情報好きな少女の青春はまちがっている   作:銅英雄

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11話目です。どーそ。


私と花火大会

奉仕部の合宿が終わった数日後のある日

 

美咲「由輝子ちゃん、月末にある花火大会、今年はどうするの?」

 

この辺りは毎年花火大会が月末にあります。去年は美咲さんと、貴賓席で一緒に見ましたが…

 

由輝子「今年はある人を誘ってみようと思いまして」

 

美咲「そうなんだ。それってBARで見た男の子?」

 

由輝子「そうですね。比企谷君というのですが」

 

美咲「そっかそっか、由輝子ちゃんも遂に好きな男の子が出来たんだね」

 

由輝子「そうなんですかね?良くは思っていますが、わからないんですよね。なので気持ちを確かめるためにも彼を誘います」

 

美咲「わかった!なら、去年私と見たところをとっておくから、由輝子ちゃんはその比企谷君と一緒に来てね」

 

由輝子「気が早いですよ。もしかしたら彼にも行く相手がいるかもしれませんし」

 

美咲「そっか…。他にも女の子2人いたもんね。もしかしたらその2人のどちらかと行くかもなんだよね……」

 

何故かしょぼんと落ち込む美咲さん。

 

由輝子「なのでもし彼が無理そうなら美咲さんと一緒に行こうと思います」

 

美咲「わかった。なら今日誘ってみてよ!」

 

由輝子「今日…ですか?」

 

美咲「うん!なるべく早い方がいいからね!」

 

由輝子「はぁ。わかりました」

 

ですがいざ誘うとなると緊張しますね。…この緊張は今までなかった感情です。

 

pull…pullガチャッ

 

八幡「もしもし?」

 

由輝子「こんにちは、比企谷君」

 

八幡「おう、剣か。どうした?」

 

由輝子「実は比企谷君と月末にある花火大会に行きたいので、こうしてお誘いするために電話しました。その日は予定は空いてますか?もし先約がいるならそちらを優先して構いませんが……」

 

もし先約があったら少し切ない気持ちになりますね。これが恋愛感情なんでしょうか……

 

八幡「俺と…2人で?」

 

由輝子「はい、比企谷君と2人きりで行きたいです。いわゆるデートというやつです」

 

八幡「おまっ…、急に言われると意識しちゃうだろうが……」

 

私も言っていてすごくドキドキしています。おそらく私は今顔が赤くなってますね……

 

由輝子「それで…どうでしょうか?」

 

八幡「俺でよければ……一緒に行ってもいいぞ」

 

由輝子「ありがとうございます。当日、楽しみにしてますね」

 

八幡「お、おう」

 

由輝子「現地集合にしたいところですが、現地は混雑しますので駅前に集合しましょう」

 

八幡「わかった」

 

由輝子「では楽しみにしてますね?比企谷君」

 

八幡「あ、ああ…俺も…た、楽しみにしてるぞ」

 

由輝子「では、失礼します」

 

そう言って私は比企谷君との通話を終わりました。

 

由輝子「ふぅ、なんだか疲れました」

 

美咲「それでそれで!?どうだったの!?」

 

由輝子「はい、無事に誘うことが出来ました」

 

美咲「おおーっ!じゃあ2人のためにもいい席を用意しとくね!」

 

と何故か私以上にはしゃいでいる美咲さん。やたらと興奮してますね…私もはしゃぎたい気持ちはあるんですよ?

 

美咲「じゃあ、現地についたらLINEちょうだい!」

 

由輝子「わかりました」

 

さて、家に帰って準備しましょうか。この花火大会で比企谷君のことをどう思っているか、時々感じる嫉妬みたいなもの、そして…彼のことが好きなのか……。全て確かめます。…なんだかドキドキすると同時に楽しみです。

 

 

 

八幡side

 

ふぅ、ドキドキしたぜ…。まさか剣に花火大会の誘いが来るとは…。そしてどこかわくわくしている俺がいる。…俺は剣のことが好きなんだろうか?わからんな。この気持ちを花火大会で確かめるか。……今度は勘違いじゃないといいけどな。

 

ピンポーン

 

小町「あっ、結衣さんかな?」

 

そういえば今由比ヶ浜の犬を預かっていたな…

 

結衣「いや~ありがと。サブレが迷惑かけてなかった?」

 

小町「いえいえそんな、またサブレ連れて遊びに来てくださいね」

 

結衣「来る来る!絶対来るよ~」

 

小町「小町待ってますから、是非遊びに来てください」

 

結衣「そうだ!花火大会行かない?サブレの面倒見てくれたお礼に」

 

小町「月末の花火大会ですね!」

 

結衣「うん」

 

小町「あー、小町も行きたいんですけどね~受験生だからどこか遊びに行くのは無理そうです…」

 

結衣「そっか…そうだよね」

 

小町「ええすみません。でも!小町買ってきて欲しいものはあるんです。あ~でも小町にはその時間がない!困ったなー、結構量あるから結衣さん1人だと大変だなぁ」

 

小町がジロリとこっちを見ながら言う。

 

結衣「そ、そうだヒッキー!小町ちゃんのお礼の品を買いに行くことにしようよ!ヒッキーも小町ちゃんにお世話になってるんだし!」

 

八幡「や、でもな…」

 

小町「花火大会に女の子だけで行くのは心配ですね…最近の世の中は物騒ですし…ああ、こんな時に暇な男手があるといいのに…」ハァ

 

小町と由比ヶ浜がこっちをじっと見ている。でもな…

 

八幡「悪いがその日は予定がある。だから無理だ」

 

小町「お兄ちゃんもしかしてもう誰かと約束してるの?」

 

この日は俺にとっても大事な日だからな。剣のことをどう思っているかを確かめなくてはいけない。

 

八幡「ああ、だから小町の欲しいもんはそいつと買いに行く」

 

結衣「えっ…」

 

小町「お兄ちゃん…そんなに大切な約束なの?」

 

八幡「そういうわけだすまんな由比ヶ浜、俺にとって大切な約束なんだ」

 

結衣「それって……誰と行くの?」

 

剣のためにも言わない方がいいだろうな。

 

八幡「なんで言わなくちゃいけないんだ?それに聞いてどうする気だ?」

 

結衣「そっ、それは……」

 

八幡「とにかく無理なもんは無理だ。俺は準備するから帰ってくれ」

 

そう言って俺は2階に上がっていった。

 

八幡「さて、とは言ってもスマホと財布くらいしか持っていくものがないんだよな……」

 

小町「お兄ちゃん、本当に先約がいるの?」

 

八幡「ああ、嘘じゃない」

 

小町「本当に?誰と行くの?」

 

しつこいな……まぁ小町ならいいか。

 

八幡「……剣とだよ」

 

小町「由輝子さんと?」

 

八幡「ああ…」

 

小町「それってもしかしてデート!?お兄ちゃんいつの間に由輝子さんと約束したの!?」

 

八幡「今日誘われたんだよ」

 

小町「そうなんだ…。由輝子さん、積極的だなぁ」

 

それは俺も思った。

 

小町「そっか。結衣さんは残念だけど、由輝子さんとのデート頑張ってね!」

 

デート…か。

 

八幡「ああ、頑張るよ」

 

この気持ちを確かめなきゃな。

 

八幡sideout

 

 

~花火大会当日~

 

浴衣の着付けに手間取って少し遅れましたね。比企谷君はもう来てるでしょうか?……いましたね。

 

由輝子「すみません、遅れました」

 

八幡「…あ、いや別に大丈夫だ。まぁその…」

 

由輝子「?どうかしましたか…?」

 

八幡「その、浴衣、似合ってるぞ」

 

由輝子「あ、ありがとうございます」

 

不意に褒められるのは慣れてなかったので、初デートというのもあっていつもの調子がでませんね…。付き合う前の男女はみんなこんな感じなんでしょうか?

 

八幡「…とりあえず行くか」

 

由輝子「はい」

 

さて、気を取り直して比企谷君とデートです。お祭りデートというやつですね。……意識するとなんだか恥ずかしくなってきました…。

 

 

~花火会場~

 

花火までまだ時間がありますね……。美咲さんはまだ来てないみたいですし………。…とりあえず美咲さんにLINEをしておきましょう。

 

八幡「花火の開始って7時半だよな。まだ時間あるしどうする?」

 

由輝子「小町さんからメールで欲しいもののリストがきてますのでそれを見ましょうか」

 

えっと

 

焼きそば:400円

 

わたあめ:500円

 

ラムネ :300円

 

たこ焼き:500円

 

花火を見た思い出:プライスレス   

 

……なんでしょうか?この、

 

八幡「なんだこの最後の…」

 

まあ言いたいことはわかりますが……

 

八幡「んじゃ、適当に回るか」

 

由輝子「そうですね」

 

 

 

~そして~

 

由輝子「まずは常温でも問題のないわたあめからにしましょう」

 

八幡「そうだな」

 

それから私達は買い物リストを少しずつ買っていき、もうすぐ花火の始まる時間なので、美咲さんのいるところまで行くことになりました。

 

由輝子「この辺りまで来てようやく人が少なくなりましたね」

 

八幡「そうだな。こんなに混むって知ってたら小さなビニールシートくらいは準備してきたんだけどな」

 

比企谷君は本当に気が使えて優しい人ですね。何故他の人は彼の優しさに気付くことができないのでしょうか?

 

八幡「ここ、有料エリアだな」

 

由輝子「問題ありません。美咲さんに頼んで場所をとってもらってますから、そちらに行きましょう」

 

八幡「美咲さんってBARで剣と一緒にいた人だよな?」

 

由輝子「はい、確かこの辺のはずですが…」

 

美咲「由輝子ちゃ~ん。こっちこっち!」

 

由輝子「美咲さん、こんばんは」

 

美咲「うん、こんばんは!それでそっちの子が比企谷君?」

 

由輝子「そうですよ」

 

美咲「BARで合ったけど改めてお話しするのは初めてだね。私は佐野美咲だよ!よろしくね!」

 

八幡「ひ、比企谷八幡です。よろしくお願いします」

 

美咲「うん!よろしくね!…じゃあ私は挨拶回りに行ってくるからあとは2人で楽しんでね!」

 

由輝子「はい、ありがとうございます。美咲さん」

 

八幡「すげぇな…佐野さん。確か雪ノ下の姉ちゃんの先輩だったよな、何者なんだ?」

 

由輝子「そうですね。陽乃さんの先輩で佐野グループの御令嬢にあたる方です」

 

八幡「そんなすげぇ人といつ知り合ったんだ?」

 

由輝子「私が小3の時に母に紹介してもらいました。私は美咲さんに出会って世界が変わりました。あの人は私にとって恩人です。バイトも美咲さんの紹介でしたし」

 

八幡「佐野グループって世界的に有名なとこだよな?俺でも知ってるくらいだし…そんな人がなんでバイトを?」

 

由輝子「本人曰く社会勉強だそうですよ。グループを継ぐ前に労働の苦労を知るためだと言ってました」

 

八幡「本当にすげぇ人だな。俺には真似できん」

 

由輝子「比企谷君は比企谷君のよさがありますよ」

 

八幡「そっか、ありがとな」

 

由輝子「いえ、私は思ったことをそのまま口にしているだけですので」

 

ああ、楽しいですね。彼と2人きりは初めてで緊張しましたが、話してみると改めて彼の優しさが伝わってきます。この気持ちは本物ですね。

 

私は…彼の、比企谷君のことが好きみたいです。

 

彼と話したり、彼とメールしたり、彼と部活をしたり、彼といるのは本当に楽しいです。願えばこの時間がずっと続けばいいと思います。

 

 

八幡side

 

今日のデートでわかった。これは勘違いじゃない。

 

俺は彼女が…剣のことが好きみたいだ…。

 

あいつとは話していてとても楽しいし、アニメネタとかも通じるし、あいつ自身もたまにアニメネタ使うし、同じマッカン好きだし、彼女といるのが楽しい。俺はいつの間にか彼女と会うのを楽しみにしてたんだ。

 

八幡sideout

 

 

由輝子「花火が始まりますよ」

 

八幡「そうだな」

 

綺麗ですね。……花火大会で告白する人もいますがムードとしては今以上に最高のタイミングはないでしょう。…しかし漫画とかだと告白が花火の音で掻き消されて某難聴系ラノベ主人公の如く『えっ?ごめん聞こえなかった』状態になるでしょう。……それでもタイミングは…

今しか…

 

由輝子「比企谷君に話があります。……いいでしょうか?」

 

八幡「剣?」

 

由輝子「……比企谷君、…私は」

 

花火がどんどん打ち上がる。例え…聞こえなくても!

 

由輝子「私はあなたのことが、比企谷八幡君のことが好きです」

 

八幡「!!」

 

由輝子「初めて見たときから気になってました。その時はまだそこまで意識してませんでしたが、私が奉仕部に入ってから比企谷君と話すようになって、一緒に部活をして、千葉村に行って、小学生を怖がらせたり、…これはなんか違いますね…。とにかく一緒に過ごしている内に比企谷君の存在が私の中で大きくなっていきました。比企谷君の優しさに触れて…、この時間も含めて比企谷君といるのが楽しいです。……そしてこの花火大会でようやく気付きました。私はあなたのことが好きなんだと。もう1度言います、私は比企谷君のことが好きです。私と付き合ってください」

 

私は頭を下げる。遂に言いました。花火の音に負けずに、比企谷君に告白しました。……ですが比企谷君は私をどう思っているでしょうか?1㎜でも断られる可能性があると思うと顔が上げられません。私はこんなに臆病だったんですね。

 

八幡「剣、顔を上げてくれ」

 

比企谷君に言われ、私は顔を上げる。

 

八幡「…俺も剣に言おうと思ってたことがある」

 

由輝子「なん…でしょうか」

 

八幡「俺も今日の花火大会で気付いたことがあってな、今までもどこか引っ掛かってたんだ。この気持ちはなんだって…でもそれがようやくわかった。俺はお前が、剣由輝子のことが好きだ」

 

由輝子「それって…」

 

八幡「俺も剣と話しているのが楽しかったんだ。剣と過ごしている時間が好きで、優しくて、でもどうせ勘違いだと思ってた。剣は奉仕部の誰よりも俺に優しくしてくれた。優しい女の子なんだと思ってた、でも違った。剣は誰よりも、あの雪ノ下よりも厳しく、そして強かった。俺はそんなところに惹かれていったんだ。俺もこの時間が楽しい。…俺は剣のことが好きだと気付いた、だから俺は剣のことが好きだ。俺と付き合ってくれ」

 

比企谷君も私といるのが楽しいと言ってくれました。…そして、告白をしてくれました。……返事は決まってます。

 

由輝子「はい!よろしくお願いします!」

 

八幡「ああ、これからよろしくな」

 

美咲「戻ったよ~。どうしたの?2人共なんか嬉しそうだよ?」

 

由輝子「はい、とても嬉しいです」

 

八幡「ちょっ!」

 

美咲「…なるほどね、おめでとう2人共。これからも幸せにね」

 

由輝子&八幡「はい」

 

美咲「ファイトだよっ!」

 

美咲さんの『ファイトだよっ!』頂きました。これを糧に2人で頑張ります。

 

美咲「花火も終わったし、私は帰るね」

 

花火も終わり、美咲さんは帰っていきました。

 

八幡「……俺らも帰るか」

 

由輝子「そうですね」

 

 

~帰り道~

 

由輝子「今日はとても楽しかったです」

 

八幡「ああ、俺もだ」

 

由輝子「ここでお別れですね。…また学校で会いましょう、…八幡君」

 

八幡「……おう、またな由輝子」

 

私達は抱擁を交わしました。

 

 

今日の花火大会で私は八幡君と付き合うことができました。もしかしたら振られるかもと思っていましたが両想いでとても嬉しいです。

 

これからが楽しみですね。八幡君との思い出をたくさん作っていきましょう。

 

 

 

 

 

 

 

 




はい、今回はここまでです。今回で無事八オリになりました。

八幡の由輝子に対する気持ちを急がせすぎましたかね?ですがこれでいいと思って書きましたので後悔してません。



次から2学期の話になりますが、文化祭どうしようか…
八幡と由輝子を文実にするかどうか……

由輝子を文実にする場合は相模(遊戯部ではない)を別のクラスの住人にするか、それとも文実の予備係的なものを作るか、悩みどこですね。多分前者にする予定ですが、その場合相模(1年ではない)をアンチにするかそれとも綺麗な相模(女子の方)にするか、まあ書きながら考えておきます。

では、次回もよろしくお願いします。

この小説の登場人物である佐野美咲がヒロインの√を現在考え中ですが……。

  • 見たい
  • なくてもいい
  • そんなことより原作キャラの√がよか!

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