魔法科高校の鋼の錬金術師   作:Gussan0

26 / 62
どうも(゜▽゜*)

続き書けたで候。

筆が進んだので投稿。

では、どうぞ( *・ω・)ノ


第二十六話 賢者の石 エリクシル

裏口からは十文字と桐原が侵入していた。

 

迎え撃つのはブランシュの構成員達。

 

二人の学生へと躊躇いなくライフルを連射する。

 

しかし構成員の顔には、焦りや恐怖といった表情がありありと表れていた。

 

何故なら、その銃弾は全て十文字の『ファランクス』により防がれていたのだから。

 

 

「桐原!」

 

 

「おう!」

 

 

『高周波ブレード』を発動させていた桐原が銃弾を避け、弾きながら突撃する。

 

奥から更に、ライフルを持った男達が増援として駆けつけて来る。

 

だが桐原はものともせずライフルを切断し、飛び膝蹴りを喰らわせる。

 

そして瞬く間に構成員達を制圧していく。

 

彼は最後の構成員の腹部を殴り、気絶させたところで剣を突き刺そうとするが……

 

 

「桐原!」

 

 

十文字がそれを遮るように、彼に鞘を投げ渡した。

 

 

「行くぞ」

 

 

十文字は歩き始める。

 

桐原もその後を追いかける。

 

後始末の事を考える十文字としては、出来るだけ殺人は避けてほしいのが本音であった。

 

 

 

────────

──────

────

 

 

 

一方、達也達はというと、現在ピンチに陥っていた。

 

それは司一が使用した魔法、『幻想の支配者(ザ・ワールド)』によって魔法の使用を封じられてしまったからだ。

 

 

「さあやれ、お前達!!」

 

 

そして、彼はゴーレムもどきに攻撃を命ずる。

 

 

「下がれ深雪!」

 

 

「お兄様!」

 

 

達也は咄嗟に深雪を後ろに下がらせると、体術でゴーレムもどきを迎撃する。

 

 

「ちっ!」

 

 

エドも深雪を守るように、体術で迎撃する。

 

 

「おい達也!これは一体どういうこった!?」

 

 

「奴の使用した魔法、幻想の支配者(ザ・ワールド)邪眼(イビル・アイ)を強化した魔法。考えられるとすれば俺達は今、催眠状態に陥っている。奴の命じた『魔法は使えない』という状態を、無意識の内に刷り込まれたんだ」

 

 

「つまりは、あいつのその魔法をどうにかしねぇと、お前達は魔法を使えねぇままってことかよっ!」

 

 

エドが蹴りでゴーレムもどきを攻撃する。

 

二人は背中合わせとなる。

 

 

「手ならある。幻想の支配者(ザ・ワールド)は、奴が左手につけている赤い指輪を振るってから使用されたものだ。恐らくあの指輪には、魔法式を増幅させる効果がある」

 

 

「増幅……」

 

 

(ますますあの代物にそっくりじゃねえか)

 

 

「そうだ。そしてそれを破壊、若しくは奪うことができれば……」

 

 

「奴の魔法を解除できるって訳か」

 

 

エドは厳しい顔をしながら司一を睨み付ける。

 

対して司一はというと、ニヤニヤしながらこちらを見ていた。

 

 

「ムカつく顔しやがって!要はあの眼鏡野郎をぶっ飛ばせばいいだけのことじゃねえか!!」

 

 

「待てエドワード!迂闊に飛び込むな!!」

 

 

エドは左足の機械鎧(オートメイル)型CADを使って自己加速術式を使用しようとするが……

 

 

「やっぱりオレのCADも使えねぇか……」

 

 

魔法を発動させることはできなかった。

 

 

「だがオレの『錬金術』を封じられたかどうかまでは……まだ分からねぇ!!」

 

 

そしてエドは両手を合わせようとしたとき……

 

 

 

ドガァアアアアアアアンン!!!!!!

 

 

 

突如、司一の後方にある扉が吹き飛んだ。

 

そこから二人の人物が登場する。

 

 

「おーおー、結構ピンチそうじゃねえか司波兄」

 

 

「ふむ。これは一体どういう状況だ?」

 

 

「桐原先輩、十文字会頭」

 

 

桐原と十文字の二人が現れた。

 

 

「仲間か。援護に回られると面倒だ。お前達これを使え」

 

 

すると、司一は新しくライフルを創造すると、仲間の男達に与えた。

 

 

「始末しろ」

 

 

そして二人の殺害を命じる。

 

 

「「「「「おおぉぉぉお!!」」」」」

 

 

男達はライフルを十文字と桐原へと向けると、勢いよく引き金を引いた。

 

 

「むん!」

 

 

十文字は多重移動防壁魔法『ファランクス』を発動させると銃弾を防ぐ。

 

そのまま防壁を幾重にも重ね、前方へと飛ばした。

 

 

「「「「「ぐぁあああ!?」」」」」

 

 

ファランクスをくらい、吹き飛んでいく構成員達。

 

桐原も高周波ブレードで切り裂いていく。

 

ゴーレムもどきも二人へと襲いかかるが、瞬く間に制圧されてしまった。

 

 

「……使えぬゴミ共め」

 

 

司一は小さく呟く。

 

 

「敵はこれで全部か」

 

 

「……恐らく」

 

 

十文字の疑問に達也が答える。

 

 

「それで司波兄、コイツは?」

 

 

桐原は剣の切っ先を司一に向けながら、ゆっくりと近付いていく。

 

達也は簡潔に答えた。

 

 

「ブランシュのリーダー、司一です」

 

 

「コイツが……!?」

 

 

そしてブランシュのリーダーと聞いた桐原の形相が、厳しいものへと変わっていく。

 

対して司一はというと、一人になったにも関わらず、その表情にはまだまだ余裕が見られた。

 

達也はそのことに違和感を感じる。

 

 

(おかしい……。仲間がやられたというのに、奴の表情に焦りや不安といった感情が全く感じられない。まだ何か手を隠しているのか?だが魔法を封じられている俺達と違って、十文字会頭や桐原先輩は魔法が使える状態。それにゴーレムを召喚したとしても、二人には通用しないと先程の攻防で分かったはず。一体何を企んでいる?)

 

 

「コイツか……壬生を誑かしやがったのはァ!!」

 

 

「壬生?ああ、(きのえ)の後輩の女の子か。彼女には感謝しているよ。全く持って……利用しやすい女だったからねえぇぇ!!」

 

 

すると司一の()()()()()()()()()()

 

 

「お前達も……魔法を使うなあぁぁぁ!!」

 

 

(まずい!ザ・ワールドを使った!?)

 

 

桐原はというと、我慢の限界が来たのか高周波ブレードで斬りかかった。

 

 

「このクソ野郎がああぁぁぁっっ!!」

 

 

「待ってください桐原先輩!?」

 

 

 

ガキンッッッッ!!!!!!

 

 

 

しかし、その刃が届くことはなかった。

 

 

「なっ……」

 

 

なぜなら……

 

 

「魔法が……使えねぇ!?」

 

 

高周波ブレードが既に解除されていたのだから。

 

そして、鋼鉄の壁を創造して斬撃を防いだ司一は、そのまま壁を前方に飛ばし、桐原を吹き飛ばしてしまう。

 

 

「がはっ!?」

 

 

「桐原!」

 

 

その様子を見た十文字が、即座に右手を向けてファランクスを放とうとするが、発動しなかった。

 

 

「なに?」

 

 

すると、それを見た達也が二人へ知らせる。

 

 

「お二人ともよく聞いてください。この男、司一は相手に魔法を使えないようにさせることができます。魔法の名は幻想の支配者(ザ・ワールド)。その正体は催眠効果のある光信号で空間を満たし、相手を強制的に催眠状態に陥らせる危険な魔法です」

 

 

「つまりこの部屋にいる限り、俺達は魔法を使用することができない……ということか?」

 

 

「はい。部屋の広さから考えて、有効射程距離は約二十メートル。その射程距離から離れぬ限り、魔法は一切使えません」

 

 

「……反則くせぇ魔法使いやがって」

 

 

幻想の支配者(ザ・ワールド)……やはり聞いたことがない。そんな危険な魔法があれば、十師族が知らぬ筈がないからな」

 

 

十文字は桐原を支えて立ち上がる。

 

達也は深雪を守りながら、司一から視線を外さない。

 

その様子を愉快そうに見ていた司一は、達也を称賛する。

 

 

「流石だよ司波達也君。私の使う魔法の正体をすぐに看破するとは。だが、看破できたところで君達に、私の魔法を防ぐ術などないのだがねぇ」

 

 

すると司一は突如、指をパチンとならす。

 

直後、部屋の壁が破壊され、奇妙な生き物が姿を現す。

 

 

「グルルルル……」

 

 

それは身体がウマのようにがっしりしており、首はライオンのようであった。

 

 

「……あれは一体?」

 

 

深雪が恐るべき物を見たかのように、疑問の声をあげる。

 

司一は答える。

 

 

合成獣(キメラ)というやつさ。魔法の使えない今の君達など……こいつだけで十分だ」

 

 

キメラが深雪に狙いを定めたのか、ゆっくりと歩いていく。

 

達也は深雪を庇うように前に出る。

 

だがその前に、金髪の少年が司波兄妹を庇うように、さらに前に出た。

 

 

「エドワード!」

 

 

「エドワードさん!」

 

 

司波兄妹はエドの名前を呼ぶ。

 

だがエドはそれに答えず、司一に話しかけた。

 

 

「おい眼鏡野郎、質問に答えろ。テメェの使ってるその赤い指輪……まさか賢者の石じゃねえだろうな?」

 

 

「ほう?賢者の石を知っているのか?君の言うとおり、そのまさかさ。この賢者の石、エリクシルというのだがねぇ、これは最高だよ。魔法式の術式増幅にとどまらず、質量保存の法則や自然節理の法則をも無視して、魔法を発動させることができる。つまり……自然界のあらゆる法則も、このエリクシルの前では無意味なのだよ!!」

 

 

「…………」

 

 

「それだけじゃない。エリクシルには術式展開のプロセスの一切を省略し、思い描いた事象改変をそのまま引き起こすも可能!その上、あのカーディナル・コードなんて目じゃないほどの速度での魔法も発動可能なんだ!名付けるとしたら……さしずめ法則支配(ルーラーズ・インペリウム)といったところか。アハハハハ!本当っっっっにこれは最高だよ!これさえあれば、あの十師族ですら目じゃない!この私が世界を征服することだって夢じゃない!!」

 

 

達也は司一の話を聞いて分析する。

 

 

法則支配(ルーラーズ・インペリウム)か……。成程、術式展開のプロセスを省略できるのならば、あの時打ち消せなかったのも説明がつく)

 

 

司一が『幻想の支配者(ザ・ワールド)』を発動した際、達也は『邪眼(イビル・アイ)』が発動した時と同様、起動式の一部を抹消することで無効化を図っていた。

 

だが、起動展開を飛ばして事象改変を直接引き起こせるのならば、視認した起動式への対処だけでは間に合わない。

 

加えて、辺り一帯が人間の視力では認知できない光信号で満たされているのならば、発動と同時に簡単に幻術に嵌められたのも納得できる。

 

霊子放射光過敏症の美月がここにいたならば、話は違っていたかもしれないが、後の祭りである。

 

ことここに至っては、達也達は自力でこの状況を打破するしかなかった。

 

 

「んなことはどうでもいい」

 

 

そして司一は自身の野望ともいえるものを大きく告げるが、エドはそれを一蹴していた。

 

 

「わ、私の野望をどうでもいいだと!?」

 

 

「オレが聞きたいことは一つだけだ。テメェ、それを一体どこで手に入れやがった?」

 

 

「アハハハハ!そんなことを素直に教えるとでも思うか!この私をバカにしたことを後悔しやがれ!やれキメラよ!!」

 

 

「グウァアアアアア!!」

 

 

すると、キメラがエドへと飛びかかる。

 

そしてエドの()()へと爪を振るった。

 

 

 

バキンッ!!

 

 

 

だが、ダメージを負ったのはキメラの方であった。

 

 

「グルァアアア!?」

 

 

爪が折れたのだ。

 

 

「おらぁ!」

 

 

エドはキメラを蹴り飛ばす。

 

 

「あいにくと特別製でね」

 

 

「どうしたキメラ!?爪が駄目なら噛み殺せ!!」

 

 

「グゥオオオオオ!!!!」

 

 

今度はキメラはエドの()()へと噛みつく。

 

 

「ゴゥウウウ……」

 

 

キメラが噛みついた右腕から、ギチギチといった音が響く。

 

だが、エドは一切ダメージを受けていない。

 

 

「どうしたネコ野郎?しっかり味わえよ」

 

 

そしてエドはキメラを蹴り上げた。

 

 

「ゴアッッ!?」

 

 

キメラはアゴを蹴られたことで、脳を揺さぶられ気絶してしまう。

 

エドはそのまま右腕部分の袖を破り捨てる。

 

そして鋼の義肢が(あらわ)になった。

 

司一は唖然としながら呟く。

 

 

「そうか。思い出した……あの御方が言っていた……いつか脅威となる要注意な魔法師……鋼の義手と義足、機械鎧(オートメイル)をつけた古式魔法『錬金術』の使い手……ああ、そうか。君があの御方の言っていた……」

 

 

 

 

 

 

「鋼の錬金術師!!」

 

 

 

 

 

 

「かかってこいよド三流。テメェとオレの、格の違いってやつを見せてやる」

 

 

ブランシュのリーダーに鋼の錬金術師が立ちはだかった。

 




次回はエドvs司一。

では、また(・∀・)ノ

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。