魔法科高校の鋼の錬金術師   作:Gussan0

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どうも|ω・`)ノ ヤァ

続き書けたで候。

一気に三日目までいっちゃうゼ。

では、どうぞ∠( ゚д゚)/


第三十九話 アクシデント

九校戦一日目が終了した。

 

第一高校生徒会女子プラス風紀委員長が、真由美の部屋で小さな祝勝会を行っていた。

 

 

「スピード・シューティング男子部門·女子部門共に無事に一高が優勝できました!」

 

 

「「「「「カンパーイ!!」」」」」

 

 

皆でジュースを飲む。

 

全員未成年のため、お酒は駄目なのだ。

 

 

「おめでとうございます会長!」

 

 

「ありがと」

 

 

真由美以外の生徒達も良い成績を残せたので、一高の初日の結果は上々である。

 

 

「まずは予定通りだな。男子『波乗り』も服部の奴がなんとか勝ち残ったし」

 

 

摩利が話を振る。

 

しかしあずさが深刻そうに呟いた。

 

 

「でも服部君……ここに来てからずっと調子が出ないみたいです」

 

 

「はんぞーくん、明日はオフだからエンジニアの木下君とゆっくり調整させてあげましょう」

 

 

真由美も服部の様子がおかしいことには気付いていた。

 

幸運にも服部の出場するバトル·ボードの決勝トーナメントは、三日目であるため心の整理をする時間はあるだろう。

 

一日あれば服部なら調子を戻すだろうと真由美は信頼していた。

 

しかし、そうなると一つの問題が浮上する。

 

 

「……となると他のエンジニアに明日の競技を頼まないと」

 

 

「木下君は、明日女子クラウド・ボール副担当です」

 

 

鈴音が手持ちのスクリーン型端末で予定を確認する。

 

 

「クラウド・ボールは試合数が多いから副担当がいないと厳しいぞ」

 

 

「男子の副担当なら午前と午後で動けるのでは?」

 

 

「それじゃ石田君の負担が大きすぎるわ。うーん……明日、明後日ともオフの人は……」

 

 

女子達はウンウン唸りながら頭をひねる。

 

すると、あずさがティンッ!と何かを閃いた。

 

横でそれを見ていた深雪は、あずさの頭の上に豆電球が見えたような気がした。

 

 

「あ、あの会長!それなら司波君とエドワード君に助力を頼んでみてはどうでしょう?」

 

 

「達也君は分かるけど、エドワード君も?」

 

 

「はい。エドワード君は自分でCADを調整してますし、術式も自分用に改良しているのでエンジニアにはピッタリかと!」

 

 

「そういえば風紀委員本部のCADもあの二人がよく弄っているな」

 

 

摩利が思い出したように呟く。

 

それを聞いていた真由美は喜ぶ。

 

 

「名案よあーちゃん!じゃあさっそく、二人にお願いしないと駄目ね」

 

 

真由美の提案に、深雪とあずさが反応する。

 

 

「では兄の方には私が伝えておきます」

 

 

「私もエドワード君に伝えておきますね」

 

 

真由美は笑顔で返した。

 

 

「二人ともお願いね」

 

 

そして祝勝会が終了すると、二人はそれぞれ達也とエドの元へと向かった。

 

 

 

________

______

____

 

 

 

さっそくあずさはエドの泊まってる部屋へとやってきた。

 

あずさは少し緊張しながらドアをノックする。

 

 

「失礼します。生徒会の中条です。エドワード君はいらっしゃいますか?」

 

 

すると部屋のドアが開き、中から目的の人物であるエドが出てきた。

 

 

「誰だよこんな時間に……って、あーちゃん先輩じゃねえか。一体どうしたんだよ?」

 

 

「あの、エドワード君にお話があって……今、お時間ありますか?」

 

 

「ああ、大丈夫だ。部屋の奴らは今風呂に入りにいっていねえから……とりあえず入れよ」

 

 

「失礼しますね」

 

 

エドはあずさを部屋に招き入れる。

 

部屋の中に入ると机の上にパソコンがあった。

 

 

「CADの調整をしてたんですか?」

 

 

「術式の無駄を削ぎ落としてただけだ。好きな所に座っててくれ。コーヒーでも入れるよ」

 

 

「あ、お構いなく。さっきまで会長の祝勝会やってたんですけど、そこでジュース飲みすぎてお腹タプタプで」

 

 

「そうか?じゃあ、本題に入るか」

 

 

エドはベッドの上に座り、あずさは備え付けのイスに座る。

 

 

「で、話ってなんなんだよ?そもそもこんな夜更けに、そんな格好で男の部屋に来るのは感心しねぇぞ?」

 

 

「うぅ……それはごめんなさい。実はエドワード君にお願いがありまして……」

 

 

あずさは話す。

 

明日明後日のエンジニアが不足しており、エドにその補助に入ってほしいこと。

 

エドの他に達也にも白羽の矢が立っていることも同時に伝える。

 

話を聞いたエドは、不承不承ながら了承する。

 

 

「別に構わねえけどよ……でもオレは達也みたいに術式のアレンジなんぞ、できねぇぞ?」

 

 

「そこまで本格的な物ではないので大丈夫です。というかあれは司波君が異常なだけです。術式自体は選手と担当エンジニアがちゃんとプログラムを組んでいるので問題ありません。エドワード君にしてもらいたいのは、CADの調整とメンテナンスなので」

 

 

「ほーお。まあ、それなら問題ねえか」

 

 

「それじゃ、引き受けて下さいますか?」

 

 

「ああ、いいぜ」

 

 

「ありがとうございますっ!!」

 

 

あずさはテンションが上がったのか笑顔でバンザイを繰り返す。

 

それを見ていたエドは呆れたように返す。

 

 

「おい、あーちゃん先輩、今何時だと思ってんだ?」

 

 

「はっ!すいません……テンション上がっちゃってつい」

 

 

「子供かよ」

 

 

エドの冷静なツッコミに顔を赤くするあずさ。

 

 

「うぅ……そ、それじゃ私はこれで失礼します!おやすみなさいエドワード君!!」

 

 

そして脱兎の如く、部屋を出て自分の部屋へと戻って行った。

 

それを見ていたエドが一言。

 

 

「ほんと……小動物みてぇだな、あの人」

 

 

こうして夜も更けていった。

 

 

 

◆◆◆

 

 

 

翌日、九校戦二日目、エドと達也はエンジニアとして選手のサポートすることになる。

 

女子は達也、男子をエドが担当する。

 

二人がサポートに入った影響か、一高は真由美を筆頭に快進撃を続けていく。

 

男女共にクラウド・ボールや、アイス・ピラーズ・ブレイクで好成績を収めたのだ。

 

一高が単独首位を独走していた。

 

二人はそのままエンジニアとしてサポートしていく。

 

しかし九校戦三日目に予想外の出来事が起こる。

 

その日、エド達はバトル·ボードの準決勝を見ていた。

 

女子バトル・ボードの準決勝は一高、三高、七高の三校で行われる。

 

競技が始まり、参加選手の摩利はスタートダッシュを成功させる。

 

 

「渡辺先輩が先頭ですね!」

 

 

「ああ、だが七高の選手が二番手でピッタリついて来ている。さすがは『海の七高』」

 

 

「去年の決勝カードですよね、これ」

 

 

深雪、達也、ほのかの順番に発言する。

 

摩利と七高選手のデッドヒートに会場も盛り上がる。

 

 

(バトル・ボードのコースはこの直線を通過して最初の難関、鋭角カーブに差し掛かる。そこを過ぎれば客席からは直接見えなくなるからモニター観戦になるんだったな)

 

 

そうしてモニターを見る達也だったが……

 

 

「むっ!?」

 

 

そのとき異変が起こる。

 

 

「「「「「あっ!?」」」」」

 

 

「七高の選手がオーバースピード!?」

 

 

「このままじゃフェンスに激突するぞ!?」

 

 

なんと七高選手はカーブで急加速を始めたのだ。

 

異変を感じ取った摩利は七高選手を受け止めようと、咄嗟の判断でターンを決めて受け止める体勢に入る。

 

 

「すごい!魔法と体さばきでボードを反転させた!!」

 

 

(七校のボードに移動魔法、自分に加重系統·慣性中和魔法のマルチキャスト!ボードを弾き飛ばして相手を受け止めた時の衝撃を中和するつもりだ!!)

 

 

達也も感心するほどの鮮やかな手際だった。

 

だがまたしても異変が起こる。

 

突如、水面が下降し、摩利がバランスを崩したのだ。

 

その結果、摩利は七高選手を受け止めることができず、二人ともコースアウトしてしまった。

 

 

「フェンスに激突したぞ!」

 

 

「中断だ!レース中断!!」

 

 

会場からは驚きの声が上がる。

 

達也とエドは、直ぐ様立ち上がる。

 

 

「お兄様!」

 

 

「エド!」

 

 

「行ってくる。お前たちは待て」

 

 

「そこ動くんじゃねえぞ」

 

 

エドと達也の二人は走って摩利の所へと向かう。

 

客席は前の方へと向かう客でいっぱいであり、後ろの方は比較的空いていた。

 

二人は後ろの通路を走る。

 

そのとき達也がエドに話しかけた。

 

 

「エドワード、先程の事故どう思う?」

 

 

「少なくとも偶然じゃねえ。お前も薄々気付いてんだろ?さっきの七高選手の()()()()()()に、渡辺先輩が受け止めようとしたときの()()()()()()()()()()()()……」

 

 

「ああ。あの二人はバトル·ボードの熟練者だ。初歩的なミスをする事などまずあり得ない。考えられるとすれば……」

 

 

()()()()()()()()()()()……か」

 

 

達也はあのとき()()()()()()()()()()()()()()()()を感じ取っていた。

 

 

(バスのときの事故といい、さっきの渡辺先輩の事故といい、これで何者かの介入があることは確定だ。だが一体何の目的があってこんなことをする?)

 

 

達也は思考する。

 

未だに相手の狙いは分からなかった。

 

そうこうしている内に二人は摩利と七高選手の元へとたどり着く。

 

倒れている二人はピクリとも動かない。

 

周りにはまだ誰も来ておらず、エドと達也が先についたようだ。

 

エドは達也に声をかける。

 

 

「達也!今から二人の治療をするから端の方に運ぶの手伝え!!」

 

 

「まさか錬金術を使うつもりか?」

 

 

「正確には錬丹術ってんだけどな」

 

 

エドと達也は二人を安全な所へ運ぶと容態を確かめる。

 

 

「二人とも肋骨が折れている。よっぽど強い衝撃を受けたんだな」

 

 

「打ち身もひでぇ。たぶん他にも骨折してるぞ」

 

 

エドは両手を合わせ、錬丹術を発動させる。

 

達也は精霊の眼(エレメンタル·サイト)を発動させて情報体(イデア)へアクセスし、何が起きているのか観察する。

 

 

(これは……二人の傷がもう治っている!?)

 

 

エドは二人の傷を治していた。

 

治癒魔法は、偽りの治癒を世界に定着させる魔法である。

 

魔法による治療は()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()がある。

 

だがエドが使用した錬丹術は気のエネルギーを媒介に二人の身体をある意味で()()()しているため、即座の治療も可能なのだ。

 

 

「っと、ひとまずはこんなもんか」

 

 

治療を済ませたエドは一息つく。

 

 

「その錬丹術というのはどういうものなんだ?」

 

 

達也が質問してきたので、エドは答える。

 

 

「医療方面に特化した錬金術だ。骨折や骨のヒビ程度ならすぐに治療できる」

 

 

「そうか」

 

 

(錬丹術……まさか医療方面に特化した錬金術まであるとはな)

 

 

その後、大会委員の者達が来るまで二人はその場で待機していた。

 

 

 

◆◆◆

 

 

 

その後、病院に運ばれた摩利と七高選手。

 

エドの錬丹術での治療もあって二人のケガはその日には完治していた。

 

詳しい検査で身体中調べてみるものの、どこにも異常は見られず、これには医者も舌を巻くしかなかった。

 

しかし念の為に一週間は激しい運動は禁止。

 

当然ながら、摩利はこの後の参加予定であったミラージ·バットには出られない。

 

レースの方はというと、七高は危険走行で失格となり、一高は二高と三位決定戦となったが、摩利は走れないため棄権となる。

 

それからエドと達也の二人は、事故の原因となった水面の揺らめきについて調べることに。

 

その日の午後に大会委員からビデオデータを借りて調べていた。

 

そして幹比古と美月の協力もあって、事故の原因が判明する。

 

なんと七高選手のCADに細工が施されていたのだ。

 

それだけでなく、精霊魔法で水面が陥没するように仕掛けられていることも判明した。

 

今回の事故の実態はこうだ。

 

予め摩利が通ると思われるコースに水面を陥没させる精霊魔法をかけておき、七高選手のCADにも減速が加速になってしまう魔法を細工しておくことで、今回の事故を引き起こしたのだ。

 

摩利と七高選手が前半のコーナーで揉み合いになるのは、最初から予想されていた。

 

つまりは完全な計画的犯行である。

 

以上のことから、達也は大会委員の中にウィルスの類を混入させた犯人がいると判断。

 

しかしこの事を吹聴すると選手間で混乱が起きると予想されるので他言無用となった。

 

 

 

________

______

____

 

 

 

夜間、達也と深雪は真由美から呼び出しを受けていた。

 

ミーティングルームへ行くと、中には真由美、摩利、鈴音、十文字の四名が揃っていた。

 

二人は一礼してから席へと座る。

 

 

(会長からの呼び出しだが……深雪も一緒となると事故の解析結果の件ではなさそうだ。では一体何だ?)

 

 

まず口火を切ったのは真由美であった。

 

 

「明日から新人戦なのに、こんな時間にごめんなさい。二人には少し……いいえ、二人には大事な相談があって来てもらいました。リンちゃん、説明してもらえますか?」

 

 

鈴音は立ち上がり説明を始める。

 

 

「本日三日目の成績は二人も知っていると思います。アクシデントもありましたが、ポイントはほぼ計算通りです。しかし三高が予想以上にポイントを伸ばしているため当初の見込みより()()差が詰まっています」

 

 

鈴音は映像データを展開する。

 

そこには棒グラフが映っていた。

 

一高350P、三高225Pと書かれている。

 

 

「明日からの新人戦で大差をつけられるとその後の本戦で逆転される可能性が出てきました」

 

 

九校戦のポイントは新人戦より本戦の方が高い。

 

例えば本戦でのポイントの振り分けは1位が50P、2位が30P、3位が20Pとなっており、新人戦でのポイントはその半分となるため、1位が25P、2位が15P、3位が10Pとなるのだ。

 

ちなみにモノリス・コードのみ、この二倍の点数が付与される。

 

 

「ですが新人戦のポイントは本戦の半分です。私達は新人戦をある程度犠牲にしても本戦のミラージ・バットに戦力を注ぎ込むべきだという結論に達しました」

 

 

鈴音の説明に達也が僅かに反応すると、それを見ていた真由美が説明する。

 

 

「ええ、そうよ達也君。深雪さん、貴女には新人戦ではなく、摩利の代役として本戦のミラージ・バットに出場してもらいます。達也君は深雪さんの担当エンジニアとしての会場入りとなります」

 

 

(相談どころか決定事項の通達だな……)

 

 

達也は隣の深雪に視線を向ける。

 

深雪は立ち上がり、真由美に話しかける。

 

 

「先輩方の中にも一種目しかエントリーされてない方がいらっしゃいます。何故一年の私が新人戦をキャンセルまでして代役に?」

 

 

深雪の疑問は最もであった。

 

ミラージ・バットは九校戦の花形種目といっても過言ではない。

 

その競技に出たい選手は他にもいるはずなのだから。

 

そんな深雪の疑問に答えたのは、鈴音と摩利であった。

 

 

「その方が高得点を見込めるからです」

 

 

「後は私の補欠を用意していなかった。それが最大の理由だな。ニ、三年にぶっつけ本番で出ろというより一年生でも練習を積んだ選手の方がいい。それに……」

 

 

摩利は達也にニヤリと笑いかけながら言った。

 

 

「君の妹なら本戦であっても優勝できるだろう?達也君」

 

 

そんな摩利の言葉に、達也は当然とばかりに断言した。

 

 

「可能です」

 

 

「「「「…………」」」」

 

 

あまりにも堂々とした断言っぷりに三年生は唖然となる。

 

十師族の真由美と十文字でさえ唖然としているのだから、さすがお兄様である。

 

略してさすおに。

 

 

「お兄様……」

 

 

深雪はというと、いつもの如く頬を真っ赤にさせていた。

 

妹も変わらない。

 

さすが妹。

 

略してさすいも。

 

 

「そのように評価してくださってのことなら俺も全力を尽くします。深雪やれるな?」

 

 

達也の言葉に深雪は勢いよく頷いた。

 

 

「はい!」

 

 

ついに九校戦は新人戦へと突入する。

 




次回から新人戦へと突入。

エドの出番までいけたらいいなあ。

あとは少し予告。

横浜騒乱編でエドの師匠であるイズミさんと、腐れ縁のマスタング大佐出そうと思っとります。

一応設定としては、イズミさんが九重八雲の知り合いで古式魔法師でエドの家の向かい側に引っ越してきたお肉屋さんの主。ちなみに名前はイズミ·カトウ。

マスタング大佐は、独立魔装大隊の一員で考えてます。ちなみに本名は増田ロイ。周囲に名乗っている名前はロイ·マスタングみたいな。ヒロインは当然ホークアイ中尉ですがなにか?あとホークアイ中尉、藤林少尉と仲良い予定ですはい。

え?
なんで急に二人も出すんだって?

そんなもんイズミさんに「主婦だっっ!!」って言わせたいだけですがなにか?

大佐はそろそろヒューズさんとの絡みが書きたくなったからですがなにか?

では、また∠(`・ω・´)

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