問題児と一緒に変態赤龍帝も来るそうでよ?   作:暁紅

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サブタイが適当になっていく


衝撃のホニャララ

 

「あの問題児様方はぁぁぁぁ!!!」

 

朝を鳴いて告げる鶏のように黒ウサギは1枚の置き手紙を見て叫び、その叫びはノーネーム本拠地全体に響き渡った。

 

置き手紙の内容は

『黒ウサギへ。

北側の四○○○○○○外門と東側の三九九九九九九外門で開催する祭りに参加します。貴方達3人も後から必ず来ること。

黒ウサギは私達に祭りの事を意図的に黙っていたので罰として、今日中に私達を捕まえられなかった場合3人ともコミュニティを脱退します(・・・・・・・・・・・・・・・・)。死ぬ気で探してね。

PSジン君は道案内に連れていきます。』

 

そうそれは黒ウサギがひた隠しにしていた理由でもあった。もし問題児(十六夜)達が知れば確実に参加すると言い出して聞かなかっただろう。

 

北側に行くのもタダではない。

貧乏な現状のノーネームではとてもではないがその移動に金を払うことは出来ない。

 

なので今回はこれをあえて逃して、次に行われる南側の方に行くために資金を貯めようとしていた。

 

が、その思惑は見事に裏目に出てしまい、逆に問題児達の心に火をつける事になってしまった......

 

そこで黒ウサギはある事に気づいた。

 

手紙には3人と書かれていた。

朝から見かけていない問題児は逆廻十六夜・春日部耀・久遠飛鳥。

1人一誠だけは何人かの同胞が目撃している。

 

慌てて他の同胞に話を聞くと一誠は自室にいるとの事。

 

急いで二階にある部屋に向かい、到着してすぐにノックをせずにドアノブを捻り押す。

 

しかし鍵がかかっているのか開く気配がない。念のためと何回も押すがやはり開かない。

 

「は?待てちょっとま」

 

中にいる一誠は何やら言っているようだがそれを無視して、ドアを蹴破り中に入る。

 

蹴破られたドアは窓のガラスを粉砕して外に飛び出していき、中にいた一誠は服を何一つ着ておらず生まれたままの姿で、その下半身についている男の象徴を黒ウサギに見せていた。

 

「「いやぁぁぁ!!!!」」

 

今度は2人の叫び声がノーネーム中に響き渡り、黒ウサギの目をつぶったパンチが何も悪くない一誠の意識を刈り取る。

 

 

 

ルイオスとの一件いらい毎朝トレーニングをするようになった。理由としては一誠の赤龍帝の篭手の能力は、現状の力を全て倍加させるものだ。

そのために体づくりを始めている。

 

まだ皆が寝静まり、日が完全に明けきっていない内に、動きやすい短パン半袖の服に着替えランニングを数時間して帰宅する。

 

その日も普通にランニングを終え帰宅してきた。何やら騒ぎ声が聞こえたりもしていたが...

 

部屋に戻るととりあえず鍵をかけてから、鏡の前に立ち裸になる。

 

「ほほぉ...そこそこ筋肉ついてきたな...」

 

自身の腹筋をなぞったり、一部の筋肉だけを動かして満足げにニヤついたりしている。

 

そんな事をして1人楽しんでる時突然ドアが開かれかける。いつもの日課で鍵をかけていたのでどうにか今の状況を見られる事は無かったが、それでも何度も何度も開こうと鍵がかかっているのに押すので鉄と木がぶつかり合う音が鳴る。

 

「は?待てちょっとま」

 

もしかしたらすぐにでも突撃してくる可能性もあるので、ベットの上に放ってあるパンツを掴みに行くが、ドアが軋む音がなりそちらを見た瞬間ドアは鍵ごと吹き飛ばされ窓から外に飛び出していく。

 

あまりのショッキングな出来事に掴みかけていたパンツの事を忘れドアの方を立ち尽くして見せてしまう。

 

一誠には女の裸を覗く趣味はあるが逆に裸を見せる趣味はない。だから女のように叫ぶが、それと同時に拳が飛んできた。

 

 

 

とこう言った具合で朝の内に事件が起きた。

 

「うむ聞いた限り黒ウサギが悪いな」

「はぁ...鍵もかけてたのに強引に破るとか...ビッチに程があるな...桃ウサギ」

「桃ウサギじゃないです!黒ウサギです!!」

 

あの後絶叫にいち早く反応したレティシアが駆けつけ、とりあえず黒ウサギを外に放り出して一誠を起こして服を着せてから話を聞いた。

 

だが今はその話はいいと事の発端になった置き手紙について話し合う。

 

「それでどうすんだ?」

「金庫の金には手をつけられていなかったから、境界門(アストラルゲート)は使われてないな」

 

レティシアの言った境界門(アストラルゲート)とは外門と外門を繋ぐシステムだ。ペルセウスとの決闘の際もそれが使用され一瞬で移動していた。

 

が、それを普通に使おうとすると多額の代金が発生する。1人につき金貨1枚。十六夜達はジンを連れ合計4人なので使うとしたら金貨4枚が必要となる。

 

金貨4枚はほぼノーネームの全財産と言ってもいい額だ。

 

それを黒ウサギは『箱庭の貴族』なので無料で使う事ができる。

 

黒ウサギはどうにかすぐに追えるだろう。しかしそうなるとレティシアと一誠はどうなるのか。

 

わざわざ金貨を払うのかと言われれば渋ってしまう。なので今回この案件を持ちかけてきた″サウザンドアイズ″に赴き無料で使えないかと交渉に行く事にした。

 

黒ウサギは髪を淡い緋色に変化し、かなりの速度で跳躍しながら北側へと向かう。

 

黒ウサギを見送った2人は急いでサウザンドアイズに向かうと、いつもの店員さんが立って待っていた。

 

「ようやく来ましたか。それではこちらへどうぞ」

「えっ?どういこと」

「白夜叉様からすでに話は通っています。境界門(アストラルゲート)をご使用になるのでしょ?」

「助かる。迷惑をかけるな」

「いつもの事です」

 

女店員さんの顔をよく見ると薄らと隈が出来ていた。今はその隈を隠す暇すら惜しいと言う事なのだろう。

 

心の中で感謝しながら廊下を歩き、一つの赤い扉の前に着く。その扉はこの建物の和風さを完全に無視した洋風のものだ。

 

「こちらをどうぞ。それでは仕事がありますので」

 

一度軽く会釈をして来た道を戻っていく。

 

帰っていく背中がどこか辛そうに見えた......今度何か買ってあげようと心に決める。

 

「それじゃあ行くか」

「あぁ。黒ウサギの方が早く着いてるかもしれないからな」

 

ドアノブを捻り押して中に入ると辺りの風景は一変していた。

 

さっきまでいた場所は住宅街のように建物がひしめき合っていたはずなのに、今は高台のような位置に目立つように建てられている建物にいた。

 

偶然近くにあった窓から外を眺めるとかなりの絶景が広がっていた。

 

景色眺めるのも程々に切り上げ十六夜達を探そうとした時、曲がり角から白夜叉と春日部が歩いてきた。

 

「む、おんしらやっと着たか」

「すまない...それと黒ウサギがどこにいるか知らないか?」

「黒ウサギならあっちじゃな」

「一誠後は任せる」

 

レティシアは指を指された方向に駆け出し、背中に蝙蝠のような羽を作り空を飛び上がる。

 

とりあえず座った方がいいだろうと廊下をさらに少し歩き、客室らしき場所に案内しそれぞれは座布団の上に座る。

 

「一誠何をしたかは聞いておるのか?」

「まぁ一応は」

「うむそうかなら話が早いな。実はなこやつが」

「まって白夜叉、私から話す」

 

春日部は数回喉を鳴らした後に息を吸って

 

「私と付き合って欲しい」

 

衝撃的な一言を発した。

 

 

 

 

 

黒ウサギから逃げるように移動しながらも、街の観光はしっかりと2人はしていた。

 

「にしても凄いわこれ...夢見たい」

「確かにこりゃスゲーな」

 

今は祭りなのかは知らないが、至る所に綺麗で鮮やかなガラスプレートが飾られていて、街を照らすようにキャンドルが自立して歩いている。

 

飛鳥のいた時代ではありえない光景だった。

 

「二足歩行のキャンドルスタンドに浮かぶランタン...ねぇ十六夜くんカボチャのお化けはいないのかしら?ハロ何とかってお祭りに出てくる妖怪なのだけれど」

「おいおい箱入りが過ぎるぜ...お嬢様の言ってるやつは、ジャック・オー・ランタンの事だろ?...あぁそうかお嬢様は戦後まもない時代から来たんだったな」

 

日本ではハロウィンが広く浸透し始めたのは一九九〇年、その時は今のようにやれ仮装だ、やれパレードだなどと言う事は無く、かなり地味めなものだった。

 

逆に今起こっているあの現象がおかしいとも言える。

 

当たり前のようにハロウィンについて語れた十六夜に、飛鳥は察してしまう。

 

「そう...十六夜くんの時代にはもう珍しい物じゃないのね」

「まぁな。その口ぶりからしてお祭りは好きなのか?」

「ええ好きよ。ただ1度も行けた事が無くて、小耳に挟んだ程度よ。こんな能力があったから隔離されていたせいでね」

「お嬢様なら抜け出しそうなもんだけどな」

「この手紙が来なかったらすぐ抜け出してたわ。終戦のお祝いにハロウィンに行ってわ」

 

飛鳥は儚げな面持ちで呟くように言った。

あんまり深く聞くことでもないなと、何か話題をそらそうと辺りを見回す。

 

すると不自然に人溜まりが出来ている場所があった。

問題児2人には何か面白いイベントか?と興味津々で覗きに行くと、自身の目を疑う光景があった。

 

「おかわりください」

「もう勘弁してくれぇぇ!!食材がねぇぇ」

「もうですか...仕方ありません。支払いをお願いしますねランス、私は次の店に行きます」

「ちょっと待ってください、アー...ルトリアさm...ん」

 

この店のオーナーであろう大男が泣きながら土下座をしている所だった。

 

しかしそらならまだ何か事件をやらかしたのだろうと思ったが、誤られている2人の少女達の雰囲気からしたらとてもそうは感じられなかった。

 

金髪の少女の目の前には大量に山積みにされた食器が重なっている。

 

(おいマジかよ...あれ全部食ったのかよ)

 

十六夜はなぜこんなに見ている人が盛り上がっているのか、それが理解出来た。

 

見た目もかなり美しくどことなく凛とした金髪の少女が、大量の食材を食べていた。それも店主を泣かせる程に。

 

そんな光景であれば観客も集まるだろう。

 

さらに言ってしまえばこの店は料理を注文するスタイルではなく、自分で好きな料理を好きな分だけ取るという食べ放題の店だった。

 

食べ放題の店では通常の店より多く食材を仕入れている。その大量の食材を全て平らげた。

 

それでも金髪の少女はあまり満足しているようには見えず、次の店へと向かっていた。

 

金髪の少女の代わりに紫髪の少女が通常の料金より多額の金額を払っていた。

 

「ねえねえ十六夜くん」

「お嬢さま、あれは真似しない方がいいぞ。あんなん普通食べきれねえよ」

「ええそうですとも。無理は厳禁ですよ」

「アレ見たら少し腹が減ったな」

「そうですか。それでは御二人様、お食事を用意しますので黒ウサギニオトナシク捕マッテクダサイ」

 

黒ウサギは笑顔で言うがその瞳は一切笑っていない。

 

「「断る!!」」

 

2人は息を揃えて言い放ちバラバラに別れる。

 

黒ウサギの身体能力を持ってすれば飛鳥を捕まえるのは簡単だ。

しかし十六夜を捕まえるのはかなり難しい。

 

ならば狙うならば十六夜だと狙いを定めて襲いかかる。

それすらも読んでいた十六夜は不気味な笑みを浮かべ逃走をはかる。

 

 

 

 

 


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