コードギアス 皇国の再興 作:俺だよ俺
欧州を手中に収めたナチス第三帝国は欧州に取り残された残存EU軍を蹴散らし、ロシア帝国が守るウラル山脈の要塞群を圧迫しつつあった。ナチス第三帝国と一進一退の攻防を繰り広げていた。
神聖ブリタニア帝国はユーロ・ブリタニアの件もあり基本欧州から撤退したがブリタニアが管轄する西アジアでは攻勢を強めアラビア統一戦線が圧倒的不利な戦いを繰り広げている。
枢軸軍が欧州・西アジアを完全に手中に収めるのは目前であり、
一方でアフリカ戦線はブリタニア、第三帝国、イタリア、スペインの共同軍が担当していた。
サクラダイトの産出が少ないアフリカは枢軸が重要視していないこともあり戦線は膠着していた。ド・ゴール将軍を首魁とした自由フランス軍を中核にEU軍は戦闘を継続していた。また、ブリテン島を領有するスコットランド共和国は枢軸軍の上陸に備えて防備を固めていたが上陸されれば倒されるのは目に見えており風前の灯火であったが、EU軍の命運はギリギリのところで繋ぎ止められたのであった。
十数日後、レイラ・ブライスガウは病院のベットの上で目を覚ました。
「こ、ここは・・・。」
レイラが目を覚ましたことに気が付いた看護師は、慌てて医師を呼びに行き医師たちの診断を受けたレイラはEU軍の兵士に連れられて大きな扉の前まで連れてこられた。
「入りたまえ・・・。」
ドアの向こうの声に促されてドアを開けて部屋に入る。
さほど大きくない部屋に執務机と革張りの椅子、壁にはフランス国旗が飾られていた。
椅子に腰かけたがっしりとした大柄の軍人然している壮年男性。
フランス軍アフリカ方面軍司令、ジャン・リュック・ド・ゴールその人であった。
「久しぶりだな、ブライスガウ嬢・・・。」
「私は・・・・・・」
ド・ゴールはレイラがまだ状況を理解していないことを察するとこれまでの経緯を説明し始める。
ブライスガウ城の戦いでシン・ヒュウガ・シャイング率いるユーロ・ブリタニア精鋭を退けた彼女たちであったが、大攻勢を開始したナチス第三帝国の軍勢には敵うわけがなく城を放棄して撤退を開始した。本郷少佐の協力を得て旧ベルギーに脱出、そこで緊張の糸が切れて気絶したところまでは思い出していた。
その後は撤退するベルギー軍に同行し、同じく脱出するフランス軍と合流。一部はスコットランドに渡り多くはアフリカEU軍に合流するため大西洋へ出て現在に至るという訳であった。
「ド・ゴール将軍・・・あの、アキト達…日向大尉たちは?」
「安心したまえ無事だ。隣の控室で待ってもらっている・・・気になるなら呼ぶが?」
ド・ゴールがアキト達に危害を加えている訳でもなく、好意的な対応をしていることを察したレイラはひとまず息をついた。
「いえ、大丈夫です。私だけ呼んだと言うことは・・・。」
「理想に燃える若い将校という訳ではない様だな。本土で鍛えられたか?」
「・・・あそこではそうならざる負えませんでした。」
「・・・・・・そうだな。だが、ブライスガウ嬢の演説には多くの将兵が・・・ユーロピア市民が勇気づけられたのは事実だ。本国が落ちた今、アフリカのEU軍が生きながらえたのもひとえに・・・な。」
ド・ゴールに悪意や負の感情が無い事は理解できたが、どうにもド・ゴールの遠回しな言い回しに厄介ごとを感じたレイラは面倒ごとの気配を感じ眉を寄せた。
それを見たド・ゴールはふっと軽く笑う。
「ブライスガウ嬢…。」
「将軍、私の姓はマルカルです。」
「君が英雄ブライスガウの娘であるのは先の演説で周知の事実だ。君の演説で多くのEU市民が将兵が勇気づけられた。君の影響力は非常に大きいものだ。」
ド・ゴールは一拍置いてさらに続ける。
「レイラ・マルカル少佐は現時刻を持って軍を退役。EU議会議長兼オランダ王国女王ウィルヘルミナ・オラニエ、スコットランド共和国首相キィーストン・チャーチル、自由フランス軍総司令官ジャン・リュック・ド・ゴール他亡命政府首相一同の推薦を持ってレイラ・マルカル・・・いや、レイラ・ブライスガウはEU議会議長に就任することをここに決定する。また、ウィルヘルミナ・オラニエ女王陛下はEU議会議長を退任し、一議員としての職務に専念するものである。またwゼロ部隊は議長の警護部隊として扱うものとする以上。」
ド・ゴールの言葉にレイラはいったい何を言っているのかわからず。
「はぁ!?」
とただ一言驚きを口にした。
「驚くのは解るが仕方ないだろう。君の影響力はEUでは絶大、君をEUの看板にすることでEUは結束できる。兵達や市民たちは君に希望を与えた。君は彼らの願いを叶えて欲しいと思う。君が勘繰るような傀儡にしようとは思わん少なくて私はそうだ。議長としての権限は守られる。wZERO部隊は軍の部隊でもあるから君は独自にこれを動かすことも容認する。断るとは言わないだろ」
皇歴2018年8月 南アフリカ共和国ケープタウン EU臨時議事堂
「レイラ・ブライスガウの議長就任に賛成の方はご起立ください。」
自由フランス総司令官ジャン・リュック・ド・ゴール、オランダ亡命政府ウィルヘルミナ女王、ベルギー王国国王レオパルド3世、チェコスロヴァキア亡命政府大統領エドヴァルド・ベルシュ、ポーランド共和国大統領イグナツィ・モチツキシ他亡命政府や交戦団体の長らが起立して拍手を送る。
「新議長就任案は可決されました。」
レイラ・ブライスガウEU議会議長に就任。
EUは最後の持てる力を結集し、枢軸との決戦に備えるのであった。