魔法科高校の鋼の錬金術師   作:Gussan0

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どうも|д゚)チラッ

続き書けたで候。

では、どうぞ∠( ゚д゚)/


第五十話 新人戦 モノリス・コード 予選

九校戦五日目が終了した日の夕刻、横浜中華街某ホテルにて、五人の人物がテーブルを囲んで話し合いを行っていた。

 

この五人の所属している組織は無頭竜(ノー・ヘッド・ドラゴン)と言い、香港系国際犯罪シンジケートである。

 

彼らの首領は部下の前にすら姿を見せないことから、『頭の無い竜』と敵対組織から名付けられ、恐れられている。

 

無頭竜は魔法を悪用する犯罪組織であり、幹部として取り立てられる為には、魔法師であることが必須条件となっている。

 

そんな彼ら無頭竜東日本支部の幹部連中は、現在九校戦の勝敗で賭けを行っていた。

 

賭けは胴元がオッズを決めて客の相手サイドとして参加するイレギュラーなブックメーカー方式で行われており、無頭竜はお得意様の接待と銘打ち、大本命の一高に高いオッズを示して掛け金を集中させ、三高に優勝させることによって利益を得ると共にイカサマを疑われないよう勝ち過ぎを回避する、という商売を目論んでいるのだ。

 

そのために一高の優勝阻止に向けて、様々な妨害工作を行っている。

 

バスの事故から始まり、参加選手のCADへの細工、魔法による試合の妨害など……しかしそのいずれを持ってしてもトップである一高の順位を未だに落とせずにいた。

 

 

「どういうことだ!!新人戦は三高が有利ではなかったのか!?」

 

 

「せっかく一高の有力選手を病院送りにしたのに……このままでは大損だ」

 

 

「今回のカジノで失敗すれば今期のビジネスに大きな穴が開く……そうなればここにいる全員が本部の粛清対象になるぞ」

 

 

そのとき五人の表情が強張る。

 

それほど本部からの粛清とは恐ろしいのだ。

 

 

「……死ぬだけならまだいいが……」

 

 

一人の男が呟く。

 

すると東日本支部のリーダーポジションにいるダグラス・(ウォン)が言った。

 

 

「……案ずるな。まだ次の手がある」

 

 

そして無頭竜は次の妨害工作に打って出る。

 

しかし彼らに既に余裕はなかった。

 

 

 

◆◆◆

 

 

 

九校戦七日目にして、新人戦四日目。

 

今日ほど九校戦が盛り上がる日もない。

 

いよいよ九校戦の花形競技である『ミラージ・バット』と『モノリス・コード』が始まるからだ。

 

ミラージ・バットは、女子が妖精を彷彿とさせる色鮮やかな衣装で宙を舞う姿が、男性の心を鷲掴みにすることから人気が高い。

 

空中に投影されるホログラム球を魔法で跳び上がり、手にしたスティックで打ち消し、その数を競い合うのだ。

 

四人一組で予選六試合行い、各試合の勝者で決勝を行う。

 

見た目は軽やかだが、跳び上がる魔法の動作を約一時間の試合中、ずっと続ける必要があるため、その負担はフルマラソンにも匹敵する非情にシビアな競技となる。

 

予選から決勝まで含めて一日で行われ、試合時間は15分1ピリオドを3ピリオド制。

 

1試合の休憩時間は5分で、合計55分試合を行う。

 

一方のモノリス・コードは、男子が二日間に渡って争う三対三のチーム戦である。

 

この競技は、九校戦で最も盛り上がるメインプログラムであり、各校とも特に力を入れる競技である。

 

選手は毎回ランダムに選出されたフィールド、森林・岩場・平原・渓谷・市街地の五つのステージで戦い、相手の陣地に置かれた特殊な装置モノリスを狙って攻防を繰り広げる。

 

相手選手への攻撃は魔法攻撃のみが認められており、直に殴る、手に持った武器でそのまま攻撃するなどの直接戦闘行為は禁止されている。

 

また、ヘルメットを取られた選手は、それ以上の競技行動は禁止となる。

 

このモノリス・コードは本戦、新人戦ともに各校から選りすぐりの選手が出場することでも知られており、そのためモノリス・コードだけは必ず観戦するという人もいるほどで、その注目度の高さが窺える。

 

新人戦ミラージ・バットには光井ほのか、里見スバルの二人が出場し、新人戦モノリス・コードにはエドワード・エルリック、森崎駿、五十嵐鷹輔(いがらしようすけ)の三人が出場する。

 

そしてミラージ、モノリス共に一高チームの試合がいよいよ始まろうとしていた。

 

 

 

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一高の天幕にて、ミラージ・バット及びモノリス・コード新人戦の選手達が集合していた。

 

そんな中、エドはほのかとスバルに激励の言葉を送っていた。

 

 

「ほのか、スバル。ミラージ・バット、絶対に負けんじゃねえぞ」

 

 

エドの言葉を受けた二人は笑顔で答える。

 

 

「うん。エドこそ、モノリス・コード負けたら許さないんだからね?」

 

 

「心配しなくても、私とほのかでワンツーフィニッシュを決めてやるさ」

 

 

互いに激励を済ませると、それぞれの戦いの舞台へと向かう。

 

そしてエドは少し離れたところに控えているモノリス・コードのメンバーである森崎駿と五十嵐鷹輔の元へ向かうと一言、言った。

 

 

「行くぞ」

 

 

「「ああ」」

 

 

森崎は気合を入れ、五十嵐も緊張しながら答える。

 

三人は今から六高との試合に臨む。

 

 

 

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試合開始前にエド達は、自陣モノリス前で改めて方針の確認を行う。

 

 

「最終確認だ。基本的にはオレが攻撃(オフェンス)、森崎が遊撃(ミッドフィルダー)、五十嵐が守備(ディフェンス)のフォーメーションでいく。オレが前衛で情報収集しつつ、二人に報告。余裕があれば相手の撃破とモノリスの分割も積極的にしていく。森崎は報告されてきた情報を基に、その場の状況に応じて攻撃と守備両方を側面支援。五十嵐は自陣のモノリスを守りながら、攻めてきた相手を確実に無力化。ここまでで何か質問は?」

 

 

エドの質問にプロテクション・スーツに身を包んだ二人は答える。

 

 

「大丈夫だ」

 

 

「も、問題ない」

 

 

森崎は自信のある表情で、五十嵐は少し緊張しながら答える。

 

その様子を見ながら、エドは不敵に笑って言った。

 

 

「それじゃ、勝とうぜ!!」

 

 

そして六高とのモノリス・コードの試合が始まった。

 

 

 

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エドは走りながら敵陣のモノリスを目指す。

 

そして彼は腕輪型CADを操作し、自己加速術式を展開させて疾走する。

 

渓谷ステージであるため、すぐ側には川がある。

 

 

(水辺か。色々できそうだな……)

 

 

跳躍の魔法も併用してエドは岩場をスイスイと駆け上がっていく。

 

そして気配感知で相手の動きを感じ取りながら走っていると、二つの気配が早く動くのを感じ取る。

 

 

(二人別々に動き出したか。なら一人はこっちで仕留めておくか)

 

 

エドは通信機で指示を出す。

 

 

「六高のアタッカーが二人動き出した。一人はこっちで仕留めておくから、森崎はもう一人の方を頼む。五十嵐はそのままモノリスの警戒を維持」

 

 

『『了解』』

 

 

エドはそのまま気配のする方へと向かう。

 

そして木へと跳び移ると、辺りの様子をうかがう。

 

見れば六高のアタッカーが警戒しながら走っていた。

 

さっそくとばかりにエドは魔法を発動させる。

 

 

「先手必勝!」

 

 

無系統魔法である『共鳴』を発動させる。

 

対象に想子波(サイオンは)を浴びせ、生体波動と想子波の共振を引き起こして対象を戦闘不能にする魔法である。

 

 

「がっ……ぐっ……これは……」

 

 

そして六高のアタッカーは気絶した。

 

 

(こういうときに魔法っつーのは便利だな。相手を傷付けずに無力化できる。錬金術じゃこうはいかねぇからな)

 

 

念の為に相手のヘルメットを取っておく。

 

これでこの選手はもうこの試合では行動できない。

 

エドは通信機で現状を報告する。

 

 

「こっちのアタッカーは無力化した。そっちはどうだ?」

 

 

返事はすぐに返ってきた。

 

 

『僕の方も相手の無力化に成功した。そっちの応援は必要か?』

 

 

「念の為にモノリスの方には来といてくれ」

 

 

『了解』

 

 

そしてエドは再び自己加速術式を発動させて、相手のモノリスへと向かう。

 

数分ほど走ると、相手のモノリスが見えて来た。

 

すぐ近場の岩場に身を隠す。

 

最後の一人はモノリス前で構えを見せていた。

 

 

(最後の一人か……なら、派手に行きましょうかね)

 

 

エドは両手を合わせると川の水を錬金術で水蒸気へと変える。

 

 

「な、なんだ!?」

 

 

相手選手はCADを構えるが、突然視界を遮られたことによって軽くパニック状態となっていた。

 

その間にエドは一気に距離を詰める。

 

相手にエドの姿は見えないが、エドは気配感知で相手の居場所を正確に捉えていた。

 

そしてCADを操作し、左手を相手の前にかざす。

 

 

「し、しまった……」

 

 

共鳴を発動させると、六高のディフェンダーは気絶した。

 

直後、試合終了のサイレンが鳴り響く。

 

一高の完勝であった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「まあ、こんなもんか」

 

 

エドはヘルメットを取ると一息つく。

 

 

(あいつらは上手くやってるか?)

 

 

エドは空を見ながら、別会場でミラージの競技を行っているであろう、ほのかとスバルの事を考える。

 

 

(……問題ねえか。エンジニアはあのシスコンだし)

 

 

「オレはオレで自分の競技に集中しねぇとな……」

 

 

そしてエドは次の試合に向けて気合を入れる。

 

だがこのときの彼は予想していなかった。

 

次の試合であんな大惨事が起ころうとは……。




次回は四高との試合ですはい。

さて、どうなるのか?

では、また( `・∀・´)ノ

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