コードギアス 皇国の再興   作:俺だよ俺

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原作開始前の諸戦争編
第05話 奥羽臣民解放戦


 

皇族栗栖川宮望仁親王のその命を賭した抵抗宣言は多くの日本人のブリタニアに対する反抗心を植え付けた。元軍人や警官など戦える者達の大半が立ち上がり日本各地でレジスタンスが蜂起した。

 

国民の多くが立ち上がったこの事態に対して北海道政権も決起せざるえなくなった。

今動かなければ、栗栖川親王の思いに応えなかった不忠者と罵られかねない。

 

「この度、親王殿下の遺志に心打たれた国民がレジスタンスとして一斉に決起しました。また、この混乱で北海道まで避難してくる国民も多くいる事が予想されます。現在、内閣総理大臣の権限において緊急に3軍へ出撃命令を下しました。陛下におかれましてはお辛いでしょうがこの度の命令を正式なものとして承認いただけるよう。御裁可のほどをお願いいたします。」

 

函館要塞の指揮所ではすでに高野・桂・厳田ら3軍司令官が入り指令が発令されていた。大高は政治の場を纏めるために3人を函館要塞司令部へ先に行かせ、自身は函館仮皇宮の控えの間へ戻った。今生天皇となった神楽耶への許可は事後的な物に過ぎないが正統性を主張するうえでとうとう唯一の皇族となった神楽耶の権威は非常に重い物であった。

 

「わたくしはこの度の栗栖川親王の忠義の遺志に対して、その思いを応えんと思います。皇国天皇として現時刻より、今次戦争の統帥権の全般を大高弥三郎内閣総理大臣へ委譲します。そして、3軍に対して国民の保護を望みます。」

 

親しかった栗栖川親王を失った神楽耶の心情はつらいものであろう。大高が控えの間に戻った直後、彼女はその場で泣き崩れ年相応に泣きじゃくる子供の姿を見せていた。

その姿を見ていただけに彼女の今の凛とした姿は大高も驚きを見せた。

 

「…陛下…。承りました、これより3軍は遺憾なくその能力を発揮しブリタニアを退けつつ国民の保護を行うために軍を一時南下させます。」

 

 

大高から神楽耶の許可が下りたこと確認した高野・桂・厳田は改めて作戦正式な物へ繰り上がったことを前線の熊谷らに通信で伝えた。

 

「夜豹師団及び東北管区軍暫定国境線を越えます!!」

 

戦車を中心に24連装ロケット砲車、83式600mm地対地ミサイル車と言った噴進弾発射機能を持った車両の姿も多く見える。これには戦車などでKMFを相手にするのは圧倒的に不利であり、戦うのであれば敵の射程外から火力で押しつぶす戦方しかないと判断した陸軍参謀府の提案が採用された結果でもあった。

 

「頼んだぞ。熊谷将軍。」

 

夜豹師団と東北管区軍が国境線を越えていく映像を見ながら桂陸軍参謀総長は祈るようにつぶやいた。それと同時くらいに神楽耶と大高が司令部に入ってくる。高野たちは立ち上がって敬礼をする。大高は軽く手を上げてそれに応じ、神楽耶を司令部の席に案内し、大高は席に座らず、そのまま話し出す。

 

「高野軍令部総長、桂参謀総長、厳田戦略空軍長官。予定よりだいぶ早くなりますが、全国の反抗勢力が期せずして一斉蜂起したのです。これによって生じたブリタニアの隙を最大限活用しなくてはなりません。奥羽臣民解放作戦を発令します。」

 

作戦命令を受けた戦略空軍は青森航空基地より爆装したF-2流星を出撃させた。また、夜豹師団が能代平野に布陣するブリタニア軍と交戦。坂本艦隊と連動しブリタニア軍を牽制しつつ進軍し前線を押し上げた。また、海軍陸戦隊が男鹿半島を抑えたことによりブリタニア軍の背後を突くことに成功し能代平野の奪取に成功した。

 

その後も秋田平野に部隊を進軍させ現地の少数部隊を排除。また別動隊を横瀬盆地及び本荘平野に布陣させた。本荘平野の部隊は庄内平野に布陣するブリタニア軍に対する抑えであったが、配置された部隊の大半は野戦砲を中心とした砲兵部隊であった。

 それもそのはず、本荘平野の先にあるブリタニア軍の展開する庄内平野において高杉艦隊による艦砲射撃及び空爆が執拗に行われたのである。また、ブリタニア軍に摂取された地元空港は徹底的に破壊された。また、現地の港に配備されていた駆逐艦戦隊であるが地元漁協の協力を得て無人漁船による自爆特攻によって甚大な被害が出ていた。

 さらに、この戦いにおいては退役軍人を中心とした庄内義勇軍が決起。鶴岡城と松山城を占拠した。

 

また、岩手方面へ進出した東北管区軍は平地の少なさからブリタニア軍の拠点整備が遅れており花巻・水沢に布陣していた部隊を退け一関へ、太平洋側に展開した旭日艦隊と東郷艦隊は三陸海岸を解放し、ブリタニア軍が多く布陣する仙台平野へと迫っていた。

仙台はブリタニア軍に北海道政権に対する一大拠点と考えられており、KMFの配備数・新設された簡易飛行場の数も最も多く東北最大に要衝であった。

 

旭日艦隊旗艦日本武尊

 

「よし、新兵器を使うぞ!二式誘導噴進弾発射用意!目標は敵航空基地!」

「二式誘導噴進弾発射用意!!発射ぁ!!」

 

超戦艦日本武尊と航空戦艦信玄・謙信の垂直発射装置から新兵器二式誘導噴進弾(気化弾弾頭)が発射される。

これらの攻撃によってブリタニアの航空基地は壊滅。制空権を確保した旭日艦隊と東郷艦隊は直ちに護衛戦闘機を付けた爆撃隊を空母より発艦。ブリタニアの陸軍基地に対して空爆を開始、さらに三沢のF-2流星に加え旧式であったF-1天山を加えた爆撃隊が空爆に加わり仙台におけるブリタニア軍の壊滅に成功したのであった。

 

 

この報告を受けた大高は秋田・岩手・宮城の全土と山形北部の開放を宣言。

それと同時に現地住民の保護の名目で同地域住民の大規模疎開令を発令。戦略的な事情で鉄道路線は寸断され空港も多くが破壊されていた為、住民の輸送は船と車両で行われた。住民の輸送に関して周辺地域からの避難民が加わり想定を越えた為に民間の客船や貨物船以外にも漁船投入された。また、車両においても地域内のすべてのバス会社を動員したのだがそれでも足りずタクシー会社も動員したのであった。また、動員されたタクシーは座席が外されトランクのふた外されてそこにも人を乗せると言う過積載の状態であった。またそれでも足りないために臨時で滑走路が修繕されたいくつかの空港を解放、輸送機と輸送ヘリだけではなく民間航空機も動員され、山村部などの手の回らないところでは合流地点まで徒歩での避難を余儀なくされた。

 

計画実施から半月。元号が改められ祓治元年11月1日、各地域で決起した蜂起軍を鎮圧したブリタニア軍がついに仙台奪還に動き出した。

仙台沖において旭日艦隊と東郷艦隊がブリタニア艦隊と交戦。陸路からは東北自動車道を介して北上するブリタニア陸軍と東北管区軍との間で熾烈な戦いが始まっていた。またもう一方の陸路常磐線を利用して北上した部隊であるが彼らは海側に面したルートであった。

 

「常磐線を北上する三個中隊規模の敵人型機を確認!!」

「主砲弾頭を零式弾から炉号弾へ切り替え、副砲並びに各艦の弾頭を新三式弾へ切り替え。」

「全艦、切り替え完了!」

「射角修正。」

「射角修正!よし!」

 

2基の51cm45口径3連装主砲がブリタニアのKMFが疾走する常磐線へと向けられる。

 

大石の号令の下、旭日艦隊から炉号弾と新式3式弾が放たれる

 

「全艦一斉射撃!撃て!」

 

炉号弾と新式3式弾の洗礼を受け常磐線ルートのブリタニア軍は日本武尊から放たれた気化弾によって蒸発したのであった。

この攻撃によって一瞬で3個中隊が消滅したブリタニア軍は日本海軍の破格の強さを見せつけられ海岸線上のルートの使用を断念。北上戦力を東北自動車道ルートに集中させることとなるのだが、砲弾よりは少ないとは言え噴進弾の射程は東北自動車道をしっかりと捉えており、ブリタニア軍は慎重にならざるを得なかった。

 

 

しかし、陸戦においては噴進弾の脅威さえ乗り越えればブリタニア軍のKMFの性能が圧倒しており仙台市内への侵入を許すこととなる。仙台市での大規模市街戦を経て、日本皇国陸海軍は東北(福島を除く)住民の疎開を完了させたものとして作戦を終了。この戦いで確保していた庄内平野及び仙台平野からの撤退を開始海軍艦艇は陸軍の撤退支援のために両平野に侵入してくるブリタニア軍への艦砲射撃及び噴進弾攻撃を継続し、戦略空軍も支援爆撃及び制空権の維持に努めた。

 

撤退戦において羽州側は問題なく撤退できたが奥州側はブリタニアの追撃が激しく日本皇国軍は仙台駅に爆薬を詰め込んだ新幹線を突撃させたのを皮切りにハブ駅にも同様に爆弾列車による交通網の遮断したり、いくつかの高層ビルに爆薬を仕掛けそこを通過しようとするブリタニア軍に向けてビルを倒壊させたり、釜房・大倉・宮床・鳴子・花山のダムを決壊させた。住民の避難が終わっているとはいえ宮城仙台平野の戦いでは焦土戦が採用され日本軍ブリタニア軍双方に出血(どちらかと言えばブリタニアの方が損害は大きい)を強いたのであった。

 また、宮城仙台の戦いで損害を受けたブリタニア軍は岩手へ撤退する日本軍への追撃を中止したのであった。

 

一連の戦いで死者が出たとはいえ、住民の多くが北海道への疎開を成功させたのであった。日本全体の大凡13%の国民が生きて保護されたのである。これによって大高の名声は上昇し、北海道政権の日本としての継戦能力を世界に広く示したのであった。

これ以降青森・福島・山形南部地域を除く東北地方はブリタニア軍と北海道政権軍の時に空白地帯として、また両軍の小競り合いが行われる紛争地帯として7年間繰り返すことになる。

 

 


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