Fate/Apocrypha 〜月の陣営〜   作:弥未耶

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プロローグ入れて3話目です。
サブタイトルが次回予告から変わってますが気にしないで(>人<;)
今回も話しばっかりです。
本当は戦闘まで書きたかったんですが長くなったので予定を変更して投稿です。
次回から戦闘書きます(~_~;)



第二話 再会

 セイバー、ランサー、アーチャー、ライダー、キャスター、アサシン、バーサーカーすべてのサーヴァントが無事召喚された中真っ先に動き出したのはセイバーであった。

 セイバーは己がマスターであるレオの前まで歩き片膝をついた。

 

「レオ、いえレオナルド・B・ハーウェイ。敗北した身ではありますが今一度貴方に我が剣を捧げます。太陽の騎士として此度こそ貴方に完全なる勝利を」

 

「よく戻りました、ガウェイン。貴方の再びの忠誠、王として受け取りました。此度もまたボクの剣としてその力存分に振るってください」

 

「はい、我が王よ」

 

 セイバー・ガウェインに続き他のサーヴァント達も自らのマスターの元へ歩を進める。

 遠坂凛のサーヴァントはランサー・クーフーリン。

 

「よう嬢ちゃん!また組めるとは思わなかったぜ」

 

「そうね。私も全く予想外よ。けど参加するからには勝つわよランサー」

 

「いいねぇ、そうこなくちゃ。今回も存分に戦えそうだ。にしてもいい主人といい戦い、珍しく運にめぐまれてるもんだ」

 

 凛とランサーは相変わらずの相性の良さである。

 ダン・ブラックモアのサーヴァントはアーチャー・ロビンフット。

 

 

「来たかアーチャー」

 

「こちとらサーヴァントなわけですからね。そりゃお呼びとあらば来ますさ」

 

「此度もよろしく頼むぞ」

 

「一度負けたサーヴァントをそんなに信頼していいのか旦那」

 

 アーチャーは茶化すようにダンに言葉を返す。

 

「あの時はわしの意地に付き合わせお前自身の戦いができなかった。

 あの戦いに対し言い訳も後悔もせん。だがお前の全力の戦いではなかった」

 

「……ハァ。そこまで言われたら俺も少しは気合い入れてやるしかなくなるってわけだ。まあ精々最後まで足掻きますよっと」

 

 相変わらずお堅いマスターなこった、と呟きながらもその顔はどこか嬉しそうにも見えた。

 間桐シンジのサーヴァントはライダー・フランシス・ドレイク。

 

 

「よう、シンジ久しぶりじゃないか!」

 

「やっと戻って来たのかよライダー!お前はホント肝心な時に居ないんだからこっちは大変だったんだぞ!」

 

「なんだいシンジ、アタシが居なくて寂しかったのかい?」

 

「ハア!そんなわけ無いだろ!お前こそ僕がいないと。……って頭を撫でるな!」

 

「素直じゃないねぇー」

 

 シンジの頭を乱暴に撫でるライダー、その二人の姿は我儘な弟と面倒をみる姉の様に見えなくもない。

 ユリウスのサーヴァントはアサシン・李書文。

 

「またお主と組むことになろうとはなユリウス」

 

「不満かアサシン?」

 

「いやお主に不満はない。儂は強者と武を競い合えればそれでよい。

 お主は敵を殺せればよい。そうであろう?」

 

「そうだな。今回は月とは違いいざとなれば撤退も可能だ、ある程度好きにしろ」

 

「呵々、随分融通がきくではないかマスター。ならば儂も全力でやらせて貰おう」

 

 両者の関係は悪くないむしろ相手を殺すという一点においてはかなり兇悪な組み合わせである。

 ラニのサーヴァントはバーサーカー・呂布奉先。

 

「バーサーカー」

 

「◼️◼️◼️◼️ーー!」

 

 ラニの呼びかけに対し唸るバーサーカー。

 

「私には貴方の言葉は伝わらない。しかし、前回の様に無関心でもいたくはありません。なのでせめて私は貴方に言葉をかけます。よろしくお願いしますバーサーカー、共に勝利をおさめましょう」

 

「◼️◼️◼️◼️◼️◼️◼️◼️◼️◼️◼️◼️◼️ーー!!」

 

 ラニの言葉に応える様に大きな咆哮を上げバーサーカーは霊体化した。戦う相手がいないからなのか魔力消費の多いバーサーカーゆえにラニの体を気遣ってなのかはバーサーカーにしかわからない。

 殺生院キアラのサーヴァントはキャスター・ハンス・クリスチャン・アンデルセン。

 

「また会いましたね、アンデルセン」

 

「…………」

 

「その露骨に嫌そうな顔は何ですか?」

 

「嫌だからに決まっているだろう、やっと面倒な仕事が終わったと思ったらこれだ。同じマスターとの契約、それもよりによってお前とはな。まさに悪夢だ」

 

「まあ、相変わらず口が悪いですね」

 

「当然だ、人というのは早々変わらん。だがお前のその顔は何だ?」

 

「顔?何かついていますか?」

 

「違う。自らの欲と快楽にしか興味のない様な女が何を悩んでいるような顔している?よもや月の裏側での敗北で改心するような謙虚な女ではあるまい」

 

「あのような負け方をすれば少しは考えることもありますよ」

 

「ハッ、今になって悩める少女気取りか?歳を考えろ。平凡な少女の話の方がまだネタになるかもしれんがお前では笑いのネタにもならん」

 

「……アンデルセン。やはり貴方とは一度しっかり話をした方がいいですね」

 

「お断りだ。まあ、精々悩んで見せろキアラ。何かの拍子にネタも転がるかもしれん」

 

 アンデルセンの毒舌は変わらない。しかし、サーヴァントとしてあらゆる面で最低レベルなこの男が決して裏切らず地獄の底まで付いて来てくれることをキアラは知っている。

 

 

 全員がサーヴァントとの再会をみたところで言峰が口を開く。

 

「さて再会の挨拶は済んだかね。ならば今日はもう休んだらどうかね?月とは違いサーヴァントの召喚には魔力を使う、そろそろ疲れが出る頃だ」

 

「確かにそうね。言われてみれば体が怠いわ」

 

「そうですね。本格的に戦いに参戦すれば落ち着いて休めることも少なくなりそうですからね」

 

「休める時に休んでおく戦場では大切なことですな」

 

「それよりさ、此処地上なんだろ?食事とかどうなってるわけ?僕お腹減ったんだけど」

 

「そういえば確かにそうね」

 

「誰か料理作れる人はいますか?」

 

「レオ!食事なら私にお任せをこのガウェイン全力でマッシュさせていただきます」

 

「貴方の気持ちは嬉しいですが食事に関しては黙っていてください」

 

「ではオレが「兄さんも無しです」……」

 

 名乗り出た二人を即座に切り捨てるレオ。

 

「ラニはどうなの?」

 

「残念ながら料理は専門外です。ミス遠坂の方は?」

 

「こちとら物心ついた時から電脳戦よ。料理なんてする暇無いわよ」

 

「そんなんだから男の一人も寄ってこないんだぜ嬢ちゃん」

 

「うるさいわよランサー」

 

「旦那はどうなんだ……その一人暮らしだろ?」

 

「気を使わずとも良いぞアーチャー。だが家の事はメイドに任せてある」

 

「意外だな旦那」

 

「女王陛下に言われてな、家を開けることも多かったのでな」

 

「話がずれていますよ。一応聞きますがキアラさんはどうでしょう?」

 

「この女に料理ができると思うか?無理に決まっているだろ。こいつにとって料理は自分の為に作るものでも誰かの為に作るものでも無い、誰かに捧げられたものにすぎん」

 

「何故貴方が答えるのですかアンデルセン。流石に私もそこまでは思っていませんよ」

 

「では作れるのかキアラ?」

 

「………」

 

 アンデルセンの言葉にキアラは無言のまま目をそらす。

 

「全滅ですか。困りましたね」

 

 打つ手無しになったところで言峰の笑い声がその場の全員に届いた。

 

「いや失礼。お前達の会話は中々に面白くてな。さて食事の心配ならいらんぞこちらで用意しよう」

 

「神父の他にもNPCが来ているんですか?」

 

「いや、此処に送られたNPCは私だけだ」

 

「それでは誰が食事を?」

 

「もちろん私だが」

 

 言峰の言葉にその場の空気が凍りついた。

 

「冗談よね?」

 

「冗談では無いぞ遠坂凛。説明の時に私の役割を伝えたはずだが」

 

「私達への説明が貴方の役割だと記憶していますが?」

 

「そうだな。しかしこう言ったはずだ主な(・・)役割は君達への説明だと」

 

「要は別の役割もあるという事か?」

 

「そうだ。そしてそれこそがお前達マスターの世話係だ」

 

 凍りついた空気が絶望に包まれた。

 

「何で世話係まであんたの役割なのよ!普通そこは桜とかでしょ!」

 

「私とて好き好んでやっているわけでは無いのでな。あくまでで与えられた役割(ロール)をこなしているにすぎない。文句があるなら直接言いたまえ」

 

 そう言うと言峰は懐からリモコンを取り出し操作する。

 すると言峰の背後にスクリーンが降りてくる。

 映し出されたのは一部の者達はよく知る桜の模様とnow heckingの文字。

 そして流れ出す音楽。

 

【BBチャンネルー‼︎】

 

 そうして聞こえてきたのはハイテンションな声。疲れているところにコレである。BBを知っている裏側事件の当事者達と一部サーヴァントはうんざりしている。

 

【あれー?皆さん表情が死んでますよー。可愛い可愛いグレートデビルなBBちゃんの登場なんですからもっと盛り上がってくださいよー】

 

「神父、文句は無いのでその映像を切ってもらえませんか」

 

【酷い、酷すぎます!しかし、残念でしたー。一度つけるとコントロールは全てワタシの思うままなのです】

 

「ガウェイン、スクリーンを切り捨てなさい」

 

「御意」

 

「ちょっとバカ、待ちなさい!」

 

「ハハハ。冗談ですよミス遠坂。ストップですガウェイン」

 

 レオは笑いながらガウェインに剣をひかせた。

 

「目が笑って無いわよアンタ」

 

【…それで何か用ですか?ワタシ結構忙しいんですけど。手短に済ませて貰えます】

 

「そうそれよ!BB、何で私達の世話係があの神父なのよ!桜はどうしたの?」

 

【そんなことですか。だってそっちの方が面しろ、じゃなくて危ないじゃないですかー】

 

「今普通に面白いって言いかけたわよね」

 

【危ないのも本当ですよ。其処は裏側の校舎と違って襲われる可能性だってあるんですから。基本的にノロマなオリジナルなんかには任せられません】

 

「理にかなってるのが腹立つわね」

 

【そういうわけで交代とかはありえません!もうきりますよー】

 

 言いたい事だけ言うと通信を切ろうとするBB。

 

「少しよろしいですか?」

 

【何ですかラニさん?そろそろ戻らないと【BB何してるの?】先輩⁉︎何でもありません!すぐ戻りますから待ってて下さい】

 

 突如聞こえてきた自分達の良く知る声にその場の全員が驚いた。

 

「ちょっと今の声岸波くん?」

 

「ハクノさんが其処にいるんですか?」

 

「ハア!岸波のやつ何でお前と一緒にいるわけ?」

 

【今の声もしかして?BB入るよー?】

 

【乙女の部屋に勝手に入るなんて駄目ですよ先輩】

 

【でも今皆の声が…】

 

【あんな女は放っておきましょうハクノ】

 

【お母様ばっかりずるいです。私にもかまってほしいです】

 

 新たにスクリーンの向こうから聞こえてくる声は月の裏側にいた二人のエゴ達の声だ。

 

【ワタシが目を離してるからって好き勝手しない…聞いてないし。

 ではマスターの方々ワタシは見ての通り忙しいのでBBチャンネル終了です】

 

「待ちなさい!岸波くんを出しなさいよ」

 

 BBは一方的に通信を切った。

 

「……」

 

「…流石はハクノさん。ボクらの予想の遥か上をいく方々と一緒に居るみたいですね」

 

「わしは見覚えがないのだが彼は大丈夫かね?」

 

「あの様子だと大丈夫だろう。それにあいつのことだ、どんな状況でもしぶとく生き残るだろ」

 

「そうね。今は自分達の事だけ考えましょう」

 

「それでは私は休ませてもらいましょうか。行きますよアンデルセン。それでは皆さん失礼します」

 

「それではボクらも今日は休みましょう。神父、少し心配ですが明日の朝食を頼みます」

 

「承った。メニューは麻婆「それ以外でお願いします」…仕方あるまい。時間は遅めだか10時には用意しよう。」

 

「じゃあ、僕も部屋に行かせてもらうよ。行くぞライダー」

 

「シンジは先に行ってな。アタシはこのランサーの兄ちゃんと何杯か飲んでから行くよ」

 

「いきなり酒かよ!ボクは先に寝るよ」

 

「ランサー貴方ね…」

 

「いいじゃねえか、嬢ちゃん。今回は味方なんだ親睦を深めるには酒が一番なんだよ。よお!其処のアーチャーとアサシンもどうだい?」

 

 ランサーが部屋に行こうとする二組に声をかける。

 

「英雄様に囲まれてたんじゃ酒の味も分かんなくなるってもんですわ」

 

「アーチャー、自分を卑下するな。お前もまた英雄である事をわしは知っておる」

 

「買い被りすぎっすよ旦那。まあ、戦闘スタイルとか知っといて損はないですからね、いって来ますよっと」

 

「わしは先に休んでおく」

 

 ダンと別れランサー達の元に向かうアーチャー。

 

「酒盛りか。ユリウス、今宵は仕事も無かろう。どうせ明日からはアサシンとして仕事であろう?今日ぐらいは羽目を外しても構わんか?」

 

「……わかった。好きにしろアサシン」

 

「呵々、お主本当に丸くなったの。……そう睨むでない。マスターの気が変わらぬ内に行くとするかの」

 

 笑いながらユリウスの元を離れるアサシン。ユリウスも僅かにレオの方に目を向けた後自室に向かい始めた。

 

「ガウェイン、貴方も参加して来てはどうですか?」

 

「いえ、私はレオの側に控えていますので」

 

「今日のところはもう寝るだけですよ。ボクも流石に疲れましたから。それに味方との交流は大切です。戦場で齟齬が起きても困りますから」

 

「……わかりました。レオがそう言うのであれば。では良い眠りを我が王よ」

 

「ええ、ありがとうガウェイン」

 

 レオに説得される形でガウェインも彼らの輪に加わる。

 ランサーを送り出した凛はまだのこっているラニにの元に向かう。

 

「ラニ、貴女も今日はもう休むの?」

 

「そのつもりです。その前に少し神父に聞きたいことが」

 

「何かね、ラニ=VIII」

 

「この世界の魔術についてのデータなどは無いのですか?」

 

「それならば各マスターの部屋に置いてある。勉強熱心なことだな」

 

「わかりました。それでは私も部屋に行きます。ミス遠坂ももうお休みですか?」

 

「今日のところはね。初日から無理しても仕方ないし。貴女もしっかり休みなさいよ」

 

「問題ありません。体調管理は完璧です」

 

「そういうところが心配なんだけど。まあいいわ。それじゃあ、お休み」

 

「はい。お休みなさい」

 

 こうして月のマスター達の初日は終わる。

 開戦の時はもうすぐ其処まできている。

 

 

 

 

 

 




次回こそ始まります!
ちょっとここから忙しいので投稿がさらに遅くなりますが頑張ります。
書いたら出るを信じて書いたおかげなのかfgoでガウェイン来ました!
モーさんは出番なかったせいかきませんでした(T_T)
では次回もお願いします。

NGもしくはIF

マスター達が自分のサーヴァントと再開するなか遠坂凛はその場を動かずに唖然とした様子で自分の召喚したサーヴァントを見ていた。
他の者達も凛を見ようとしない。

「な、なな…」

凛は当然自分のところに来るのは青い槍兵のサーヴァントだと思っていた。しかし、目の前に見えるのは赤い少女。

「あら今回のマネージャーはまた貴女なの?子ブタじゃないのはちょっと残念だけどまあいいわ」

「な、何でアンタなのよエリザベート!」

「何よその言い方⁉︎せっかくこのサーヴァント界最高のトップアイドルであるアタシが来てあげたのよ、泣いて喜ぶところでしょ!」

「別の意味で泣きたいわよ!」

その場に崩れ落ちる凛。

「何よ別の意味って⁉︎というか此処ってよく見たら結構広いわね。歌っていいのかしら。はっ、もしかしてアタシの歌の練習場所なの⁉︎気がきくじゃない」

「違うわよ!」

此処に誕生した赤い主従。
エリザベートの聖杯大戦(コンサート)が今、幕を開ける!



開けません。











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