コードギアス 皇国の再興   作:俺だよ俺

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第20話 第二次奥州解放戦争後編 庄内解放 

陸奥港湾要塞 作戦司令部

 

庄内平野酒田市での戦闘は概ね彼らの予想通りに動いていた。

最上川を越えたブリタニア軍に対して皇国陸軍とレジスタンス連合の共同軍は偽装後退を

を行い見事にブリタニア軍をサンダーコントロールシステム設置領域に誘い込むことに成功していた。

 

「B-2、B-8起動。」

サンダーコントロールシステムが次々と専属管制官によって起動させられる。

 

作戦領域には上空の暗雲から次々と雷が地面に降り注ぐ。また、鉄塔からも雷撃が放たれる。

 

「勝てそうだな。」

桜坂の言葉に黒木が反応する。

「もちろんです。この戦いでブリタニア軍に決定打を与えます。」

 

「ブリタニア軍後退。」

「このまま押し戻せ!」

「戦車大隊、KMF部隊前進。」

 

「雷装鉄塔大破!」

「さすがにあれには気が付かれたようだな。」

 

「ブリタニア軍突破を試みています。現地作戦指揮所を狙っている模様。本田師団長より震電中隊の投入の許可を求めています。」

「許可する!絶対に破られるな!片瀬少将はこの戦いのレジスタンス連合の旗頭だ。手出しさせるな。」

 

戦況は全体を通して皇国軍優位に進んでいる。

 

「作戦領域内にてブリタニア皇女コーネリアの仕様機の姿を確認しました。」

下士官からコーネリア発見の報告が伝えられる。

 

「そうか。好機だ…片桐局長フルメタルミサイルランチャーを使う。ここでコーネリアを倒しブリタニア軍の壊乱を狙う。」

「黒木特佐。フルメタルミサイルランチャーの権限を移譲する。」

 

黒木はここでコーネリアを討たんと動き出し片桐もそれに同調する。

 

 

 

 

庄内平野ブリタニア軍コーネリアの近衛部隊

 

人工的につくられた雷は天然の雷以上の雷撃でブリタニアのサザーランドやグラスゴーに直撃し爆発四散する。直撃を避けても至近にいた機体は雷撃の熱量によって機体が溶けると言う事態が発生している。さらに運の悪い機体は電気系統に異常をきたし行動不能に陥っている。歩兵やバギー程度の戦闘車両なら即死どころか木っ端微塵だ。

 

「くっ!なんなんだ!?あの敵の兵器は!?」

 

皇国軍のサンダーコントロールシステムは完全にブリタニア軍を追い詰めていた。

 

「姫様。ここは撤退を!」

「ならん!ここで負ければ後がなくなる!」

 

コーネリアに対して圧倒的に不利な現状ではいくらコーネリアが継戦を指示していても彼女を守るべき騎士であるギルフォードは反対の意見を述べるのが筋であった。

それにギルフォードから見てコーネリアが意地になっているのが分かってしまったからというのもあった。

 

「姫様!もはや、この戦い…勝ちはありえません。これ以上の兵の消耗は今後の統治に大きく影響しかねません。下手をすればユーフェミア姫殿下のいらっしゃるトウキョウ租界にまで影響が出かねません!」

 

「くぅ…おのれ!北海道軍め…これは貸しにしておくぞ。本陣のダールトンへ命令!予備戦力を投入し敵の包囲を破らせよ!こちらも戦闘中の全部隊に近衛騎士団と合流しダールトンの隊と呼応して敵の包囲を突破する!」

 

ギルフォードの進言を受け入れて撤退を決断したコーネリアは近衛騎士団含むKMF

隊を集結させる。

 

 

 

 

 

庄内平野作戦領域地上 

 

前線指揮官の西村はコーネリアがいるブリタニア軍の集結地点を発見する。

今までもおおよその検討こそついたがコーネリア自身がKMFで移動しているために見つけ出すことは困難だった。

 

しかし、ブリタニアの部隊が集まってくること見つけることがかなったのだ。

 

「よく狙えよ。…フルメタルミサイル発射!!」

 

73式装甲車の上部に2連装ミサイルランチャーを装備したフルメタルミサイルランチャー車が横一列に整列する。

フルメタルミサイルは硬度の高い金属を使ったいわゆる運動エネルギーミサイルであり、幾重にも重ねられた厚さ10メートルの鉄筋コンクリートを貫通することが出来る。一部の近衛仕様機が装備している大盾すらも易々と貫く貫通性を持っている。まさに近衛殺しのミサイルであった。

 

 

 

 

庄内平野ブリタニア軍コーネリアの近衛部隊

 

敵のミサイル攻撃や砲弾が雨の様に降り注ぐ。ランドスピナーによる超信地旋回を駆使して避け続けているが全く当たらないわけではない。

 

架橋部まで道を切り開くと皇国陸軍やレジスタンスのKMFや戦闘車両が追撃してくる。

 

「姫様!」

近衛機の一機が大盾を構え前に出る。

 

ミサイルは大盾を貫く。そのミサイルは爆発せず鈍色の鉄杭の様に近衛機へ突き刺さっていた。

「な、弾幕を張れ!!姫様をお守りしろ!!」

 

KMFの弾幕がフルメタルミサイルに命中するも元々爆薬を積んでいない爆発しないミサイルなのだ。軌道が逸れるだけで完全には防げない。運の悪い機体が貫かれていく。

 

 

 

 

庄内平野ブリタニア軍陣地 

 

「姫殿下を御救いするのだ!!進め!!」

 

コーネリアの危機的状況に際してダールトンはグラストンナイツや特派のランスロットを駆るスザクを前線に投入して切り込ませた。ダールトン自身もグロースターに乗り込み対岸に配されていた予備戦力を前進させた。

 

 

 

庄内平野ブリタニア軍陣地 特派

 

「流石はかつての技術立国日本の後継、北海道政権!!ボクの予想を遥かに超える兵器の数々、すごいね~。でも~ボクのランスロットも負けてないよ~!!」

 

第五世代機震電、ハイパワーレーザービーム車、フルメタルミサイルランチャー、マイクロウェーブ6000サンダーコントロールシステムと言った皇国の新兵器の数々を見たロイドは画面に食い入り張り付いていた。

 

 

 

 

庄内平野酒田市作戦領域地上

 

「西村中佐!!包囲が破られます!!」

「あれが噂の白兜か…。小島少佐麾下の雷電中隊を充てろ。戦車連隊はこのままに、フルメタルミサイルはコーネリアを討ち取ることに専念させろ。」

「了解!」

 

スザクのランスロットに12機の雷電が襲い掛かる。ランスロットはまずヴァリスで4機の雷電を撃墜し、一気に距離を詰めてランスロットはメーザーバイブレーションソードを振るう。するとたちどころに3機の雷電がバラバラに解体される。残った5機が取り囲み機関砲を撃ちまくるが容易くかわされる。さらにランスロットからスラッシュハーケンが四方に放たれ4機が崩れ落ちる。残った一機もランスロットの飛び蹴りを食らって機能を停止させた。

 

「小島中隊壊滅!」

「馬鹿な…12機の雷電が3分も持たずに……。化け物め…全車後退だ。」

 

僅か2分17秒のことであった。

 

 

 

庄内平野作戦領域 ランスロット

 

「でぇやあああ!!こんな!!暴力に訴えて!!」

 

枢木スザクとランスロットの活躍によってコーネリアらは脱出を果たしスザクは殿として最上川岸で皇国の震電や雷電、解放戦線を中心としたレジスタンスの無頼や鹵獲グラスゴーや鹵獲ナイトポリスがスクラップの山として積み上げていく。

 

 

庄内平野酒田市作戦領域地上  作戦指揮所

 

「し、白兜…。何度か、ちらと見たことはあったがこれほどとは…」

片瀬はランスロットの人知を越えた戦いに驚愕し、腰を抜かし元々座っていた椅子にさらに深く腰掛けた。

 

「このままではここも危険では?」

その横で佐川も愕然として本田に尋ねる。

 

「全ミサイル車並びに全自走砲車!!火力で圧殺しろ!!あの白いのを何としても叩き潰せ!あれさえどうにかすればどうにかなる!!」

一方で本田は怒鳴り散らしながら指示を出す。しかしながら白兜…つまりランスロットはミサイルと砲弾の雨を見事なまでに躱していき作戦指揮所へ近づきつつあった。

 

だが、ブリタニア軍は全体を通して終始不利な状況が続き無視できない大きな規模の損害を受けたのであった。

 

 

 

 

陸奥港湾要塞 作戦司令部

 

白兜(ランスロット)の逆襲の様子は酒田市の作戦指揮所を介して黒木達の方にも伝わる。

黒木達は酒田市の指揮所程混乱はしていなかった。

 

黒木は一瞬思案して命令を出す。

 

「サンダーコントロールシステムは最大出力に切り替えて維持。いくつか焼き切れても構わない。白兜の戦闘能力に正面切って対抗できる兵器は手持ちにはない。酒田市作戦指揮所はいつでも撤収できるようにしておいてサンダーコントロールシステムの領域の向こうに震電をかき集めておく。白兜に対しては守りに回った方がいい。残りの部隊でブリタニア軍を追い立てる。すでにブリタニア軍は半壊…じきに撤退命令も出るはずだ。その様に向こうに伝えてくれ。」

 

黒木はオペレーターの下士官にそう告げた。

 

 

 

庄内平野酒田市作戦領域地上  作戦指揮所

 

「作戦司令部より指示が出ています!」

 

下士官からの報告を受けた本田はすぐに作戦を切り替える。

 

「白兜は抑え込むだけでいい!!敵本隊を早く追い払え!!敵に音を上げさせるのだ!!」

 

最大出力で放たれたサンダーコントロールシステムの雷撃とミサイルと砲弾の雨はランスロットやそれに追随した他のブリタニア軍を完全に阻んだのであった。

 

 

 

庄内平野作戦領域 ブリタニア

 

『全軍撤退せよ!後方に一時撤退し戦力を再編する!!』

 

コーネリア、ダールトンらによって発せられた撤退命令によってブリタニア軍は撤退を開始する。撤退を察知した北海道軍は追撃を弱め自陣へ引き返していく。

 

『スザクくん。ご苦労様、撤退よ。』

『いや~。お疲れ様~スザク君!!おかげでいいデータが取れたよ!!』

 

「了解、枢木スザク撤退します。」

 

ブリタニア軍は大損害を出して撤退して行った。

 

 

 

 

陸奥港湾要塞 作戦司令部

 

「ブリタニア軍。後退を開始…敵戦力の約半数を無力化した模様。」

 

オペレーターの下士官の報告に黒木は応える。その表情は満足気だ。

司令部内ではその場の人々の喜ぶ声が聞こえている。通信を介して酒田市の作戦指揮所でも歓声が上がっているのが聞こえる。

 

「こちらの被害も確認する必要がある。追撃の必要はない。損害確認を始めてくれ。」

「了解。」

 

 

北海道函館 首相官邸

 

「おぉ!!よくやってくれました!!庄内平野は解放できましたか!!」

 

陸軍参謀総長桂からの電話を受けて大高は立ち上がって喜ぶ。

 

「では、計画は第二段階へ移行させ三個師団を仙台へ!では私も自由オランダ政府に連絡を取り、オランダ亡命艦隊に南下要請を出します!!第二次奥羽解放作戦を何としても完遂させるのです!!」

 

この時、高杉艦隊・紺碧艦隊及び旭日艦隊の一部は太平洋上を航行しており、ブリタニア太平洋艦隊への抑えとして機能していた。また、欧州ではオランダ政府は欧州本土防衛戦から脱落し蘭領西アフリカのエルミナ城へ遷都しており、オランダ本土政府は消滅し亡命政府としての自由オランダ政府が主導していた。

 

「納屋君、神楽耶様に連絡を入れてくれたまえ。三浦君は会見の用意を3日後で頼みます。」

「「はい」」

 

三浦藍佳と納屋碧の二人の公設秘書に指示を出す。

2人の秘書の一人納屋碧は南洋交易産業の令嬢でもある。東北の復興は南洋交易産業の力も必要になるだろう。

大高は電話機のボタンを押し海軍軍令部へ連絡を取る。

 

「私だ。高野君に回してくれ。」

 

皇歴2017年8月25日サンダービーム作戦は成功し山形県はほぼ全域が解放させた。

 

 


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