コードギアス 皇国の再興   作:俺だよ俺

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時系列的には第二次奥州解放戦争のあたり

題名が思い浮かばない


第2?話 閑話とか外伝① インド軍区・タイ王国

 

ラクシャータ黒の騎士団合流・第二次奥羽解放作戦実施前

中華連邦インド軍区セイバーグラーム村

 

前原一征は皇国の三の姫とも呼ばれる駒条宮澪子らと共にセイバーグラームと言う村を目指した。三の姫と言うのは俗称であるが、この表記で行くと一の姫は皇神楽耶で二の姫は桃園宮那子である。

前原が手にしたものは神楽耶陛下と大高総理からの親書と幾ばくかの金であった。

セイバーグラーム村に着いた前原はアシュラーム精神修行の場とでもいうべきか。インド独特の施設であった。

彼彼女らを迎えたのはヒンズー僧装束の老人であった。

「駒条宮澪子と申します。ガンディー先生この度はお会いできて光栄ですわ。この度は日本皇国特使として天皇皇神楽耶ならびに首相大高弥三郎の代理で参りました。彼は私の護衛兼特使補佐の海軍少将で…。」

「前原一征であります。」

 

この枯れ木の様な老人こそが、かつて無抵抗の抵抗を行いEUより国土を守り抜き、中華連邦から自治の芽を守ったスワディ・ガンディーその人であった。

 

「陛下と首相より預かってまいりました。親書とアシュラームへの寄付金です。」

澪子の言葉にガンディーは手を合わせて感謝の意を示す。

 

「ふたりはガンディー先生のお考えに親近感を抱いておりますわ。」

「それはそれは」

「ぜひ先生を日本にお迎えして、ひざを突き合わせ…腹を割り、アジアの未来について語り合い。ぜひともご薫陶を受けたいと申しておりました。陛下は幼少のみぎり大高首相より様々なことを学び非常に首相と似た思想をお持ちです。そして、首相はどちらかと申しますとレビアン主義者です。プロポトキンの思想にも興味を抱いております。近代工業化と農村、あるいは手工業…調和ある国作りを目指しております。」

「つまり、我々は多くの点で一致を見ているようですな。」

「ミス駒条宮。あなたはインドが好きですか?」

「わたくしはこの国の民衆が好きです。」

 

その答えを聞いたガンディーは手を差し出す。握手の構えだ。

澪子はガンディーの手を取り握手を交わす。

 

「皇陛下と大高首相にお伝えください。よろこんでお招きに与かりますと…」

「ありがとうございます。」

 

「我々は多年の願いであった英国からの独立を勝ち得ました。願わくば、せっかく手に入れました民族の自立の芽吹きを第三帝国やブリタニアの野望から守りたいと思います。そして、今の貴国にはかの者の力が必要でしょう。」

 

「かの者とはいったい?」

 

すると、ガンディーは施設の奥の方にいる少女に声を掛ける。

「どうです?私としては日本皇国のオファーを受けていただきたいと思っているのですが?必要とあれば私の紹介状もお付けしますが?」

 

 

少女は周りの雰囲気に合わせた薄汚れた布を羽織っていたがそれを外すとカジュアルスーツを着た白寄りの銀髪の髪の長い美女が姿を現した。

 

「必要ないわ。私達ピースマークは日本国を直接のクライアントとして扱うわ。」

 

「き、君がか…。」

彼女の姿を見た前原は何かを思い出したように声を出す。

一方の彼女も、そんな前原を見て納得したように返す。

 

「貴方は、確か皇国の高野五十六の側近だったわね。なら知っていてもおかしくはないのっかしら?ライラ皇女の件は高野からのオファーだったし…。そうよ、前原少将の察しの通り私がピースマークの仲介人…そうね…ミスXとでも呼んでちょうだい。」

 

完全に納得いったと言った表情の前原とは対照的に澪子は困惑の表情を浮かべていた。

 

「…まさか。非暴力、不服従の推進者からテロリストを紹介されるとは…。」

 

そんな澪子に対してガンディーは話しかける。

 

「駒条宮…は少し誤解している。私の信念によると、もし、インドが臆病と暴力のうちどちらかを選ばなければならないとすれば、私はむしろ暴力をすすめるでしょう。インドが意気地なしで、辱めに甘んじて、その名誉ある伝統を捨てるよりも、わたしはインドが武器をとってでも自分の名誉を守ることを望んでいます。その考えは日本も同様と考えますが?…むしろ、重要なのは非暴力は暴力よりもすぐれており、許しは罰よりも、さらに雄雄しい勇気と力がいることだと言う事です。しかし、許しはすべてにまさるとはいえ、罰をさしひかえ、許しを与えることは、罰する力がある人だけに許されたことなのです。」

 

その言葉を聞いた二人は改めてミスXに向き直り、2人は特使の権限でピースマークと契約を結んだのである。このことは事後報告の形で大高に伝えられ大高もそれを追認した。

 

 

セイバーグラーム村来訪から数日後

中華連邦インド軍区デリー自治政府庁舎

 

澪子と前原はこの日インド軍区の行政長官ジャワハラール・ネルーと新進気鋭の中印軍長官スバス・チャブドラ・ボースの4人の間で会談が開かれた。

この二人は名目上インドの政治軍事のトップであるが、組織図の要所要所に中華連邦の本国人が配されており、その実権は中華連邦の大宦官に握られている。

 

「ブリタニアやナチスの西アジア侵攻に対し中華連邦本国はサウジにイラン、アフガンと言った加盟国を助けようともせず。保身に走った…また、カンボジア王国の意志を無視してブリタニアのトモロ機関を誘致した行為は、我々自治政府や他の加盟国に対して重大な背信行為であると認識しております。連邦議会でもこの事を糾弾する声は日増しに強くなっております。」

 

「で、あるのならば中華連邦は遠くない未来崩壊すると…。」

 

ネルー長官の言葉に前原は最悪の未来を口にする。

前原に対してネルーは「それも一つの可能性である」と前置きしてもう一つの未来を予測する。

 

「ですが、その前に中華連邦本国がブリタニアの従属国に成り下がり我々を切り売りする可能性と言うものがあるでしょう。恥ずかしながらインドにもブリタニアやナチスの工作員が入り込んでいますので…。」

 

ネルーの言葉を聞いて澪子と前原はインドやアジアの国々が日本の様に植民地化された姿を思い浮かべた。

 

「だからこそ、今の北海道やロシアには期待するものが非常に大きい。ラクシャータ女史の出国を手引きしたのもそう言った意味合いが大きいのです。」

 

インド軍区内でも大宦官派から出国を差し止めようとする動きがあったが、現場のインド人達はネルーやガンディーらの意向を受けてそう言った動きを無視したのである。今頃はすでにピースマークの護衛を受けてインド軍区を出たところだろう。

 

ネルーがそこまで言い切るとネルーはボースを促す。するとボースは世界情勢や中華情勢が書かれた写真付きの資料をテーブルに広げる。

 

「中華連邦本国でも紅巾党の様な現体制に対する抵抗が起こっております。結果はどうあれ、日本やロシアがブリタニアに一撃を与えることが出来れば…少なくてもブリタニアからの圧力は弱まります。ブリタニアに与する大宦官らの動きも鈍るでしょう。その時こそが我々が動くときだと思います。我々はこの一連の行動を作戦名ラナーデュラグラハと呼んでいます。サティヤーグラハを掲げるガンディー先生の意志には反することになってしまいますが…、我々も後が無くなってきている。」

 

ボースの眼には強い意志が宿っていたのを前原は見逃さなかった。

そして、澪子はボースの言葉を嚙み砕いて口に出してみる。

 

「ラナーは正義、デュラグラハは敵対者を挫くこと…暴力を用いた抵抗運動の事を示す。つまりは…反乱。」

 

澪子の言葉にネルーとボースの眼は鋭くなる。

 

「神虎系統機や紅蓮系統機の量産機の開発も進んでいる。紅蓮系統機に関してはすでに我々の秘密工廠で先行量産機が生産されています。」

「中華連邦は一部の腐敗した裏切り者によって滅びの危機を迎えております。我々は武器を取り腐敗を一掃し、世界の暴力と恐怖による支配の体現者達に抗うと言う道を選択することになるでしょう。」

 

ネルーとボースの言葉を聞いた澪子は居住まいを正して向き合い答えた。

 

「インドの覚悟。皇国の三の姫、駒条宮澪子が聞かせていただきました。お二人の思いは必ず皇神楽耶陛下と大高首相にお伝えします。日本は必ずやこの世界の闇を払う一の太刀となる事をお約束します。」

 

その言葉を聞いた二人は深く頭を下げた。

 

 

 

さらに数日後、ラクシャータ日本入り、黒の騎士団未合流

タイ王国首都バンコク・プラナコーン地区 王宮

澪子と前原はプミンポン国王に晩餐会に招かれた。そこでは東南アジア諸国の外交官や大使達が集まり酒宴に興じていたのだが、ここ2・3日は皆この客間に集まりテレビの前でじっとそこに流れる映像に注視している状況が続いていた。

時は8月の25日。そう…第二次奥州解放戦争が始まったのだ。

 

テレビの映像を介して、ブリタニア軍と日本皇国及びレジスタンス連合の戦いの様子が伝えられる。ブリタニア側のニュース映像を流す局と日本皇国側のニュースを流す局だ。

 

さすがに、サンダーコントロールシステムやハイパワーレーザー車の映像は排除されている。数分おきにタイ王国の軍官僚や外務官僚が未確定の情報を含んだ各種情報を報告しに往復を繰り返す。

日本皇国優勢の情報が入ると東南アジア諸国の大使や外交官たちが「おお!」等と声を上げる。逆にランスロットが活躍しだした時は「ああ!」と声を出し一喜一憂していた。

 

戦いは半日程続き、戦闘終了後もしばらくの間、情報が錯綜する。そして、日付が変わり日が昇り始めていたが精度の高い情報を待つためにその場から動かなかった。

テーブルの上にはマンゴーや果物にココナッツで味付けされた各種デザートが置かれ、招待客たちにもタイ風ミルクティーやジュースが振舞われた。飲み物の方はすでに空になっており使用人たちが次を注いで回る。だが、菓子類はほとんど手を付けられていない。戦いの推移を聞いて緊張している為か、やたら喉が渇いた。

 

確定情報を各々待っている。葉巻やパイプに火を点けて吹かしている待つ者、飲み物に口を付ける者、菓子類に手を出す者。それぞれがそれぞれの思うように過ごし出し始めた。

 

 

澪子は比較的近くに席を置くプミンポン国王に話しかけられる。

 

「駒条宮、日本の大高はこの戦い…。いえ…この世界をどのように考えておるのだろうか?」

 

大高の考えは大高にしか分からない。

澪子はその答えを持ち合わせてはいない。

そこに、前原がゆっくりと口を開く。前原は高野を通して高野の考えに触れることが多い。そのため、澪子が口を開かないなら前原が答えるしかない。前原が澪子に視線を向け許可を求め、澪子が頷いて許可が下りたのを確認した前原が口を開く。

 

「私見交じりでよろしいのなら…。」

「かまいません。」

 

「大高閣下はブリタニアの日本侵攻以前の…そう。約25年前の第一次政権の時すでにブリタニアの国家的野心に気が付いていました。この時の道州制導入は戦時下における企業の積極的集団疎開を視野に入れていたそうです。その後の野党政権や他派閥政権で大高閣下の策は完遂とまではいかなかったようですが。今も十分にブリタニアやナチスとも対抗できています。大高閣下としては日本を奪還した暁には国体を複数中心型統治体制へと舵を切り、経済競争力を高め亜細亜諸国内で貿易圏を構成し各国の結びつきを強め、枢軸勢力に対抗しようとお考えなのではないかと推察しております。」

 

それを聞いたプミンポン国王はしばらく考え込み始めた。

そこへ、外務官僚が乱暴に扉を開け駆け込んで来た。その後ろには軍官僚も続く。

 

「日本皇国勝利!奥羽州出羽にて大勝利です!ブリタニア軍は半壊し壊乱状態にあるとのことです!また奥羽州太奥でも戦闘が開始された模様!戦況は日本側に極めて有利!」

「大高首相はこの戦いでの勝利宣言を行いました!」

 

それを聞いたプミンポン国王は意を決したように表情を硬くし二人に話しかける。

 

「確かに、アジアを中華連邦の様な支配の形ではなく。大高首相の考える手は有効ではあると思う。一瞬だが中華連邦本国が切り崩された様に合従連衡が頭に過ぎったが、経済圏の構築と言う策を持って連衡の利をなくすことで合従だけにすることも…出来るだろう。大高首相の考えの一端に触れることが出来たように思える。この後、時間は?駒条宮、前原少将…是非お見せしたいものがある。」

 

 

 

 

皇歴2017年8月27日

タイ王国陸軍地下施設

プミンポン国王の招きを受けて二人はタイ王国陸軍の地下施設を訪れた。

地上の陸軍基地にはロシア製のサベージと中華連邦の鋼髏(ガン・ルゥ)が並び、少数だが日本の嶺花もあった。それらを通り過ぎて基地の地下研究施設に案内される。

 

 

「これが、我が国最初の人型機動兵器に当たる機体で、ブッシュネルと言います。」

 

陸軍高官が詳細を伏せる形で解説を始める。

 

「コンセプト的には鋼髏より、貴国の嶺花やロシアのサベージに近いでしょう。」

 

人型の機体、武装はアサルトライフルやグレネードランチャーを装備しており、先ほどから様々な姿勢で射撃練習をしている。

 

「これこそが、我が国の正式採用型戦闘人型機械M6ブッシュネルの先行量産機です。不整地の多く、足場の悪い土地が多い東南アジアにおいても走破可能な独自規格のランドスピナーを採用しています。また、機体の安定性能はブリタニアのKMFを凌ぎます。正式な量産機の開発も目前まで進んでおりますので、時期に問題は解決するでしょう。」

 

「それがあなた方の刃と言う事なのですね。」

 

澪子の言葉を聞いてプミンポン国王は口を開く。

 

「うむ。予てより貴国からの技術支援を受けここまで漕ぎつけた。東南アジア諸国は日本に恩義を感じておる。貴国は…いえ大高閣下は以前よりアジア諸国とのつながりを重視し多くの便宜を図ってくれた。だが、我々の様な国々は大国に靡かねば吹き飛ばされてしまう。だから、7年前のあの日、我々は貴国を見捨てた。そうするしかなかったのだ…わかってもらいたい。」

 

「……………。」

「……………。」

 

2人はプミンポン国王の独白に近い一連の言葉を黙って聞き続ける。

中華連邦本国がアラブや西アジア諸国を見捨てたのを機に中華連邦加盟国は中華連邦本国に対して不信感をあらわにしていた。そして、東南アジア諸国ではタイ王国、プミンポン国王が東南アジアの盟主として頭角を現していた。

そんな彼の言葉は東南アジア諸国全体の意志を踏まえた言葉も同義であった。

 

「だが、その宗主国である中華連邦本国も我々を切り捨て自分だけ生き残ろうとしている。この様なことを言うのは身勝手極まりないと思う。だが、貴国にはそれだけの実力がある。もし、貴国が良しとすると言うのなら…我々の宗主となり…世界に…。」

「プミンポン陛下…!私の一存ではお答えできかねます。」

 

澪子はプミンポン国王の言葉を少しばかり強い口調で遮る。

前原からプミンポン国王への視線も強いものとなる。

だが、プミンポン国王も引く様子はない。

 

「駒条宮姫殿下、前原少将。」

 

澪子は、前原は理解してしまった。プミンポン国王がこの後どの様な言葉を続けようとしていたのかを…。

ブリタニアと開戦して7年、これほど長きにわたって継戦し国土の半分以上を失陥したとはいえブリタニアとほぼ同等に戦い続け、近年その国土のいくつかを奪還して見せている日本皇国はブリタニアを中心とした枢軸勢力と渡り合える素質と言う希望を周辺国に見せていた。だからこそ、中華連邦の様に連邦宗主として多くの国を率いることも可能ではあるとも言えた。

だが、2人はそれが神楽耶と大高の目指す亜細亜の独立に繋がるものではないことを理解していた。だから、首を縦に振ることは出来なかった。たしかに、日本と言う国はブリタニアやナチスと対等に渡り合える強力な剣を持った精強な戦士と言える。しかし、日本はサクラダイトと言う資源を除けば資源輸入国であり不安定な足場で戦っていると言えた。そこに東南アジアと言う足場を得れば…。

しかし、2人は自分達の主がそれを望まない時点で、プミンポン国王の誘いに乗ることはない。

 

それを、2人の態度から感じ取ったプミンポン国王はこう話をしめた。

 

「これは東南アジア諸国全体の意志と理解してもらいたい。」

 

日本皇国皇族駒条宮澪子とタイ王国国王プミンポン・アドゥンテラヤードの会談は、後に大きな意味を持つことになる。

 




東南アジアにブッシュネルを置いたのは、いまだに迷う。変更するかも…

嶺花=96式(フルメタ)

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