コードギアス 皇国の再興 作:俺だよ俺
『新総督は明日予定通りに、このエリア25に赴任されます。新しい総督の名前や経歴は依然伏せられたままで・・・。』
ニュースの映像が流れる。
皇歴2018年9月10日 中華連邦本国首都 洛陽
皇室外交の一環で日本皇国の天皇である皇神楽耶とロシア社会主義帝国リュミドラ・ニコラエヴナ・ロマノフ女王は中華連邦本国、つまり清王朝の天子である蒋麗華と席を設けていた。
「エリア25の情勢は?」
大宦官の1人である趙皓は現在枢軸と敵対している日本とロシアの二人の皇女に尋ねる。
「さぁ、詳しい事は私も・・・。」
「ウラジミールは、厄介な過激派が赴任して面倒だと・・・。」
大高に目を掛けられている神楽耶はとぼけて見せたが、リュミドラは神楽耶ほど政治や外交に敏感なわけではないので話してしまう。
「外の様子はどうなっているのですか。私はここから出たことが無いので・・・。」
「えっとですね。ウラジミールは色々教えてくれましたよ。ロシアは永らく凍土に閉ざされた無資源国扱いだったのですがヨーロッパ側には天然ガスのパイプラインがあって欧州の国々に輸送していたこともあったんですよ。それで、最近はシベリアにサクラダイト鉱山があって中華連邦にも輸出しているんですよ。で、えっとそれでですね!最大の小麦輸出国でパンやケーキが一杯食べれるんです。私はパイを焼くのが得意なんですよ!ただ、私は果物をそのままパイにするよりはジャムを使いたいですね。あっちの方が甘くておいしいんですの。この前もウラジミールたちに焼いてあげたらそれは美味しい美味しいと・・・。」
同年代の女の子と話す機会に恵まれなかったリュミドラは信じられない程に饒舌で天子に話しかけまくっていた。神楽耶とも話す彼女だが精神年齢がリュミドラの先を行く神楽耶との会話では畏まってしまう事が多い彼女としては精神年齢が近いと言うか同じ依存体質の天子とは話が合うようであった。
「リュミドラ様、お国のお話はとても興味深いですが・・・。」
天子には外の話を聞かせたくない趙皓はリュミドラの話を遮り天子の方に向き直る。
「天子様、ここ洛陽が朱禁城が世界の中心ですよ。」
「でも・・・。」
趙皓に話を遮られた天子は残念そうにすると神楽耶は話しかける。
「では、私が外を見てまいります。」
「えっ?」
「今日はお暇を告げに来ましたの。」
「「えっ!?」」
天子とリュミドラは心底驚いたような顔をする。
神楽耶とリュミドラは一緒に外交の工程をこなしているはずなのに、お前はなぜ自分のスケジュールを忘れているんだと思ったが顔には全く出していない。
ちなみにリュミドラはプーシン大統領に依存し過ぎておりプーシンもリュミドラを甘やかしており、プーチン大統領とリュミドラ女王が訪日した際にリュミドラのウラジミール離れをさせると変な気を起こした神楽耶と一緒に外遊中である。ちなみに心配するプーシンを説得したのは大高である。
「そんな、せっかく初めてお友達が出来たのに・・・。」
「もうしわけありません。あまり、こちらに長く居すぎるのも次の方々にご迷惑を掛けてしまうので・・・。」
神楽耶たちは東南アジア各国や南洋諸国、東方エルサレム共和国と行先は多く多忙であった。
皇歴2018年9月11日 太平洋 エリア08ミクロネシア上空
エリア25オセアニアの中華連邦領事館を訪れたスザクたちはゼロたち黒の騎士団がすでにKMFごと領事館にいないことを知る。
アプソン率いる護衛航空艦隊は日本皇国の占領下にあるハワイ諸島を避け、エリア08ポリネシアを経由してオセアニアへ向かった。旭日艦隊、高杉艦隊、坂本艦隊が守るハワイを避けた結果でもあった。今やパプワニューギニア以北は日本の影響下、インド洋海戦の傷は既に癒えた日本艦隊は日本本土に再建した紅玉艦隊、インドネシアの租借地に東郷艦隊と亡命オランダ艦隊、ミクロネシア秘密要塞に紺碧艦隊が配され、新設された蒼玉艦隊も東京湾で出撃命令を待っている状態で、太平洋の半分は日本の海となっていた。
日本軍の勢力圏を避ける選択は間違いではなかったが、それは逆を言えば黒の騎士団に対しては警戒が薄めであると言う事でもあった。
予想通りと言うべきか予定調和とでも言うべきか。新総督を乗せたアプソン大将の護衛艦隊は黒の騎士団の奇襲を受けていた。
すでに旗艦へゼロの侵入を許しており、護衛の航空戦力や艦船の大半が藤堂らの黒の騎士団に壊滅させられていた。
艦上で暴れまわっていた藤堂、千葉、仙波、朝比奈らに対して銃撃を仕掛ける存在が現れる。
「オーストラリアからの援軍!?いや、早すぎる。」
千葉の言葉に藤堂がそれはたぶん違うと続ける。
「いや、方角からしては後ろ備え・・・それにフロートユニットを装備した機体・・・、それにあの機体は・・・。」
カレンもその期待を確認するが、驚きで声がこわばる。
「ナイトメア!?そんな!あ、あの機体はっ・・・」
「さあ、幕を下ろそう。」
新型機であるヴィンセントに乗ったギルフォードだった。
そして…
「ギルフォード卿、我々がエリア08の哨戒中で都合が良かったですな!」
「うむ、協力感謝する!ブラン少佐!敵は手練れ、油断はしないでくれ。」
「あぁ、もちろんですよ。このアッシマーに相応しい相手だ。」
浮遊航空艦アヴァロンに追従するガルダ級超大型空中輸送機スードリ。
「スードリのウッダー大尉より攻撃を開始するとのことです。」
スードリからの通信内容をロイドに報告するセシルはスードリから出撃する機体に視線を移す。
ド・ダイ系のサブフライトシステムに乗るサザーランド・クゥエルとマラサイ。そして円盤のような独特の形状のMA(メタルアーマー)アッシマー。ティターンズの独自機体だ。
「今だ!紅月君!」
「はい!」
藤堂とカレンは連携して改良型グロースターを撃墜し、朝比奈や千葉らもサザーランド・クゥエルやマラサイを撃破して行く。
「ほぉ、練度は高いようだな。ぬぅ・・・!?」
黒の騎士団の無頼が放ったバズーカがブランのアッシマーに直撃する。
「散弾ではなぁ!!」
「うわぁああああああ!?」
ブランの反撃で周りの僚機ごと逆に撃墜される。
さらに、カレンの前にいた無頼がスラッシュハーケンで撃破される。
その方向を見ると新手の新型機が2機。
トリスタンとモルドレッドを駆るジノ・ヴァインベルグとアーニャ・アールストレイムであった。
さらに、アーニャのモルドレッドは操舵を失い旗艦にぶつかりかけていた艦を砲撃を持って一撃で葬った。
「レーダーに航空機多数!サザーランド大将の連合艦隊所属のスピアヘッド戦闘機群です!」
「このままでは、私の功績が・・・!!」
アプソンは無謀にも自ら対空射撃を行おうとしたが、藤堂に返り討ちに会って戦死する。
その頃、ゼロことルルーシュは新総督として赴任した妹ナナリーと邂逅する。
ギルフォードにブランら、そしてナイトオブラウンズと防衛側に強敵が加わり、エリア08の駐留軍や後続のサザーランド大将の連合艦隊、オセアニアのティターンズが集結しつつあって黒の騎士団は不利になっていく。
そんな中で卜部に続き仙波もジノのトリスタンに倒され戦死し、藤堂もギルフォードに苦戦し始める。
さらに艦上では・・・
「俺の目から逃げられるかぁ!」
「っく!こいつっ!」
ブランのアッシマーとカレンの紅蓮弐式が激闘を繰り広げていた。
さらに、アヴァロンからスザクの乗るランスロットが発艦し、カレンの紅蓮を艦上から落とすと他の黒の騎士団も次々と落とされていく。
カレンの機体が落下する先に騎士団の潜水艦が浮上しているのが見え、ラクシャータからの通信が入り新兵器飛翔滑走翼を射出され見事にドッキングする紅蓮弐式。
『続けて、徹甲砲撃右腕部!』
さらにドッキングを成功させた紅蓮弐式は右腕を天高く掲げ、輻射波動が放たれる。
ギルフォードのヴィンセントを撃破し、サザーランド・クゥエルや周囲のスピアヘッドやファイティングファルコンと言った戦闘機を消滅させた。
「ぐぉおお!?」
輻射波動の余波を受けてぐらつくブランのアッシマーを海に叩きつけて、アーニャのモルドレッドを踏みつけ、獅子奮迅の戦いぶりを見せつけるカレンと紅蓮弐式。
そして、沈みゆくナナリーを乗せたログレス級浮遊航空艦ではゼロの正体を知らないナナリーはルルーシュではなくスザクの手を取り・・・。
撤退する黒の騎士団、その後から来援するサザーランド大将率いる太平洋大総督府連合艦隊。
「ナナリー新総督の身柄を確保せよ。」
サザーランド大将はナナリーの身柄を確保し、ラウンズやティターンズを引き連れてオーストラリアへ凱旋した。