俺のために鬼になってくれる女   作:鈴鹿鈴香

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オルレアン 02

 この特異点を救うため、決意を新たにした俺。少々ライコーさんがふくれっ面で拗ねてるようなところが見られるが、英霊の召喚は戦力の増強に不可欠となれば是非もなし。別にライコーさんの強さを疑っているわけではない。

 それにどうせドラゴンスレイヤーなんてガッツみたいなキン肉マンばっかりでしょ。俺が甘えたいのは野郎じゃなくて綺麗でおっぱいの大きいお姉さんなんで。サーヴァントが一人増えたところで俺の一番はライコーさんに変わりないんで。

 

『さて、これからの行動方針についてだが……まずはベースキャンプの構築だね。そこで新たに英霊召喚を行うこと。これが最優先だ。それが終わり次第、この特異点の原因であると予想されるメリュジーヌと接触しなければならない。メリュジーヌと縁の深い土地といえば、彼女が居城を構えていたリュジニャンだが……手がかりのない今、まずはそこを目指して進むしか無い。現在地点からだと……ひたすら西へ、フランスを東から西へ横断することになる。道中、竜からの襲撃もあることだろう。くれぐれも気をつけて進んでくれ』

 

 よし、やることが決まったのなら行動あるのみ。こんなところからはさっさとおさらばしてメリュニャンに会いに行こう。

 

「そう言えばライコーさん。日本に竜退治の英雄って誰が居るんですか?」

 

 牢を出て武装を装備し直しているライコーさんを眺めながら、なんとなく聞いてみる。どうせ仲間になるんなら日本人のほうが親近感わくし、仲良くやっていけそうじゃん。誰が召喚されるかなんてわからんが、ここで少し勉強してみるのも悪いことではなかろう。

 

「そうですね……日本の代表的な竜殺しと言えば、八岐大蛇を討った須佐之男が挙げられるでしょうか。しかしこちらは英霊ではなく神霊……人間が使役できる存在ではありません。また、竜が水神の象徴として蛇と並べて語られたことから、大蛇退治の英雄を竜殺しと捉えることも出来ますが……直接竜と戦った英雄の逸話は、日本ではあまり多くないでしょう」

 

 ふーむなるほどなー。東洋の龍ってベースがトカゲじゃなくて蛇だもんなあ。八岐大蛇だって思いっきり蛇って言ってるし。

 それにしても、ドラゴンってそんなに強いのか。もしかして、結構やばいヤマなんじゃないか今回の特異点。神様と戦うレベルの存在なんだろドラゴン。これ大丈夫なん? 勝てるんコレ?

 

「あとは……龍神と縁の深い英雄ならば幾らか心当たりがあります。藤原秀郷───俵藤太と言ったほうが通りが良いかもしれませんね。龍神一族の娘からの依頼により三上山の大百足を退治することで、彼女たちから甚く気に入られ、その力を借りて平将門を討ち取るに至ったとか」

 

 おいおいおい、龍神一族の娘て。流石は日本人、平安時代から既にロリドラゴン伝説があったとかやばない。やはり日本人ははるか昔の時代から未来に生きていたようだ。よくよくかんがえれば皇祖神が女神様だったりと、現代の感覚からしても結構ツボに来る伝承多いよね。平安時代最強の妖怪バスターは眼の前に居るボインボインの姉ちゃんだし、ファンタジーは日本にあったんや。

 

『まあ心配せずとも、ここにいる頼光さんは牛頭天王の化身、そして牛頭天王はさっきも話しに出てきた須佐之男と習合された存在だ。並のサーヴァントよりもよほど竜とは相性が良いはず。立香くんは気を楽にして召喚にあたってくれ』

 

 まじで弱点ないのかライコーさんアンタ。ちょっと誇らしげなドヤ顔も可愛いじゃないか。歴史の偉人を召喚できるってやっぱチートだわ。

 

 

 

 装備を整え、外へと出ようとしたところ、なにやら砦が騒がしいことに気付く。

 

「これは……もしや戦いが?」

『たった今捉えた! 大型の生体反応だ! 恐らくこの騒ぎはドラゴンとフランス兵が交戦していることによるものだ!』

 

 今まで地下に居たためか、どうやら開戦に一足遅れてしまったらしい。まだドラゴンの強さを肌で感じたわけではないが、普通の人間が立ち向かえるような存在とは到底思えない。このままでは蹂躙は必至。この砦もそう時間を待たずに落ちよう。

 

 ならば、この戦場には英雄が必要だ。ここに居る未来の英雄と古の英雄が世界を救ってくれようぞ。

 

「ライコーさん!」

「はい、心得ました!」

 

 俺は盾を構え、ライコーさんは刀を抜いて駆け出す。

 空を翔ける竜に石造りの壁などまるで意味をなさない。ドラゴンは砦の内部にまで侵入を始めていた。

 

『ワイバーンだ! 奴らはまだ竜として成長し切る前の幼生のようなもの、サーヴァントなら十分相手取れる!』

 

 ロマンさんの心強い言葉に背中を押され、ひた駆ける。砦の中に居たフランス兵たちは、既に武器を取り応戦しているようだ。彼等の中には俺たちを牢まで連れていった男も居る。俺たちに気がついた彼が叫んだ。

 

「お前たちはさっきの変な格好のヤツら!」

「助太刀します!」

 

 貧相な槍や剣で武装したフランス兵の傍に駆け寄って盾を構える。さあ、どこからでもかかってこい! 驕るなよワイバーン共、貴様らの体はライコーさんがなます切りにしてくれるわ!

 

 ロケットのように勢い良く飛び出したライコーさんが、暴れん坊将軍もかくやと言うほどに大立ち回りを繰り広げる。竜退治したことないとかウッソだろ。刀を一振りする度にワイバーン共の肉が裂け、翼が折れ、頭と胴が泣き別れる。まるで無双ゲーみたいだぁ。

 圧倒的な強さのライコーさんであるが、いかんせん竜の数も多い。撃ち漏らした連中がフランス兵へと襲いかかった。

 

「おい待てよ、ちゃんと俺を狙ってくれないと困るぜ!」

 

 だが俺が行かせないぜ! フランス兵の前で仁王立ちを決め、ワイバーンの突進を受け止めんと立ち塞がる。大丈夫大丈夫、俺なら行けるってマジで。魔性の血も結構馴染んできた感じするし? まだ手品師みたいに白黒の剣ポンポン出せるわけじゃないけど、俺ってばビームを受け止めた実績あるし? タンクとしてはそこそこ実力あるんじゃないみたいな?

 ワイバーンがこちらに迫りくる。あれ、ちょっと思ってたより速いなワイバーン。ていうかデカイなワイバーン。本当に大丈夫かコレ。速い上に重いって相当な破壊力なんじゃないか。

 

「ぐあああああああ!!」

 

 立香君ふっとばされたー! 後ろでかばっていたフランス兵もろともワイバーンの巨体に吹き飛ばされる。

 いや、まあ、そりゃそうだうん。人間がトラックと相撲を取るようなものだ。ライコーさんですら真正面からワイバーンの攻撃を受け止めるような真似はしていなかった気がする。華麗に回避して返す刀で連中をバラバラにしてた気がするな、うん。そりゃそうだよ、だってウエイトが違う。踏ん張って耐えるんならともかく、こちらから攻めようものなら弾き飛ばされるのは必至。

 

 あれ~おかしいなこれ。俺の想定ではこう、ガツーンとワイバーンを受け止めて、うぐぐぐぐって感じに奴を押さえつけ、そのスキにフランス兵たちでタコ殴りにしてもらうつもりだったんだが。なんてことを地面に這いつくばりながら考える。

 その間、俺を弾き飛ばしたワイバーンは悠々と空中で旋回し、次なるフランス兵へと飛びかかった。

 

「そう何度も抜かれてたまるかー!」

 

 カッコ悪いけど、もうなりふり構ってられん。遮二無二ワイバーンに飛びかかる。うおおおお! 突進(チャージ)の神よ! 今こそ俺に力を! チャージグGOOOOOO!! 体のどこかに当たってくれー!

 

「ふんぬぅ!!」

 

 ワイバーンの横っ腹、翼の下側から盾で突き上げる。重量差は膂力でカバーだ。揺るぎない大地を力の限り踏みつけ、腕をクロスに盾を支え、渾身の力でえぐり込む。

 

 横っ面からの衝撃には、さしもの竜もまいったようだ。ぐらりと体を傾かせ、俺の体もろとも地面へ勢い良く倒れ込む。

 

「うおおおおおお!!」

 

 暴れ狂うワイバーンを地面へと縫いとめる。鋭利な鱗や爪が容赦なく振り回されるも、どうにか盾越しにヤツを押さえ込むことで防いだ。

 いや、ちょ、強い、強くないかこいつ? 少しでも力を抜いたらあっという間に俺なんて弾き飛ばされるだろう。こうやってマウント取っている間にぶっ倒さないと俺が殺されるぞ。

 

「今だぁぁぁぁやれええええ!!」

 

 周囲のフランス兵に呼びかけ、俺も必死に近場に転がっていた石を握り込んでワイバーンを殴打する。この期に及んでレンガが武器ってどうなんだよ。原始人か俺は。

 

 ワイバーンの巨体に、フランス兵から繰り出された剣と槍が突き刺さる。その多くは硬い鱗に遮られているようだが、肉質の柔らかい腹や内もも部分には有効な攻撃が通っているように感じる。俺もワイバーンの首元へと身を捩り、顔面にレンガパンチを何度も食らわせた。

 

「死ね! 死ね! うおおおおお!」

 

 多分効いてる。ワイバーンの体が一層強く暴れだし、口からは咆哮とともに激しい炎が吹き上がる。うおおおお! あっちいいいいい! こいつ火まで吐くのかよ! こんなもんまともに食らったらアフロヘアーじゃすまないぞ。ホラーマンみたいな顔になっちゃうわ。頼む、お願いだから早く死んでくれ。

 

 祈りを込めながらワイバーンを押さえつけて顔面パンチを繰り返していると、徐々にヤツの動きも弱々しくなってきた。どうやらフランス兵たちもだいぶ頑張ってくれていたようだ。ふと首を巡らせれば、血にまみれたワイバーンの胴体が見える。失血死か?

 

 しっかし、ドラゴン一体にこれだけ苦戦するとは……ちょっとフランスって今かなりやばい状態なんじゃない? サーヴァントでも無いとまともに相手できないような存在が各地で暴れまわってんだろ?

 

「ご無事ですかマスター!」

 

 ライコーさんの方もあらかた片付いたようだ。とうとう動かなくなったワイバーンから離れて息を整えていると、駆け寄ってきた彼女からハグを食らう。頭を胸元でぎゅっと抱え込まれ、手でホールドされた。ちなみにボクがはあはあしてるのは激しい運動によって失われた酸素を取り入れるためなのであって、他意はない。

 

「ええ、ライコーさんこそ怪我はありませんか?」

「この通り、傷一つありません。ですがマスター、まさかあなたがワイバーンに正面から立ち向かうとは……」

 

 私怒ってます! と言わんばかりに、ライコーさんがむっつりとした表情を取る。あ、俺ってばこれからめってされちゃう感じ? ツンっておでこを人差し指で弾きながら怒ってくださいお願いします。

 

「妖魔を相手に自らが盾となる……大変立派で勇敢です。勇者たるものそうでなくてはなりません。無理無茶無謀、大いに結構。私はあなたにそう言いました。しかし、それと同時にこうも言ったはずです。英雄たるには無茶も道理も跳ね除ける力が必要であると。人には長い歴史の中で磨かれた、怪異と戦う術があるのです。それを身に着けた英雄の戦いは、雄々しく、逞しく、そして自然と美しくなるもの……」

 

 つまり……つまりどういうことだってばよ?

 

「つまり私が言いたいのはこういうことです! 敵に挑むのならば、しゃんと英雄らしく格好良く戦いなさい! 格好良い戦士は当然強いのですから!」

 

 な……! なにぃ! 俺の脳内で稲妻が走った。

 

 カッコよく戦う……。そうだ、そりゃそうだ。英雄になって隣に並び立ちたいだなんてライコーさんに啖呵切っといて、さっきの俺の無様な戦いはどうよ。

 な、なんてカッコ悪いヤローだ俺は。勇み足で化物に飛びかかってはギリギリの戦いをして、それが終わって女に心配されるなんざ……俺がもっと強く、危なげなくワイバーンを退治していたら、ライコーさんもここまで心配しなかっただろうに。そう、ライコーさんは俺に戦うことを禁じてなんかいない。ただ、それと同時にワイバーンなんぞという雑兵ごときに手こずることを許しても居ないのだ。

 

 源氏の大将は伊達ではない。彼女は数々の英雄をまとめ上げて鬼を切ってきた、まさに英雄の中の英雄。そんな彼女の側に立つ……そりゃあ生半可じゃあダメだ。目標は高い。英雄という山の天辺まで上り詰めなければならない。

 でも、彼女が俺に発破をかけたのは、俺への期待の裏返しなんじゃないのか? つまり見込みがあると言外に言われているようなもの。

 

「ですが、圧倒的な格上を前にして戦意を衰えさせることなく立ち向かう姿はまさしく英雄のもの。格好良かったですよ。私も惚れ直してしまいます」

 

 その証拠に、ライコーさんからぎゅってされた。アメとムチぃ……素晴らしい。彼女はこうやって四天王たちを育てたのでしょうか。だったらライコーさんは天才だと思うよ。俺めちゃくちゃやる気に溢れてるからね、今。

 

 盾を担いで白刃に身を晒すばかりが戦いではない。俺ってば賢い人間様だ。もっとクレバーに振る舞う方法もあるはずだろう。

 

 

 

 ライコーさんにぎゅってされることしばし、砦の外でワイバーンと戦っていたであろうフランス兵たちが戻ってきた。皆満身創痍の出で立ちで、無事なものなど一人も居ない。

 

「あんたらのお陰で助かったよ。しっかし、そっちの大きな姉さんはとてつもなく強いな。まさか竜共をあんなにもたやすく切り伏せるとは。彼女が居なければ、俺も砦の外で戦っていた仲間たちと同じくらい大きな怪我を負っていただろう」

 

 俺たちを牢に連れて行ったイケてるフランス兵の兄ちゃんが声をかけてきた。彼は先程一緒にワイバーンをタコ殴りにした戦友でもある。

 

「ええ、本当に彼女のおかげです。それにしても、毎度こんなにも激しい戦いが繰り返されているのですか? こんな戦いが続いては、この砦を維持することも難しいのでは?」

「実際のところ、既にヤツらに滅ぼされた街はいくつか出ている……今日は竜共の量も多かった。先程外で戦った連中から聞こえてきた話だが、何でも今回は魔女が出てきたらしい」

 

 ああ、やっぱりいつもよりでかい規模の戦いだったのか。多分ライコーさん居なかったらこの砦も落ちてたんじゃないかな。ところで魔女とな。

 

「ジャンヌ・ダルクが?」

「ああ、竜を率いて直接ここを討ちに来たのか……詳しいことは俺にもわからないが、竜との戦いが終わると、南に向かって逃げていったらしい」

 

 ふむう……大将自ら砦を落としに来たけれども、尻尾を巻いて逃げていった……? ジャンヌ・ダルクって魔女とかどうとか言われてるけど、出自は農家の一般人なんだっけ? ライコーさんというガチ武将の力を前にして恐れをなしたか……。

 

「ロマンさん、どう思います?」

『実はさっきの戦闘中、立香くんは通信している暇がなかったから言えなかったが、砦の外で弱いサーヴァント反応があったんだ。もしかしたらそれがジャンヌ・ダルクのものだったのかもしれない』

「ジャンヌ・ダルクがサーヴァント……やはりここでは聖杯戦争が?」

『恐らくそれで間違いないだろう。と、なると更に何体かのサーヴァントも召喚された可能性がある。彼等が敵か味方かは定かでないが……できることなら味方に引き入れたいところだね』

 

 なるほど、サーヴァントを味方にする。そういうのもあるのか。戦力はどれだけだって欲しい。霊脈を探す道すがら、サーヴァントを探すのもありか。

 さて、じゃあ行動開始といこう。

 

「なるほど、わかりました。では俺達も行きます」

「そうだな。魔女は街や砦を中心に攻めてきている。ここに居るよりも外のほうが安全だろう。気をつけろよ」

 

 そういう考えもあるのね。外のほうが安全、か。

 最後までこちらを気にかけてくれるいい人だったな。彼のためにも、俺達がこの戦いを終わらせよう。

 

 

 

 砦を出て、フランス西部リュジニャンまで最短距離で直進……と言いたいところであるが、どうにもコレがうまくいかない様相を呈してきた。

 

「マスター、フランス中央部は盆地……つまりここから山を越えれば平野が広がっています。空を翔ぶ敵を相手に遮蔽物のない平地を行進するのは危険です。ましてや召喚のための拠点を構築することは困難を極めるでしょう」

 

 流石はライコーさんだ。頼りになるぜ。

 と、言うことで、俺達は盆地を囲む山に沿ってぐるりとフランス南部を通過してリュジニャンへ向かうこととした。奇しくも南に逃げたジャンヌ・ダルクの後を追う形となる。

 

『立香君、ひとまずは山岳沿いに進んでラ・シャリテを目指してくれ。霊脈はこちらで探知してみるから、見つけ次第そっちに知らせる』

 

 ワイバーンは西からやってくる。ならば山岳を盾に進めばあちらからも見つかりにくいだろう。数では確実にこちらの劣る戦いだ。無駄な消耗は極力避けるべきなのは明らかである。サーヴァントを追加で召喚できればもっと楽ができるのだろうが……とにかく現状はスピード命だ。とっとと行こう。

 

 と、歩き出す前は元気にそう思っていたものの……。

 そう、俺達ってば歩いて移動してるんだよ。パリに向かおうってなんとなく思ってた時は浮かれててあまり気にしなかったけど、ここからリュジニャンまで何キロあると思ってんだ。直線で進んだってほとんどフランスの国土全体を横断するようなもんなんだぞ。アホ程遠いわ。

 今は迅速な移動のため、ライコーさんに抱えてもらって猛スピードでフランスの大地を駆けている。ライコーさん満更でも無さそうですね。でも女に赤子のように抱っこされる男の気持ちを考えたことがありますかあなた。おっぱいがぷるんぷるんボクの体をビンタしてきて辛抱たまらないといいますかなんといいますか私の息子が申してましてね。

 

「ロマンさん……その、次から移動手段について考慮していただけると……」

『……すまない、用意が足りていなかった。でも、頼光さんは高ランクの騎乗スキルを有していた筈だろう? なにも立香君を抱えて走らなくても、その辺で馬を失敬すればいいんじゃ……』

「いいえ、いいえ! とんでもないことです! 馬はあらゆる場面で役に立つ動物です。ワイバーンに襲われるフランス兵達は、私達よりもよっぽど馬を必要としているはず。そんな彼等から、たとえ1頭であろうとも馬を拐うなどということはできません! ですのでマスターは私に抱かれるべきなのです!」 

 

 うん、だったら仕方ないよな。いやー、この歳で抱っこされて運ばれるなんて恥ずかしいけど、事情が事情だもんなあぁ。仕方がないなあ。なのでライコーさんはもっとガッツリ俺を抱えてもらって結構ですよ。ギュウギュウに体を密着させるくらい。さあ、さあ。


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