コードギアス 皇国の再興   作:俺だよ俺

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第56話 決意

皇歴2018年9月25日午前中 中華連邦台湾軍区台北総合病院特別貴賓室

 

ゼロは病院の貴賓室に通される。警備の兵をギアスで遠くにやるとゼロは溥儀の居る病室の扉を開ける。

齢100近い老人は全身に管を付けながらも辛うじて上体を起こす。

 

「君が、ゼロか。この老人に会いに来るとは箔付けにしても、もっと良い相手がいたのではないかな。」

 

テレビもなく調度品もほとんどない広いだけの清潔な部屋であった。カーテンが閉められ電気の光が目についた。

皇帝としての威厳も感じられず。人生の最期を待つ老人の姿があった。

だが、ルルーシュは彼に言葉を掛ける。

 

「先帝陛下、貴方はなぜここにいる。」

「・・・・・・。」

 

ルルーシュの言葉に彼は何も答えない。

 

「大宦官が専横を極め、他国にいいようにされ民が傷つく今の国を見てどう思う。」

 

テレビ無くもカーテンも開けない。すべてを諦めた老人には厳しい言葉であった。

 

「後は、若いものに任せる。自力で箸すら持てぬ老人に何ができるというのじゃ。」

「貴方は皇帝としての責務を果たすべきだ。」

 

「責務・・・か。朕にはもうその気力もないよ。貴殿の思いは解るが儂は退いた身、今更・・・。」

 

溥儀はルルーシュの失礼な物言いを咎めずに穏便に話を終わらせようとした。

その時、ゼロの仮面が開きギアスを発動させる。

 

「貴様のすべきことを果たせ!」

 

「朕のすべきこと・・・。今の朕の役目・・・。」

 

彼は硬直し動かなかった。

(失敗!?なぜ!?まさか、彼は自身の今の実権においてもう何もすべきことがない隠居として認識しているのか!?しまった!?)

 

「っち、失敗した。こいつは生きながらにして死んでいる。二人とも帰るぞ・・・時間を無駄にした。」

 

ルルーシュたちは帰っていき、溥儀だけが取り残された。

 

「朕のすべきこと、儂のすべきこと・・・。」

 

 

 

皇歴2018年9月25日午後 中華連邦

 

溥儀はギアスの効力の影響で自分のすべきことについて思いをはせていた。

久しく開けていないカーテンを開けさせたり、テレビを持ち込ませてそれを見たりしていた。

そんなテレビに自身の孫娘の姿を見ると、彼は急に寂しさをを覚えた。

 

その時、丁度ゼロの来訪を聞いた馬駒辺が来た。

 

溥儀は馬駒辺に言う。

 

「孫に、孫娘の麗華に会いたい。」

 

 

 

皇歴2018年9月28日 洛陽

 

馬駒辺は溥儀の強い要望に押されて、先帝溥儀と天子の面会時間のセッティングを行った。

必死に天子との面会を望む溥儀に、先帝の忠臣であった彼は溥儀の願いに折れ面会を取り付けた。

天子の挙式を控えた日時であったが天子の唯一の血縁者である彼の言葉を無視できず、大宦官たちも許可を出した。

大宦官たちも許可を出した。

 

車椅子で押された姿で溥儀は洛陽の朱禁城に入った。

流石に先帝と天子の希望では大宦官も同行できず、水入らずの時間を過ごすため個室で飲茶をしながら穏やかな時間を過ごした。

 

しばらく時間が経つと、天子はぽつりぽつりと本心を語り出す。

 

自分が望まぬ政略結婚を迫られていること。

自身は心真に想う人がいると言う事を・・・。

 

ぽたぽたと涙を流し、彼の膝の上ですすり泣く天子を見た彼はただ優しく天子の髪を枯れ枝のように細い手で撫で続けた。

 

 

天子が泣きつかれて寝てしまうと、彼は宮中の使用人に天子を床に連れて行くように言うと馬駒辺に車椅子を押してもらい朱禁城を後にした。

 

そして、洛陽を出る車の中から朱禁城を強い視線で見つめ続けた。

 

「ゼロ・・・儂のすべきことが今、解ったぞ。」

 

馬駒辺は溥儀の声を聴き、聞き返した。

 

「陛下、どうかなさいましたか?」

「馬駒辺よ。貴公は今でも朕の丞相か。」

 

「っは、もちろんでございます。」

 

溥儀は決意を秘めた目を向けて馬駒辺に言う。

 

「10年前にやり損ったことを為さねばならん。馬駒辺、朕の剣となれ。」

「っははぁ!!」

 

 

 

 


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