Fate/Apocrypha 〜月の陣営〜   作:弥未耶

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お久しぶりです(-。-;
相変わらずの下手な文章ですが暇つぶしにどうぞ


第四話 初戦(2)

 戦場に出向くレオを見送った後、残された者達はしばらくの間誰も口を開かずモニターに目を向け戦い続けているセイバーとランサーを見ていた。

 

「…嬢ちゃんの時代にもいるもんだな。産まれながらの王ってやつが」

 

 沈黙を破り口を開いたのはランサーだ。

 

「……それはレオのことを言ってるのよね」

 

「おう。月じゃちらっと見た程度だったが、今の立ち振る舞いは王のそれだな。太陽の騎士を従えるだけの器がありやがる」

 

「……」

 

「嬢ちゃんもわかってんだろ?今回の戦いはチーム戦だ。となれば全員をまとめる頭が必要だ」

 

「それをレオに任せろって言うの?」

 

「俺はあの坊主が適任だと思うがな」

 

「………」

 

 凛はランサーの言葉に無言で応える。ランサーの言うことが正しいことは凛も理解している。レオの素質は本物であり、実際月の裏側では一時的とはいえレオの下についた事もあるため一応信頼もある。

 

「何勝手に話しをすすめてんだよ!」

 

 ランサーと凛のやりとりに対し声をあげたのはシンジである。

 

「確かに月の裏側ではレオが仕切ってた。でも今回は状況が違うだろ!あの時の僕等はサーヴァントがいなかった。けど今は全員がサーヴァントを持つマスターだ!」

 

 シンジの言う事はもっともな意見である。月の裏側ではサーヴァントを連れているマスターが少なく、レオはその中で純粋な実力なら間違いなく最強のマスターだった。ゆえにレオの下につくことにも抵抗は小さかった。

 

「坊主の言い分もわからない訳じゃねぇが、セイバーのマスター以上の奴がいるのか?」

 

「それは…」

 

「悪りぃがお前さんには無理だ」

 

「なっ⁉︎でも…」

 

「よしなシンジ」

 

「ライダー!」

 

「落ち着きな。リーダーなんて面倒なだけだよ。せっかくの派手な戦いなんだ下っ端の方が暴れられるってもんじゃないか」

 

  ライダーに諌められ黙りこむシンジ。

 

「まあ、何にせよ先ずはあの坊主の戦いってやつを見てみようじゃねえか。他の奴等もそれでいいか?」

 

 ランサーは今までのやりとりを静観していたマスター達を見渡しながら確認をとる。

 

「もとよりオレはレオに従うつもりだ」

 

「わしも異存はない。人の上に立てる器ではないのでな」

 

「私も異論はありません」

 

「私もレオさんならば心配はないと思っていますよ」

 

 ユリウス、ダン、ラニ、キアラの4人は特に考える様子も無くランサーの問いに答えた。あまりにも早い回答に凛は呆れ、シンジは何か言いたげではあったが口を開くことはなかった。

 ランサーも4人の即答には少々驚きながらも、決まりだな。とモニターに映る戦闘に目を戻した。

 

 

 

 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 ルーラー排除を命令された赤のランサーとそれを阻止するために現れた黒のセイバーの戦闘は聖杯大戦における最初の英霊同士の戦いとして相応しいものだろう。

 セイバーとランサー、三騎士クラスの中でも近接戦闘に優れた2騎による戦いは魔術には頼らない純粋な力の衝突である。当然、それは見るものを圧倒させた。

 ルーラーの横にいる黒のセイバーのマスター、ゴルド・ムジーク・ユグドミレニアを始めとする聖杯戦争の経験者であるダーニックを除いた黒のマスター達は自らが使役するサーヴァントの力を再認識している。

 そして戦っている当人達も僅かな驚きと強敵との出会いに喜びを感じていた。

 

(戦いでダメージを受けたのはいつ以来だろう)

 

 悪竜の血鎧(アーマーオブファヴニール)黒のセイバー、ジークフリートの宝具はその体そのものである。ニーベルンゲンの歌にて悪竜ファヴニールを討ち果たしたさいに浴びた竜の血により得た不死身の肉体。それ以降戦場において彼の身に傷をつけれる者はいなかった。

 その体を赤のランサーは槍の一突きで削りとる。それ自体はかすり傷のようなものであり、マスターであるゴルドによりすぐに治療されるため問題ない。

 

「はあ!」

 

 赤のランサーの鋭い突きを受けながらも多少の傷は無視して剣を振り下ろす。

 真名解放していないとはいえ宝具での斬撃を赤のランサーの纏う黄金の鎧は受け止める。ダメージが通っている感覚はあるが決定打を決めるにはおそらく生身の部分を狙う必要がある。だが黒のセイバーはこれまでの打ち合いから技量において赤のランサーに劣ることを理解していた。

 しかし、彼の目には悲観の色は無い。目の前に立ちはだかる壁に屈するようでは英雄は名乗れないのだから。

 

 

 

 対する赤のランサーも初戦で黒のセイバーという強敵と立ち会えたことに戦士として喜びを感じていた。彼が生涯にわたって磨き上げた槍は素早く的確に相手を貫く。並のサーヴァントであればすぐにでも決着が着くだろう。

 実際、この戦闘においても早々にランサーの槍撃がセイバーを襲い、そのどれもが致命傷になりえる一撃だった。だが黒のセイバーは倒れない。傷はどれも浅く戦闘に支障の出るほどのものではない。

 

(ありえない。いや、ありえないからこその英雄か)

 

 目の前に立つセイバーが紛れも無い英雄であることを再確認する。果てに自分を討った英雄に似た目をしたこの男は間違い無く自分を打倒しえる存在であるとランサーは確信した。

 たとえこの身が黄金の鎧を纏っていようとも関係は無い、少しでも隙を作れば押し切られる、そんな予感がランサーにはあった。

 

(ならばこそ簡単に討たれる訳にはいかんな)

 

 赤のランサーの槍撃はより苛烈さを増す。目の前の英雄にこたえるために、自分の力を求めて召喚したマスターの為に。

 

 

 

 一進一退の攻防を続ける黒のセイバーと赤のランサー。黒のセイバーのマスター、ゴルドは自信を持って召喚したジークフリートが傷をおっている事に動揺しながらも回復魔術に専念している。

 それを横目に確認しながら二騎の戦闘を観戦していたルーラーは自分の索敵範囲内に一騎(・・)のサーヴァントが入ったのを確認した。

 

(これは……真っ直ぐにこちらに向かってきていますね。おそらくは新たに召喚されたサーヴァントの内の一騎。このタイミングで仕掛けてきますか)

 

 ルーラーとしては一刻も早くイレギュラーに現れた七騎とそのマスター達に接触し話を聞かねばならない為向こうから来てくれるならば都合が良い。しかし、現状は二騎のサーヴァントが戦っている最中である。

 

(セイバーとランサーは共にこの場で全力を出す気はない様子。ならばこの場を離れて先ずは私が単独であちらに接触すべきでしょうか)

 

 ルーラーが今後の方針を決めかねている中セイバーとランサーも接近してくる気配に気づいていた。

 

「セイバー、気付いているな?」

 

「……」

 

 ランサーの問いに無言で頷くセイバー。

 そして互いに距離をとり構えをといた。

 

「おいセイバー何をしている!」

 

 ゴルドが突然戦闘を止めたセイバーに対し声を上げる。隣にいたルーラーもその声を聞き意識を目の前に戻す。

 

「その様子ではお前も気付いているようだなルーラー」

 

「ええ。私にはルーラーの能力としてサーヴァントを感知する力がありますので。私よりも貴方達が気付いているのに驚きなのですが。まだ距離がありますよ」

 

「なるほど。ルーラーとは便利なものだな。確かにオレ達には離れた位置にいるサーヴァントの感知はできない。だが流石にこの気配に気付けぬほどではない」

 

「この気配?」

 

 ルーラーは赤のランサーの言葉に首をひねる。

 

「先程からなんの話をしている!」

 

 全く状況が読めていないゴルドは声を荒げている。

 

「セイバー!どうなっている?」

 

「……いいのか?」

 

 黒のセイバーはマスターであるゴルドから口を開くことを禁じられているため問いかけてくるゴルドに対し確認をとる。

 

「くっ…。構わん状況を説明しろ」

 

「了解した。どうやらこの場にサーヴァントが接近している」

 

「なんだと⁉︎本当なのだろうな?」

 

「間違いない。そうだなルーラー」

 

「その通りです。ところで黒のセイバー、貴方はどうして気付いたのですか?」

 

 先程聞いたランサーからは明確な答えが得られなかった為にセイバーに問うことにしたようだ。

 

「それは此処に向かっている者が気配を隠す気が無いからだ。むしろ今から行くから待っていろと言うように自らの存在を示している。戦いの中に身を置く者ならば無視出来ない気配だ」

 

「そういうことでしたか」

 

「無駄話しをしている場合か!私は増援の連絡など聞いていない!ならば来るのは赤の増援だ。貴様が早々にランサーを討てぬからだぞセイバー!」

 

「それは違うぞ、セイバーのマスターよ。此処に向かっているのはオレの陣営の者ではない」

 

「何を馬鹿なことを言っている!赤のサーヴァント以外あり得ない!」

 

「いいえ。赤のランサーの言っている事は本当でしょう」

 

「何だと」

 

「その様子では何か知ってるのか?」

 

「私は……」

 

 状況を説明しようとしたルーラーの言葉はすぐに遮られた。

 

「どうやら来たようだ」

 

「なっ⁉︎」

 

 赤のランサーは自然体で立ったままだ、黒のセイバーはマスターを守るために前に立ち油断なく身構える、話しに集中していたルーラーは少し気付くのが遅れたようだ。

 そして彼等の前に現れたのは白銀の鎧を纏いし騎士と騎士に腕に抱えられた少年。

 

「レオ、到着しました」

 

「ありがとうございます」

 

 戦場に来たとは思えない優雅な動きで騎士の腕から降り礼を言う少年と僅かに頭を下げた後に少年の後ろに控える騎士。

 

「さて先ずは挨拶からですね。はじめまして、ボクはレオ・B・ハーウェイ。この度は赤と黒の陣営に続く第三陣営・月の陣営としてこの聖杯大戦への参戦を表明します」

 

 レオの言った言葉はその場にいた者達に大小はあれど驚きを与えた。

 

「……月の陣営だと?ふざけるな!そんな物が認められるものか!そもそもサーヴァントの追加召喚などありえん!貴様、赤の陣営のマスターであろう?撹乱のつもりか!」

 

「なるほど、そう思いますか。しかし、ボク等は赤のマスターではありません。そちらの女性、ルーラーとお見受けしますが貴女はどうですか?ボクの存在には驚いた様子がないようですし、知っていたのでは?」

 

 ゴルドからの言葉などものともせずレオはルーラーに問いをなげる。

 

「それは……」

 

「ルーラー?」

 

「確かに私は貴方がたの存在に気付いていました。いえ、正確には新たなサーヴァント7騎の現界を聖杯より知らされました。それに合わせて新たに7騎分の令呪が私に与えられました」

 

「なっ⁉︎」

 

 聖杯からルーラーに対しサーヴァント召喚の知らせがいき令呪すら補充された。それはつまり聖杯がレオと名のった少年を含めた新たなマスターの参戦を認めたという事である。

 

「馬鹿な……そんな事が……」

 

 思わぬ事態にゴルドは呆然と呟いている。

 

「納得して頂けましたか?」

 

「ルーラーとしては聖杯が認めたならば認めるしかありません。しかし、貴方達の目的は何なのですか?」

 

「目的ですか……。特にありませんね、僕等も放り込まれたようなものですから」

 

「放り込まれた?」

 

「そのあたりはお気になさらず、やるからには勝たせてもらいますので」

 

「そうですか、ならば貴方達の参戦を認めましょう。ただし不穏な動きをすれば相応のペナルティが与えられます」

 

「それは全ての参加者に言えることでしょう」

 

 ルーラーはレオからの言葉に頷き、謎はあるがイレギュラーな参加者が話の分かる相手であることに安心していた。

 

「ルーラー!それで良いのですか⁉︎第三陣営など認めていいはずがない!今すぐに貴女の特権で始末するべきです!」

 

 一先ず自身を落ち着けたゴルドがルーラーに申し立てる。

 

「それはできません。彼等は既に聖杯に認められたマスターです。何のルール違反もなく私が特権を使う事はありません」

 

「くっ!セイバー、今すぐ奴らを始末しろ!」

 

「⁉︎マスター、それは……」

 

「黙れセイバー!お前は私の指示に従っていろ」

 

「……」

 

 黒のセイバーはマスターの言葉に黙りこみ、赤のランサーに対し目線を向けた。

 

「お前があちらに行くというなら邪魔はしない。こちらは一先ず静観しろと指示があったのでな」

 

「すまない」

 

 赤のランサーに一言を残して黒のセイバーはレオ達に対し動き出した。それを見てすぐにレオの後ろに控えていた騎士が前にでて剣を構える。

 

「今回は挨拶だけのつもりでしたが仕方ありません。迎えうちなさいガウェイン」

 

「はっ」

 

 一気に間合いを詰めるため踏み込もうとした黒のセイバーを始め、他の者達もレオの言葉に驚きに目を見開いた。

 彼は自分のサーヴァントである騎士に対し命じた際にクラス名ではなくガウェインと呼んだのだ。

 

(嘘ではなく本当に真名を明かすなんて⁉︎)

 

 その中でも真名看破のスキルを持つルーラーはそれが真実であることに気付いた。

 黒のセイバーはすぐに気を引き締め直しガウェインと呼ばれた騎士に対し斬りかかる。

 だが瞬間、鋭い殺気が黒のセイバーを貫いた。

 

「っ⁉︎」

 

 黒のセイバーは本能に従い急停止して身を捻りながら出来る限り後ろに飛んだ。それと同時に腹部に衝撃が走った。

 

「セイバー何をしている!」

 

 黒のセイバーの身に起きた事が理解出来ていないゴルドが怒鳴る。

 

「先程からお主のマスターはよく怒鳴る奴よな」

 

 何もない空間から声がした。黒のセイバーは直ぐに気配を探ったが声を出したにもかかわらず全く気配が掴めない事に驚愕する。

 

「……何者だ?」

 

「儂か?儂はそうじゃの……」

 

「アサシン、王の命じた戦いに手を出すとはどういうつもりですか?」

 

 黒のセイバーの問いに答えようとした見えない何者かの発言を遮るようにガウェインが声を上げる。

 

「そう怒るでない、セイバー。あれ程の戦いを見た後じゃ、儂も血が騒ぐというものだ。それに素奴もそれほど乗り気ではあるまい」

 

「レオ、よろしいのですか?」

 

「別に構いませんよ。出し惜しむつもりはありませんが先程も言ったように今回は挨拶ですから」

 

「呵々、良い良い。融通の利く上司は好ましいぞ。それにしても、黒のセイバーよ、先の戦いから分かってはおったがやはり硬いの。咄嗟に身を引かれたとはいえ確かに捉えたはずだが、儂の拳を受けて無傷とはな」

 

 それもまた面白いと笑うアサシンの姿は見えずやはり気配すら感じられない。そんなアサシンを無言で警戒する黒のセイバーは内心で先程の攻撃について考えていた。

 

(あれが拳による殴打だと……)

 

 確かにアサシンによる攻撃によって大きなダメージはおってはいない、だがその攻撃はとても拳による物とは思えない衝撃であった。もしも、先の一撃が自分以外の黒のサーヴァントであれば勝負が決まっていたのではないかと思わせるには十分であった。

 

(攻撃してなお気配を悟らせない程の気配遮断のスキルは驚異だ)

 

 結論を出したセイバーはマスターであるゴルドを守るため後退する。

 

「どうしたセイバー⁉︎何故戻ってくるのだ!」

 

「……敵のアサシンだ。気配を感じる事が出来ない」

 

「アサシンだと!」

 

 黒の陣営には未だアサシンが合流していないためアサシンの驚異がどれほどのものかを理解しきれていなかった。

 

(気配などまるでないではないか)

 

 セイバーですら感じられない気配をゴルドにわかるはずもなく。それが恐怖に変わるのに時間はかからなかった。

 

「て、撤退だセイバー!私を守れすぐにこの場を離れる!」

 

「……了解だ、マスター」

 

「去るか黒のセイバー」

 

「……赤のランサー、願わくば次こそは貴公と決着をつけるまで戦いたいものだ」

 

「そうか。オレも初戦にお前と打ち合えた幸運に感謝しよう」

 

「敵との会話を許した覚えはないぞ!ルーラー良ければ我らと一緒に来ては頂けませんか?」

 

「それは公平性に欠けます。それにこの場にはまだサーヴァントが残っています。貴方達が引くのを止めはしませんが私はこの場に留まります」

 

「くっ。行くぞセイバー!」

 

 こうして黒のセイバーはマスターと共に撤退した。

 

「さてあちらの方々にはまだ聴きたい事がありますが、赤のランサー、貴方はどうされるのですか?」

 

「オレもあちらに用がある。出来るだけ情報を集めろとの指示だ」

 

「ボクの目的は済んだのですが。やる気ですか?赤のランサー、いえ『施しの英雄』カルナ」

 

 ルーラーと赤のランサーの会話にレオが割り込む。

 

「ほう?オレの真名を容易く見抜くか。いやその様子では最初から知っていたようだな」

 

「サーヴァントの真名まで知っているなんて……貴方達は本当に何者ですか?」

 

「いえいえ、カルナには以前お会いした事があるんですよ。流石に全てのサーヴァントを知っているわけではありません」

 

「別の聖杯戦争に参加したことがあると?」

 

「まあ、そんなところです」

 

「それでお前達はどうする気だ、戦うというのであれば相手をしよう」

 

「望むところです」

 

 カルナの言葉にガウェインが応えて前にでる。

 

「円卓に名高き太陽の騎士か。しかしこの月夜では伝説にある太陽の加護も受けれまい」

 

「関係はありません。主が命じれば剣となり勝利を捧げるのが私の役目です」

 

「なるほど、その濁りなき忠誠は見事だ。ならば此方も我が槍を持って応えよう」

 

「アサシン。手は出さないで頂きたい」

 

「よかろう。こたびはお主の剣を見せて貰うとしよう」

 

「では……参ります」

 

 動いたのは同時、互いに一歩の踏み込みで距離を詰め剣と槍がぶつかり合う。そこからの戦いは先のカルナと黒のセイバーの戦闘に劣る事のない剣撃のぶつかり合い。

 ガウェインはカルナの神速の突きを的確にそらし、僅かな間を狙い剣を振り下ろす。カルナも槍をすぐさま引き戻し水平に構え力強い一振りを受け止める。

 振り下ろし、突き、払いを駆使し互いの攻撃をしのぎ続けている。

 

「よくも捌く、流石だな太陽の騎士」

 

「貴方も見事な槍術です」

 

「やはりオレは運が良い。一夜にして二人もの得難い好敵手と出会えるとはな」

 

 一度距離を取り二人が口にしたのは賞賛の言葉。互いに再び動き出そうと構え直す。

 

「そこまでです!」

 

 声の主はガウェインのマスターであるレオ。

 

「ガウェイン下がりなさい。カルナ、そちらも今日のところは引きませんか?」

 

「む、良いのか?あのランサーは紛れも無い強敵であるぞ」

 

 相変わらず姿の見えないアサシンが問いかける。

 

「何度も言いますがボクの目的は参戦の挨拶です。それに戦いはまだ序盤、カルナも全力を出す気はないようですし情報収集がメインの戦闘に付き合う気は有りません。ボクが動く以上我らに与えられるのは必勝のみですので」

 

「レオが引けと言うなら私は従います」

 

「そうか、ならばこちらも引こう。元より適当な所で戻れと指示されているのは事実だ。ではさらばだ太陽の騎士とそのマスター、そして姿無きアサシンよ」

 

 カルナは潔く引き下がりその身を霊体化させこの場より去っていった。

 

「ではボク達も戻らせて貰います。ルーラーは聴きたいことがあるならば付いてきますか?」

 

(確かに彼等の情報は必要です。しかし今の私はレティシアの体を使って現界している身。無理はできませんか)

 

 ルーラーはレオからの問いにしばし考えるが首を横に振った。

 

「いえ。必要があればこちらから出向きます。謎は多いですが一先ずは貴方達を信じましょう」

 

「そうですか、分かりました。それでは戻りますよガウェイン」

 

 こうして第三陣営の参戦というイレギュラーが発生しながらも初戦は幕を閉じた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 




無駄に長い割に話は進んでないと言う酷いありさまですいません^_^;
次回は少し短くして今年中にもう1話は投稿したいですね。

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