コードギアス 皇国の再興   作:俺だよ俺

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第24話 神の島

ルルーシュ、ユーフェミア、スザク、カレンらが神根島で1日を過ごしている頃。

 

式根島近海 日本皇国海軍潜伊3001 亀天号

 

「あれは…敵の新造艦か。空を飛んでいる…。」

 

潜伊3001 亀天号は情報収集潜水艦であった。この亀天号は僚艦2隻を引き連れて黒の騎士団の皇族襲撃計画の推移を見守る役割が与えられていた。なお、この事は黒の騎士団側には伝えられていない。

 

諜報機器を操作している情報集積官の肩を持ち亀天号艦長伊藤正典中佐は驚きを見せる反面ニヤリと笑って見せた。

 

「他人の仕事風景を眺めるだけの仕事と思っていたが、ブリタニアの空中艦とナチス親衛隊、なにかあるな…。独断であるが情報収集任務を延長するぞ。」

「っは。」

 

 

 

式根島上空 アヴァロン 廊下

 

「地上の方々は必至ですわね?」

「当たり前だろう。自国の皇族だからな、いくらその上位命令があっても現場の連中は何らかの処罰は免れまい。ヴィクリート中佐、我々とてこの様な所で時間をつぶしているわけにはいかんのだぞ。」

 

アーネンエルベ局長マリア・ヴィクリート中佐に対して、その疑問に答えたのはハンス・オストヴァルト海軍中佐。ヒトラーに気に入られている若手将校で後に新貴族として立身して行く。同階級のマリアに対して僅かに上に立った態度は年齢的な物であろうか。

 

「ヴィクリート中佐、あまり無駄な時間を過ごすわけにはいかんぞ。」

「はーい。」

 

ハンスはマリアに忠言するとそのまま歩き出す。

 

 

 

式根島上空 アヴァロン 司令室

 

「第三帝国海軍、特務戦隊戦隊長ハンス・オストヴァルト中佐であります。」

「お初にお目にかかりますわ。シュナイゼル殿下、第三帝国魔術局アーネンエルベ局長マリア・ヴィクリート中佐ですわ。」

 

「私がブリタニア帝国第二皇子シュナイゼル・エル・ブリタニアです。こちらこそよろしく頼む。横にいるのがわたしの側近の一人でCODE研究を担当するバトレーだ。」

「バトレー・アプリリウスです。」

 

シュナイゼルはマリアとハンスの挨拶を受けそれに応じる。

 

「これが我が上司ラインハルト・ハインドリッツ大将の親書です。お受け取りください。」

「ハインドリッツ国家保安部長官によろしく伝えてくれ。」

 

シュナイゼルがここでラインハルトを大将と呼ばなかったのはラインハルトと潜在的な対立関係にある同階級のアルフレート・ヒムラー親衛隊長官の事があってのことであった。

アルフレートとラインハルトの関係において中立的立場であるマリアは何も思っていない様子だが、ラインハルト派のハンスは複雑そうな表情をしていた。

 

「皇子殿下のお言葉…我らの上司たちも喜ぶことでしょう。」

 

 

 

 

神根島遺跡

 

彼らは定型的な挨拶を済ませると早々に式根島より移動し近くの神根島に上陸する。

 

神根島の遺跡ではシュナイゼルのお抱え研究員がバトレーの指揮で調査を行っていた。

 

マリア達ナチスドイツの面々もシュナイゼルについて説明を受け、別分野の権威であるロイドも多角的な面で調査に貢献すると言う名目で随行していた。

 

「思考エレベーターねぇ…考古学はあまり得意ではないんですが…僕の分野とは違い過ぎて…。第三帝国の学者の方々はどうなんです?こういった分野はブリタニアより進んでいるのでしょう?なにせ、オカルト分野が学問として成立しているんですから。」

 

ロイドの言葉を不敬と捉えたバトレーがロイドを嗜める。

「貴様、同盟国の高官相手に失礼だぞ。」

 

ちなみにハンス・オストヴァルトはマリア御目付の軍人なのでこの手の話には無関心であった。

マリアは軽く笑ってからロイドの問いに答える。

「読み取り機の様なものではないのかしら?我々も同様の研究をやっておりますので…。ある程度把握しておりますわ。フフフ」

 

「読み取り機?それはいったい?」

自分以上に何かを知っているマリアに対してバトレーはロイド以上に反応した。むしろ分野が違い過ぎてロイドは蚊帳の外であった。

 

「フロイライン・ヴィクリート。私としても同盟国の研究の進歩状況を知りたいですね。」

 

同盟国の想像以上の進歩率が伺えたためにシュナイゼルとしても探りを入れたくなり話しかける。

 

「同様の遺跡は我が総統閣下も貴国の皇帝陛下も直轄領にしているでしょう。」

 

マリアの言葉にバトレーが反応する。

 

「確かに、私が発見したこことラインハルト閣下が抑えているアフガニスタンの神殿の丘以外は全てそれぞれの天領でしたな。…推測ですが両国の侵攻計画はこれに沿っているということか。」

 

「そのオカルト染みたシステム解析にガウェインのドルイドシステムを使うのですか?まだ未完成の試作機を?」

 

ロイドの問いにマリアは不敵な笑みを浮かべて答える。

 

「そうよ。本当は天秤を使いたかったのだけど…イレブンに持ってかれちゃいましたから…。次善の策でしたけどドルイドシステムを使うことにしたのよ。」

 

「あれは、クロヴィスの大切なものなんだ。それはやめて欲しいな。」

 

天秤の意味を理解しているシュナイゼルは僅かに不快感を示したが表情を変えることはなかった。胸中で何を思っているのかは分からない。

 

「冗談ですわよ。ラインハルト閣下に十分くぎを刺されていますわ。」

 

自身の作品を2番呼ばわりされたロイドは不満気だった。

 

「次善の策のガウェインに何をさせたいんです?」

 

「アスプルンド伯、あまりへそを曲げないでくださいな。ガウェインは間違いなく最優秀の兵器ですわ。私はドロイドシステムを使って…。」

 

そう言ってマリアが口を開こうとした瞬間。

遺跡が揺れだし天井が崩落してくる。

 

「な、なにこれ…」

 

異常な数値を示す計器を見て動揺するロイドをマリアは突き飛ばし…。

 

「どいて!馬鹿な!!ドルイドシステムでこんな過敏な反応を示すはずが!!」

 

天井が崩れ一枚岩が落ちてくる。その上にはルルーシュ達4人の姿があった。

 

「ユーフェミア様を御救いしろ!」

ブリタニアの兵士達がルルーシュ達とユーフェミア達の間に割り込む。

 

「あれが…ゼロか。」

 

「何をしている!あの機体…ゼロ如きに渡してはならぬ!」」

「オストヴァルト中佐だ!!親衛隊を出せ!!ドルイドシステムを失うと我々の研究は完全に息詰まる!!」

 

ゼロの姿を見て静かに呟くシュナイゼルの横でバトレーとオストヴァルトが顔を真っ青にして叫んでいた。

 

 

 

 

神根島近海上空

 

ゼロ(ルルーシュ)の乗ったガウェインがサザーランドによる包囲網を突破して行く。そして、ガウェインが宙に浮かびコックピットが開くとカレンを中に入れる。

カレンは素早くコックピットの空スペースに乗り込む。

 

「ほぅ、ナチスドイツの機体は飛ぶと言うが、この機体はそれ以上の様だな。カレン!つかまっていろ!」

「え!?うきゃ!?」

 

ガウェインが捕縛に現れたゲバイとダインを10本のワイヤーカッター式のスラッシュハーケンが切り裂き瞬殺し、そのまま飛び去って行った。

 

「未完成の様だがこれは拾いものだ。」

 

 

神根島遺跡入口

 

「ガウェインが…。我々のガウェインが…」

「あぁ…。」

 

「シュナイゼルお兄様!」

「ユフィ、遅くなってすまなかった。」

「そ、そんなこと。」

 

「あら、姫殿下。手から血が。」

マリアは自分のハンカチでユーフェミアの手の甲から流れる血を止血する。

 

「どうもありがとう。あの、あなたは?」

「あら、申し遅れました。私は第三帝国より派遣されたマリア・ヴィクリート中佐ですわ。以後お見知り置きを。」

「こちらこそ。よろしくお願いしますね。」

 

シュナイゼルら3人が話している所にブリタニア士官の一人が遠慮気味に話しかける。

 

「殿下、それでは予定通り…」

「あ、あぁ。」

 

シュナイゼルの許可が下りると同時に兵士達がスザクに手錠を掛ける。

 

「枢木スザク少佐。第二級軍規違反の罪で拘束します。」

 

それを聞いたユーフェミアは振り返り止めに入る。

 

「お待ちなさい!枢木スザクはわたくしの騎士ですよ!その様な事!?」

「後で何とかしてあげるから…今はこのまま」

「お兄様。あの、なにが…」

そんなユーフェミアの肩を抑えてシュナイゼルはユーフェミアを宥める。

 

そんな様子を見ていたマリアは計器が異常値を示していた時のことを思い出していた。

(いる。間違いなく…4人の中に天秤級のインヴィテーターが…。天秤、ライラ・ラ・ブリタニアは北のイレブンたちがしまい込んじゃったけど。これなら、あの頃の様な高水準な研究が出来るわ。ユーフェミア様がインヴィテーターだったら少し手間だけど…。あの枢木とか言うイレブンや、さっきのテロリストなら天秤以上に非人道的な実験ができるわぁ。うふ、うふふふふふ。)

 

マリアはオストヴァルトの方を向き指示を出す。

「オストヴァルト中佐。ドルイドシステムを奪還する必要があります。ラインハルト閣下に至急連絡を…。」

「だ、だが…。」

「中佐。ガラサキやコードの研究は総統閣下肝いりの計画なの。このまま喚起を被りたいのかしら?」

「!?わ、わかった!すぐに連絡を取る。」

 

こうして、日本独立の戦いにナチスドイツが参戦することになるのであった。

 

 

ナチスドイツ第三帝国 ベルリン 総統官邸

この日、ヒトラーは客人を招いて昼食会を開いていた。

昼食会と言ってもヒトラーとその相手の二人だけの会談であり、徹底的な機密保持体制のなかで催された。

料理の運搬もその階の廊下の途中までで、そこからは秘書のヨッヘンバッハが運び込むこととなっており、そのヨッヘンバッハ自身も会話の内容を聞くことは許されず料理を並べたらすぐに退出させられるほどであった。

 

「V.V.。アーカーシャの剣がまた動いたそうじゃないか。」

「少しばかり、困ったけど。ハインリッヒ、君の協力で何とかなりそうだよ。」

 

「そう言ってもらえると、嬉しい限りだ。余としても貴公の計画が成し遂げられることは非常に好ましいことだ。貴公の計画は余の成し遂げたい事の8割とも言える…余としても十分妥協できるものだよ。」

「ははっ、僕の計画が君の8割だと言うのなら…ハインリッヒ…君の言う10割の計画ってなんなんだい?」

「聞きたいのかね?V.V.君?それはだね、●●を●す事だよ。ハハハハハハハハ!!」

「それは……すごい計画だね。(狂人が…。)」

 


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