転生したら無限の龍神。 あれ?もしかして俺って最強?   作:lerum

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無限の龍神 小さく、すばしっこい、あの黒い奴!

 巨大な国。その頂点に立つには、何かしらの力が必要になってくると思う。例えば、武力。知力。財力。権力。純粋なカリスマ。などなど、様々なものがあるが、あのウシガエルの劣化版のような国王がそれを持っていたとは、到底思えない。

 ならば、人質。これは、協力者がいないと無理だと思われる。国そのものを敵に回した国王に、黙って従うものなどいないだろうから、これは共犯者の存在が不可欠だ。それも、かなり力の大きな。だが、これならば国王を暗殺してしまえばいい。

 国王が魔道具を身に着けていた可能性。実は、記憶を弄った際に不可解な魔道具を持っていたため、ついでに壊してしまったのだが、もし仮に、それが防御系の魔道具であったのであれば、手応えからして、並大抵の人物では太刀打ちできなかっただろう。

 

 では、そんな魔道具を国王に持たせ、国を支配させることができ、尚且つ得する人物は誰か。この世界において、幻想とされているほどの強力な魔道具を渡せる時点で、だいぶ絞ることが出来るが、それだけでは不十分だ。

 更に、その人物が女を献上させ、贅沢の限りを尽くしている。という情報があればどうか。なるほど、己の力に酔っている異世界転生系、外道転生者がよくやっている行動に思えてくる。

 

 長々と考察をしてみたが、つまりあの国の裏には、この世界に転生してきた人物、それも悪役系の人物がいるであろうことが考えられる。これは、あくまで予想、想像の範疇を超えるものではないが、結構な確率で当たっているのではないだろうか。

 

 仮に、その人物がいるとして話を進めよう。

 まず、俺が今回行ったことは国王の記憶消去。

 つまり、その人物の操り人形を壊してしまったわけだ。ご丁寧に、渡されていた護身ようの魔道具を壊して、だ。当然、俺は目をつけられてしまっただろう。ならば、自分の体のいい傀儡を壊した俺に復讐なりなんなりをしてくるかもしれない。

 

 しかし、だ。仮にも転生者であるならば、”公式チート”たる俺を知らないことはないと思うのだ。自惚れではなく、客観的な事実として。であるならば、俺に直接関与してくることは避けるだろう。一応、国を裏から操るだけの頭脳があるのだ。勝てない相手に、正面から戦いを挑むほど愚かではあるまい。

 

 だが、俺を放っておくわけにはいかないはずなのだ。また邪魔されでもしたら困る。それ以前に、黒幕の存在に気が付いた俺が、それを暴露する。もしくは、自ら討伐に向かう。そんなことにでもなってしまえば、黒幕としては一巻の終わりだ。

 だからこそ、俺を早めに始末する必要がある。

 どうやって? 正面からでは勝てない。だが、消す必要がある。俺の周りには、そこまで強くない人物が二人いる。

 そう、人質だ。追い詰められ、冷静さを欠いた相手ならば、そういう単純な手段に打って出るだろう。

 実際、その手段はとてつもなく有効的だ。俺は、二人を盾にされてしまえば戦えない。しかし、四六時中護衛として張り付いているわけにもいかない。

 

 であるならば、解決方法は一つ。俺がいなくても、相手を返り討ちに出来るだけの力があればいい。そして、この街には『ダンジョン』というおあつらえ向きな場所があるのだ。つまり――

 

「と、いうわけで。二人とも頑張れよ。最低でも、レベルが120になるまでは上げてもらうから」

 

 すると、顔を真っ青にして逃げ回っているアイラ達が悲鳴にも似た怒声を上げる。

 

「ふざけんじゃないわよッッ!! 私たちの性別忘れたのッ!? 私まだ死にたくない!」

 

「キャアアアァァ!! 危ないですぅッ!! 死んじゃいますよッ! 助けてください師匠!!」

 

 いつになく、錯乱しているようだ。気持ちは分かるが、聞くことは出来ないのだ。

 そもそも、どうしてこうなったのか。それは、先程行き着いた結論が問題だ。二人が危険。ならば、返り討ちにできるくらい強くなればいいじゃない! ということだ。

 それを簡単に実現する方法が、パワーレベリング。上級者の手を借りて、自分よりも格上の魔物を狩ることで、経験値を簡単に集めちゃおう作戦だ。

 

 今回、それを行うために、俺達はダンジョンの80階層に来ているのだが。ダンジョンの最大到達階数は30階層前後だったはずだろうって? 残念、それはこの世界での基準だ。

 まあ、だからといってそんなに簡単に80階層にこれるのか、と言われると首を傾げざるを得ない。

 なにせ、ダンジョンはゲーム時代から割と鬼畜なのだ。最下層を100層として、レベル300から徐々に下がっていくのが一般的なダンジョンだ。ここもその例と同じ構成なのだが、80階層ともなると、レベル250くらいは余裕であったりする。プレイヤーの最高レベルが150なのを考えると、かなりスキルや装備がガチのプレイヤー達が、頑張ってようやく攻略できるレベルだったりする。

 

 では、何故アイラ達は悲鳴を上げながら逃げ回るだけで済んでいるのか。それは、俺が渡した指輪型の魔道具が原因だ。効果としては、全ての物理、魔法ダメージが一定量以下の場合無効化する、というものだ。魔道具として破格の性能であるそれを、アイラ達は身に着けているので、ダメージを喰らうことは無いはずなのだが。

 アイラ達が悲鳴を上げて逃げ回る原因。それは、単純。魔物の姿が、真っ当な乙女であれば、大抵の人が嫌悪する生物の姿に酷似しているのだ。そう、それは()()()だ。()()()()()()()()()()()()()()()を度々比喩で例えられる、あの()()()だ。何とは言わない。俺も嫌いなのだ。

 

 何で、わざわざこの黒い奴を狩っているのかといえば、得られる経験値が馬鹿みたいに高いのだ。ド〇〇エでいうところのメタルスライムだ。

 その巨大な黒い奴が、大群をなして迫りくる。アイラ達は、魔道具があることも忘れ、必死に逃げ回っている。攻撃用の魔道具も渡しているのだが、それどころではないようだ。

 

「「イヤァァァァッ!!」」

 

「いい加減、攻撃したらどうなんだ……?」

 

 割と、急がなくてはいけない案件にもかかわらず、前途多難なようだ。

 




この作品と並行して投稿している作品の主人公が、若干混ざった気がしなくもない。

異世界もので、黒い奴がいるのは定番だと思う。

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