ちいさき音   作:ユーセー

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4話 繋がる輪

 

 

 

翌朝、沙綾から1件のメッセージが届いていた。

 

「良かったら途中まで一緒に登校しない?」

 

このメッセージが5分ほど前に届いていたらしい。

嬉しくなった俺はすぐに返信をしようと文字を打っていた。

 

だが、寝起きでちゃんと文字が打てない…

いや、それだけではない…

沙綾とのメッセージ、変なこと言ったら嫌われちゃうかも…と凄く緊張していた。

 

 

2.3分してやっと「いいよ!」

このたった数文字の文章を打てた。

その時、着信が来た。

沙綾からだ。

 

 

おそらく、返信が数分来なかったため起きてるかどうかの確認を込めて電話したのであろう。

 

俺はその出来事にビックリしてすぐに通話ボタンを押した。

 

「も、もしもし…?」

 

「あ、起きてた起きてた!メッセージ見た?」

 

「ごめんね!今返信しようと思ったところ!」

 

「いやいや、私こそ急にメッセとか電話とかごめんね?なんか…昨日のこと思い出したら…ちょっと会いたくなっちゃって…」

 

「今後も毎日パン屋に行くから放課後会えると思うよ!」

 

「まぁ…そうだけど…ススムは朝から私に会いたい!とか思ってくれないの?」

 

「うーん…まだ寝起きだから頭そこまで回ってないかも…」

 

「まだ寝起きって…学校間に合うの?」

 

「いつもギリギリ間に合ってるよ〜?」

 

「ギリギリじゃダメ!余裕を持っていかなきゃ!まだ1年生でしょ!?」

 

「でもぉ…」

 

「言い訳無用!じゃあ私の家で待ち合わせね!」

 

その言葉を残し電話は切られた。

いつもなら後少し寝てられるのに…

 

母親よりも面倒くさい存在に出会ってしまったかもしれない…

そう思いつつ俺はリビングへ降りた。

 

「あら、今日は早いんじゃない?」

 

「うん…友達と待ち合わせでね」

 

「なるほどね。朝ご飯は?」

 

「いらない。もう出なきゃ…待たせちゃ悪いし」

 

「そう…珍しくもう準備出来てるみたいだしね。気をつけて行きなさいよ?」

 

「うん…じゃあ行ってくる」

 

俺はいつもよりもかなり早めに家を出た。

 

 

今更だが

俺の通う高校が全く別の方向だったらどうしていたのだろう。

と言う考えが頭をよぎったが

いつもパンを買う時に制服だったことを思い出した。

 

この辺の共学の高校は2校しかないため特定は簡単だろう。

 

というか、どちらの高校も同じ方向だ。

俺の通う、木村ノ秋高校。

そしてもう1つの高校、高山高校。

 

ブレザーと学ランなので違いがすぐにわかる。

ちなみに俺の高校はブレザーだ。

 

きっとその姿を見てるため、俺が木村ノ秋高校の生徒だとわかったのだろう。

 

 

そうすると沙綾は花咲川女子学園だろう…

俺の通う途中に女子高はその1校しか無い。

 

別の高校なら一緒に通うということができないからだ。

 

 

まぁ…沙綾がそういうところ意外とバカで全然考えてなかった…なんてこともあるか…?

 

 

なんて考えごとをしながら歩いていたら

後ろから声がした。

 

「今…私のことバカ…とか考えてなかった…?」

 

「さ、沙綾!?」

 

気がつくと俺は沙綾の家を過ぎていたらしい。

 

「…思いっきり声出てましたけど…?」

 

「な、何がですか…?」

 

「あのねぇ…私もそこまでバカじゃ無いから!」

 

「怒ってます…?」

 

「どうでしょうね……」

 

「ごめんなさいぃ!!」

 

やばい!どうしよう!どこから聞かれてたかわからないけど、沙綾に嫌われちゃう!!

少し涙が出てきていることに気付いた。

 

「ちょっ!別に泣かなくても!!」

 

「本当にごめんなさいぃ!」

 

「もう…別に怒ってないからさ…?(笑)」

 

「本当…?良かったぁ…」

 

「じゃ、学校向かおっか!」

 

俺と沙綾は歩き出した。

 

他愛もない世間話をしながら。

 

最初はもうちょっと寝てたいとか、正直思ってたけど

やっぱりこの時間…幸せだ。

 

この幸せな時間…明日からも続かないかな?

 

「ね、ねぇ沙綾!」

 

「ん?どうした?」

 

「明日からも!一緒に…行こ?」

 

ダメ元でお願いしてみると

 

少し顔を赤くした沙綾が俺を見つめ

「そんなに私と…2人っきりの時間作りたい…?」

少しいたずらげに微笑みながら言った。

 

 

「え、えぇ!?2人っきりって言うか…その…何と言うか…」

 

確かに…間違ってはいないけど…

 

 

「いいよ、明日からも一緒に行こ?」

 

「あ、ありがとう!早起きするね!」

 

「うん!楽しみにしてる!そろそろ学校だね…?」

 

あ、そっか…やっぱり花咲川だったのか…。

でも明日からまたこの時間が来るなら…我慢だ我慢!

 

「そういえばこれ、ススムに持ってきたんだよ」

 

「何これ?沙綾の家のパン?」

 

「ううん、私が作ったお弁当!」

 

「え!?手作り?いいの?」

 

「うん、ススムに作ってきたんだもん。受け取ってくれない方がむしろ嫌だよ…?」

 

「ありがとう!大事に食べます!」

 

「そうしてくれると嬉しいな!」

 

なんと沙綾から手作りの弁当をもらってしまった…

やばい…なんか本当に幸せものだ!

 

「じゃあ、私はこっちだから。また放課後うち来てね?」

 

「またね〜!」

 

沙綾と別れ、俺も学校へと向かった。

 

 

 

 

 

 

 

特に学校では何事もなくお昼になった。

 

沙綾の弁当はとても美味しかった。

これからも…毎日作ってくれないかな…?

なんてことを考えながら完食した。

 

沙綾の弁当のおかげで午後の授業も乗り切り

学校は終わった。

 

そして最近の日課、山吹ベーカリーへと向かった。

 

「いらっしゃい…あ、ススム!」

 

「沙綾!お弁当美味しかったよ!ありがとね!」

 

「本当?それは良かった!じゃお弁当箱は返してね?明日もそれに作るんだから」

 

「明日からも作ってくれるの!?」

 

「え、そのつもりだけど…ダメかな?」

 

「全然嬉しい!楽しみにしてる!」

 

「じゃあ私もはりきって作らなきゃ!」

 

なんて会話をしていると1人のお客様が来たようだ。

 

「いらっしゃいま…って今度はりみじゃん!最近来なかったけどどうしたの〜?」

 

いつものチョココロネの子!

確かに久しぶりに見た気がする…

やっぱり可愛いなぁ〜沙綾とは違う可愛さがある!!

 

「今度有咲ちゃんの家でライブやることになって…それで忙しくなって来れなかったんだぁ…」

 

「へぇ…大変だね…ウチのチョココロネ食べて頑張れ!」

 

「うん!今日はたくさん買っていくね!」

 

「おぉー!ありがと!…ってあれ?ススム?どうしてそんなに怯えてるの?」

 

「えっと…あの…その…」

 

やっぱり…中々話し慣れてない女の子が近くにいるとテンパってしまう…

 

「えっと…あの人…沙綾ちゃんの知り合い…?」

 

「あ、りみは知らないんだったね…彼はススム。私の友達だよ!仲良くしてあげてね?」

 

「えっと……その…ススムです…よ、よろしく…お願いいたします…」

 

「あ、あの…わ、私は牛込りみです…その…よろしく…です…」

 

 

あ、もしかしてこの子男の人が苦手とかなのかな?

 

沙綾が俺と似ているって言ってたことが、少しわかった気がする。




かなり睡魔に襲われながら執筆していたので、文章などがごちゃごちゃかもしれません…

誤字脱字の指摘、感想などお待ちしております!

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