魔法科高校の鋼の錬金術師   作:Gussan0

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どうも(゜▽゜*)

お久しぶりです。

ようやく書けたので投稿します。

あと鋼の錬金術師2 赤きエリクシルの悪魔の内容が出ます。

では、どうぞ( *・ω・)ノ


第二十七話 黒幕の存在

先手はエドからであった。

 

エドは両手を合わせて地面に手をつく。

 

 

「!?」

 

 

その瞬間、司一は目を見開く。

 

地面から幾つもの武器が司一へと向かっていったのだ。

 

片手剣に大剣、刀に太刀、レイピアにランス、斧にハンマー、双剣に弓など種類は様々であった。

 

 

「魔法を使用しただと!?」

 

 

突然のことに狼狽(ろうばい)しながらも、司一は鋼鉄の盾を創造することでエドの攻撃を防ぐ。

 

だがエドの攻撃は続く。

 

直後、真上から氷の(つぶて)が雨のように降ってきたのだ。

 

 

「そんなもの私には効かないよ!」

 

 

先程と同じく司一は鋼鉄の盾を創造して防ぐ。

 

 

「だろうよっ!」

 

 

しかしそんなものエドも予想済み。

 

だからこそ彼は意外なところからやってきた。

 

 

「なっ……私の作った盾を分解してっ!?」

 

 

司一からは死角となる正面の鋼鉄の盾を分解して彼に迫る。

 

そしてエドの機械鎧(オートメイル)の拳が司一の顔面に直撃した。

 

 

「ぐあああっ!?」

 

 

勢いが強いのか数メートル後方へ吹き飛ぶ司一。

 

エドはさらに追撃を仕掛けようと勢いよく迫る。

 

 

「く、くそ!お前は魔法を使うなああぁぁ!!」

 

 

すると司一の両目が怪しく光る。

 

幻想の支配者(ザ・ワールド)を使用したのだ。

 

だがエドは大して気にした様子も見せずに再び両手を合わせて()()()を使用する。

 

 

 

パンッ

 

 

 

今度は水の槍が司一へと放たれる。

 

空気中の水分を圧縮したのだ。

 

 

「ひいぃ!?なぜだ!?なぜお前はさっきから魔法が使える!?なぜ私のザ・ワールドが通用しないっっ!?」

 

 

司一は咄嗟に横に逃れながら賢者の石エリクシルを使用する。

 

物質創造(マテリアル・クリエイト)でゴーレムを創造した。

 

数十体のゴーレムに囲まれるエド。

 

だがエドは焦ることなく両手を合わせると機械鎧(オートメイル)の表面をなぞる。

 

すると義手のパーツ部分が伸び、甲剣のような形となった。

 

 

「んなこと知らねぇよ!」

 

 

そしてエドは一直線に進む。

 

自身の敵と見定めた者に真っ直ぐ向かって。

 

 

「ゴーレム共!その金髪を八つ裂きにしろ!!」

 

 

ゴーレム達がエドに襲いかかるが、エドは鋼の甲剣を振るい撃破していく。

 

 

「こっちに来るな来るな来るな来るな来るな来るなぁぁぁぁ!!!!!!!!」

 

 

司一も銃を創造し攻撃を仕掛けるが、エドはゴーレムを盾にしながら見事にかわす。

 

そんななかエドは戦いながら思考していた。

 

 

(こいつ、戦って分かったが戦闘に関しちゃテンで素人だ。賢者の石と、ザ・ワールドってやつだけに注意してれば全然大したことねぇ)

 

 

エドは両手を合わせて地面から幾つものトゲを錬成し、ゴーレム達に貫通させる。

 

 

(だが今、気にするのはそこじゃねぇ。この状況でどうして()()()()()()使()()()()()()ってことだ)

 

 

戦ってるエド本人も疑問に感じていた。

 

 

なぜ魔法を封じられているこの状況で錬金術だけが使用可能なのか?と。

 

 

彼は冷静に思考する。

 

 

(錬金術が使える間になんとかしねぇと。錬金術も封じられちまったら、正直、オレ達に勝ち目はねぇ)

 

 

エドはある場所へと視線を向ける。

 

 

そこには四人の人物がいた。

 

 

達也はエドの様子を観察するようにジッと見ていた。

 

 

深雪はエドの様子を心配するようにジッと見ていた。

 

 

桐原はエドの様子を悔しそうにジッと見ていた。

 

 

十文字はエドの様子を見守るようにジッと見ていた。

 

 

(思い出せ。この状況に陥る前にあった出来事を。状況打開のなにかが絶対にある筈だ)

 

 

エドは思い出す。

 

 

達也達との会話を。

 

 

司一とのやり取りを。

 

 

 

『意識干渉型系統外魔法「邪眼(イビル・アイ)」……と称してはいるが、その正体は催眠効果のあるパターンの光信号を明滅させ、相手の網膜に投写する光波振動系魔法。ただの催眠術だ。壬生先輩の記憶もこれですり替えたのか?』

 

 

 

幻想の支配者(ザ・ワールド)……邪眼(イビル・アイ)極限まで強化した魔法だよ』

 

 

 

『奴の使用した魔法、幻想の支配者(ザ・ワールド)邪眼(イビル・アイ)を強化した魔法。考えられるとすれば俺達は今、催眠状態に陥っている。奴の命じた「魔法は使えない」という状態を、無意識の内に刷り込まれたんだ』

 

 

 

(催眠術……『魔法は使えない』という刷り込み……)

 

 

 

『ひいぃ!?なぜだ!?なぜお前はさっきから魔法が使える!?なぜ私のザ・ワールドが通用しないっっ!?

 

 

 

(魔法が使えない状況で、錬金術だけが使用できるというこの状況……)

 

 

 

「………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………そうか」

 

 

 

そのときエドが小さく呟く。

 

 

 

「そういうことだったのか」

 

 

 

何やら確信したように呟く。

 

 

 

そして最後のゴーレムを倒すと不敵に笑いながら司一と向かい合った。

 

 

 

「でもまあ、一応保険だけはかけとくか」

 

 

 

すると何を思ったのかエドは両手を合わせると、()()()()()()()()()()()

 

 

 

◆◆◆

 

 

 

司一は焦っていた。

 

 

(なぜだなぜだなぜだなぜだなぜだなぜだなぜだなぜだあああぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!)

 

 

それは彼の目の前にいる金髪の少年に原因があった。

 

 

「なぜお前は魔法が使える!?なぜさっきから錬金術が使えるんだぁ!?」

 

 

司一の完璧と言わしめる魔法、幻想の支配者(ザ・ワールド)が通じないのだ。

 

 

「私のザ・ワールドは完璧だ!このエリクシルで強化した私の、私だけの最高魔法なんだぞ!それなのになぜっっっ!!」

 

 

だが目の前の金髪の少年は答えない。

 

金髪の少年は一歩ずつ司一に近付いていく。

 

 

「く、来るな!」

 

 

司一はエリクシルでハンドガンや大砲、ガトリングガンにバズーカ、手榴弾にダイナマイト……

 

自身で扱えそうな重火器を片っ端から創造するが、目の前の少年には通じない。

 

錬金術で錬成した土壁によってことごとく防がれるのだ。

 

 

「なぜだ……なぜ錬金術が……あ?」

 

 

そのとき司一は気付く。

 

 

(もしかして……私は何か思い違いをしていたのではないか?)

 

 

頭が急速に回る。

 

 

(奴が錬金術を使えているのは……魔法という認識ではないから)

 

 

体温が冷えていく。

 

 

(そういえば、錬金術は古式魔法()()だったな)

 

 

冷静になっていく。

 

 

(そうか。そうかそうかそうかそうかそうかそうかそうかあああああああぁぁぁ!!!!!!)

 

 

「あっはははははは!そうか!そういうことだったんだねぇ!エドワード・エルリック君!!」

 

 

司一は大声で笑いだす。

 

 

「君の錬金術は厳密に言えば魔法ではない!だから私のザ・ワールドが通用しなかったんだ!!」

 

 

そして得意気に話し出した。

 

 

「だったら君がこの状況下で錬金術が使用できるのにも納得できる。私は『魔法を使うな』としか命令していないからね。これは私の落ち度だ。私のミスだ。だからね、最初からこうすれば良かったんだ!!」

 

 

 

 

 

 

「お前はもう……錬金術を使用するなああああぁぁぁぁぁぁ!!!!」

 

 

 

 

 

 

その瞬間、司一の両目が光りザ・ワールドが発動する。

 

 

「あっはははははは!どうだ!もうこれで貴様は錬金術を使用することはできまい!!」

 

 

だが金髪の少年、エドはゆっくりと()()()()()()()

 

 

「どうしたんだい?もう錬金術は使えないんだよ?無駄な抵抗さ」

 

 

そして()()()()()()()()

 

 

「ほら、何も起きないだろう?あ、もしかして命乞いかい?あっはははははは!いいよ!君は優秀だ!泣いて必死こいて土下座したなら我がブランシュのメンバーに加えてあげようじゃない……かばあっっっ!!」

 

 

だが司一の言葉は最後まで続かなかった。

 

なぜなら()()()()()()巨大な拳が彼の頭を叩きつけたからだ。

 

そんな彼に近付きながらエドは言った。

 

 

「何言ってるか全然聞こえねぇっつうの」

 

 

 

◆◆◆

 

 

 

エドが行ったことは極めて単純。

 

エド自身の鼓膜を錬金術で変性させ、聴覚を一時的に麻痺させたのだ。

 

端的に言えば、自身の耳を一時的に聴こえなくした。

 

錬金術で聴覚を麻痺させることで、平衡感覚や遠近感にも影響が出てしまうが、錬丹術の応用で標的たる司一の位置を正確に掴めるので特に問題はなかった。

 

司一もまさか自分の聴覚を麻痺させるとは思わなかったのだろう。

 

エドの様子に気付いた素振りは一切なかった。

 

エドは過去に人体錬成を行う過程で人体の構造についての知識を持っているので出来た策という訳だ。

 

エド以外の四人は白目を向いて気絶する司一を見る。

 

彼の頭にはタンコブがあった。

 

 

幻想の支配者(ザ・ワールド)……魔法を使用禁止にするという点では脅威でしたが、手放しに賞賛できる魔法というわけではありませんね」

 

 

「どういうことだ、司波?」

 

 

魔法とは、魔法師を魔法師たらしめる、絶対的な力と言っても過言ではない力である。

 

それを封じることができるとなれば、危険極まりない――桐原が言うように反則ともいえる――力の筈。

 

そう考える十文字とは対照的に、達也は冷淡だった。

 

 

「突き詰めればこの魔法は、“催眠術”なんです。である以上、相手を自分の思い通りに操るには、それを口にして伝えなければなりません」

 

 

「エドワードさんがやったように、命令が聞こえなければ、言いなりにはできない……そういうことですか、お兄様」

 

 

「ああ。だが、この魔法の要は相手に命令が伝わっていることだ。もしかしたら、言葉で命令するだけでなく、命令を文字にして見せても有効だったかもしれないがな……」

 

 

そう口にした途端、先程の戦闘の中で、『魔法を使うな』と書かれた看板を司一が掲げ、エドに見せているというシュールな場面が思い浮かんだ達也だったが、すぐに思考を戻して説明を続けた。

 

 

「さらに言えば、催眠術をかけた相手の認識に依存するところも大きい。エドワードが『魔法を使うな』と命令されていながら、錬金術を使えたのは、エドワードの中では“魔法”と“錬金術”が別物だという認識があったからだ」

 

 

達也の推測だが、幻想の支配者(ザ・ワールド)は命令によって得られる効果は一律にはならないだろう。

 

仮に百人に「自殺しろ」と命令を下したとしても、首つりやリストカット、投身自殺など、各々の行動パターンにはかなりのバラつきが出ると予想される。

 

命令によって強制されるルールの穴を突けば、攻略は決して難しくはない。

 

さらに言えば、命令対象が命令者との間で言葉のやりとりができていることも前提となる。

 

何をしろと言っているのかを理解できなければ、命令も意味をなさないからだ。

 

 

「光信号が届く射程も二十メートルが限度となれば、その範囲外から攻撃すれば良いだけです。狙撃や爆撃を受ければ、一溜まりもありませんよ」

 

 

「……何というか、司波兄の話を聞けば聞くほど、大したことが無いように聞こえるんだが……」

 

 

「相手次第ということだろう。俺や桐原のように、射程が短い魔法の使い手や近接主体の魔法師にとっては脅威に他ならん」

 

 

十文字の見解に達也が頷く。

 

事実、司一を相手にこの二人は手も足も出なかったのだ。

 

予め耳栓をして突撃すれば良いと考えるかもしれないが、聴覚を封じた状態での戦闘は非常に危険である。

 

味方との意思疎通ができないことに加え、戦況を正確に把握できず、敵の伏兵に気付けないといったリスクが伴うからだ。

 

ひとまず話し合いを終えた一行はそのまま外へと出る。

 

エドは鼓膜を変性させた影響で足元が覚束なかったので深雪が側で支えている。

 

もう既に空には月が登る時間帯になっており、ブランシュの拠点の周りには十文字が呼んだであろう黒服の男達が集まって作業を行っていた。

 

サイレンも鳴り響いていることから警察も来ているのだろう。

 

十文字が指示を出す中、深雪、エド、エリカ、レオは出口の側にいた。

 

ちなみに達也は調べ物があるとかで未だに中に残っている。

 

エドも残ろうとしたのだが、深雪に問答無用で連れてこられた。

 

 

「これで全部終わりか。呆気ないな」

 

 

「せっかく来たのに出番無かったわね。つまんないのー」

 

 

完全に出番のなかったレオとエリカ。

 

ドンマイ。

 

 

「ま、会頭や達也達が敵を打ち漏らすとは考えにくいしなぁ」

 

 

「しかもあんたとお留守番なんて尚更つまんなかったわー」

 

 

「なんだと……」

 

 

そのやり取りを側で見ていたエドが一言。

 

 

「痴話喧嘩は他所でやれっての」

 

 

「「なっ!?」」

 

 

エドの一言で顔を赤くする二人。

 

 

「うるせーな!」

 

「うるさいわね!」

 

 

「「このチビ!!」」

 

 

そしてエドに同時に叫ぶ二人。

 

 

「お前ら二人とも沈めるぞゴラアァ!!」

 

 

そんな二人にキレるエド。

 

 

「エドワードさん……」

 

 

そのエドを冷笑で止める深雪。

 

 

「お、おおお……おう」

 

 

なんというかカオスであった。

 

しかし流石の利かん坊も氷の女王には勝てない模様。

 

どこの世界でもやはり女性というのは強いらしい。

 

エドは笑顔で問い詰めてくる深雪を宥めながら考える。

 

 

(賢者の石……エリクシル)

 

 

思い出すのはエドがかつて戦った錬金術師。

 

ジャック・クロウリー。

 

エリクシルという名の赤き魔石を作っていた“銀弾”の二つ名を授けられていた元国家錬金術師。

 

かつてジャックは恋人のエルマを蘇らせるためにエリクシルを使用していた。

 

エルマの蘇生に成功するも僅か半年でエルマの身体は崩れ去る。

 

その後何度も何度もエルマを蘇生するが結果は同じであった。

 

そしてそのエルマだが『ジャックを止めて欲しい』と、かつてリオールを訪れていたエルリック兄弟に助けを求めたことがあった。

 

その後、何度もジャックやジャックの放つゴーレムと激突するエルリック兄弟であったが、紆余曲折あってマスタング大佐やホークアイ中尉、アームストロング少佐の協力もあって、ゴーレムと化したジャックの撃退、エリクシル本体の破壊に成功する。

 

よってエリクシルはなくなった筈なのだが……

 

 

(偶然同じ物が存在した?いや偶然なんかじゃねぇ。それにあの眼鏡野郎はオレの二つ名を知っていやがった)

 

 

エドは司一が言っていた言葉を思い出す。

 

 

『そうか。思い出した……あの御方が言っていた……いつか脅威となる要注意な魔法師……鋼の義手と義足、機械鎧(オートメイル)をつけた古式魔法「錬金術」の使い手……ああ、そうか。君があの御方の言っていた……鋼の錬金術師!!』

 

 

(眼鏡野郎が言っていた()()()()、恐らくそいつが奴の背後にいる黒幕。奴の言葉からも分かる通り、オレの存在に既に気付いていやがる。いや、オレのことを()()()()()()()。そしてその黒幕が……)

 

 

エドは深雪を見る。

 

深雪は少し頬を膨らませていた。

 

 

(こいつら、司波兄妹を狙っているイレギュラー野郎かもしれねぇ)

 

 

エドはこれからの行動指針を考える。

 

 

(まずはあの眼鏡野郎に色々吐かせて、奴の背後にいる黒幕を暴き出す!そんでもって賢者の石エリクシルについても聞き出す!!)

 

 

「もう聞いてますかエドワードさん!」

 

 

「聞いてるよ!」

 

 

その前に少し怒っているこの氷の女王様を落ち着かせるのが先だが。

 

ひとまずはブランシュ襲撃作戦は、ブランシュの壊滅という最高の戦果で終わるのだった。

 




次回は赤き石を核にした進化した人間が出ますはい(意味深。

最後に一言。

さようなら司一さん。

では、また(・∀・)ノ


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