コードギアス 皇国の再興   作:俺だよ俺

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第28話 行政特区日本宣言

皇歴2017年9月12日 アシュフォード学園 日中

 

学園祭の喧噪に紛れて、ルルーシュは屋上でディートハルトと連絡を取っていた。

 

「澤崎にも利用価値はあったのだな。これで条件は、かなりクリアされたな。」

 

キュウシュウ動乱の際、手に入れたものは澤崎が九州を制圧した後の日本解放の計画の情報と手札であった。

 

『各地域の緊急時における対応は、全てデータに起こしております。各所の太陽光パネル、それに伴うエナジー保管所の詳細も掌握済みです。例の地下協力員は?』

 

「私だけで十分だ。72%まで詰めてくれ…。藤堂は?」

『放送局など占領目標のリストアップを行っています。キョウトへのダミー計画書ともどもチェックの方をお願いします。それと北海道へは本当にあの内容でいいのですか?キョウトと違ってだいぶ大元の内容に近いのですが?』

 

「問題ない。北海道、大高とて関東の防衛線を我々の動きなくして抜くことは出来ない事はわかっているはずだ。むしろ、こちらのバックアップに動いてくれるはずだ。」

 

『それなら、私からは特に…。あぁ、それと報告が遅れましたが0番隊のことですが…扇副指令が。』

 

ルルーシュの背後から、ミレイが大声を出しながらかけてくる。

 

「委員長!ピンチ~大ピンチよ~!」

 

「っ!?後で掛けなおす!」

 

ルルーシュの計画は着々と進んでいるのだが…。

 

 

 

皇歴2017年9月12日 トウキョウ租界ブリタニア政庁

 

 

「さすがはコーネリア軍だ。エリア18から一晩で戻ってくるなんて…。」

 

「兄上が正規軍を回してくれたおかげです。」

 

「それくらい当然だよ。」

 

「グラストンナイツの仕様機はじめ、機体を回していただけたおかげで、我が軍本来の姿を取り戻せました。」

 

「中華連邦との交渉には、そのカードを切る予定だよ。」

 

「お願いします。」

 

「戦場では並ぶ者のいないコーネリア姫からお願いされるなんて…。」

 

「からかわないでください。」

シュナイゼルから、その様な言葉を聞いたコーネリアは少し表情を緩める。

 

「戦場での君は、舞踏会のどのような花や蝶より輝いているよ。そう、閃光のようにね。」

「やめてください。わたし如きが…、ユフィはどこへ行ったのかしら?兄上の御出立だと言うのに…」

 

「ユフィなら昨日話したよ?それと、バトレーが管理している件だけど。ナチスの研究員も自由にさせてやってくれ。」

「ナチスをですか?同盟国と言えど、それは緩すぎるのでは?そもそも、あれに利用価値があるのですか?」

 

「うん。私がやっている事業で、彼らの協力が必要なものがあってね。たぶん、君に迷惑をかけることはないと思うよ。」

「兄上がそうおっしゃるのなら、そうなのでしょう。」

 

コーネリアの問いにシュナイゼルは淀みなく答える。コーネリアも納得したようであった。

 

 

皇歴2017年9月12日 アシュフォード学園 仮設管理室

 

黒の騎士団の副指令である扇がブリタニア人女性と一緒に倉庫にいたり、なぜかカレンもいたが…。そこにスザクとシャーリーもやって来て、あわやと言った所であったが何とか無事にやり過ごせた。

そんなこんなの厄介事を何とかやり過ごし、学園祭で仮設された管理室でルルーシュが学園祭の進行のために、各所へ指示を出していた。そんな、ルルーシュにミレイがねぎらいの言葉を掛ける。

 

「ご苦労様、時間通りいけそうじゃない?」

 

 

「最近、人を使うことを覚えましたから。しかし、能天気ですね。ついこの間、中華連邦が攻めて来たばっかりだっていうのに…」

 

「だからこそじゃない。どんな人にも、どんな時でも…。あんた、まだまだねー。」

「フフッ、勉強になります。」

 

 

「お兄様!」

ナナリーの呼び声で振り返る。

するとそこには、ナナリーのほかにもう一人。異母妹のユフィの姿があった。

 

「すいません!ちょっと外します!」

 

 

 

皇歴2017年9月12日 アシュフォード学園 広場

 

「去年は俺の役だけど。今年はお役御免だ。」

スザクの操縦するガニメデを見ながら、ユーフェミアに話しかけるルルーシュ。

 

「今日は驚くことばかり、ルルーシュとナナリーがこんな近くにいて、しかもスザクと友達だったなんて…。わたしは、みんなが幸せにならないと嫌なの。」

 

ユフィの言葉を聞いて苦い顔をするルルーシュ。

彼女の気持ちもわかるが、もうお互い後戻りできないところに来ていることを理解しているルルーシュはユフィの言葉を聞いて苦い顔をする。

 

「でも、会うのは今日が最後だ。」

 

風が勢いよく吹き、ユフィのかぶっていた帽子が飛ばされてしまう。

 

「あ!?」

 

都合悪く、ユフィの姿が晒された瞬間にルルーシュを呼びに近づいたシャーリーは、その姿を見て声に出してしまう。

 

「ユーフェミア様!?」

 

その声は不幸にも会場の人たちにも聞こえてしまう。

 

「なに!?どこどこ?」「ほんとだ!ユーフェミア様だ!」「ユーフェミア様よ!」

 

「ルルーシュ!ナナリーを。」

「わかった。そうさせてもらう!」

 

ユフィの気遣いでルルーシュはナナリーを連れてその場を離れる。

それと入れ替わる様に群衆がユーフェミアに一目見ようと群がっていく。

 

「こ、これはちょっと…」

「すみません、すみません!」

 

その場にいた軍人のセシル達と護衛が群衆を抑えようとしたものの、熱を帯びた群衆は5人程度では征することはかなわず。すぐにごった返すことに。

 

 

皇歴2017年9月12日 アシュフォード学園 中継車両

 

ユーフェミアの登場騒ぎで中継スタッフも一般人もいなくなってしまった。中継車付近ではディートハルトが黒の騎士団関係の通信を行っていた。

 

「いえ、自力で脱出されたのなら上策です。では、私はこれで…。中継車の機材スペースが無駄になったな。0番隊隊長も逃げる必要が無くなった。しかし、君にはこのまま隠密として租界内にいてもらいたい。」

 

扇から脱出支援を要請されていたディートハルトは、自身の個人的な諜報協力者であった篠崎咲世子を呼び出していた。ディートハルトとしては彼女に扇やカレンの逃走を支援させて、幸運にも黒の騎士団の幹部達も集まっているこの機会に彼女を紹介したかったのだが、うまくはいかないものであった。

「しかし、君にはそのまま隠密として、租界内にいてもらいたい。ゼロにはいずれ紹介しよう。」

「わかりました。」

 

 

皇歴2017年9月12日 アシュフォード学園 広場

 

「御無事ですか。ユーフェミア様。」

「ありがとう、スザク。」

 

ユーフェミア登場によるこのトラブルは、スザクの乗るガニメデが彼女を掌に救い上げることで一応の鎮静化に成功した。

 

 

「大丈夫か?ナナリー。」

「えぇ、ユフィ姉さまは?」

「無事だ。スザクが助けた。」

 

ルルーシュ達も屋台の陰に隠れてやり過ごしていた。

 

「そうですか。ねぇ、お兄様。ユフィ姉さま、スザクさんとうまくいったんですって…。お似合いですよね。御二人なら…」

「あ、あぁ。」

 

ルルーシュはガニメデを操縦するスザクとその掌に立つユフィを見た。

視線を感じたユフィは、ルルーシュ達の方を見て一瞬だけ笑って見せた。

そして、すぐに決意を固めたユフィは周囲の報道陣に声を掛ける。

 

「この映像、エリア全域に繋いでいただけますか?大切な発表があります!」

 

ユフィの命令で、報道陣たちは本局を通じて全国に映像を流す。

 

「神聖ブリタニア帝国、エリア11副総督ユーフェミアです。今日、わたくしから皆様にお伝えしたいことがあります。わたくしユーフェミア・リ・ブリタニアは富士山周辺に行政特区日本を設立することを宣言いたします!!この行政特区日本では、イレブンは日本人と言う名前を取り戻すことが出来ます。イレブンへの規制、ブリタニア人の特権は特区日本には存在しません!ブリタニア人にも日本人にも平等な世界なのです!」

 

ユフィの言葉を聞いたルルーシュは苦々しい顔をした後、ユフィを睨んだ。

 

(やめろ!ユフィ!そのケースは考えた。しかし、それはただの夢物語だ。)

 

「聞こえていますか!ゼロ!あなたの過去も、その仮面の下も、わたくしは問いません!ですから、あなたも特区日本に参加してください!ゼロ!わたくしと共にブリタニアの中に新しい未来を作りましょう!(ルルーシュ、また昔みたいに…)」

 

(やられた。これではどちらを選んでも、黒の騎士団は潰れてしまう。まさか、こんな手でいとも簡単に!?そうやって君は欲しいものすべてを手に入れる気か。俺達の居場所すらも…。ならば君は何も見えていない、聞こえていない。俺は顔を隠したテロリストで、そして君は…。違うんだ、もう昔とは…!!ユーフェミア!!)

 


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