コードギアス 皇国の再興   作:俺だよ俺

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第07話 ロシア帝国開戦

EUとワルシャワ条約機構は対枢軸の為に協力関係を築き上げ、ポーランド共和国の救援のためにバルト三国及びスカンジナビア連合王国より援軍が派遣された。ナチスドイツ軍はポーランド共和国、オーストリア連邦へ侵攻した上にEUの宣戦布告によってデンマーク王国、フランス共和国に包囲される事となった。同盟国イタリアはユーゴスラビア王国へ侵攻し、ルーマニア王国は後背のワルシャワ条約機構を警戒しオーストリアの背後を突くほどの戦力を用意できずオーストリア連邦へ侵攻したナチスドイツ軍のポーランド共和国・オーストリア連邦侵攻は失敗するかに見えた。

 

 だが、ナチスドイツはブリタニアのKMF技術を吸収し独自の人型機動兵器を開発していたMA(メタルアーマー)を実戦に投入した。MAはブリタニアより供与された第三世代機以下の技術を元に開発された為にランドスピナーを装備していなかったが、ナチスドイツはM.A.F.F.U.(マッフ)と呼ばれる追加飛行ユニットを開発し、開発競争においてブリタニアの一歩先へ行くことに成功したのだ。

 

ポーランド共和国及びオーストリア連邦へは車輪状の電子索敵ユニットを包むような胴体で構成されたドラウと呼ばれるMAが投入された。

ポーランド共和国及びオーストリア連邦を僅か1ヵ月に制圧したナチスドイツ軍は勢いに乗りバルト三国、ウクライナ、ベラルーシ、スカンジナビア、デンマーク、フランス、オランダ、ベルギー、ルクセンブルクへと襲い掛かった。

これに深刻な警戒感を抱いたワルシャワ条約機構が正式にEU側と同盟関係を結び参戦。

 

「旧来の兵器しか持たんワルシャワ連合・EUなど恐るるに足らん。だが、敵が多すぎるのも事実。とは言えブリタニアに借りを多く作りたくはない。数はまだそろっておらんがゲバイを投入しろ。それとグルッフ重工業にはダインの量産体制を早く整わせるように指示するのだ。」

「ハイル!ヒトラー!」

 

これに対しヒトラーは大型の頭部に内蔵された電子兵装と50mmハンドレールガンを装備したゲバイの投入を指示。もう一基の指揮官用量産機ダインのロールアウトを急がせた。

 

ポーランド・オーストリアへ侵攻したナチスドイツはバルト三国軍、ウクライナ軍、ベラルーシ軍を一蹴しブリヤビチ川・ドネプル川まで押し込まれロシア帝国軍のカチューシャ軍団が到着するまで一方的にやられるだけであった。そして、この多連装ロケット砲弾も消費が激しく長期的にできる戦法ではない。また、東方に集中配備したカチューシャ隊をヨーロッパ戦線に引き抜いたために、東方の守りが薄くなってしまっていたのだ。これが後日、ブリタニアのチュクチ侵攻へとつながるのである。

 

一方でイタリア軍もアルバニア王国を陥落させ、ユーロブリタニアと名を変えた軍事顧問団の協力を得てギリシャへと侵攻を開始、同時にルーマニア軍とブルガリア軍と協力して3ヵ国でユーゴスラビア王国へと侵攻を開始した。また、この時ロシア・フランスの参戦要請を受けたトルコ共和国は枢軸同盟に宣戦を布告したがブリタニアのKMFに返り討ちに遭いマルマラ海、イスタンブールを越えられ首都アンカラに迫られるほどであった。

 

そして、フランスではベルギー・オランダまで延長したマジノ線で必死の抵抗を続けているが、スランシスコ・フランコ率いるスペイン軍がピレネーを越える動きを見せEU崩壊の影が見え始めていた。

 

以降EUとワルシャワ条約機構はブリタニアのKMFとナチスドイツのMAに対抗できる兵器が登場するまで一方的な暴力にさらされることになるのであった。

 

 

波に乗る枢軸連合はアフリカまでその戦域を広げ始める。まず、イタリア及びユーロブリタニア軍がリビアから侵攻を開始、その数日後には小規模ながらドイツアフリカ軍団が編成されこれに加わった。

 

また、イラクではファシストのクーデターが発生しアブドラー・フセインが政権を奪取。フセインは中華連邦を離脱し枢軸同盟への参加を希望。それが受け入れられるとフランス領シリアへと侵攻を開始したのである。これにサウジアラビア王国を中心とするアラブ諸国やイランが危機感を覚え中華連邦へ対処を求めたが無視され、それが中華連邦本国に対する不信感へとつながるのであった。中華連邦としてもブリタニアやナチスドイツの拡大を抑えたかったが喉元に迫ったエリア11と言う存在が優先された結果でもあった。

 

 

 

 

皇歴2016年1月28日

ブリタニア軍ベーリング海を越えてチュクチ・カムチャッカに侵攻を開始する。

日本皇国軍は日露相互安全保障条約に基づき第一航空機動艦隊を、ロシア帝国海軍も空母アドミラル・クズネツォフを旗艦とした極東艦隊を派遣したが、ベーリング海峡の厚い氷に阻まれてカムチャッカ半島近海までしか展開できなかった。一応ベーリング海海戦は日露連合艦隊が勝利している。しかし、凍り付いたチュコト海やベーリング海峡は氷の厚さからして寒冷地仕様のKMFにとってはもはや地面も一緒であった。

氷の上を疾走するブリタニアのKMFに対して日露同盟軍は空母艦載機や基地航空隊による氷砕爆撃を行ってはいたが、対するブリタニアもアラスカ平野部に建設した航空基地から多数の航空機を出して日露同盟軍の航空隊に攻撃を仕掛けた為にブリタニアKMFのベーリング海峡越えを防ぎきることは出来なかった。

ブリタニアの上陸を許したチュコト管区では沿岸に唯一のKMF対抗兵器多連装ロケット砲車カチューシャとその後継兵器グラート・ウラガン・スメーチさらには対KMF重誘導弾を装備した特技兵を投入し上陸を阻んだもののこれらの兵器を欧州戦線に引き抜いたことは極東戦線の戦力低下を招き当初予定していたミサイル攻撃による圧殺が出来ないと言う事態を招いてしまったのであった。

ただし、ブリタニアの上陸したこの地域はチュコト・コリャーク・カムチャッカさらその奥のハバロフスク地域やサハ地域も多くの山脈や丘陵地帯ばかりでありこれらの天然の要害を利用した防衛戦術でブリタニアの侵攻を何とか抑えることは出来たのであった。

また、ブリタニアのロシア侵攻の遅れはもう一つあった。カムチャッカ半島での日本製新兵器の存在である。

北海道政権日本皇国軍試作第三.五世代KMF 15式雷電。これは極東事変より前。ブリタニアと日本の関係が良好だった時、皇国海軍開発局が独自ルートでダミー企業を中継しアシュフォード財団より民間用KMFの先駆けとして先行販売していた民生用のガニメデを購入し、それを研究開発したものであった。しかし、民生品であったこともありランドスピナーこそついていたものの武装は完全に皇国海軍で用意したものでありスラッシュハーケンは模造品の試作であり、機関砲や無反動砲も試作品や陸軍兵器の巨大化であった。そして、もう一つも15式自走砲戦車。両肩の大口径砲と両前腕部の4連装機関砲、機体下部に対人用の3連装機銃をもち、無限軌道化された下半身を持つ戦車と人型兵器の中間とも呼べる代物であった。

 

カムチャッカ半島には千葉州作陸軍少将率いる64機からなる15式雷電とその支援に16両の15式自走砲重戦車の新鋭の装甲騎大隊が派遣されていた。

 

「諸君、この雷電を見せつけることはブリタニアに対して圧力をかけることが出来る。だが、雷電はまだ試作段階を越えておらず敵のグラスゴーには劣る。よって、我々の任務は敵の多くをこのカムチャッカに引きつけロシア軍を援護することにある。万が一にもロシア軍がここで敗れればブリタニアに新たなサクラダイトを中心とする多くの資源を渡すことになる。これだけは避けねばならない。諸君らの健闘に期待する!」

 

 

15式自走砲重戦車、通称15式砲戦車は極東事変の頃からKMFに対する戦法として確立しつつある射程外からの火砲等の攻撃による圧殺と言う考えを体現したものであり、敵の射程外から敵の小集団の中央に砲弾を落として敵の損害を増やすことに専念させられた。

一方で15式雷電の方であるが三.五世代の名の通りブリタニアのグラスゴーにはまだ追い付いていない。だが、自国以外の国がKMFの開発に成功した事実はブリタニアの動揺を誘うには充分であった。

また、これを率いる千葉州作陸軍少将も下手に前に出ることはせず。ロシア軍と連携しカムチャッカの丘陵地帯で防戦に徹していた。

 

結果としてロシアとブリタニアの戦いは大まかにはチュコト地域のアナディリ川を境界に膠着している。ブリタニアもKMFを投入し万全を期し上陸し足掛かりの確保には成功した。対する日露連合軍も現状で最大の戦力で迎え撃った。上陸され一部地域の占領を許すこととなったがコルマイ丘陵東部及びコリャーク丘陵に防衛線を構築し何とか持ちこたえることに成功したのだ。どちらにとっても物足りない結果となり小競り合いは2017年に入っても続いている。

 


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