大晦日、私は美咲さんの家に大掃除に来ています。
美咲「ごめんね由輝子ちゃん。掃除を手伝ってもらって」
由輝子「気にしないでください。特に予定はありませんでしたから」
美咲「あれ?八幡君とは過ごさないの?」
由輝子「八幡君は年末年始はバイト三昧だそうです」
美咲「そうなんだ……」
なんでも八幡君は欲しいものがあるらしく多めにシフトを入れているそうです。何を買うのでしょうか……?無理をしていないといいのですが……。
美咲「とにかく早く掃除を終わらせよう!そしてゆっくり過ごそう!!」
由輝子「そうですね」
たまにはこんな日も悪くはないですね……。
~そして~
美咲「この部屋で最後だね!」
由輝子「ふぅ……相変わらずこのお屋敷は広いですね」
美咲「あはは……じゃあやろっか!」
由輝子「はい」
~そして~
ヒラッ
おや?何か落ちましたね。これは……。
美咲「どうしたの由輝子ちゃん?」
由輝子「美咲さん、これが棚の上から落ちてきました」
美咲「どれどれ……?これは………この部屋にあったんだ……」
私が拾ったのは美咲さんが高校の頃の麻雀部の写真でした。
由輝子「かなり前の写真ですからね……。アルバムにはしまわなかったんですか?」
美咲「うん……これはお守りにしようと思ったんだけどその年の大掃除で何処かに紛失してしまったんだよ。見つかってよかったよ……」
美咲さんは涙を流しながら写真を握りしめた。それにしても……。
由輝子「この写真に写っている人の中で今でも会えるのは2人だけ……でしたよね」
美咲「……そうだね。綾香ちゃんと伊吹先生だけ」
由輝子「私は綾香さんにも長いこと会ってませんね……」
美咲「綾香ちゃんはプロ雀士として今ノリに乗ってるところだからね。今年は横浜の方で過ごすんだって」
由輝子「それにこの中央にいる人とは面識がありません」
美咲「……鈴音ちゃんだね。未来ちゃんは知ってるよね?」
響未来さん……1度しか会ったことはありませんが、私と本質的に似ている部分があり、意気投合したんですよね。
由輝子「はい……」
美咲「大宮鈴音ちゃん……。鈴音ちゃんは未来ちゃんの親友でね、その2人は私なんかじゃ手の届かないところにいたんだ。麻雀に関しても、それ以外に関しても……。だから私は必死で2人に追い付こうとしたんだ。……結局届かなかったけどね」
あの美咲さんですら届かない境地にいる大宮さんと未来さん……2人は一体何者なんでしょうか?
美咲「卒業式の日に行方がわからなくなったんだ。……後輩の杏子ちゃんと一緒に」
由輝子「行方不明……ってことですか?」
美咲「そう思ってありとあらゆる人脈とかを使って3人を探したんだけどね……その3人は名前すら存在していないんだ……」
名前すら存在しない……?どういうことでしょう?
美咲「多分覚えているのは私と綾香ちゃん、伊吹先生に未来ちゃんと杏子ちゃんに関わりを持った由輝子ちゃん、あとは3人にお世話になった人……たとえばプロ雀士の宮永照ちゃんにその妹の宮永咲ちゃんだね。それ以外の人達の記憶からは抹消されているんだって」
なんというオカルト……。でも美咲さんの表情を見る限りは本当のことなんでしょうね。
美咲「この話はこれでおしまい!早く掃除を終わらせてお蕎麦食べよう!!」
由輝子「……はい」
それからも美咲さんはどこか暗い表情をしていました。私が写真を拾わなければ……いえ、もしもの話はやめましょう。
今回はここまでです。ではでは良いお年を……。
この小説の登場人物である佐野美咲がヒロインの√を現在考え中ですが……。
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見たい
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なくてもいい
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そんなことより原作キャラの√がよか!