コードギアス 皇国の再興   作:俺だよ俺

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第58話 嵐の前

天子とそれを支える2人の忠臣黎星刻と馬駒辺の両翼を持ってして、中華連邦は新体制へと移行を開始した。

黎星刻と馬駒辺は大宦官派の排除を断行。

また、東南アジアを中心に連邦加盟国の自治権拡大を容認。

ロシアや日本と言った反枢軸国と同盟を結んだ。その際、過剰に兵力を送っていた日露は派遣戦力を縮小した。また、黒の騎士団の扱いは正式に国家と承認したのは中華連邦と一部に留まったが、日本やロシアと言った他の反枢軸諸国は黒の騎士団を正式に交戦団体として承認した。以前は各国それぞれの判断で義勇兵や民兵として見ていたが、この度の承認を持って交戦団体として承認され、体裁としては反ブリタニアの交戦団体とされているがナチスやイタリアなどの枢軸国全般と交戦しており、交戦団体として考えても多くの面で国家に準ずる扱いを受けている。

ブリタニアの反乱軍としての扱いとなったのはゼロの正体を鑑みれば偶然とはいえ運命的なものであった。

 

 

 

 

皇歴2018年10月09日 中華連邦 洛陽 朱禁城

 

表の学生としてのルルーシュの維持の為に、ルルーシュはゼロとしての自分をC.C.に任せて一時オーストリアへ戻った。ゼロや黒の騎士団が大きくかかわるような物事で重要なものが無かったと言う事もあったからである。しかし、黒の騎士団が関わらない大きな事案や関わる些事はあった。

 

例えば・・・

 

中華連邦本国清王朝の天子蒋麗華と救国の英雄黎星刻の挙式の準備が上は粛々と、下は賑やかに始まった。

 

「随分と立ち直りが早いな。」

 

朱禁城に向かう公用車の窓から見える。洛陽の民たちが瓦礫を片付けつつ商店や家々の軒先に赤い吊るし飾りや福をひっくり返した到福紋や喜を二つ並べたマーク双喜紋が飾られている。それぞれ福が来る、喜びが二つ重なるという意味の縁起の良い紋様だ。

この国につい先日まで横行した大宦官の専横に苦しんでいた民が、1日でこうも晴れやかな表情をしている。民の切り替えの早さはこの国の良い点であるともいえる。

 

「連邦の腐敗の温床たる大宦官が根こそぎ取り払われたんだ。首都は清流の空気が流れるさ。」

「首都は・・・ですか。」

 

インドの独立承認と軍事同盟締結のために向かう。ジャワハラール・ネルー元インド軍区行政長官であり、現インド首相。

 

 

洛陽の沿道の賑わいに桃や瓢箪の初枝が飾られているが、洛陽を離れ地方の方を見れば軍閥が群雄割拠している。日本が支持した馬駒辺元丞相率いる南洋軍閥、当初より天子を支持した黎星刻の国民党、東南アジア諸国が支援した蔡岳率いる雲南軍閥は南洋軍閥と国民党に解体され吸収された。また、ロシアが支援した毛沢西率いる共産党はそのまま勢力を維持したそうだ。閻山錫の山西軍閥は中立路線。主にブリタニアの影響を受けた大宦官を支持した袁凱世率いる北洋軍閥はシュナイゼルを保護している。また、勢力維持に努めた回族の馬家軍閥は大宦官派から国民派へ手のひらを返した。この混乱に乗じて独立を狙うウイグル族やチワン族、さらに半独立状態のチベット族。指導者のダライ・ランマはチベット王国の再興を目指しインド軍区と手を組んでいる。

 

北洋軍閥は撤退し損ねたブリタニアのシュナイゼル皇子とラウンズを匿っている。

反枢軸派とは言え日露や東南アジアがそれぞれ支援したため若干の距離感があり、建前上纏まっているが何がきっかけで暴走するか予測できない不安要素でもあった。

 

正に中華情勢複雑怪奇であった。

 

そんな情勢で、天子と黎星刻の挙式を敢行するのは民たちの不安を逸らす意味合いもあった。たまには良い出来事が必要だろう。中華連邦はただでさえ凶事続きだったのだから・・・。

 

インド軍区の独立は認めてもらえ、後は形式的な式典を待つばかり・・・。それ故の余裕でこれからの天子様の中華連邦本国のこれからについて心配する余裕が出来たと言うものだ。

 

純粋無垢ゆえの平和路線、私利私欲に走らない立派な為政者。

天子蒋麗華と救国の英雄黎星刻に幸あらんことをと思うネルーであった。

 

 

そしてオーストリアのアシュフォード学園でキューピッドの日なるカップル成立イベントが行われ、ルルーシュ(篠崎咲世子の変装)がエキセントリックな動きで生徒たち相手にかなりマジな鬼ごっこをし、学生として在籍しているラウンズのアーニャがKMFまで持ち出す等。かなりぶっ飛んだイベントをしている頃。

 

 

 

 

皇歴2018年10月09日 首都ペンドラゴン 王宮のサロン

 

「穏やかじゃないね。中華連邦に宣戦布告なんて・・・。皇帝陛下がそうおっしゃたのかい。」

 

穏健なオデュセウスの言葉に反して他の親族の言葉は辛辣であった。

 

「はい、全て奪い取れと・・・。」

 

ナイト・オブ・ワン、ビスマルクはシャルルの意志を伝えた。

 

「あたし賛成、中華連邦なんてやつけちゃおうよ。」

『そうだよ。おじいさまのティターンズで一捻りさ。アズラエルだって協力してくれるって言ってたもの。』

 

カリーヌの言葉に賛意を示すキャスタール。

キャスタールはパラックスと並んでゴールドコーストの太平洋大総督府からの通信映像で出席している。また、シュナイゼルも混乱中の中華連邦の支持軍閥の領空から通信機を使って参加している。アヴァロンからの通信の為に画像はかなり荒れている。

 

「オデュセウス兄さまを辱めたのは許せませんわね。」

「シュナイゼル兄さんもいつまでも中華連邦領内にいる訳にはいかないでしょ。」

「それは、大丈夫よ。ナチスが本格的にインド侵攻する手はずが整ったそうよ。ナチスには頑張ってもらってシュナイゼルをお迎えに行ってもらうつもりよ。ナチスのハインドリッツ長官もそうしてくれるって言ってたわ。」

 

カリーヌの心配にギネヴィアは大丈夫と答えた。

 

「天子とのことは気にしてないから、それにエリア11との和平案もあるし、キャスタールもそんなに過激なことを言わなくてもいいだろう。オセアニア総督にはナナリーが就任してるのだし・・・。」

 

『兄さん、太平洋大総督は僕だよ。ナナリーはお飾りどうでもいいでしょ。』

「そうよ、ナナリーなんてどうでもいいじゃない。」

 

オデュセウスの言葉に反対意見を述べるカリーヌとキャスタール。

 

「兄上、第三帝国の動きは予定通りの事ですよ。中華連邦の事は暫しかの国に任せても良いのでは?それにインド侵攻が進めば、シュナイゼルの居る北洋軍閥の領域と接続するでしょう。」

 

『そうだね。ギネヴィア姉さんの言う通りだ。だけど、私は新疆や西蔵地方まで後退して、ウイグルやチベットの独立を抑えつつ第三帝国の接続を待つつもりだよ。西康や青海・・・欲を言えば甘粛あたりで北洋軍閥を前面に押し出して中華連邦やそれに連なる者たちを抑え込みたいと考えている。第三帝国との接続に合わせて中東やアラブの我が軍から兵力を抽出して侵攻するれば、それなりの領土は奪えるだろう。』

 

 

 

 

皇歴2018年10月09日 中華連邦某所 ギアス嚮団施設

 

施設の入り口の警備兵が何者かに倒され侵入を許した。

 

その頃、施設の地下ではバトレー・アプリリウスが自らの行いに恐怖していた。

「その仮説が確かなら・・・我々は史上最悪の犯罪に・・・。」

「バトレー様、逃げましょう・・・。ジェレミアの調整は済んでいますし・・・。」

 

付き合いの長い部下たちもバトレー同様に恐怖していた。今すぐにでも逃げようとしていた。

 

「しかしそれは・・・国を捨てると言う・・・。」

「動くな・・・バトレーか。」

 

動くなの一声と背中に付きつけられた銃に一瞬ヒヤリとしたバトレーであったが、声の主にはすぐ気が付いた。

 

「その声、コーネリア皇女殿下!?」

「どうしてここにいる。」

 

弟クロヴィスの忠臣である彼にコーネリアは剣呑な声色はそのままに僅かな驚きを抱きつつ問いただす。

 

「よ、よかった!お助けください!皇帝陛下に召し出されここに来たのですが・・・。」

「父上が!?」

「このままでは世界は滅びの道を・・・。」

 

バトレーたちはコーネリアに知っているすべてを話し逃げようとしていた。

 

 

 

 

 

オーストリアのアシュフォード学園ではミレイの立案イベントキューピッドの日が終わり。暴動と勘違いしてきた警察の困惑の中、ルルーシュとシャーリーの関係に少々動きがあった様だ。余談であるがミレイ・アシュフォードは後日テレビのお天気お姉さんとして報道の世界へと飛び込んで行った。

 

 

そして、アシュフォード学園と言う裏舞台でも外の戦争に関わるような動きがある。

ギアスキャンセラーを持ちそれを行使したジェレミアであった。

ギアスキャンセラーによって記憶を取り戻すシャーリー・フェネット。父親の仇を思い出した彼女はこの後どうなってしまうのであろうか。

 

 

 

 


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