「あの野郎、元気にしてやがっかな?」
俺、ハヤトは魔術師である。こいつ頭大丈夫か?っと思った奴、挙手しなされ、燃やしてやるから。
「あの野郎は今日で自宅警備員に就職して1年経過するな。祝いの品でも持っててってやろう。」
あの野郎はグレン=レーダス。まあ、俺の友人というわけだ。1年前に、ある理由で前の仕事を辞めているんだ。
「俺も人の事言えないけどな!!半年前に仕事辞めたし。」
俺とグレンは同じ職場だったんだ。さて、俺が仕事を辞めてから会ってなかったからな。半年ぶりにグレンの奴に会うな。なので、今グレンの住んでいる所に向かってる。
「おっ!見えてきたぞ!!」
グレンの住んでいる家が見えてきた。まあ、実際は居候らしいがな。家の主はセリカっていう凄腕の魔術師らしい。
「ちわーす!!三○屋でーす!!」
あれ?インターホン押しても何の反応もないぞ?留守なのか?
「仕方ない、また時間を改めて「ちょ!!ちょちょ!!待ってェェェェ!!」えっ!?」
何か詠唱が聞こえてきたんですけど!?しかもヤバそうな詠唱だぞ!?
「まさか、ウギャァァァァァ!!!」
炎の魔術かよぉぉぉぉ!?しかも何で俺目掛けて撃ってくるんだよぉぉぉ!!
「ゲホッ、ゲホッ、死ぬかと思った。」
「次は、外さん!!」
俺に当たってるんですけどぉ!?誰に向かって言ってんだよセリカは!!
「セェェェェリィィィィカァァァァ!!」
「おやぁ、貴方は誰なのかしら?」
「しらばっくれてんじゃねえぞゴラァ!!」
セリカはクスクスと笑いながら俺を見ている。くそっ、わざとか!?わざとなのか!?
「ハヤト、プッ、イメチェンでもしたのかブホッ!!」
「これの何処がイメチェンに見えるんだ!?体全体が真っ黒になるイメチェンが何処にある!?」
グレンの奴、土下座しながらこっち見て笑ってやがる。後でハイキック喰らわせてやる。
「何で俺の方に撃ったんだセリカ!?」
「貴方なら私の魔術を喰らっても死にはしないだろうし。グレンを脅すためにな。」
何で俺はグレンの為に真っ黒くろすけにならなきゃならんのだ。
「丁度良かった、ハヤトも無職だったな?」
「NEETという仕事があります。」
「ハヤトも教師になりなさい。グレンと同じクラスでね。」
いきなりなんなんだよ!!このバb「其は摂理と円環へと帰還せよ・五素」すいませんでしたぁ!!
「ハヤト、お前も綺麗な土下座しやがるな。」
うっせぇグレン、この世界を生き延びる為には土下座の取得は必須スキルなんだよ。
「グレンだけじゃどうにも不安だからな。ハヤトが居てくれれば安心する。」
「俺、教育免許もってねえぞ?運転免許しかねえぞ?」
「教育免許?そんなもの無くたって私の権限を使えばどうとでもなる。」
職権濫用してるよこの人は、あー働きたくないでござるー!!
「それに、可愛い女の子がたくさんいるんだぞ?しかも常時ヘソが見えているんだぞ?」
「なんですと!!それは本当かセリカ!?」
20年間女の子とほぼ関わりがなかったからな!!これはいいチャンスだ!!
「でも働きたくない、けど女の子と関わり合いたい。うーーーーん!!」
「じゃ決まり。早速手配しておくわ。」
「おい!!俺まだ了承してないんだけど!?勝手に決め付けんなこの400さ「我は神を斬獲せし者・我は始原の祖と終を知る者・其は摂理の円環へと帰還せよ・五素より成りし物は五素に」本当にすいませんでしたぁ!!マジで勘弁してください!!」
イクスティンクション・レイはもう喰らいたくない!!しかも本気の殺意をぶつけながらだぞ!!
「ハヤト、お前セリカ相手に凄いな。よくそんな悪口言えるよな。」
「俺、思ったことは口に出ちゃうタイプだからな!!テヘェ!!」
「雷精よ。」
ギャァァァァ!!しーびーれーるー!!セリカ、今なんでショック・ボルトを撃ったし!?
「いやなんかムカついたから。」
「理不尽だ!!」
******
アルザーノ帝国魔術学院
およそ四百年前、アルザーノ帝国が時の女王アリシア三世の提唱により、巨額の国費を投じて設立した国営の魔術師育成専門学校。
常に最先端の魔術を学べる最高峰の学び舎で、魔術を学ぶ者にとっては憧れの聖地とも呼ばれている名門校である。
ちなみに、俺もグレンもここのアルザーノの出身だ。
「ということで、今日からこのクラスの担任になることになったグレン=レーダスでーす。」
「同じく、担任のハヤトでーす。」
『……。』
あれ?無反応?俺泣いちゃうぞ?泣きわめくぞ?
「んじゃ、早速授業していくかぁ。」
そう言いグレンは教科書を開き、閉じた。どしたんだ?
「各自自習。んじゃ俺は寝るわぁ。」
「おいおい、ったく、じゃあ俺が代わりに授業するからな。えーと、ふわぁ、面倒くせえ。」
何だこの教科書?馬鹿なのか?こりゃグレンもやる気失うのも分かるな。
「ここはー、こうでー、こうなりまーす。わかったかー?」
『全然生き生きしてないな。あんな人始めてみた。』
生徒達が何やら呆れた感じで見てるけど気にしなーい気にしなーい。
「えーと、こうでー、こうなるぞー。」
文字は適当でいいや。何となくわかればいいだろ。
「字が汚くて全然読めない……。」
「システィーナ、とりあえず1発殴っておけば?」
何か物騒な事聞こえたぞ?俺を殴っておぶへぇ!!銀髪の野郎め。
「先生、真面目に授業をしてください。」
痛てえな、物をぶつけられたか。これでも真面目にやってるつーの。
「で、多分きっと、こんな感じになりまーす。わかったかー?」
「さっきとなんら変わりないじゃない。」
何やら銀髪の生徒が唸ってるな。何だ?トイレに行きたいのか?
「はぁー、おいグレン起きろよ。」
『目が死んでる。』
「あのー、質問よろしいでしょうか?」
「なんだ?」
茶髪の眼鏡の子が手を挙げてきたな。何だ?指摘か?
「さっきのルーン語の事なんですけど、黒板に書いてくれた翻訳がいまいち分からなくて。」
「ふーん、ほーん、へぇー、俺もわかんね。グレンはどうだ?」
俺はグレンを叩き起こして黒板に書いたルーン語を見せる。
「俺もわかんねーな。すまんな、自分で調べてくれ。」
「もしくは、ググってくれ。」
「待ってください!!」
銀髪の子が立ち上がる。なんなんだいったい?
「どした?銀髪?」
「私にはシスティーナという名前があります!!リンに対してのその態度、教師としてどうなんですか!?」
「んなこと言われてもな、わからねえもんはわからねえし、なあグレン?」
「ハヤトの言う通りだ。本当にわからねえんだよ。」
こいつら、自分で調べる方法も分からねえのか?
「ひょっとしてお前ら?辞書の引き型も分からねえのか?だったら調べられね「キーンコーンカーンコーン。」今日はここまでー♪」
あいつ!!逃げやがったな!!
「じゃ、次回までに辞書の使い方を学んでおくんだな、じゃあなー。」
これであの空間から逃げられるぜ!!ヒャッハー!!
******
「ったく、教師は面倒くせえなぁ!!」
「確かにな、早く辞めてーなー。」
俺とグレンは愚痴をこぼしながら廊下を歩いている。
「特にあの銀髪の子、面倒くさいわー。」
「それは言えてるなハヤト、あーあ、本当に教師って面倒くせえなぁ!!」
そう言いグレンは何処かのドアを蹴り開ける。ここって何の部屋だっけ?
「何で錬金術っては着替える必要が……あっ。」
「どうしたグレン……おっ。」
これは、あれだな、女子が着替えている所に出くわしたというベタなパターンだな。
「ちょっと!!」
「「あー待て待て。俺は常日頃こんなお約束展開について物申したいことがある!!」」
ちなみに目は瞑ってるぞ、でも、心の目で女子達を見ればいい!!ウヒョ、見える!!見えるぞ俺は!!
「何で慌てて目を背けたり、手を引っ込めようとしたりすんだろうってな。」
うんうん、グレンの言う通りだ!!
「たかが女の裸をちらっと見るのとボコられるのが等価交換だなんて、割に合わねえだろって。」
「だから俺は!!この光景を目に焼き付けるんだぁぁぁ!!」
「おいハヤト!!おし!!俺も目に焼き付けてやダァァァス!!」
こ、このクラスの女の子はいいパンチを持ってやがるぜ、ガクッ。
「貴方達それでも教師なんですか!?」
「そうだぜ、非常勤だけどな、ガクッ。」
*******
まあ、そんなこともありながら10日が過ぎていった。もうね、はっきり言うと面倒くさい。だから自習って形を取ってたんだけどね~。
「これは、そういう意味と捉えていいんだな?」
銀髪がグレンに手袋を投げ付けた。まあ、いわゆる決闘の申し込みだな。
「じゃあそうだな、まぁ、この年頃の女の子だしなぁ~俺の言うこと何でも聞いてもらおうかなぁ~。」
グレン、流石だな。ニヤニヤとした笑みで銀髪を見てるし、銀髪は涙目になってるな。可愛い!
「くっ!!私が勝ったら、真面目に授業をしてもらうんだから!」
おおう、それはちとまずいな。グレンー、負けんなよー。って何で銀髪に近づいてんだ?
「ぷっ、なんーてな。お前みたいな乳臭いガキに興味無ぇよ。まぁ、俺には文句を2度と言うなよ。」
そう言いグレンは教室から出る。俺はもうひと眠りでもしてましょうかねぇ。
「何寝ようとしてんの?アンタにも決闘を申し込むわ。」
「決闘?俺デュエ○ディスクもデュ○ルカードもないから無理だわ。諦めな。」
「逃げる気なのかしら?」
そう言って銀髪は俺にも手袋を投げ付ける。やれやれ、やるしかないかぁ。
「受けてやんよ、まあ、条件はグレンと一緒でいい。」
とまあ、こんな感じで銀髪に決闘を申し込まれた。最初はグレンと戦うらしい。
「お前らみたいなガキにケガをさせるわけにはいかねえからな~。魔術はショック・ボルトのみだ。」
「上等よ、さあ構えなさい!!」
「いーや、先手は譲ってやるよ。いつでも撃ってきな。」
グレンの奴、そういうことかよ。
「雷精の紫電よ!!」
銀髪がショック・ボルトを1節で唱えて、グレンに放つ。グレンは余裕そうな笑みを浮かべて、直撃した。
『は?』
「な、なかなかやるな。俺が反応出来ない速度で撃ってくるとは。だ、だがこれは3本勝負だ!!一本はハンデとしてくれてやったんだよ!!」
グレ~ン、強がるなよ~。膝笑ってるぞ?しかもお前ショック・ボルト三節じゃないと唱えられなきじゃん。
「行くぞ!!雷精よ・紫電の「雷精の紫電よ!!」アギャャャァァァァ!!」
「ブフッ!!は、腹いてぇ!!俺を笑い殺す気かよ!!」
やべ!!腹筋つる、腹筋つってしまう!!
「さあ、次はアンタの番よ!!雷精の紫電よ!!」
あり?もうグレンはやられたのか。もう少しグレンの苦しんでる姿が見たかったのに。
「当たるかアーホ!!」
俺は銀髪が撃ってきたショック・ボルトをしゃがんで避ける。
「なっ!!ショック・ボルトをかわした!?」
「そんな驚くような事か?魔術の速度なんて銃弾に比べれば遅えから簡単に避けれるぞ?」
「くうぅ!!雷精の紫電よ!!」
銀髪が続けてショック・ボルトを放つが、俺は体重移動やしゃがんだりして避ける。
「いい加減に当たりなさいよ!!」
「ドMじゃないから嫌です。さて、そろそろ終わらせるか。」
そう言い俺は身構える。銀髪は何故かガタガタ震えているな、やっぱトイレに行きたかったのか?
「よっと。」
俺は銀髪が瞬きした瞬間にバックステップをする。
「えっ!?あれ!?先生は!?」
おーおー慌ててやらぁ。ちなみに俺は銀髪の後ろにいるぞ。今やったのはバックステップをすると相手の背後に一瞬で回る事が出来る技だ。技の名前忘れたけどな。
「システィーナ!!後ろ!!」
銀髪の友人らしき人が俺の位置を教えるがもう遅い!!
「ほっ。」
俺はシスティーナの後頭部にショック・ボルトを放……たないで、膝かっくんをする。しかし、うなじ綺麗だなこいつ。
「はい終了、俺の勝ちだから帰るわ。」
「ちょっと待ちなさいよ!!何で魔術を使わなかったのよ!?」
「面倒だったから。んじゃな。」
グレンはほっとくか。あいつゴキブリ並の生命力だからな。というわけでさ~らば!!