コードギアス 皇国の再興   作:俺だよ俺

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第52話 オセアニアへ

 

皇歴2018年9月初旬 枢軸連共同統治領ブリタニア管轄区 エリア25シドニー

 

オセアニアの主導権を望んだイタリアの総督府であったがこの場に記す必要がないほど当たり前のように出し抜かれ、結局ティターンズが主導を握ったのであった。

 

ジャミトフは自身の孫の皇位継承に取り組んでいた。

彼は手札となりそうな戦力を搔き集められる搔き集めた。

ティターンズ本隊、太平洋大総督としての正規軍への影響力、オセアニアの枢軸諸国を纏めるイニシアチブ。そして、エクステンデット達・・・。

さらには、ナイト・オブ・ラウンズの枢木スザクやジノ・ヴァインベルグ、アーニャ・アールストレイムを本国の皇帝シャルルとの利害の一致もあってか呼び寄せることに成功した。

黒の騎士団、日本皇国とそれに与する国々を叩き潰すための手札がジャミトフの下にはあった。

 

シドニー・オペラハウスを貸し切って催された大総督府開府式典では、大総督に就任したキャスタールとその庇護者たるジャミトフの挨拶があり、キャスタール皇子とパラックス皇子の中核戦力たるティターンズの総司令官バスク・オム中将の演説が打たれた。

 

 

「・・・省みろ!!今回の事件は太平洋地域の静謐を夢想した、一部の楽観論者が招いたのだ!黒の騎士団や北海道軍の決起などはその具体例一例にすぎぬ。また三日前、イタリア管轄区でのテロは見るまでも無く、我々は様々な敵に晒されているのだ!生ぬるい融和政策などは捨て去りブリタニアに真の力を再びこの手に取り戻すため!ティターンズは立つのだ!」

 

バスク・オム大佐が演台で演説するのを尻目にジャミトフは参列者席に座っていた。

 

「姫殿下、我が孫の為に・・・否エリア25の安寧のために足を運んでくれて感謝する。」

「このグリンダ騎士団創設にあたって多大な出資していただきました御恩。微力ではありますが無辜の民の為にも使って行きたく思います。」

 

「うむ、儂もグリンダ騎士団には期待している。」

「はい、心得ておきます。中華連邦での任が終わり次第駆け付けさせていただきますわ。」

 

「陛下のお役立ての為にも、研鑽を積むことだな。」

「はい、心得ておきます。」

 

ジャミトフに挨拶をする、うら若き少女マリーベル・メル・ブリタニア。

第八十八皇女マリーベル・メル・ブリタニア、対テロリスト部隊グリンダ騎士団の騎士団長である。対テロリストと言う方向性はティターンズと共通する部分もあり、ジャミトフやアズラエルから援助を受ける機会が多かった。

今回はティターンズの所信表明演説の式典が終了後中華連邦の威海衛へ向かう手はずに成っている。大宦官の専横から始まる国体の崩壊は諸外国からすでに看破され、大宦官から繋がるブリタニアやナチス第三帝国、社会主義者派閥から介入を狙うロシア社会主義帝国、連邦加盟国を切り崩している日本皇国と中華連邦を政治的に取り込む争いは多数派の大宦官派と繋がるブリタニアが一歩リードしていた。

ちなみにロシアは帝国社会主義者の多い紅巾党と連邦加盟社会主義国、日本皇国は王室外交の賜である天子派や先帝派と連邦加盟国王室との協力体制が出来ていた。

ブリタニアは浮遊航空艦グランベリーを有する対テロ遊撃機甲部隊グリンダ騎士団を護衛に付け神聖ブリタニア帝国宰相シュナイゼル・エル・ブリタニアを大宦官との密談のテーブルに着け、これは一方でブリタニアと第三帝国が主導する中東・インド軍事的緊張がカザフスタン侵攻を開始したことにより予断を許さぬ段階に入ったことと。第一皇子オデュッセウスの穏健発言もあって決定されたことであったが、これがなれば世界の過半を支配することとなり世界のパワーバランスにチェックメイトを掛ける最大の一手となるのだ。

蛇足だがオセアニアの式典にはシュナイゼルも出席している。

 

 

皇歴2018年9月上旬 ブリタニア本国 アクタイオン・インダストリアル社

 

「いや~!ようやっと!君をこちらに呼び寄せること出来たよ!君の持っている核融合技術は我が社も大変興味があってね!あ!シュナイゼル皇子の様な大業な物を作れとは言ってないよ!もう少し簡便なものをだね。作ってくれればいいんだよ。」

 

両手を広げて歓迎するアズラエルに招かれた少女、ニーナ・アインシュタインは一歩引いて怯えているような仕草をする。

 

「君、我が社の兵器は・・・黒の騎士団とかのテロリストを倒すための兵器を作っているんだ。コーネリア皇女やユーフェミア皇女の無念を晴らすためにも、前線に強力な兵器を配備することが必要なんだよ。」

「ユーフェミア様・・・!」

 

アズラエルはニーナの両肩を掴んで言い聞かせる。

ニーナもユーフェミア皇女のワードに強く反応した。

 

「やってくれるかな?」

「はい!」

 

「よし!では、ロスアラモスの研究施設で研究を進めてくれたまえ。」

 

 

 

 

皇歴2018年9月8日 神聖ブリタニア帝国 カリフォルニア基地

 

「クロヴィス皇子、コーネリア皇女、ユーフェミア皇女を害し、エリア11やエリア10の独立の立役者であるゼロが復活宣言を出して、オセアニア総督のカレナス総督を亡き者にしたのだ。仮に本物でないとしても侮りすぎだろう。ギルフォード卿も邪険にして・・・視野が狭いな。」

 

空軍区画の浮遊航空艦、ログレス級浮遊航空艦を眺めつつ。太平洋大管区の連合艦隊司令であり、前任のダグルイス・マッカード陸軍元帥の退役により太平洋戦域司令長官に就任したウィリアム・サザーランド海軍大将は馬鹿にするように口にした。

 

「視野が狭いのは同意ですね。しかし、第一艦隊の提督を解任され彼も後がないですからね。我々と同行して成功させても功績としては薄いですから。」

 

副官の男は諫めつつも同意した。

 

「ジャミトフ閣下もアズラエル理事も新しい総督については大して気にしていないから、問題ないが・・・アプソン大将は随分焦っているな。どの道尻拭いをさせられそうだ・・・準備が整い次第、我々も出向くとしよう。」

「わかりました。」

 

サザーランドの艦隊は、先の戦いで壊滅したキンメルの東太平洋管轄第5艦隊を再建、それを自身の中央太平洋管轄の第6艦隊に吸収し、さらに洋上でインド洋に退避していたモルガン提督の西太平洋第7艦隊と合流する手はずになっており万全を期した布陣でオセアニアに向かう予定であった。

 

 


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