やっと続き書けたで候。
お久しぶりです。
約五ヶ月ぶりっていう。
やっと九校戦編の設定が練れたのでボチボチ投稿していきます。
少し体調崩してるので気長に待っていただけるとありがたいです。
では、どうぞ( *・ω・)ノ
第三十話 達也の誕生日
ブランシュ事件と名付けられた一件は、一般生徒に知られることなく
しばらく経った後、
そして紗耶香は学校に復帰し、司甲は問題を起こした責任を取って自主退学した。
なお余談ではあるが、この一件から紗耶香のお見舞いによく来ていた桐原が彼女と急接近し、付き合うこととなった。
ちなみにあの日、なぜ剣道部の演武に口出ししたのか聞いたら、剣先が鈍っていた紗耶香の剣を見たら妙にイラついたから……だそうだ。
すると紗耶香の退院のお祝いに来ていた金髪の少年が一言。
「ガキかよ」
その一言にキレた桐原が金髪の少年に禁句の言葉を言ったのは、仕方がなかったかもしれない。
そして病院で暴れる桐原に紗耶香が、エドに深雪が説教するのは自明の理であった。
それ以降は特に変わったトラブル等はなく、穏やかな日常を過ごした。
◆◆◆
そんなある日のこと、朝の鍛練を終えた達也が自宅へと戻ると、着物を着た深雪が出迎えた。
「お帰りなさいませお兄様。鍛練お疲れ様です」
「ああ。でも今日はどうしたんだ深雪?そんな格好までして?」
「嫌ですわお兄様。今日はお兄様にとって
キョトンとする達也の反応を他所に深雪は、達也を席へと座らせる。
「これは……凄いな」
見れば机の上には豪華な料理が置かれていた。
タイの煮付けに、ブリの照り焼き、海老の艶煮。
他にも、数の子や黒豆、たたきごぼうに田作り、紅白かまぼこ、だて巻き。
昆布巻き、きんとん、ちょろぎ、錦玉子。
里芋、八つ頭、くわい、ごぼう。
紅白なますや菊花かぶ、小肌の栗漬けなどお節に入っている料理がところ狭しと置かれていた。
「これは全部……深雪が?」
「はい。今日は
「ふっ。ありがとうな」
達也は優しく笑いながら深雪の頭を撫でる。
深雪も顔を赤くさせてそれを受け入れた。
余談ではあるが、達也は深雪の料理を食べ終えるまで実に二時間の時間を要したのだった。
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そして午後、エドは喫茶PINAKOにいた。
深雪から呼び出されたのだ。
他にも呼び出されたのは、ほのか・雫・エリカ・レオ・美月といったいつもの面子である。
「かんぱーい!」
エリカの合図により飲み物を飲む。
今日の喫茶PINAKOは貸し切りだ。
「よーし!今日は飲むわよー!!」
「エリカちゃんたら、既に盛り上がってるね」
「おいおい、酒入ってんじゃねーだろうな」
「テンション高ぇな」
エリカの様子を見た美月、レオ、エドが呟く。
既にエド達が集まる前からこんな感じであったらしい。
「今日は特に騒がしいね。なんの集まりなんだい?」
すると料理を持ってきたピナコが話しかける。
「お疲れ会のよう……「達也君のお誕生日会だよ!」……な……」
達也が答えようとするが、それに被せるようにエリカが発言した。
「「「「えぇ!?」」」」
案の定、皆が驚く(エド除く)。
「エリカちゃん、なんで教えてくれないの~!?」
「いやー、正確な日付は知らないよ?」
「え?」
「どうせ四月中でしょ?誤差の範囲かなあって深雪に昨日……」
「そう。
「ん?」
すると深雪の発言に違和感を感じたのか、エリカが深雪の方を見る。
深雪は機嫌が良いのかニコニコしている。
「まさか、
「ああ、驚いたよ。ありがとう」
達也に確認を取ると案の定であった。
「深雪~!謀ったわね!?」
「あら?否定はしてない筈よ?」
(兄妹揃って良い性格してやがる……)
エドはコーヒーをチビチビ飲みながら会話の様子を見守る。
「しまった……プレゼント……」
「うん……」
(こっちはこっちで落ち込んでるしよ……)
雫とほのかが落ち込んでいた。
どうやら達也にプレゼントを用意できなかったことに罪悪感を感じているようだ。
エドから言わせれば、知らなかったのでそこまで落ち込む必要はないのだが、彼女達にとってはそうではないらしい。
(本当、お人好しだなこいつら)
「お二人とも気にすることないですよ……って私が言っていいのか分からないですけど」
「俺らも全く知らなかった訳だしな。同じクラスなのに……」
美月とレオも落ち込んでいるようだ。
だがそこに現れたのは、最強肝っ玉ばっちゃんことピナコであった。
「まあ、落ち着きなあんた達。それならこのチョコレートケーキを、あたしとあんた達からのプレゼントってことにしたらいいさね」
「「「「ピナコさん!!!!」」」」
「さすが、ばっちゃん」
またエリカ達の中でピナコの株が上がったのだった。
そしてロウソクを16本ケーキへと差して、火をつける。
部屋も薄暗くすると、ロウソクの小さな灯火に照らされる。
達也がエリカに背中を押され、ケーキの前に押し出される。
「ふっ」
そして達也が息を吹き掛けるとロウソクが全て消えた。
「「「「おめでとう~!」」」」
「おめっとさん」
「皆ありがとう」
その様子をピナコはキセルをふかせながら優しく見守っていた。
「じゃあケーキを切り分けましょう。ピナコさんの分も入れて九等分かしら」
「ああ、あたしゃ要らないよ。あんた達で仲良く食べたらいいさね」
「そういう訳にはいきません!ピナコさんには日頃からお世話になっていますし、何より今日はお祝いの席ですから一緒に食べましょう!!」
「……あんたもウチの孫に似て中々頑固だね。はいはい、ありがたくもらうよ」
そしてケーキを皆で食べた後、ミニゲームをしたり他愛もない話をして盛り上がったのだった。
そんななか深雪は皆と楽しむ兄を見てホッとしていた。
(お兄様……私は嬉しいです。お兄様がご学友に囲まれる姿を見ることができて。
深雪は切り分けられたケーキを達也へと渡す。
「お兄様どうぞ?」
「ありがとう深雪」
(もしこれが私の自己満足だったら?)
そんな深雪の様子をエドは観察するように見ていた。
◆◆◆
達也の誕生日会も終わり、司波兄妹は揃って帰路についていた。
久し振りの穏やかな時間であった。
「お兄様……」
「ん?」
そんなとき深雪がふと立ち止まる。
それにつられて隣を歩く達也も立ち止まった。
「深雪はどこまでもお兄様についていきますから」
「…………」
「たとえお兄様が音の速さで駆け抜けていかれても、天空を突き抜け星々の高みに昇られても……」
そしてその声は不思議と響いた。
「深雪はお兄様のおそばを離れません」
達也は少しだけ唖然とするが、すぐに再起動する。
「…………どちらかと言えば置いていかれるのは俺の方だと思うんだが」
「そんなことはありません」
深雪は少しだけ頬を膨らませて達也を見る。
達也はそんな深雪を愛しそうに見ながら言葉を続ける。
「ただ、今は天に昇るより足元を固める方が大事だ。だから……」
「学校へ?」
「ああ」
「お兄様……学校はお辛くはありませんか?」
「ん?」
すると深雪は顔を伏せる。
「お兄様のお力でしたら本来通う必要のない場所です。なのにいらぬ
深雪の脳裏には、達也を
「もし私のために無理をなされているな……「深雪」……ら……」
だがその言葉を止めたのは他ならぬ達也自身であった。
「俺は嫌々高校へ通っている訳じゃない」
達也は言葉を続ける。
「もちろん図書館で閲覧できる資料のためだけでもない。第一高校へ通わなければできなかった様々な体験や、何より
「お兄様……」
深雪は達也を見上げる。
「その喜びは私の方こそです。深雪は……お兄様の妹でいられて幸せです」
「それこそ俺の方こそだ、深雪」
達也も深雪を見つめる。
「だからお前のためにできることがあるなら、俺がそれを躊躇う理由はない。お前のためなら俺はなんだってやるさ。俺の望みはただひとつ、深雪……お前に笑っていてほしい」
「はい……」
「では『日常』に戻ろう、深雪」
「はいお兄様」
(お兄様が望むなら……私はずっとそばで笑っていよう)
そして二人は手を繋ぎ歩いていく。
二人が望むものは他でもない。
この平穏な日々なのだから。
「あれが
だがそんな二人の様子を影から観察している一つの存在に、このときの二人は気付けなかった。
エドの出る競技どうしましょうかね?
一応考えてるのはモノリス・コードとアイス・ピラーズ・ブレイクなんですが。
分からない人のために簡単に説明すると九校戦には六つの競技がありまして。
高速で飛び交うクレーを破壊する……スピード・シューティング。
ボールを魔法やラケットで打って相手のコートに落とせば勝つというテニスに近い競技……クラウド・ボール。
ボードに乗って水上コースを走り、タイムを競う……バトルボード。
向かい合って自陣にある十二の氷柱を守りつつも敵陣にある十二の氷柱を倒す……アイス・ピラーズ・ブレイク。
空中にホログラム投影された的をバットで壊して回る……ミラージ・バット。
モノリスという情報体を奪い合う三対三の魔法戦……モノリス・コード。
なんですが、どうすっかなあ。
では、また(・∀・)ノ