コードギアス 皇国の再興   作:俺だよ俺

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第30話 構えられた刃

皇歴2017年9月19日

富士山麓 特区日本樹立式典会場 貴賓待機室

 

競技場を改装した式典会場のゲートにて、申請を出す日本人たちの列を見て、自分たちの行為が良い結果につながっていることに嬉しく思うユーフェミアとスザク。

 

「特区日本への申請は西日本を中心に、10万人はいるそうです。この様子なら、まだ増えそうです。」

 

「あなたのおかげです。あなたという日本人の代表がいるから、皆さんはここを信じられるんですね。」

 

「皇女殿下自らの宣言があったからでしょう。」

「これからも、助けてくださいね。」

 

「イエス・ユア・ハイネス。」

「スザク…」

 

ユーフェミアが主従としてのそれを求めているのではなく。

別のものを求めている。

それを察したスザクはただ一言。

 

「はい。」

 

と答えた。

 

 

トウキョウ疎開ブリタニア政庁 通信設備

 

通信機を隔てて、シュナイゼルとコーネリアは特区日本の進捗を話し合う。

 

『大したものだねユフィは。これでエリア11のテロ組織は民衆の支持を失い弱体化する。ユフィだから出来たんだよ。』

 

「ですが、個人的には反対です。」

 

『でも、君だってわかっているから協力しているんだろう。』

 

「公の計画を軌道に乗せるのは総督としての当然の職務です。」

 

『ユフィ…の今後を受け入れたのもかな?』

 

それを聞いたコーネリアは面白くなさそうな表情をして返した。

 

 

 

 

 

キョウト潜伏地

 

「特区日本、悪い話ではない。」

「与えられた日本に果たして価値がありましょうか。それに、北海道は健在です。」

「だが、北海道は完全に硬直している。ここから先はまずないだろうな。ゼロが起爆剤となるかと思っていたのだが…。」

 

キョウト幹部が悩む中、桐原は決断する。

 

「これも、我らの活動がブリタニアから引き出した譲歩だ。悪い話ではない…わしは受け入れようかと思ってる。」

 

「桐原公はサクラダイトの関係で立場が保証されているようですな。」

「…確固たる収入がありますと、乗り換えも楽ですか。」

 

「主ら…」

 

キョウト内部でも不協和音が表面化していた。

 

 

 

黒の騎士団 拠点通信室

 

ディートハルトから、黒の騎士団が行政特区日本に参加する旨を伝えられた。

通信機の向こう、北海道政権の赤坂秀樹官房長官は、普段の冷静沈着な姿とは裏腹に、声を上げた。

 

『待て待て!!黒の騎士団は本当にブリタニアに下るつもりか!?』

 

赤坂の言葉に冷静に対応するディートハルト。

 

「扇副指令の判断です。ですが、ゼロは手は打っているようです。」

 

『明確にはなんと?』

 

「詳細は…。ですが、ゼロは反ブリタニアの態度を崩しておりません。なにか、なにかあるはずです。」

 

『そのような言葉では、信用できんぞ。だが、こちらも独自に動く。我々の動きは、反ブリタニア活動を続けるのであれば、君らにも有益だ。このようなことは言いたくないが、臨機応変に対応するしかないな。』

 

「……。」

 

 

 

アシュフォード学園 ルルーシュたちの住居

 

「何か心配事でもあるのですか?…ユフィ姉さまの事?また、会いたいなんて我儘は言いません。兄さまとユフィ姉さまに迷惑が掛かりますもの。」

 

普段と違う、ルルーシュの様子にナナリーは声をかける。

ルルーシュはナナリーの言葉に返事をするでもなく尋ねる。

 

「ユフィの事、好きかい?」

 

「えぇ、とっても…。お兄様だってすきでしょ?」

「あぁ、好きだったよ。」

 

普段とは違うルルーシュの様子にナナリーは、一抹の不安を感じたのであった。

 

 

 

皇歴2017年9月19日深夜 太平洋マルベロ島沖合流ポイント

 

合流ポイントに到着した紺碧艦隊は旗艦須佐之男を含め潜航待機。

ロシア軍特殊作戦戦隊の到着を待った。

 

5分も待たないうちにタイフーン級潜水艦を率いた。ミスリル戦隊の旗艦トゥアハー・デ・ダナンが須佐之男のセンサーに掛かり、艦長の入江九市大佐からダナンより通信が送られていることが知らされる。

 

「前原閣下。ダナンより通信です。」

「開け。」

 

前原の許可が下り、通信画面にダナンの乗組員達の姿が映る。

画面の中央には、長い銀髪と灰色の瞳を持つ少女の姿が映る。

 

「ロシア帝国特殊作戦戦隊ミスリル戦隊長、テレサ・テスタロッサ大佐です。」

「日本皇国海軍紺碧艦隊司令長官、前原一征少将であります。」

 

前原は、画面に映った少女の姿に対して、僅かに驚いた。

 

「お若いですな。」

 

『ロシアの精鋭の戦隊長が、こんな小娘では不安ですか?』

 

「これは失礼、我が国の白銀艦隊同様に若い世代が活躍するのは世の流れなものでしょう。自分のような年寄りが、隅に押しやられそうで少し不安を感じたまでですよ。ハハハ」

 

『あら、前原閣下も艦隊司令官としては、随分お若いのではないかしら?』

 

「いわれてみれば、そうでしたな。わたしとしてもロシアの若き精鋭と共に戦えてうれしく思います。」

 

『こちらこそ、この度の作戦に参加できたことは、名誉なことであると思いますわ。』

 

「早速ですが。」

「はい。」

前原は挨拶を一時中断して、作戦指示書の入った書簡を開ける。

テスタロッサ大佐の方も、指示書を開く。

それを確認した前原は作戦指示書を読み上げる。

 

「本作戦は、皇歴2017年9月20日20:00決行とする。なお、本作戦は周辺状況の変化に関わらず断行するものとする。次に詳細ですが、ミスリルはパナマ市を攻撃し敵の注意を惹く。敵の注意を引いたことを確認し次第、本艦隊より攻撃機隊を出撃させ、パナマ運河第三の閘門、ガトゥーン閘門を攻撃。破壊する。作戦中止は日本皇国皇天皇、大高弥三郎首相、ロシア帝国ニコラエヴナ女王、ウラジミール・プーシン大統領の4名の指示が必要である。以上。」

 

 

 

 


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