 

 アバン先生が言葉を失いましたね。

 アルキード王国に竜の騎士(ドラゴンの騎士)が居ると噂を聞きつけたパパンが「強い奴に会いに行くぞ」とおれ達兄妹を引きずってお出かけしたのが12年前。バランに喧嘩を吹っ掛けて大陸ひとつを海に沈めるほどのボコスカウォーズをやらかすだけやらかした後、「久々にすっきりした」と言って一人で帰って行きました。あのバトルジャンキーめ。おれ達兄妹?巻き添えを食らって死にかけましたが何か?

 「ホイみっ♪」

 そうそう、あの時もホイみんのおかげで命拾いしたのよね。

 ともかくパパンが闘争の臭いを察知して動き出したのなら世界がいくらあっても足りないだろう。くそう、どうしておれの人生はいつもオールオアナッシングなんだ。

 急がないと…世界が滅びる前にっ!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 数分後。

 この辺りは……テラン王国の東、ギルドメイン山脈あたりでしょうか。

 眼前から火の手が上がっていますね。辺り一面はひどい有様です。

 

 焼け落ちて墜落した大魔宮(バーンパレス)

 消火活動に勤しむ、魔物達と量産型のオリハルコンの戦士達。

 マキシマムの指揮の下迅速な消火活動と避難誘導がなされています。

 クレーターの中で倒れ伏す勇者達。

 同じく倒れたまま動かないハドラーと特選隊の面々。

 まるで地獄絵図だ。やっぱりこうなってたか。

 

 「ぶろおおお~~~~~む!!」

 ブロックが仲間の下へ駆け寄ります。危ないからみんなを抱えて避難しなさいよ。

 

 

 「グワアアアアツッッ!!!」

 がる太の3倍はあろうかという巨大な怪鳥が目の前を横切りました。

 「あれはっ!!?」

 「がる太のパパですよ」

 パパンは遠出をするときはがる太パパに乗せてもらってます。がる太は親の臭いを察知して追跡してくれたという訳です。

 

 「羽毛ではなく皮翼……あれは鳥類というより昔図鑑で見た翼竜…プテラノドンでは……」

 なにやら先生がブツブツ言ってますがよく聞こえませんね。それより先生、あんまり先行すると危ないですよ。

 「カアアアアッッッ!!!」

 がる太パパのトサカが赤くスパークし口から灼熱の炎(ウラニウム熱線)が噴出されました。

 その熱線の矛先は……。

 

 「ホギャーーーーーオォ!!」

 「アイツも居たのか…」

 

 あばれざるのキングくんでした。

 体長が100m近くに巨大化してます。頭髪が腰から下まで伸びていて、全身から噴き出るオーラが緑色になってスパークしています。これ知ってる。SS3ブ○リーや。

 

 「ガアアアアアアアオオオオオオォォォォォォツッッッ!!!」

 

 そして雄たけびと共にキングくんを体当たりで叩きのめす黒い影。

 いや、影ではない。その山のような体躯が黒い色をしているのだ。

 その黒いボディが()()発光し始めました。背びれの輪郭が浮き上がり青い稲妻がほとばしります。大きく開かれた口内に光が収束していきました。

 

 「あれは……もしや伝説のチェレンコフ光!??」

 「先生、危ないです!!下がってください!!!」

 

 その巨体が青い放射熱線を吐き出します。爆風でがる太が大きく揺れました。もはや息というよりビームと言うべきそれはキングを巻き込んで山を3つ爆発させ彼をダウンさせます。

 

 「か…怪獣??」

 もうもうと焚き上がる粉塵を総て吹き飛ばし、彼はその全貌を現しました。

 

 殺気に満ちたギラついた目。

 大人の背丈ほどもありそうな巨大な牙。

 (うね)のあるゴツゴツとした黒い皮膚。

 筋骨隆々とした両腕と鋭い爪。

 背部から尾にかけての大きな白く発光する背びれ。

 肉厚の2本の大腿とさらに大きい尻尾。

 

 

 

 

 「はい、あれが父です。先代獣王にして生態系の頂点!

 

      敬意と畏怖を込めて皆はこう呼びます。

 

 

 

 

       怪 獣 王 ク ロ コ パ パ ン と」

 

 

 

 

 

 

 「グガアアアアアアオオオオオオォォォォォォツッッッ!!!」

 

 




 
 この御方には勝てない(断言)

 ゴ○ラ×ラ○ン×キ○グコング世紀の決戦!
 決着が着く前に世界がはちゃめちゃで押しつぶされそうですね。

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