続き書けたで候。
では、どうぞ∠( ゚д゚)/
間もなく、新人戦モノリス・コードの二試合目が始まる。
相手は四高で、市街地フィールドでの試合となる。
スタート地点は廃墟となったビルの中であり、外にはよく似たビルが多い。
エドはというと、森崎と五十嵐の二人と作戦会議をしていたが、なぜだか無性に胸騒ぎがしていた。
思わず周りを見渡し警戒するものの、特に変わった様子は見られない。
(なんか……嫌な予感がするんだよなぁ……)
するとエドの様子に二人が気付く。
「どうかしたのか?」
「もしかして、気分でも悪いか?」
「……いや、なんでもねぇ。少し見通しが悪いなと思っただけだ」
エドはごまかしながら作戦会議を続ける。
「……それより続けるぞ。試合が始まったら、まずオレが相手のところに先行する。森崎はオレが行った後に周りを警戒しながら慎重に進んでくれ。五十嵐はモノリスの近くに身を隠しつつ、相手がやってきたらバレないように撃破。なんならモノリス自体に硬化魔法をかけて時間稼ぎするのもありだ」
二人は頷く。
「今回の市街地フィールドは視界が制限される場所が多いうえに、障害物も多い。だがその条件は相手も同じだ。手堅く慎重にいけば、決して勝てない相手じゃねぇ。気合い入れていくぞ、お前ら」
「「了解」」
エド達三人はモノリスの近くで、姿勢を低くして待機する。
そして試合開始時間が迫ってきたそのとき……
「っ!……伏せろお前ら!!」
咄嗟にエドは両手を合わせて錬金術を発動させるが……
(……間に合わねぇ!?)
エドが錬成するスピードより廃ビルの天井が崩れる方が
なんとか地面から自分達を中心に囲むようにドーム状の壁を錬成するものの、間に合わずに森崎と五十嵐の頭に落ちてきた瓦礫が当たってしまった。
「ぐあ!?」
「うっ!?」
「森崎!?五十嵐!?」
二人は倒れる。
「ちっ……ちくしょおおぉぉぉ!!!!!!」
エドは崩落が収まるまで、ひたすら耐えるしかなかった。
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「おい!しっかりしろお前ら!!」
崩落が収まると、エドは一目散に二人へと駆け寄る。
いくつか大きな瓦礫が二人の身体の上に落ちており、森崎と五十嵐は既に意識を失っていた。
所々出血もしており、一刻を争う状況であった。
エドはまず瓦礫を錬金術で分解すると、二人の容態を確かめる。
(……二人とも命に別状はねえな。錬金術である程度瓦礫を防げたのが不幸中の幸いか。ただこのケガじゃ、もうモノリス・コードに参加はできねぇ)
エドは両手を合わせて、錬丹術を発動させる。
二人のケガの治療をするが、その表情は優れない。
それどころか激情に駆られるような感情にとらわれる。
二人の治療を終えると、思わず地面を左手で殴りつけていた。
「ふざけやがって!!!!」
エドは自分の無力さに打ちひしがれる。
救助隊が来るまで、彼は一人項垂れていた。
◆◆◆
第一高校と第四高校との試合で起きた崩落事故は、会場中にすぐさま知れ渡った。
真由美と十文字がすぐに現場へと向かうと、医師に説明を行っているエドの姿があった。
森崎と五十嵐の二人は、唯一無事だったエドの治療の甲斐あって、本来なら全治三週間であったところ全治一週間で済んだのだ。
しかし一週間の入院は必須。
当然、モノリス・コードへの復帰は不可能だ。
事故後の調査によると、四高の使用した魔法は
物体に対して一点に強い圧力を掛けて破砕するこの魔法は建造物、特に屋内に人がいるときに使用された場合、殺傷性ランク『A』に相当し、明確なレギュレーション違反となる。
当然、四高は危険行為により失格。
しかも問題なのは、試合開始直後にこの魔法が放たれていることだ。
破城槌は『一つの面』として認識できる広さに干渉しなければならないため、大きなキャパシティと強い干渉力が要求される。
それだけの規模の大きな魔法が試合開始直後に使用されたとなれば、一高陣地の捜索はそれ以前に行われていたということ。
四高は危険行為に加え、魔法のフライング違反も重ねていたのだ。
危険性の高い魔法の使用に、状況証拠からのフライングの証明ともなれば、それは最早疑い様がなかった。
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森崎と五十嵐が病院に搬送された後、エドは簡単な治療を受けると、一高本部で真由美と十文字の二人と話していた。
「……自分が不甲斐ないよ。あのとき、もう少し早く気付くことができたら、あいつらが傷を負うこともなかった」
「エドワード君……」
エドが椅子に座り、沈んだ表情で言う。
これには真由美も何も言うことができなかった。
すると様子を見ていた十文字が話を切り出した。
「エルリック、そのままでいいから聞け。俺はこれから先程の事故について大会委員会と話し合いを行ってくる。このままいけば一高は棄権することになるだろう。だが、そんなことは俺がさせん」
「十文字君……それって」
「そうだ七草、お前の考えている通り……なんとしてでも大会委員会にメンバーの入れ替えを認めさせる」
十文字は説明する。
「今回は明らかに大会側の不手際だ。ましてや、こちらは被害者だ。特例でメンバーを変えること自体は不可能ではない」
そしてハッキリと告げた。
「だからこそエルリック、
エドは目を見開く。
「オレの……務め?」
「そうだ。お前とて、このまま終わるのは不本意だろう?なら、それを払拭する切っ掛けくらい、俺達が作ってやる」
十文字は踵を返す。
「後輩に道を作ってやるのは、
そして一高本部を出ていった。
そのまま話し合いへと向かったのだろう。
その様子を見ていた真由美はクスリと笑う。
「十文字君なりにエドワード君を励ましたのよ。でも相変わらず言葉足らずなんだから」
そして真由美もエドへと向き直る。
「私は他の子達の様子を見てくるけど、エドワード君はこのままここで休んでてね?」
「……ああ」
真由美も出ていくと、エドは一人本部の中に取り残される。
「…………」
それから何分経ったであろうか?
彼はゆっくりと顔を上げる。
「務めを果たせ……か」
すると何を思ったのか、エドは机に勢いよく頭突きをかました。
ゴンッ!!!!!!
鈍い音が辺りに響く。
あまりの頭突きの強さに机は壊れてしまった。
「いてぇ……だがこれで、目は覚めた……」
その表情は先程とは打って変わり、力強い表情をしていた。
「そうだ。こんなところで項垂れてる場合じゃねぇ。モノリス・コードはまだ終わってねえんだ。だったらやることは一つ……優勝あるのみだ。オレは
その目には焔が宿っていた。
ちなみに壊した机はちゃんと錬金術で直しておいた。
次回はトントン拍子で進みます。
ちなみにエドの直感スキルみたいなものは、プシオンを感知できるようになった影響みたいなもんですはい。
では、また( `・∀・´)ノ