「シャアを派遣する許可をくれっ!」
怒鳴るドズルに俺は冷静に頭を回す、少しの混乱はあるが、それよりも現状を考えることが今は楽しい。
死亡フラグがバリバリ立ってはいるがそれもどうにかしてやろう。
まさかアニメの世界に来てしまうとはな。
ギレンの知識も頭に入って来ている、だがギレンよ、戦争に対する見積もりが甘すぎるし、戦後お前は大犯罪人だぞ。
勝てば官軍か。そうか。
「ドズルよ、一つ聞こう。V作戦にMS部隊を派遣するということは鹵獲または破壊を考えているのか?」
ギレンの脳は素晴らしいな。
話をしながらも、いろいろな事を考えられる。
このV作戦に対する調査派遣においては原作知識からいうと重大な事は三つか、
一つは派遣する部隊の指揮官がザビ家に復讐を誓う、シャアということ。
一つは派遣するMSがコロニーを襲い主人公アムロレイをMSに乗せその才能の片鱗を見せてしまうこと。
一つはホワイトベース隊を倒しても連邦に対してダメージは入らないこと。
本命はジャブローで量産されているジムだ。
しかし原作ギレンはきっと少しでもなんかあればいいな程度で派遣を許可したんだろなぁ。
ドズルもうるさいし。
まぁ結局それが後々の敗北に繋がるんだが。
もう少し考える時間が欲しかったものだ。
「鹵獲……そうだ! 当然だろう! 奪取できなくても破壊、そして敵の能力を探らなければならんのだ! 連邦のMSは脅威になる可能性があるっ! 兄貴だってグフやドムといったMSの生産を進めていただろう!」
「そうか。シャアの派遣の許可は出すが、目的は敵MSではない、情報だ。 もし近隣コロニーで実験をしていたとしてもMSでの強襲を禁じる。もう一度言うぞドズル、技術情報を奪取しろ、戦闘は避けろ、これは総統命令だ、徹底させるのだ。良いな」
「どういうことだっ! 兄貴!」
まぁこれだけでは当然納得しないか。
これからのギレンの方向性が変わる事をやんわりとドズルに伝えておかなければな。
「よいか、ドズル。これは連邦の囮だ。ジャブローのモグラどもがこうやすやすと宇宙に大事な大事な新兵器を持ってくると思うのか? その思惑にやすやすと乗ってやる必要はない。可能であるならば連邦の操縦ソフトが欲しいものだが、期待はできまい。あとシャアには新兵の暴走は指揮官の責任になると伝えておくのだ、以上だドズル」
「兄貴っ! 例えそうでもここで臆してはならんぞっ! …………」
それから問答をいくらか繰り返し、臆したとは思われないように何度も説得しながらドズルに作戦目的を念には念を入れて伝えた後に通信を切った。
グフか、あれは欠陥兵器だ。
射撃戦が出来なさすぎる。
ドムは良いと思うが、結局ビーム兵器がないからな、目隠しビームやらあのバズーカでガンダリウム合金を破壊できるものか。
そもそも、モビルスーツならエネルギーCAPを用いたビーム兵器搭載のザクとエース専用機があれば良い。
多様なMSなど兵站の負担、数を減らし徹底的に強化するべきだ。
ギレンは多様性によるMS技術の防諜、発展なんかを考えていたようだがクソ食らえだな。
あれ……連邦はまんまジムとエース専用機(ガンダム)という兵站脳、ソフトを含めた操縦系も統一されてるじゃないか。
ボールとかコスト低いくせにザク倒せるらしいしチート、これは負けるわ。
なんで国力のある連邦では規格統一されてて、国力のない方がされてないんだよっ! おかしいだろお前勝つ気ないだろ。
あっはい。国力ないからですね、短期決戦でしたもんね、わかりません。
ではあとはパイロットの技量で勝負だ。
宇宙に適応した新人類、ニュータイプに関する技術の進歩を進め、ニュータイプを確固としたものにしなければ。
そういえばこの世界の人間はテレパシーは置いといてみんな宇宙に上がっても筋力の衰えがかなり少ないニュータイプなのよね……。
まぁ話を戻してパイロットの技量もいずれは連邦軍に負けるだろう。
V作戦によるデータ収集で操縦ソフトのアップデートがどんどんされていく、もしアムロがガンダムに乗らないことになったってあまり関係はない。
それにそもそものニュータイプ技術も連邦だって一部の有能な人物がニュータイプに気づいたり強化人間とか作ったりとかし始めるだろう。
結局ジオンはこの戦争を勝つことはできないのだろうか。
そもそも勝利条件はなんだ?
スペースノイドの自治独立か……これを間違えてはいけないだろう。実際ギレンは優良種による支配とかと間違えたが。
そういえば、ニュータイプで思い出したがラプラスの箱があったな。
あれで連邦の求心力は激減するが、あれはジョーカーだし、ジオン連邦双方に混乱を撒き散らす。
まだ早い、触れずにおこう。
あとはやはり家族仲か、キシリアと仲が良くなればあとは自然と良くなると思うが……キシリアと仲を良くしたいものだ。
本当に紫バ……おっと。
そんなあっちこっちに思考が飛びながら
とりあえずは秘書のセシリアを呼んだ