情報好きな少女の青春はまちがっている   作:銅英雄

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八幡バースデーという事で年1のこの小説。なお今回は八幡の出番なし。八幡バースデーとは……。

では今回もよろしくです。


私とガールズトーク

私は大学近くのカフェにて人を待っています。ちなみに八幡君でも戸塚君達でもありません。さて誰でしょう。

 

美咲「由輝子ちゃーん!」

 

まぁ勿論美咲さんのことですが……。

 

美咲「ごめん、待った?」

 

由輝子「いえ、私も今来たばかりですので気にしないでください。それよりもあの人は来れそうですか?」

 

美咲「うん、今日は久々のオフで此方に帰ってきてて連絡したら来てくれるって言ってたよ!」

 

嬉しそうに美咲さんに語る。あの人も忙しいですもんね。

 

???「すみません遅れました!」

 

美咲「私達も今来たところだから大丈夫だよ!」

 

そう言って来たのは先程まで私と美咲さんが話していたもう1人の待ち人。背中まで伸ばしている薄い金髪に碧眼でそれはもうとある魔術のライトノベルで仲間に真っ二つにされそうなそんな感じの……。

 

???「ねぇ由輝子、今失礼なこと考えてない?」

 

由輝子「気のせいですよ。それよりも」

 

???「それよりもって……」

 

由輝子「いちいち突っ込みを入れないでください。話が進みませんので」

 

???「ねぇ酷くない?由輝子って実は私のこと嫌いだよね?」

 

私の肩を揺すりながら聞いているのは綾瀬綾香(あやせあやか)さん。

 

美咲さんの2つ下の、そして私が1年の時の最上級生で麻雀でプロを目指す人なら知らない人はいないと言っても過言ではないくらいの有名人です。

 

由輝子「そんなことありませんよ。綾香さんは私の尊敬する人の1人です」

 

綾香「その割にはあんまり敬われていないような気が……」

 

由輝子「気のせいです」

 

本当に気のせいなんですよ。綾香さんは美咲さん達が麻雀部を引退した後からずっと麻雀部を引っ張っていきましたし、綾香さんが高3の時なんかは個人戦で全国2位でしたし、高卒からすぐにプロ麻雀選手になって成績も残しています。

 

……まぁ綾香さんが引退したのを皮切りに他の部員達も次々と辞めていって、それと同時に麻雀部が廃部になったのが残念ですが。

 

そして美咲さんの後の生徒会長でこれも2年間やっていました。

 

あと八幡君が綾香さんの大ファンだとか。彼女として嫉妬を隠しきれません。

 

綾香「……まぁいいや。久し振りだね由輝子。それと美咲先輩もお久し振りです」

 

美咲「本当に久し振りだね。私は一応去年に会ったけど、由輝子ちゃんは……」

 

由輝子「私は本当に久し振りになりますね。大学生になってからは初めてになりますし、高校時代も片手で数えられるくらいにしか会ってませんから」

 

高2の2学期以降は会ってなかった筈ですし……。

 

綾香「あっ、それで思い出したけど今由輝子って彼氏がいるんだって!?」

 

突如ガールズトークが始まりました。まぁ隠すこともありませんので話してしまいましょう。

 

由輝子「いますけど?」

 

綾香「さも当然のように……。あれ?由輝子ってこんな嫌味な子だったっけ?」

 

由輝子「私がこんな態度を取るのは綾香さんだけです。特別です」

 

綾香「何その嬉しくない特別……。じゃなくって、何時から由輝子にそんな人が!?」

 

美咲「確か高2の夏休みからだよね?」

 

由輝子「正確には8月の花火大会の後からですね」

 

綾香「なんと……」

 

美咲「その時期は綾香ちゃん新人戦とかで忙しかったから伝えてなかったよ」

 

由輝子「そのまま伝え忘れてしまったんですね」

 

綾香「美咲先輩からは気遣いを感じるのに、由輝子からはそれが感じられないどころかわざと伝えなかったようにすら思えるのは何故だろう……」

 

失礼ですね。私だって綾香さんを気遣ってます。

 

綾香「それで!?どんな人!?」

 

由輝子「そんなに気になりますか?」

 

綾香「そりゃあの堅物の由輝子だよ?気になるじゃん!っべーわ。マジで気になるっしょ!」

 

なんで戸部君みたいな口調になってるんですか……。

 

綾香「外見は!?やっぱりイケメン!?」

 

由輝子「外見をそのまま言いますと顔立ちは整ってますが、死んだ魚のような濁った眼をしていてそれが全てを台無しにしています」

 

綾香「何それ……?どういうこと?」

 

由輝子「あくまでも外見をそのまま言っただけにすぎません。ですが彼は優しいです。目に見えない優しさを持っています」

 

綾香「ふむふむ」

 

由輝子「私が初めて彼を見たのは高1の頃です。迷子の子供に不器用な優しさを見せていたその時から気になったので、彼の情報を集め始めました」

 

思えば私が八幡君に興味を持ったのはあの時からでしたね。

 

綾香「……由輝子って相変わらず情報収集が好きだよね。それって1歩間違えたらストーカーになるよ?」

 

由輝子「そんなヘマはしません。持ち前の影の薄さを活かして情報収集します」

 

そもそも高校時代も平塚先生に呼び出されるまでは誰にも興味を持たれませんでしたからね。そこから様々な出会いをしたのも今は良い思い出ですね。

 

綾香「由輝子の情報第1って感じが鈴音先輩や未来先輩に似てる感じがするんですけど……」ヒソヒソ

 

美咲「まぁあの2人は寧ろ存在感バリバリだったけどね」ヒソヒソ

 

綾香「美咲先輩も人のこと言えませんよ。まんまブーメランが突き刺さってるじゃないですか。今では世界で5本の指に入るくらいの大企業の社長ですし」ヒソヒソ

 

美咲「それを言ったら綾香ちゃんだってブーメラン刺さってるよ。今や宮永姉妹に匹敵するプロ麻雀選手じゃん」ヒソヒソ

 

綾香「いやいや私と美咲先輩は次元が違いすぎますし、まだあの2人には負け越してますから……」ヒソヒソ

 

由輝子「んんっ……!」コホンッ

 

ヒソヒソと内緒話が長い2人に私は咳払いをして話を戻します。

 

由輝子「高2の春頃に彼と出会い、同じ部活に入りました」

 

綾香「部活って何部?由輝子が1年の頃に私がどれだけ麻雀部に誘っても入らなかったのに……」

 

由輝子「その件は忘れてください。奉仕部という名称の部活ですね」

 

綾香「奉仕……?由輝子ってそんな趣味があるの?」

 

由輝子「厭らしい想像をしたムッツリ綾香さんは置いといて、その部活の活動理念は『飢えた人に魚を与えるのではなくて魚の釣り方を教える』です」

 

綾香「あれ?またなんか酷いこと言われてような……。え、えっとつまり?」

 

美咲「つまり生徒の自立を促す……ってことでいいのかな?」

 

由輝子「はい、その認識で合っています」

 

部長の雪ノ下さんを始め依頼人から部員になった由比ヶ浜さん、材木座君、戸塚君、戸塚君の依頼から葉山君、三浦さん、海老名さん、戸部君、大和君と大岡君は……まぁ置いておきましょう。大して関わってないですし。

 

川崎さん、夏休みに鶴見さん、2学期から相模さんに立花君。そうそう、あの2人は今絶賛交際中でしたね。あとは一色さんに一色さんの依頼から……かはともかく折本さん、玉縄君……。玉縄君といえば彼の轆轤回しのような手つきはとルー語は悪い意味で印象的でしたね。

 

由輝子「彼と同じ部活に入って活動を通して……。何時しか彼に何らかの感情が芽生えました」

 

綾香「おお……。思いの外甘酸っぱい」

 

美咲「聞いててなんか照れちゃうね……」

 

由輝子「当時はこの感情が何なのかわかりませんでした。彼が他の女性と親しくしていると胸部に痛みが発生してなんだかモヤモヤとした物が心から湧きました」

 

綾香「それが嫉妬ってやつですね。かつて杏子が未来先輩によくしてたやつ」ヒソヒソ

 

美咲「でも何時からか杏子ちゃん余り未来ちゃんにそういった表情をしなくなったよね」ヒソヒソ

 

綾香「多分未来先輩のことを師匠って崇め始めてからですね。寧ろ尊敬の念を抱いてました」ヒソヒソ

 

また美咲さんと綾香さんが内緒話を始めたので、もう1度咳払いをする。

 

由輝子「話を戻しますとネットや雑誌等でこの感情について調べていく内にそれが嫉妬だと気付きました」

 

美咲「由輝子ちゃんは何時からそれが好きって感情だということに気付いたの?」

 

由輝子「感情の正体が好意だと判明したのはあの花火大会の時ですね」

 

綾香「つまり即決即断でその彼に告白したってこと?由輝子の行動力ってすごいよね」

 

由輝子「彼は競争率が高かったですから。情報が確定したからにはなるべく早く行動したかったんです」

 

八幡君に好意があったのは由比ヶ浜さん。雪ノ下さんにもそれに近いものを抱いていましたね。陽乃さんも怪しいですね。

 

あとは私が八幡君と付き合うことになった後ですが、一色さんもそれらしき感情があったような気がします。一色さん本人は葉山君好きアピールをしていましたが……。

 

美咲「修学旅行には2人でデートしたんだよね?」

 

由輝子「そうですね。行き先は京都でしたので、所謂京都デートですね」

 

綾香「もう完璧なリア充じゃん……。爆発しないかな?」ボソッ

 

何やら物騒な発言をしている綾香さんに私は話をふります。

 

由輝子「綾香さんには彼氏はいるんですか?」

 

綾香「……いると思う?」

 

由輝子「いないんですか?」

 

綾香「いないよ!彼氏いない歴=年齢だよ!」バンバン

 

机を叩きながら抗議するように喚く綾香さん。

 

美咲「あ、綾香ちゃん落ち着いて……」

 

綾香「美咲先輩はいいですよね!高校時代はイケメンなサッカー部の部長から告白されてましたもんね!?」

 

美咲「此方に飛び火した!っていうか綾香ちゃん見てたの!?」

 

綾香「私がご飯食べようとしたところにいきなり告白現場に出くわすものだからびっくりしましたよ!」

 

美咲さんと綾香さんが何やら口喧嘩をしてますが、凡そ聞き捨てならない言葉が聞こえましたよ……?

 

由輝子「美咲さん」

 

美咲「由輝子ちゃん……?な、なんだか顔が怖いんだけど……」

 

由輝子「高校時代に告白されたんですか?なんですかそれ初耳なんですけど?私の情報力を持ってしても手に入らなかったんですけど?」

 

美咲「当たり前だよ!私誰にも言ってないもん!」

 

当時中学2年生だった頃の私は自衛手段をメインにしていましたから、美咲さんの情報収集を疎かにしていましたね。その頃の私を悔やみます!

 

綾香「あのサッカー部の部長さん美咲先輩が行った後にその場を離れずに男泣きしてましたよ。おかげで私はその場を動けませんでした」

 

美咲「聞きたくなかった。聞きたくなかったよそんな話!あれからも彼とは普通に接していたのに、今度会ったらそれを思い出して無茶苦茶気まずくなるよ!!」

 

由輝子「ちなみにその人って今は何をしてるんですか?」

 

綾香「今ではサッカー界のホープって呼ばれているらしいよ。全くそんな人を振るなんて美咲先輩も勿体無いことしましたよね」

 

サッカー界のホープと呼ばれる人ということはつい最近のワールドカップで大活躍したあの人ですか……。

 

美咲「そ、そういう綾香ちゃんも高校時代に告白とかされたんじゃないの!?」

 

綾香「何故か告白されることはありませんでしたよ!ファンクラブとかはあったのに!」

 

……そういえば美咲さんにもファンクラブがありましたね。私も中学生ながらメンバーの人にお願いしてこっそりと入れてもらいました。

 

綾香「っていうかあの時の麻雀部でも私以外の皆告白されてたから流れからして次は私だって思うじゃないですか!?でもそんなことは一切ありませんでしたよ!!」

 

美咲「……どうしてこんな話になっんだろう?ダレカタスケテー!!」

 

美咲さんが某お米大好きスクールアイドルのように助けを求めたところで今回のガールズトークは〆です。また次回で会いましょう。

 

美咲「由輝子ちゃん〆ないで!」

 

終わりです。




八幡君誕生日おめでとう!

ではまた来年或いは美咲√の時……が何時かはまだ未定ですが、またその時にこの小説でお会いしましょう!


今回登場した綾瀬綾香のイメージキャラ絵


https://img.syosetu.org/img/user/199199/65179.png

この小説の登場人物である佐野美咲がヒロインの√を現在考え中ですが……。

  • 見たい
  • なくてもいい
  • そんなことより原作キャラの√がよか!

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