修学旅行1日目
三浦「あーし窓側がいい。ほら、結衣、海老名」
海老名「どう座る?」
戸部「適当でいいべー」
結衣「じゃあ姫菜が優美子の隣で、あたしは向かい側に座るから。戸部っちは」
海老名「はいはい、結衣はそっち。私はその隣」
結衣「わっ!」
由比ヶ浜さんは海老名さんと戸部君を隣同士しようとして失敗したみたいですね。…まぁ席が隣になっただけで距離が縮まるなら戸部君も苦労しないでしょうね。
相模「ねぇねぇ、みんなでトランプしようよ!」
立花「おっ、いいねやろうか」
彩加「あっ、僕もやる!」
由輝子「私達もやりましょうか、八幡君」
八幡「そうだな、川崎もやるか?」
沙希「…うん」
川崎さんはどこか恥ずかしそうですね。こういうのに慣れていないのでしょうか?
それから私達は京都に着くまで6人でトランプをしました。……戸塚君がとても強かったです。
~京都~
私達の班は依頼のこともあって葉山君達と同じところを回ることになりました。…相模さんは三浦さんが苦手なようですね。話せば案外気が合うような感じですが。
それから色々あって、日が暮れました。
自販機の前を通りかかると八幡君が呆然としていました。…何があったんでしょうか?
由輝子「どうかしたんですか八幡君?」
八幡「ああ…由輝子か。マッカンがなくて絶望してたとこだ」
由輝子「私のでよかったらどうぞ」
八幡「マッカンを持ってるのか…?」
由輝子「はい、京都にはマッカンがありませんので、予め持ってきてました」
八幡「…そうか。ありがとな」
由輝子「好きな人に尽くすのは当たり前のことです。……ところで戸部君の様子はどうですか?同じ部屋でしたよね?」
八幡「それなんだが…戸部は2日目に告白するつもりらしい」
由輝子「3日目じゃないんですか?」
八幡「なんでも2日目だからこそできる秘策があるんだと」
由輝子「それ次第でどう転ぶかってことですね」
八幡「それに葉山も言いたいことがあるって言ってたな」
由輝子「葉山君がですか?」
八幡「ああ、これもいい機会だからって言ってたが…あいつになんかあったのか?」
おそらく前に葉山君に言ったことが関係しているでしょうね。…葉山君達はあのグループが『本物』になれるかどうか、或いはそれに近づくことができるかどうか…それがこの1件でわかるかもしれませんね。
~修学旅行2日目~
2日目は八幡君達と色々なところに見て回りました。その中でもう1度行ってみたいところは3日目に八幡君と行くことにします。
そして私と八幡君は奉仕部で集合して、戸部君の告白を見守ることにしました。その向こうには葉山君のグループが見ています。由比ヶ浜さんはグループの方にいますね。
告白場所は青々とした竹林。夜になると灯籠が光り、とても綺麗なことで有名な観光スポットですね。…告白されるとしたらこういうところがいいんでしょうね。
雪乃「この2日間どうだったかしら?私は何もできなかったから…」
雪ノ下さんはクラスが違いますからね…
結衣「いい雰囲気にはなるんだけど…」
八幡「海老名さんが戸部を避けてる感じだったな」
雪乃「そう…」
戸部君の秘策、そして葉山君が伝えたいこと、この2つ次第で葉山君のグループに大きな影響を与えることになるでしょう。
葉山「剣さん、少しいいかな?」
葉山君が話があると声をかけてきたので、私はそれに従いついていきました。
由輝子「どうかしましたか?」
葉山「この2日間、君はどう感じた?」
由輝子「戸部君と海老名さんですか?…そうですね、海老名さんが一方的に避けている感じでした」
葉山「…そうか」
由輝子「……それで、葉山君は2人に…というよりはグループ全員に言いたいことがあるそうですが、何を言うつもりですか?」
葉山「俺は、あのグループが本物の友達関係になれたらいいと思ってる。…それを戸部達に伝える」
由輝子「…まぁ頑張ってください。それで、戸部君は秘策があると言ってましたが、葉山君は心当たりがあるんですか?」
葉山「いや、何も聞いてない」
由輝子「そうですか…。私はそろそろ戻りますね」
葉山「ああ、時間をとらせて悪かった」
八幡「葉山と何を話してたんだ?」
由輝子「…たいしたことじゃないですよ」
八幡「そうか。由輝子がそう言うならきっとそうなんだろうな」
戸部「あのさ…」
いよいよ告白するようですね。
戸部「ずっと前から好きでした!俺と付き合ってください!!」
海老名「…ごめん、今は誰とも付き合う気はないから。……話はそれだけ?」
戸部「あ、あのさ、俺らこれからも友達としてー」
海老名「無理だよ」
戸部君の秘策はこれからも友達として一緒にやっていこうということですね。スッキリとした状態で3日目みんなで回ろうといった感じでしょう。
戸部「え…なんで…」
海老名「もう今まで通りにはできない。できたとしても変に取り繕うことになる。私達の関係はそこまで深くないから…」
海老名さんが続きを言おうとしたところで葉山君が2人のもとに歩いてきた。
葉山「………」
海老名「隼人君?」
戸部「どしたん?」
葉山「…俺は、ある人に言われたんだ。俺達は上辺だけのグループだと。それを否定したいのに、できなかった……。言われるまで気付かなかったんだ。他でもない俺自身がそうさせてるんじゃないかって、でもそういうのはやめにしたい。俺はこのグループが好きなんだ。素の自分を出せるように安心、信頼できる関係になりたい。俺は『本物』が欲しいんだ。…戸部や姫菜だけじゃない。優美子も結衣も、もちろん大和や大岡も入れたこのグループで」
三浦「隼人……」
三浦さんは心配そうに葉山君の方を見る。
海老名「…できるの?……私達がそんな関係になれるの?」
葉山「ああ、みんながそう思ってたらきっと」
三浦「あーしもこのグループが好きだからそう思いたいし」
海老名「優美子……」
結衣「……私もみんなと本物の信頼関係を築きたい!」
葉山「そうだな、結衣の言う通り俺達で『本物』を作っていこう!」
海老名「うん!」
戸部「よっしゃ!明日もみんなで回ろうぜ!!」
大和「ああ」
大岡「楽しみだな!」
いつの間にか葉山君のグループが勢揃いで楽しく話していますね。……どうやら『本物』に近づけたようですね。
雪乃「……意外な展開だったわね」
雪ノ下さんは驚いた様子で言う。彼女からしたら葉山君があそこまでで拘るところを見るのは初めてでしょうから。
八幡「…あれが葉山にとっての本物なんだな」
由輝子「そうですね。これであのグループの結束がよりいっそう固まることでしょう」
私達は帰ろうとすると葉山君がこちらに近づいてきた。
葉山「ありがとう」
由輝子「私は何もしてません。葉山君自身が変わったんですよ」
葉山「今の俺がいるのは間違いなく剣さんのおかげだ」
由輝子「…これからはその『本物』を手放さないようにした方がいいですよ」
葉山「ああ、もちろん!」
そう言って葉山君は去って行きました。
雪乃「彼も変わったのね…」
八幡「だな、あいつはもう今までの葉山じゃない。イケメンに拍車がかかってる」
由輝子「戸部君の依頼もこれで終わりですね」
明日はいよいよ八幡君とのデートですね。
はい、今回はここまでです。
書いていて自分でもまさかな展開にびっくりしました。
次回で修学旅行編は終わると思います。
では、次回もよろしくお願いします。
この小説の登場人物である佐野美咲がヒロインの√を現在考え中ですが……。
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見たい
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なくてもいい
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そんなことより原作キャラの√がよか!