続き書けたで候。
最近、恋愛描写の参考にと『カードキャプターさくら』を見ているのですが、恋愛面に関しては、やたらと業が深いことに今更気付きました(白目。
BLにGL。教師と小学生。
三角関係に年の差、同性愛。
いやでも司波兄妹も良く似たような気も……今更か。
あとなんでカードキャプターさくらをチョイスしたかというと、同じ魔法繋がりだからということでチョイスしました。
久しぶりに聞いたさくらちゃんの『絶対大丈夫だよ』に癒やされました(吐血。
では、どうぞ(゚∀゚)キタコレ!!
実況の声が会場全体に響き渡る。
『皆様、こんにちは。女子新人戦スピード・シューティングは早くも準決勝を迎えます。予選では超高校級の魔法に度肝を抜かれ、準々決勝でも選手達の熱い対決に手に汗を握りました。そしてその戦いもついに8強にまで絞られました!いずれも各校の有力選手です!』
スピード・シューティングも準々決勝が終了し、いよいよ準決勝が始まろうとしている。
『そして注目はなんと言っても今から始まるこのカード!』
それに合わせるように二人の少女の顔がモニターに映し出される。
『予選では新魔法「アクティブ・エアー・マイン」で会場を興奮の渦に巻き込んだクールビューティー!準決勝でも圧倒的魔法力でライバルを制圧するのか!?第一高校、北山雫選手!!』
雫が映り……
『なんと本大会パーフェクトを二度記録!その正確無比な軌道予測に並ぶ者はなし!連鎖で奏でる重奏曲「アリスマティック・チェイン」は準決勝でも炸裂するのか!?第三高校、
栞が映る。
『早くもこの二人が激突します!両選手の活躍をどうぞお楽しみ下さい!!』
それを見ていた第三高校の参謀、カーディナル・ジョージこと
「ずいぶん注目されているようだね」
「吉祥寺君ほどじゃないわ」
「ははは……また謙遜を。さて、本題だ。北山選手の準々決勝での使用魔法を解析した。自分のクレーだけを狙いやすくするため、空間に対する自分のクレーの密度を高める収束魔法をかけているんだね。相手のクレーはその反動で軌道を変えられ得点が伸びなかったようだ」
真紅郎は続ける。
「一口に反動と言っても出力規模の違う起動式を
真紅郎の問いに栞は、力強く告げた。
「当然よ」
そして打ち合わせを終えると、会場のゲート前に向かう。
その足取りは力強かった。
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一方その頃、準々決勝をなんなく突破した雫は達也との打ち合わせを終わらせた後、一足先にゲート前で待機していた。
すると……
「北山さん」
栞がやって来た。
「来たね」
雫はうっすらと微笑む。
それに合わせるように栞も静かに微笑んだ。
「準決勝よろしくお願いします」
「こちらこそよろしく。宣言通り上がってきた。さすがだね。準々決勝見たよ」
「ええ私も。北山選手の準々決勝、十分に検討しました」
「へぇ」
両者共にさらに不敵に笑う。
二人の間で火花が散っていた。
「
「ええ、お互いベストを尽くしましょう」
ついに両者が激突する時がきた。
◆◆◆
エド達は雫の応援をするために、引き続き会場に足を運んでいた。
「うわあ……凄い数のお客さん」
エリカがあまりの人の多さに驚く。
無理もない。
全ての席が埋まっているのだから。
「それだけ注目のカードってことなんじゃない?」
「二人ともパーフェクトを取っているもの。無理もないと思うわよ?」
美月がやんわりと話し、深雪もそれに合わせる。
会場のボルテージは最高潮だ。
そんななかエドは厳しい表情をしていた。
それに気付いたほのかが話しかける。
「どうしたのエド?そんな難しい顔して」
「ん?あー……この試合、雫の方が不利だと思ってな」
「えっ!?そうなの!?」
エドの言葉に思わず驚くほのか。
エドは説明する。
「次の雫の相手、第三高校のあの金髪女の取り巻きその1だろ?あいつの
エドは続ける。
「雫が準々決勝で使った魔法は自分のクレーを砕きつつ、相手のクレーの軌道を逸らす効果があっただろ?だが取り巻きその1は、
「あ……言われて見れば確かに」
「だがその事をあの
すると丁度そこに両選手が入場してくる。
二人は自分の定位置につくとCADを構える。
ビーッ……!!!
そして競技がスタートした。
両者互いに自分のクレーを破壊していく。
観客はさらに盛り上がる。
『準々決勝と同じく十七夜選手の白いクレーが軌道を逸らされてる!』
『北山選手の必勝パターンだ!』
『いや……違う!軌道を逸らされたにも関わらず白いクレーの連鎖が続いてる!?』
『すごい!あの北山選手の戦術を覆したぞ!!』
『なんて高度な戦いなんだ!?』
両者共に一進一退の攻防を繰り広げていた。
「雫も凄いけどそれ以上に十七夜選手が点数を伸ばしてる!?」
「……みてぇだな」
ほのかとエドも驚いていた。
その間にも栞と雫の点数差はジワリジワリと広がっていく。
「雫……ちょっと不利なのかな」
ほのかの弱気な発言に深雪が反応する。
「大丈夫よほのか。雫の担当技術者を誰だと思ってるの?お兄様が対策を考えていないはずがないわ」
深雪の言葉にエドは呆れた声音で返す。
「やっぱり対策用意してやがったか……」
「はい。雫のCADをよく見てみて下さい」
「ん?普通の
深雪に言われるがままに雫のCADに注目する一同。
すると突然、幹比古が声をあげる。
「えっ!?」
「どうした?」
レオが幹比古に声をかけると驚くべき言葉が返ってきた。
「あのCAD……普通の特化型じゃない!?
「マジか!?しかも車載用って!?」
「
レオとエリカも驚く。
「
美月が補足情報を付け加える。
ちなみにこの場合、汎用型がパソコンで特化型がゲーム専用機に当たる。
「そうね。だからあれはお兄様のハンドメイド。汎用型CADでも照準補助システムを利用できるようにとお作りになった物よ」
そして
レオがゆっくりと聞く。
「えっと……一応聞くがなんのために?」
「それはもちろん、試合のためですよ」
するとここから試合が動き始めた。
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雫は焦らず堅実に赤いクレーを破壊していく。
それは
「そろそろかな、達也さん」
そしてそのときは来た。
雫の隣にいる
(おかしい……)
隣で白いクレーを破壊していた栞は、違和感を拭えなかった。
(体調は万全なのに予想以上に消耗している……アリスマティック・チェインがいくら消耗しやすい規模の魔法式だとしても北山選手の前回の戦法をシミュレートして最適に調整しているわ。なのに
三高でもこの試合は注目されている……が、CADの深い知識がある者達は一高の策に驚愕していた。
「まずいなジョージ……」
「ああ、北山選手のCAD、あれは恐らく……
一条将輝と吉祥寺真紅郎も目を見開く。
真紅郎は苦い顔をする。
「迂闊だった……!あれだけの起動式は特化型に収まる数じゃない。未だに照準付き汎用型CADを発売する企業が出てないとはいえ、発表された以上は可能性を除外すべきじゃなかった」
「だが準々決勝で展開された収束魔法の出力規模は限定されていた。わざと少ない数の起動式で戦ってたっていうのか!?」
将輝の疑問に真紅郎は答える。
「そう。恐らく誤認させるための作戦だったんだ。こんな作戦を立てて次世代汎用型CADを用意した奴がいる。一方で特化型だと見まごうばかりの魔法の発動速度は選手自身の魔法力がなければ成り立たない。本人の特性を活かした唯一無二の策。一高はこんな隠し玉を持っていたのか……!」
「そうか……こちら側の作戦は
「
達也の立てた作戦とは、相手のオーバーワークであった。
相手に特化型のCADを使っていると誤認させておき、その間に汎用型CADで多様な魔法で翻弄することにより、相手のペースを乱す狙いがあったのだ。
将輝は歯噛みする。
「今の
二人の言うとおり栞の体力は限界に近かった。
予想より負荷のかかる連続的な魔法の使用により、スタミナの消耗が想定よりも早かったのだ。
一方、この作戦を立案した件の達也も控え室で試合を観戦していた。
「さすが十七夜選手と、カーディナル・ジョージだな。準々決勝で初めて使用した雫の魔法にもう照準を合わせて来るとはな」
達也は呟く。
「雫のCADには効果範囲や、強度を固定した収束魔法の起動式が
達也は続ける。
「相手は雫のCADを特化型だと思い込んで作戦を立ててきたな。残念だがあれは照準付き汎用型CAD。昨年ドイツのデュッセルドルフで発表されたばかりの技術でFLTでもまだ実用ベースには至っていないが……『カーディナル・ジョージ』に対抗するためにはこのくらいはしないとな。対策されてさえいなければ、雫の勝ちだ」
そしてCADの差は如実に現れた。
ついに栞がクレーを外したのだ。
「くっ……外した!?」
常に余裕がある雫と、常に余裕のない栞。
どちらに分配が上がるかは一目瞭然であった。
しかし、彼女は冷静だった。
(いや、まだ大丈夫。逸れた地点に近い破片をぶつけて……予定とは違うけどあちらの破片で連鎖を作る……よし!)
なんとか立て直し、クレーを破壊する。
(おかしい……こんな計算ミスするはずがないのに。それにさっきからの
そして、ついに気付く。
(原因は分かったわ。私達の想定よりも出力規模の異なる収束魔法を大量に使用していたのね北山雫……!その作戦を可能にした魔法力の高さは敵ながら認めざるを得ないわ。でもここから一つも撃ちもらさなければまだ勝機はある)
だが彼女は諦めない。
(こんなところで立ち止まる訳にはいかないんだから。愛梨と共に完全優勝を果たすのよ。そのために私は勝利を掴む……!)
最後まで力を振り絞り、勝利しようと足掻く。
しかし……限界は訪れる。
『連鎖を外したー!?』
『最後の連鎖が繋がらなかった!?』
栞は最後のクレーを破壊することはできなかった。
「そんな……」
それを見た雫は勝利を確信する。
「私の……勝ち」
そして雫は最後のクレーを破壊した。
ここに勝敗は決した。
『北山選手、決勝進出だー!』
点数は92vs96の接戦であった。
◆◆◆
雫はそのまま決勝戦もなんなく突破し、見事女子新人戦スピード・シューティングを優勝した。
逆に雫に負けた
他の者達はというと雫と同じく健闘し、一位から三位を一高が独占するという快挙を成し遂げた。
これも達也がエンジニアを担当し、選手が普段の実力以上の力を発揮できたからである。
今は競技が終了したので、昼食時間となっている。
エドは第一高校のテントで昼ごはんを食べながら、先程のスピード·シューティングについて考える。
(まさかCADを囮に使うとはな……思い切った事しやがる)
彼が何よりも驚いたのが、達也の手掛けた次世代汎用型CADである。
これに関しては、エドの
次世代汎用型CADは、エドのバックについている北山家が形になり次第、近々販売する手筈となってはいるが。
エドは思考する。
(
達也は簡単に言えば、冷静沈着で頭脳明晰、あと極度のシスコン。
深雪も簡単に言えば、文武両道で才色兼備、あと極度のブラコン。
なんだこのある意味で、完全無欠の完璧兄妹。
(しかし肝心のあいつらの『特別な何か』は未だ分からずじまい……か)
エドの視線の先には、二人で仲睦まじく話している司波兄妹の姿があった。
(まあ、焦ったって仕方ねぇ。今は情報収集が先決だ。賢者の石や、イレギュラー野郎のことについても調べねぇといけねぇからな)
エドはコーヒーを飲みながら考える。
(つってもオレ一人で出来ることなんてたかが知れてる。それはこの一年で身に沁みて分かった)
彼は前世、あちら側の世界にいた頃、国家錬金術師として軍に所属していた。
賢者の石の情報を集めるのに、その方が都合が良かったからだ。
だがこちらの世界では、エドは魔法師とはいえ、ただの学生だ。
軍のような後ろ盾はもちろんない。
いや、バックに北山家が存在するが、エドとしてはあまり巻き込みたくないのが本音である。
(だとしたら今のオレのやるべき事は、何かしらの力のある奴らとパイプを持つこと。このまま受け身でいたとしても状況は一切好転しねぇ。とりあえず今オレが出来そうなことは……)
エドの視線の先には七草真由美、渡辺摩利、十文字克人の三巨頭がいた。
(十師族との接触ってとこか……)
エドは考えをまとめると、コーヒーを飲みきった。
次回はほのかのバトル·ボード編。
では、また∠(`・ω・´)