コードギアス 皇国の再興   作:俺だよ俺

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第19話 第二次奥州解放戦争中編 新兵器

庄内平野ブリタニア軍陣地

 

最上川を挟み対峙する両軍。両軍はそれぞれの岸に戦闘車両とKMFを並べている。

そんな様子をコーネリアらは双眼鏡などを使ってうかがう。

 

「KMFも戦闘車両も歩兵も今までのレジスタンスとは違う。数も練度も…油断は出来んな。定石通りの戦法だが別動隊を編成して一部部隊を迂回させるか。」

 

「迂回させないと言う選択肢はないでしょうが、敵は恐らくそれも考慮に入れているでしょう。我々がとるべき戦術は…」

 

コーネリアの言葉にダールトンは異見を述べ、ダールトンの言いたいことを先んじ述べるコーネリア。

 

「正面突破か?ギルフォードも同様?」

 

「敵は後続にさらに三個師団に加え多数の航空戦力と艦隊を投入しています。ある種の決戦と考えて相違ないでしょう。あまりこのようなことは言いたくないのですが…こうなるとブリタニアの伝統で考えても正面から敵を討つのが良作かと…。」

 

「いいだろう。敵が決戦を挑むのであれば…こちらも受けて立つだけだ。」

 

コーネリアは獰猛な笑みを浮かべる。間違っても妹のユーフェミアには見せない類の笑みだ。自分と同じタイプの勇将猛将の多い皇国系の将が相手なら自分の苦手(絶対に本人は認めないだろうが)とするゼロの様な策士タイプの将でなければ負けることはないと言う自負を持つ彼女ならではの笑みであった。

ただし、今回の作戦の司令官は彼女の苦手とする勝つためには手段を択ばないヤングエリートだったが…

 

「それにしても…北海道軍のやつら随分と巨大なレーダーだな…。」

「彼らは陸海空ともに電子戦に力を入れています。恐らくその関係かと…。」

「であれば、通信障害が起こることは考慮しておかねばならんな。」

 

「ダールトン、ギルフォード。こちらも早期警戒機と電子戦機を出して対処する。」

彼女達がこの車両搭載型のレーダーと誤認したものは皇国の新兵器のひとつソニックビームシステム車であった。この時点で気付けと言うのは無理な話である。

 

 

 

陸奥港湾要塞 作戦司令部

 

序戦のミサイル射撃戦が開始される。

両軍のミサイル車両やランチャー持ちのKMF、空対地ミサイルを装備した航空機による撃ち合いが始まる。

 

「白銀艦隊迎撃ミサイルを発射。」

 

酒田港近海に展開する白銀艦隊からも迎撃ミサイル及び対地ミサイルや艦砲が発射される。

ただし、前回の傷がいまだ癒えておらず本来の艦隊定数からだいぶ割り込んでいる白銀艦隊は今戦いの決定打にはならない。

 

また、ブリタニア軍は物量の上でも多くの弾薬を投入しておりミサイル車両の数もコーネリアが集中投入を決断したために皇国有利とはいかなかった。むしろ、皇国とブリタニアの戦いでは珍しくミサイル戦で拮抗しており皇国の陣地にもいくつかのミサイルが命中している。

 

内閣副官房長官片桐光男がもう一つの役職危機管理情報局局長の権限を行使して黒木に意見を具申する。

 

「黒木特佐。敵のミサイル戦が拮抗している。むしろ、敵に傾いているように見える。危機管理情報局局長として例の新兵器を投入することを進言する。」

 

「例の兵器?あれか。確かに、あの兵器はこういう時に投入すべきだ。わかった片桐局長の意見を受け入れる。ハイパワーレーザービーム車を対空隊ミサイル迎撃戦に参加させろ。」

 

黒木は片桐の意見を受け入れ新兵器の投入をオペレーターの下士官に命じる。黒木と片桐の間で例の兵器で通じたのはハイパワーレーザービーム車から始まる光学兵器の研究開発において黒木の特殊作戦室と片桐の危機管理情報局が共同して主導したからである。

 

「了解しました。ハイパワーレーザービーム車の投入を命令します。」

 

 

 

戦いは皇国軍及び諸レジスタンス連合VSブリタニア軍と言う、かつてのブリタニアの日本侵攻や奥州解放戦争同様の大規模なものとなった。

 

 

 

庄内平野酒田市作戦領域地上 現地作戦本部指揮所

 

皇国陸軍の下士官がパソコンに送られてきた命令を読み上げる。

 

「陸奥の作戦司令部よりハイパワーレーザービーム車の投入命令です。」

 

「命令を受諾した。ハイパワーレーザービーム車を即時投入。対ミサイル対空迎撃戦に参加させ押し返すぞ。」

 

「っは」

 

本田の会話を聞いて片瀬が尋ねる。

 

「本田師団長?レーザービーム車と言ったが北海道はその様な物も開発しているのか。正直、サンダーコントロールシステムだけでも驚いたのだが…。」

 

片瀬の横で庄内義勇軍の佐川も同様にこちらを伺っている。

 

「その通りです。性能は折り紙付きです。」

 

そう言って本田は片瀬達から視線を戻し指揮に戻って部下たちに指示を出していく。

 

片瀬と佐川はある種の光学兵器への興味から指揮所のテントを出てその目で見ようと席を立った。光学兵器は以前より研究されていたが日本本土占領後からは消失していた。

それを北海道政権が引き継いでも何らおかしくはなかった。ただ、彼らの様な年齢層の人間にとっては書面上存在を知っていても映画や娯楽アニメに出てくるびっくり兵器以上の認識がなかったためにしっくりこなかったのだろう。

 

レーザー砲、エネルギーパックを搭載した装置車と管制装置、サーチライトを搭載した牽引車が所定の場所で停車している。そしてレーザー砲が上空へ向けられる。

 

鮮やかな深紅のレーザーが放たれ多くの敵ミサイルと航空機を撃墜する。

その様子を片瀬はその目で見て拳を強く握る。

 

「この戦い…流れはこちらにある。勝てるぞ…」

 

 

 

庄内平野ブリタニア軍陣地

 

最上川を挟み対峙する双方の戦闘車両とKMFがついに撃ち合いを開始する。

 

ブリタニア軍の大型架橋戦車が射撃戦の合間を縫って最上川に仮設橋を架ける。

それを一番に渡り切り敵の陣地を荒らすコーネリアとギルフォード率いる近衛騎士団。

 

ダールトンは陣地に残り全体の統括指揮を行う。普段はコーネリアが行う事なのだが今回の戦いは北海道軍が本腰を入れている上に片瀬の要請に応じた各地のレジスタンスの指導者や幹部階級が多く集まっておりこれらを多く討ち取りたいコーネリアは前線指揮官として前線に専念することを選んだのだ。

 

鮮やかな深紅が空を走る。すると上空でいくつもの爆発が起こる。

 

「敵の新兵器か。…このままでは制空権が完全に奪われる。…姫様!制空戦が極めて不利な状況です!!直ちにお戻りください!!」

 

ダールトンは通信機に向かって叫んだが、意見をコーネリアは却下する。

 

『不要だ!敵の初期防衛ラインはすでに崩壊した!!敵司令部、片瀬を抑えれば制空権など無意味だ!!このまま押し切る!!』

 

 

 

庄内平野作戦領域地上

 

前線指揮官の西村正彦中佐は指揮通信車から顔を出しブリタニア軍が架橋し渡ってきたことを確認する。

 

「渡河防衛による第二作戦は失敗。第三作戦へ移行する。」

 

第一作戦は序戦のミサイル戦における飽和攻撃による殲滅。最近はブリタニア軍も対策をとってくるため第一作戦の成功率はかなり低下している。

 

 

 

庄内地方及び最上地方作戦領域地上 迂回路

 

この戦いには日本解放戦線、庄内義勇軍、北越救国会、鉄槌同盟、衝鋒隊、日本正義団、鎮撫勤皇党他多数と言った東日本の有力なレジスタンスほぼ全てが参加していた。

その中の一つに黒の騎士団があった。ゼロから派遣人員の委任を受けた扇は幹部陣から井上と吉田を中心にKMF2個小隊と歩兵小隊を派遣した。

レジスタンスの中核戦力は日本解放戦線と庄内義勇軍が担っておりこれらの主力は正面の戦線に集中的に配備されていた。

ちなみにレジスタンスでKMFを保有しているのは日本解放戦線、庄内義勇軍、北越救国会、黒の騎士団の4つだ。この4つ以外の義勇軍は戦車などの機甲戦力を保有しているレジスタンスでその他に数えられたレジスタンスは銃で武装している歩兵レベルのレジスタンスで対KMF歩兵武器を持っていれば御の字と言った程度だ。

 

迂回路の防衛には各レジスタンスと皇国陸軍部隊による混成部隊があたることになっていた。

迂回路防衛部隊は3つに分けられ黒の騎士団が配置されたのもその一つだ。

井上と吉田が振り分けられた混成部隊は黒の騎士団と北越救国会の派遣戦力と皇国陸軍のドラグナー実験小隊。そして権藤大佐率いる対KMF連隊が配置されていた。

ここ前線指揮官である権藤大佐は黒の騎士団の練度の高さを見抜き予備の対KMF重誘導弾を融通した。

 

黒木の信任が厚い権藤が配置されている時点でこの戦線も激戦区確定だ。

 

基本的にKMF部隊の相手はKMF部隊が対応するが、その間を縫って権藤の対KMF

部隊がブリタニアのKMFを攻撃する。

 

この連携は功を奏しブリタニア別動隊をほぼ撃滅することに成功していた。

 

「吉田君。敵は引いてくみたいよ。」

「そうみたいだな。」

 

『そろそろ決着するぞ!黒の騎士団と俺達は正面戦線へ移動だ!だがその前に頼みがある!手を出せ!デサントする!』

権藤は破壊された装甲車を示してKMFの手を伸ばす様に言ってくる。

 

「ほら、乗って」

『おぉ、すまない。』

 

井上達は権藤達をKMFの手に乗せて移動を開始する。

すると上空に線状の鮮やかな深紅の光が走る。

 

『確か黒の騎士団は団員の制服にサングラスがあったな。掛けとけ!』

「どういうこと?」

『いいからかけておけ。』

 

権藤の言ったものはどちらかと言えばサングラスと言うよりはバイザーのような形状だ。

言われた通り井上達はサングラスをかける。権藤達もサングラスを掛け、目を閉じて腕や手で覆い隠す。

その直後自然現象では説明が出来ないほどの雷が正面戦線に降り注いだ。

 

 

 

陸奥港湾要塞 作戦司令部

 

ついにブリタニア軍の主力部隊が本作戦の要、サンダーコントロールシステムの有効範囲に入った。オペレーターの下士官はその事を黒木達に報告する。

 

「ブリタニア軍TC(サンダーコントロール)フィールドに入りました。」

 

黒木はオペレーター達の方へ近づいてその中の一人の肩に手を置いて命令する。

 

「TCシステム…いけるか?」

 

「東北電力公社及び皇国電源供給社の各発電施設の送電は完了。システムの充電は満タンです。電力各社はバックアップに回ります。」

 

「これよりサンダービーム作戦を開始する。システム起動。」

 

 


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