コードギアス 皇国の再興   作:俺だよ俺

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原作R1編
第12話 魔王の生まれた日


皇歴2017年5月20日

日本占領地旧東京疎開ブリタニア政庁

 

「帝国臣民の皆さん。そして、もちろん協力いただいている大多数のイレブンの方々。わかりますか?私の心は今二つに引き裂かれています。悲しみと怒りの心にです。しかし、エリア11を預かるこの私がテロに屈するわけにはいきません。なぜならこれが正義の戦いだからです!すべての幸せを守る正義の戦いだからです。さぁ、正義に殉じた者達に哀悼の意をささげようではありませんか。」

 

「黙祷。」

 

簡易演台から降りたクロヴィスは政庁の新部署設置式典のパーティーに戻る。

 

「流石ですわ殿下。先ほどまでパーティーに参加していた方とは思えません。」

「総督はエリアの看板役者ですからね。これくらいの変わり身は…できて当然です。メディアの方々が喜ぶだけです。」

 

クロヴィスはいつもと変わらぬおべんちゃらに対してこれまたいつもと同じ様な返しを作り笑いを浮かべて返す。本人の心の中では8割がた面倒だと思いつつある事だ。

 

「いえいえ、私共はクロヴィス殿下の助けに少しでもなろうと…」

「おほほほ。」

 

元をただせば、珍しくも普段は抱かない功名心を抱き自分の趣味の領域である考古学などの文化的な側面から父のオカルト事業に横槍を入れてしまった事も今日の事態を招いてしまった一因ではあるのだが、父上達がご執心のものに深くかかわる魔女とやらの学術的調査を部下のバトレー将軍を介して行った結果。知るべきではない情報(都市伝説的な秘密結社のギアス嚮団)と知りたくはなかった情報(自分のあずかり知らぬところで妹が実験体にされていたこと)を計らずとも手に入れてしまった。

自分とて興味の範囲で不老不死だとかオカルトなものを調査したことはある。だが、バトレーが持ってきたものは本物だった。あの頃から自分の立場がふとしたことで揺らぐ可能性が出てきていた。バトレーが嚮団の触手に絡めとられているのもなんとなく気が付いていた。あの時は妹の事は知らなかったし、好奇心が優先されてついついのめり込んでしまった。

妹の事を知ってからもそれは変わらなかった。だが、何度か通信で会うたびに妹の変化に気が付いてしまった。実験を受け始めた頃から始まった頭痛や記憶の混濁に幻覚と言った症状がひどくなっているのを感じた。この時初めて自分が踏み込むべきでないところに踏み込んでいたのだと…。自分一人なら多少うまく距離をとることも出来た。だが、自分の愛する妹が壊されている。ほかならぬ父上に見て見ぬふりをすれば妹が死ぬかもしれない。ライラも自分の体調の変化に怯えを見せている。母が逝去されてからは自分が矢面に立ってきた。後ろ盾はあるが実母の死は自分の地盤の弱体化ではある。故にエリア11の総督に名乗りを上げ、自分の得意分野で功績を上げようとしたのだ。その結果地雷を踏んだ。自分のせいではある。だが、だからと言って妹も自分も死にたくないし死なせたくない。父上に意見するなど以ての外だ。他の兄弟に頼る…できるわけがないオデュッセウス兄さんは頼りない。シュナイゼル兄さんやコーネリア姉さんに関してはマリアンヌ様の件で疑わしく寧ろ裏側の人間かもしれない。そうなれば、もう逃げるしかない。それも、祖国に尻尾を振る可能性が低い完全敵対してる国に逃げるしかなかった。故の日本だ。

正直これから亡命しようとしている国なのにその心証を下げるようなことはしたくなかったが半端なことをすると父上にばれるかもしれない。だから、なんで今なんだと今回のテロには思うところがある。

 

「殿下!」

「なんだ?無粋な?」

 

だから、バトレーの持ってきた報告は一番聞きたくなかった。

 

「申しわかりません…しかし…」

「申してみよ…」

 

バトレーは私にだけ聞こえる様に小さなこえで告げる。

 

「イレブンにCODE:Rを奪われました。」

「………………」

 

「警察にはただの医療機器としか言えません。ですが、全軍を動かすには…」

「直属を出せ。KMFもだ!……万が一が起きれば私も貴様も破滅だ…。バトレー!指揮を執れ!私も後から行く!」

 

パーティーを中断してクロヴィスは自室へ戻る。

クロヴィスは自室で私物をカバンに詰め込みながら日本の工作員から預かった通信機で今すぐにでも亡命したい旨を伝えた。

 

「頼む…早くしてくれ…時間がないんだ。」

 

「クロヴィス殿下、G1ベースへ…」

 

「分かっている!待っていろ!!」

扉の向こうの士官が急かしてくる。クソ、どうしてこんなことに。

 

 

「逃げられただと!?それでも親衛隊か!!」

 

G1ベースでバトレーと合流し現地へ向かう頃には親衛隊は作戦に失敗し事態はさらに悪化していた。

 

「作戦は次の段階だな。あれが父上の耳に入れば私は廃嫡され、その後は」

 

首を斬るジェスチャーをして諦めを抱き始めていた。せめてもの救いは妹の保護に日本軍が動いたことか。本当はしたくなかったが、やらなきゃ自分が父上に睨まれる。妹の立場が少しばかり悪くなるかもしれないが自分も含めて命あればこそだ。

 

「世間には演習を兼ねた区画整理と伝えよう。第3皇子クロヴィスとして命じる。新宿ゲットーを壊滅せよ!」

 

モニター画面を見ていると兵士達が遊び始めているのが分かる。

壊滅させろとは言ったが民間人を虐殺しろとは言ってないぞ。壊滅と言うのは建造物の破壊であって一軒一軒歩兵が回って住人を殺して回る事じゃないんだよ。遊んでないで物を回収してくれ!

 

「っふ、遊んでないで早くかたずけさせろ。」

「っは。直ちに」

 

 

 

 

 

 

 

 

新宿ゲットー地下通路

 

「この騒ぎはお前のせいなんだろ!なあ!しかも、ブリタニアはスザクまでも!」

 

この時、クロヴィス達が血眼になって探している魔女ことC.Cはこの問いはまだゼロと名乗っていないルルーシュと一緒にいた。

そして、この時ルルーシュは日本人を虐殺するブリタニア兵達に遭遇する。そして、携帯が鳴ると言う映画の様なシュチュエーションでブリタニア兵達に見つかってします。

 

「テロリストの最後にふさわしいロケーションだな。学生にしては頑張ったと思うぞ。流石はブリタニア人だ。」

 

「お、お前ら…」

 

「だが、お前の未来は今終わったな。」

 

指揮官のとこが拳銃をルルーシュに向けて引き金を引こうとする。

 

「殺すな!」

 

C.Cがルルーシュの間に入りその銃弾を額に受けた。即死である。

 

ブリタニア兵の後ろには殺された日本人が折り重なり山のようになっていた。そこからは血が流れ血だまりが出来ていた。絶望に浸るルルーシュの手を死んだはずのC.Cがつかむと同時に彼の中に広がる謎の空間。

 

(終わりたくないのだな。お前は?お前には生きるための理由があるらしい。力があれば生きられるか?これは契約、力を与える代わりに一つだけ私の願いをかなえてもらう。契約すればお前は人の世に生きながら人とは違う理で生きることになる。異なる節理、異なる時間、異なる命。王の力はお前を孤独にする。その覚悟があるのなら。)

 

「いいだろう!結ぶぞ!その契約!」

 

 

 

 

「ルルーシュ・ヴィ・ブリタニアが命じる。貴様たちは死ね!」

 

「「「「イエス・ユア・ハイネス!!」」」」

 

 

 

G1ベース内

ルルーシュがレジスタンスの指揮権を握った時点で新宿の不穏分子狩りが一気にブリタニア不利へと変わる。

「まさか、我が軍の機体がテロリストに………敵を包囲して殲滅しろ!敵は中心点にいるのだ!それさえ倒せば!」

部隊を集結させるクロヴィス。しかし、誰もいない。レジスタンスは隠し地下通路ですでに脱出していた。

 

「な、いないだと?な、うわぁ!?」

 

地盤が沈下し、周囲のKMFが壊滅してしまう。

 

「どうなっている。いったい何がどうなっているんだ?こいつは藤堂より…。」

 

そ、そうだ!特派の新鋭機!!

 

「ロイド!!貴様のオモチャなら勝てるか?」

 

クロヴィスは画面の向こうのロイドを睨みつける。

 

「殿下、ランスロットとお呼びください。」

 

 

 

 

 

ランスロットがレジスタンスに奪われたサザーランドを次々と撃破して行く。

 

「なんとか…勝てそうだな。兄上に借りを作ってしまったか。」

 

(この失態で廃嫡はなくても表舞台には戻れない。後ろ盾を失った自分が父上達の暗部の情報を握っている。もはや死しかない…まずい、まずいまずい!!)

 

「バトレー。しばらく一人にしてくれ…」

 

クロヴィスは誰も居なくなったのを確認してから、隠し棚から逃げ出すための荷物を取り出しG1ベース内にある手土産になりそうな情報データをメモリに入れて手荷物に入れる。

 

(逃げるんだ。逃げなければ…。)

 

G1ベース内の明かりが消える。

 

「な、何事だ!…誰か!誰かおらんのか!」

 

その声に警備兵の一人が気が付いて指令室に入ってくる。

 

「お、遅いではないか!きさっ!?」

その警備兵はクロヴィスの額に銃を突き付けて来た。

こ、殺される!暗殺者か!?

 

「停戦させろ。」

「わ、わかった!」

 

クロヴィスは広域拡声装置で指示に従う。

 

「全軍に次ぐ。直ちに停戦せよ第11エリア総督第3皇子クロヴィス・ラ・ブリタニアの名のもとに命じる。直ちに停戦せよ!!建造物に対する破壊活動をやめよ!負傷者はブリタニア人イレブンに関わらず救助せよ!第3皇子クロヴィス・ラ・ブリタニアの名のもとに命じる。直ちに停戦せよ!!これ以上の戦闘は許可しない!!………もういいのか。」

 

亡命先のことも考えてイレブンにも配慮した言葉を付け加えておいた。とにかくどうにかして逃げなくては…クロヴィスは相手の隙を作ろうと話しかける。

 

「次はどうすればいい?歌でも歌うか?それともチェスのお相手でも?」

「懐かしいですね」

すると暗殺者はヘルメットを脱ぎ顔を晒す。そこから現れた顔にクロヴィスは驚愕する。

 

「覚えていませんか2人でいつもチェスをやっていましたよね。いつも私の勝ちでしたが?」

「何を言っている?」

「ほら、アリエスの離宮でね。」

 

「貴様、誰だ!」

「お久しぶりです兄さん。今は亡きマリアンヌの長子第17皇位継承者ルルーシュ・ヴィ・ブリタニアです。」

 

「ルルーシュ…お前が…(暗殺者か)」

「戻ってまいりました。すべてを変えるために…」

 

怨嗟の意を感じるルルーシュの声音にクロヴィスは震え上がった。ルルーシュの言葉に応じるクロヴィスの声は自然と震えが入っていた。

 

「ルルーシュ…日本で死んだと聞いていたが…まさか(暗部の暗殺者になっていたとは)。ルルーシュ、無事で良かった。そ、そうだ!ナナリーはナナリーは生きているのか?」

「えぇ、故あって兄妹2人慎ましく暮らしています。」

 

「る、ルルーシュ今の立場では何かと不便ではないか。良かったら私と…(北海道に)」

「また外交の道具にするつもりか。貴様は何故俺達が道具になったか忘れたようだな。」

「っ!?」

「そう、母さんが殺されたからだ。母の身分は騎士侯だったが出は庶民だ。他の皇女たちにとってさぞや目障りな存在だったんだろうな。しかし、だからと言ってテロリストの仕業に見せかけてまで…!!母さんを殺したな!!」

(ダメだ!完全に私を犯人と思っている。殺される!!)

「わ、私じゃない!!私じゃないぞ!!」

「なら知っていることを話せ。俺の前ではだれも嘘は付けない。誰だ殺したのは」

 

ルルーシュのギアスが発動する。

「第2皇子シュナイゼルと第2皇女コーネリアの二人が何か知っていると思う。」

「あいつらが首謀者か。」

「知らないが私はそう思っている。………私は何も知らない!?本当に私じゃないんだ!!やってない!!やらせてもいない!!」

 

ルルーシュが銃を下ろす。

だが、クロヴィスは自分が見逃される事はないと気が付いていた。だからクロヴィスは玉座のコンソールの転送ボタンを押す。さすがに選別は出来なかったが日本に手土産として渡す情報の一部を北海道での妹の立場が少しでもましになるように転送した…。

 

ルルーシュが再びクロヴィスに銃口を向ける。

 

「やめろぉ!!腹違いとは言え実の兄だぞ!!やめろぉ!!」

「きれいごとで世界は変えられないから…」

「や、やめてくれ!助けてくれ!!」

 

 

この日、魔王が生まれた。

 

 

ブリタニア帝国アーカーシャの剣

「ラグナレクの接続?神話の再びの始まりか!!」

シャルル・ジ・ブリタニアは何者かがラグナレクに接続した事を知り。

 

ナチス第三帝国ベルリン総統官邸

「不快な…。極東の方で良からぬものが現れたようだ。戦禍の天秤と言いあの地域は何かあるようだな。極東の監視を強めたえ。」

「ハイル・ヒトラー!!」

ハインリッヒ・ヒトラーは左目に備える千里眼のギアスを持って極東の不愉快を察知した。

 

 

 

 

 

 

中華連邦インド軍区某所独立派アジト

「本郷少佐…」

「いずれは彼女の耳に入る。伝えるなら早いうちに…」

本郷義昭少佐は同じく通信機を扱う通信士の横に控えるスバス・チャブドラ・ボース氏。その顔には憐憫が浮かんでいる。

「あんな幼い少女だと言うのに独り身になるとは可哀そうに。本郷少佐…やはり…」

ボースが本郷に思いとどまるように声を掛けようとしたが本郷は隣室のライラ・ラ・ブリタニア元へ行ってしまう。ボースはどうするか戸惑い少ししてから本郷を追った。

ボースが扉を開けると本郷少佐はライラ姫殿下にクロヴィス第3皇子の死を伝えてた後であった。

 

「ライラ姫…残念ですが兄君は…」

「うぅ…お兄様…どうしてこんな…いやぁ…。」

 

 


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