もう一人のろくでなし魔術講師   作:宗也

11 / 11
お久しぶりです。執筆意欲が湧いたので投稿します。あと、技とかの解説ってあった方がいいんでしょうか?


第11話

「ここの店には、おっ!リンゴが安いな。」

 

どーもどーもハヤトだ、魔術競技祭の打ち上げは特に何事もなく終わったぞ。まあ、グレンが口から魂を出していたけどな!

 

「いらっしゃい兄ちゃん!兄ちゃんが来るって事はあれが必要なんだな!?」

 

「そうだよ店主、在庫はたくさんあるか?」

 

「バッチリよ!!だからじゃんじゃん持ってけ!!」

 

今は八百屋でリンゴを大量に買っている所だ。しかもこの店主、俺が大量のリンゴを買う日を理解してるらしく、その日は八百屋からリンゴ屋になるんだよな。

 

「よっと、これくらいあればいいか。店主、ありがとな。」

 

「いいってもんよ!!」

 

まあ、俺が値段以上のお金を出すからな。しかもこの八百屋に来る客も俺がリンゴを大量に買うことを理解してるんだよな。

 

「店主、また次も頼むぜ?」

 

「もちろんだ!!また頼むぜ!!」

 

気前のいい店主は嫌いじゃないぜ。さて、リンゴを10箱買ったからな、今はでっかい台車にリンゴ箱を乗せてるぞ。

 

「転送魔術とかあったら便利なんだけどな。」

 

前にやってみたけど、思いもよらない方向に向かって行って全ておじゃんになったからな。俺に転送魔術の才能はないようだ。泣きたい。

 

「さて、リンゴも買ったし、後は「ハヤト先生?何しているんですか?」げっ。システィーナ。」

 

「げっ、とは失礼ですね。って何で大量のリンゴを買ってるんですか!?」

 

「ハヤト先生、買い占めでもするんですか?」

 

台車を押していたらシスティーナとテレサに会った。何でこの日にエンカウントするんだよ。

 

「違う違う、ある物を作る為に必要なんだよ。っと次はこの店だな。」

 

リンゴの次はオレンジが必要だからな。さてさて、あるかなっと。

 

「あっ!ハヤト先生!!ハヤト先生も買い物ですか?」

 

ルミアにもエンカウントしちまったよ。今まであれを作るときに会ったことねえんだけど。

 

「ルミア、買い物は終わったの?」

 

「うん終わったよシスティ。ハヤト先生は何を買いに来たんですか?」

 

「ちょっと果物をな。そうだ、せっかくだから手伝ってくれね?」

 

流石に一人で運ぶのは辛いからな。

 

「どうしてですか!?私達が手伝う理由が見当たりません!!」

 

「まあまあシスティ、手伝ってあげようよ。」

 

「ルミアの言う通り、手伝ってあげたほうがいいんじゃないかしら?」

 

全く、生意気娘は可愛くねえな。グレンには素直になれねえくせに。

 

「ルミアとテレサがそこまで言うんだったら手伝ってあげるわよ!」

 

「どうも、さて、まだまだ買うものはたくさんあるからな。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

2時間後

 

「うう、重い……。」

 

「ほらほらどうしたシスティーナ?そんなんで弱音吐いてたらグレンに笑われんぞ?」

 

あの後、オレンジ、レモン、パイン、ピーチ、グレープ、メロンを大量に買ったぞ。台車に一箱だけ乗せられなかったらシスティーナにもってもらってるぞ。

 

「なんで私なんですか!?」

 

「ルミアは天使、テレサは可愛い、システィーナは生意気。だからシスティーナに持たせてる。」

 

俺がそう言った瞬間にルミアは苦笑いをし、システィーナはジト目で俺を見て、テレサは少し顔を赤くしてるな!

 

「そういえばテレサ、いつも一緒にいるウェンディはどうしたの?」

 

「ウェンディは家の用事で今日は出掛けられないのよ。」

 

「そういえばテレサ、いつもウェンディと一緒にいるよな?なんでだ?」

 

本当になんでだろうな?何か昔の知り合いとかなのか?

 

「ウェンディと一緒にいるのは、ウェンディと一緒なら自分の力が最大限に出せるからです。」

 

「まあウェンディはドジだけど、それが無くなればシスティーナにも負けない実力を持ってるからな。」

 

「ふふ、ハヤト先生は分かっていますね。」

 

本当に見る目があるぜテレサ。あと左手を頬に付ける癖がいいね!おっ、家に着いたな。

 

「先生?まさかだとは思いますけれど、あそこのボロボロのアパートが先生の家じゃないですよね?」

 

「えっ?そうだけどシスティーナ?」

 

目の前にあるアパートは建物に亀裂が入っていたり変色したりしていて今にも崩れ落ちそうな見た目をしてるからな!

 

「じょ、冗談はよして下さい先生……。」

 

「冗談じゃないんだなテレサ。公園に住むか、このオンボロアパートに住むか悩んだ結果、ここに住むことになったからな。」

 

まあ、貴族の娘だったり貿易商の娘だったり王女には縁のない建物だけどな!

 

「おうおうおう?てめえら人の敷地に何勝手に入って来やがってんだゴラァ?」

 

「せ、先生!!あのモヒカンの男性は一体何者なんですか!?」

 

中に入ろうとしたらモヒカン頭のごっついお兄さん達に囲まれました。ここ世紀末の世界じゃねえはずなんだけど?

 

「知らん、どうせ中二病を拗らせた結果ああなったんだろう。」

 

「ふふ、ああはなりたくないですね。」

 

「あはは……。」

 

テレサとルミア、意外と胆力あんなぁ。システィーナはびくびくしてんのに二人は苦笑いしてやがる。

 

「黙ってれば好き放題言いやがって!!おいお前ら、さっさと男を殺してその荷物と女を奪い取るぞ!!」

 

「「「ヒャッハー!!ハーレム野郎は消毒だぜぇぇぇぇ!!」」」

 

モヒカン野郎達はボウガンに釘バット、剣等を持って襲いかかってきたな。いや本当に何処の世紀末世界出身だよお前ら?

 

「ハヤト先生!!どうするんですか!?」

 

「どうするもこうするも、迎え撃つしかねえだろシスティーナ。」

 

「で、でも!!」

 

やれやれ、メンタルは本当にダメダメだなシスティーナは。何も殺せとは言ってねえぞ?

 

「テレサ、ルミア、奴等の足止め頼んだ。」

 

「分かりましたハヤト先生。」

 

「テレサ!?だ、大丈夫なの!?」

 

「あのテロリストの事件や競技祭の事件の時に比べれば全然平気。」

 

うわぁ、テレサが逞しくなってきてるな。俺は嬉しいぞ!

 

「そうだね、よくよく考えてみればそうだね!」

 

「余所見は厳禁だぜお嬢ちゃん達!!」

 

「お前がな、『魔技解放』、風よ起これ、サッと吹いてサッと切れ、ウインドカッター!」

 

ルミアに剣を振り下ろそうとしていた野郎を風のカッターで吹き飛ばす。殺人?大丈夫だ、非殺傷性設定にしてあるからな!

 

「くそっ!魔術師か!」

 

「だが男と女を同時に襲えば大丈夫だ!ものども、かかれーー!!」

 

リーダーらしき人物から号令が放たれて野郎供が襲い掛かってくる。あーもう面倒くせえな。

 

「まとめて吹き飛ばすか、神聖なる雫よ、この名を以て悪しきを散らせ、ライトニングブラスター!!」

 

俺の目の前から無数の雷を発生させてモヒカン野郎達に浴びせる。便利だなこの魔法。

 

「野郎!男はもういい、女だけ狙え!!」

 

いい判断だな、だが無意味だ。ルミアとテレサは大人しくやられねえぞ?システィーナは知らん。

 

「き、来たわよルミア!テレサ!どうするのよ!?」

 

「ちょっと痛いけど、我慢して下さい!!テレサ、お願い!」

 

「任せて!拒み阻めよ・嵐の壁よ・その下肢も安らぎを!」

 

おっ!テレサがストーム・ウォールでモヒカン野郎達の動きを止めてる隙に、ルミアがショック・ボルトで気絶させていってるな。

 

「システィ、システィも手伝って!」

 

「わかったわ!大いなる風よ!!」

 

システィーナのゲイル・ブロウも加わってモヒカン野郎達は次々と気絶していくな、ざまぁ!

 

「この小娘供が!!もういい、あれを出せ!」

 

「あれ?って嘘!?火炎放射機!?」

 

いや、マジで世紀末世界に帰れってモヒカン野郎。場違いな雰囲気半端ねえからさ。

 

「てめえらまとめて消毒だぁぁぁぁぁ!!」

 

「せ、先生どうするんで「大丈夫、あれ不良品だから。」すか?」

 

俺がそう言った瞬間に、火炎放射機を持っていた野郎が爆発した。汚ねえ花火だ。

 

「お、終わったの?」

 

「終わったな。おいモヒカン野郎、襲うのは構わねえけど諦めた方がいいぞ?」

 

「ちくしょう!覚えてやがれ!今度会ったときはこうはいかねえからな!」

 

モヒカン野郎達はそそくさと逃げていったな、つーか捨て台詞を吐いて逃げるなよ。雑魚丸出しじゃねえか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ハヤトの部屋

 

「ふぅー、なんとかなったか。」

 

「それよりもハヤト先生!何故火炎放射機が爆発したんですか!?何故私達が襲われたんですか!?」

 

「細工しといたから。たまにここに住んでる奴を襲って身ぐるみを剥いで金にしようとしてる奴のターゲットにされたから。さて、何もない部屋だけどゆっくりしていてってくれや。」

 

今は俺の部屋にいるぞ。まあ、色々と物はあるんだけどな!

 

「中は意外と綺麗なんですね。」

 

ルミアがキョロキョロと辺りを見渡してるな、まあ外見はオンボロだけど中は綺麗だからな。

 

「色々な本と、これは何ですか?」

 

テレサが緑色のグミが入った箱を持ってきた。やっぱ興味あるのか?

 

「それはグミだな。」

 

「見れば分かります。でも普通のグミじゃないような。」

 

「当たり、それは身体の耐久力を一時的に上げるグミだ。」

 

まあ、本当に一時的だから使うことはほぼねえけどな。

 

「さて、今からグミ作りを始めるが、見ていくか?」

 

「どうしてグミなんか作ってるのよ?ハヤト先生の趣味ですか?」

 

「回復アイテムを補充するためだシスティーナ。」

 

何処かのメイドのせいでほぼ全てのグミが台無しになったからな。

 

「よし、作るか。」

 

まずはグミの実とリンゴを銀色のポットに突っ込んで5秒待つ。

 

「ほい、リンゴ味のグミの完成。」

 

「早くないですか!?ただポットらしき物にリンゴと何かを入れただけですよね!?」

 

1からグミを作ると思ったか?そんな面倒くせえことしねえよ。

 

「これは素材を突っ込んだら自動的に合成してくれるポットだ。欲しいかシスティーナ?あげねえけどな!」

 

「いいいりませんよ!!」

 

「ハヤト先生、何種類のグミを作るんですか?」

 

ルミアは出来たアップルグミをまじまじと見詰めながら聞いてきたな。

 

「そうだな、オレンジのグミとレモンのグミ、パインのグミとピーチのグミ、グレープのグミにミックスグミにミラクルグミだ。」

 

「結構作るんですね、先生、出来たグミをいくつか貰っても良いですか?」

 

「いいぞ、ただ貿易に利用しようとは考えないでくれよテレサ?果物がなくなっちまう。」

 

俺がそう言った瞬間にテレサは珍しくオロオロしていた。絶対親に言って貿易に利用しようと考えてたな?

 

「もしかして先生、大量に買った果物はそのグミを作る為に買ったんですか?」

 

「そういうこと、じゃあこれからグミ作りに専念するから帰ってもいいし、ここでゆっくりしてもいいぞ。」

 

まあ、クローゼットさえ開けなければ何しても構わ「わっ!このクローゼットの中、たくさん武器がありますよ先生!?」開けるなよルミア!!

 

「おーいルミアくーん?何で人家のクローゼットを勝手に開けてるのかなぁ?」

 

「えっと、好奇心でつい……。」

 

そう言いルミアは舌を出して肩をくすめた。王族なのに意外とやんちゃなんだな。

 

「はぁ、まあ見ちまったもんは仕方ねえな。」

 

「何でこんなにも大量に武器があるんですか先生!?」

 

「これは剣、これは弓、これは、剣?ブーメラン?」

 

システィーナ、驚くのは結構だけどゲイル・ブロウを放とうとするのを止めような?あとテレサ、色々武器を手にとってまじまじと見すぎだ。

 

「それと、この写真は、ハヤト先生と誰?」

 

「テレサ何見てるの?わぁ!グレン先生とハヤト先生がキリッとした顔で写ってる!!システィも見る?」

 

「わわ、私はいいわよ!でもあいつのキリッとした顔、って何考えてるのよ!?」

 

テレサが手にしてる写真は、特務分室時代の時の俺とグレンが写ってる写真だな。

 

「それともう一枚が、ハヤト先生と、私!?」

 

「本当だ、ハヤト先生と一緒に写ってる人、テレサにそっくりだね。」

 

っち、その写真を見られたか。テレサには見られたくなかったんだけどな。

 

「違う違う、俺と一緒に写ってる人は俺のパートナーだった人だ。」

 

「だった人?つまり今はもういないってことですか?」

 

「……ああ。あいつは逝っちまったよ。」

 

俺がそう言うとテレサとルミアは気まずそうな表情になっていたな。だったら聞くなよったく。

 

「ハヤト先生、もしかしてハヤト先生が魔術嫌いなのって、この人が関係しているんですか?」

 

「そうだよ。」

 

「じゃあグレン先生も魔術嫌いなのって……。」

 

システィーナの考えてる通りだよ。パートナーを守れなかった、それが決定的になって魔術嫌いになったからな。

 

「システィーナ、ルミア、テレサ、グレンの過去は本人に聞くなよ?」

 

「「「分かりました。」」」

 

「けど、俺の過去なら話してやる。何が聞きたい?」

 

「ハヤト先生のパートナーってどんな人だったんですか?」

 

そこ聞くのかよテレサ?まあいいけどさ。

 

「テレサみたいな性格だったんですか?」

 

「だったら良かったんだけどなぁ。名前はシェリー・パース、年齢は俺と一緒だな。そして何よりの風呂嫌い。」

 

「「「えっ?」」」

風呂嫌いって言った瞬間に三人はポカンとした表情になったな。何か面白いから写真撮っとこ。

 

「お、女の子でそんな人いるんですか?」

 

「いるんだよルミア、間違いであってほしかったと何度思ったことやら。」

 

「わ、私はお風呂はちゃんと入りますよ!?」

 

うん、知ってるぞテレサ。シェリーのお蔭?で他人がどれだけ風呂に入っていないかが分かるようになったからな。テレサは昨日風呂に入ったみたいだな!

 

「そしてシェリーは猫みたいな奴だったよ。」

 

俺がそう言った瞬間にテレサとルミアがシスティーナの方を向いたな。

 

「わ、私は猫じゃないわよ!?」

 

「その生意気さが猫っぽいんだがな。まあシェリーは猫でも野良猫だな。」

 

気が付けばあっちへフラフラこっちへフラフラ、かと思えば突然俺の部屋に乱入。でかい野良猫を飼ってるみたいだったな。

 

「しかも色々な所に強引につれ回されたりして、後始末が大変だったな。」

 

まあ、楽しかったから良かったんだけどなぁ。

 

「そんな奴だったけど、頭は良くて魔術の腕も良かった。」

 

「そんな人がどうして亡くなったんですか?」

 

「俺の力不足のせいだ。あの時、判断がもっと早ければ。」

 

悔いた所で過去は何も変わらないのは分かってるんだけどな。けど、何でもっと早く助けれなかったのか。

 

『ハヤトは悪くないよ、これはヘマをしたあたしのせい。』

 

シェリーはそう言ってくれたけど、明らかに俺のせいなんだよな。あと1秒、ほんの1秒早く行動出来ていたら!!

 

「ハヤト先生……。」

 

「それから俺はこの世界に嫌気が差して引きこもった。はい、おしまい。」

 

「ごめんなさい先生、軽い気持ちで先生の過去を検索してしまって。」

 

「いいんだよルミア、誰かに話したらちょっと楽になった。さて、そろそろ帰った方がいいんじゃないか?」

 

もう夕方だからな。夜までいさせて親御さんに変な疑いをかけられたくねえし。

 

「そ、そうだね。システィ、テレサ、行こ?」

 

ルミアはそそくさと立ち上がってテレサとシスティーナの手を引っ張って行ったな。

 

「……シェリー、お前はどう思ってるんだ?のうのうと生きてる俺を許してくれてるのか?」

 

問い掛けた所で何も返事は帰ってこない。久し振りに酒でも飲むかな。

 

「……くそが、最高に不味い。バナナパイも、不味いじゃねえか。」

 

あいつの好物、また一緒に食べてえなぁ。


▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
※目安 0:10の真逆 5:普通 10:(このサイトで)これ以上素晴らしい作品とは出会えない。
※評価値0,10についてはそれぞれ11個以上は投票できません。
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。