もしも、アイドルじゃない彼女らに出会えていたら……   作:Egocéntrico

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細かい設定は今後追加します。
よろしくお願いいたします。


二回生 春学期 1週目 水曜日

P「(昨日は新田さんにフレちゃん、友紀とも仲良くなれたし、俺の大学生活もこのまま楽しくなりそうだ! …にして早く出すぎたかな。二限が始まるまで時間あるけど…)」

 

??「あ〜〜。やっぱり来ました〜。もう、逃がしませんよ〜〜。えい」ムギュ

 

P「えええ?! ちょっ、え? え?」

 

P「(道を歩いていたら知らない女の子に抱きつかれたぞ!)」

 

??「えへへ〜。待っていた甲斐ががありました〜。私の事覚えてませんか?」

 

P「(柔らかいものが! 柔らかいものが腕に!)」

 

P「(ん? この子…)

 

P「あ! こないだ財布忘れてた…」

 

愛梨「正解で〜す。あの時助けていただいた、十時愛梨です。えへへ、その節はありがとうございました!」

 

P「(こ、こんなに可愛い子に抱きつかれるとかいよいよ死ぬのかな、僕)」

 

P「と、十時愛梨さんって言うんだ! えっと、十時さんは何でここに? 待ってたって言ってたけど、もしかして」

 

愛梨「はい! 昨日ここで見かけて声をかけようとしたんですけど、走って行っちゃたので今日は待ち伏せしてたんです〜〜」

 

P「(触れてる指先が冷たい…)」

 

P「朝からここでずっと?!」

 

愛梨「えへへ〜。だって、絶対会いたかったから…」ギュー

 

P「(俺がここを通らない可能性もあるのに……。わざわざ声をかけるっていうお願いのために……)」

 

P「十時さん…」ギュッ

 

愛梨「ふぇ? あの、私の手に何かついていましたか?」

 

P「いや、こんなに冷たくなるまで待ってくれてありがとう。よかったらコンビニであったかい飲み物買って、一緒に学校行かない?」

 

愛梨「はい!」

 

愛梨「ええへ、やっぱり優しいな…」

 

〜通学路〜

 

愛梨「ミルクティーあったか〜い! お金返すつもりが、また買ってもらっちゃって…。ありがとうございます♪」

 

P「(本当に可愛い人だな…。しかも、天然っぽいという。反則だろ)」

 

P「待っていてくれてた、お礼だからさ。遠慮せずにどうぞ」

 

愛梨「ありがとうございます♪」

 

愛梨「あ、そうだ! お名前! お名前まだ聞いてませんでしたよね?」

 

P「確かに名乗ってない気が…Pって言います。よろしくね!」

 

愛梨「こちらこそよろしくお願いします、Pさん!」

 

P「十時さんはこの辺に住んでるの?」

 

愛梨「はい! 一人暮らししてるんですよ〜」ドヤァァァ

 

P「(ドヤ顔まで可愛い)」

 

P「なら、ご近所さんなんだね! 僕も家から出てきて一人暮らしなんだ」

 

愛梨「私と一緒ですね〜。Pさんは何回生ですか?」

 

P「二回生だよ? 十時さんは一回生かな?」

 

愛梨「ふぅえ? どうしてわかったんですか?」

 

P「歳上には見えないからさ」

 

愛梨「それどういう意味ですか〜。私だって立派なお姉さんなんですからね〜えっへん」

 

P「よく幼く見られない? なんかこう小動物のような可愛さが十時さんにはあるから」

 

愛梨「えへへ〜。愛梨だぴょん! どうですか?」ピコピコ

 

P「…何この可愛い生き物。とっても可愛いよ」

 

愛梨「ありがとうございます! Pさんも可愛いですよ?」

 

P「あ、ありがとう。…喜んでいいのかこれ。十時さんは何学部なの?」

 

愛梨「社会学部ですよ! 社ガール、なんです〜。Pさんは?」

 

P「社学っぽいとは思ってたけど、まんまだったとは。僕は文学部だよ」

 

愛梨「あれ〜? 文学部って男の人は入れましたっけ?」

 

P「いや、確かに男子は少ない学部だけど入れないことはないよ」

 

愛梨「そうだったんですね! 女の子ばっかりだから入れないのかと思ってました〜。えへへ」

 

P「あ、もうそろそろ教室行かないとね。今日はありがとうね、十時さん」

 

愛梨「本当ですね、時間が経つのが早いな〜。いえいえ〜、私こそ飲み物奢ってもらっちゃって…って、そうだ!」

 

P「どうかした?」

 

愛梨「私、Pさんにお礼がしたくて待ってたのに何もできてません! でもでも、もう授業始まっちゃうし〜、Pさんどうしましょ〜」

 

P「俺に聞かれても困るけど、でも、お礼ならしてもらったも同然だよ? 声かけてくれるだけでいいって言ったのは俺だからさ、そんなに気にしなくてもいいよ」

 

愛梨「で、でも〜。そうだ! Pさんが良ければ携帯番号教えてくれませんか?」

 

P「え? うん、いいよ。はい、これ俺の番号」

 

愛梨「登録できました! また、電話してもいいですか?」

 

P「もちろんいいけど…どうして?」

 

愛梨「私、お菓子づくりが好きでお家でもよく作るので、今度Pさんをお家に招待して、愛梨が、お・も・て・な・し♪ しちゃいます!」

 

P「え? ええええ!? いや、いいよ、そんな悪いし…。」

 

P「(てか、女の子の部屋に行くなんて心臓が保たない!)」

 

愛梨「ふふ、これはもう決定事項なんです! お電話した時に予定合わせたり、好きなお菓子をきかせてくださいね! では、また〜」

 

P「行ってしまった…。まじか、俺が十時さんの部屋に? …まあ、正直楽しみでしかないな」

 

〜授業終わり 中央芝生〜

 

P「(大学の中央には大きな芝生の広場があり、そこにはよく近所の小学生くらいの子たちが集まって追いかけあったり、ボールで遊んでたりしている)」

 

P「(ランドセルを芝生に放り投げ、元気いっぱいに遊んでいる姿を見ると自分の幼い時の記憶が蘇ってくるようで…)」

 

??「あー! やっと来た! お兄ちゃ〜〜ん」

 

P「(地元の公園で学校終わりに毎日ドロケイしたり、校庭でキックベースしたことも遠い昔のように感じ)」

 

<トンッ キュッ

 

P「ん? 足元に何か…って」

 

P「(見知らぬ小学生が足に巻きついてる……なんて日だ! 一日に二回も誰かわからない人に抱きつかれるなんて…ついてるのかついてないのか)」

 

薫「お兄ちゃん遅いよ〜。薫、先帰ろうかと迷ってたんだよ?」

 

P「えっと、薫ちゃん? おそらく人違いだと思うんだけど……」

 

P「(俺の妹は今家に居るだろうし、そもそも声が違う)」

 

薫「もう! 何言ってるのお兄ちゃん! 薫が間違うわけ…あれ?」

 

P「ほら、よく見たら違うでしょ?」

 

薫「本当だ! お兄ちゃんじゃない! ご、ごめんなさい」

 

P「(やっと離れてくれた…)」

 

P「あはは、そんなに薫ちゃんのお兄さんに似てたのかな?」

 

薫「うん! とっても似てる! だって、薫が間違えるくらいなんだもん」

 

P「そうだね、妹の薫ちゃんが間違えるくらいだから似てるんだね〜。で、そのお兄ちゃんが来ないの?」

 

薫「そうなの…。いつもなら迎えに来てくれて一緒に帰るのに、今日は遅いから心配してたらお兄さんが来たから」

 

P「間違えちゃたんだね? よしよし」ナデナデ

 

薫「あ、ええへ、ありがとうお兄さん!」

 

P「薫ちゃんがお兄さんの携帯番号がわかるなら俺の携帯を使ってくれてもいいよ?」

 

薫「え! いいの? えっとね、薫わかるよ! お兄ちゃんの携帯番号!」

 

P「なら、かけてみようか! 心配だもんね…はい、かけ方わかるかな?」

 

薫「うん! 何度かお母さんのでかけたことがあるから…」ピポパポピ

 

P「(このくらいの子って何にでも一生懸命で可愛いよな)」

 

薫「あ、お兄ちゃん? どこにいるの? 薫待ってたんだから……。えええ?! そんなことかおる聞いてないよ〜。うん……。わかった…大丈夫だよ一人でも帰れるもん! うん……。この携帯は優しいお兄さんに…うん、わかってるよもう、じゃあ、切るからね、バイバイ〜」

 

P「どうだった?」

 

薫「なんかね、お兄ちゃん今日来れないんだって〜。お母さんに言ってたみたいなんだけど、薫は聞いてないもん…」

 

P「そっかあ、じゃあ薫ちゃん一人で帰るの?」ナデナデ

 

薫「あふ。えへへ。でも、薫一人でも帰れるから大丈夫だよ!偉いでしょ」

 

P「うん! 偉いね〜。でも、薫ちゃん一人は危ないからお兄さんが付いて行ってあげようか?」

 

薫「え〜!? いいの? ありがとうございまー!」

 

P「よし! そうと決まれば、早速行こうか!」

 

薫「あ、お兄さんちょっといい?」

 

P「うん? どうしたの?」

 

薫「手を繋いでもいい? お兄ちゃんと帰るときはいつもそうなの」

 

P「もちろん! さ、行こうか」ギュ

 

薫「えへへ、うん!」ギュ

 

〜帰路〜

 

薫「お兄さん、Pさんって言うんだ!」

 

P「(薫ちゃんと手を繋ぎながら楽しく帰ってると昔を思い出すな…。)」

 

P「そうだよ」

 

薫「うーんと、じゃあ、Pお兄ちゃんって呼んでいい?」

 

P「(Pお兄ちゃんか…元気にしてるのかな? 最近は電話もしてないしな…)」

 

薫「…あれ? もしかして、ダメだった?」

 

P「え、ああ、大丈夫だよ! 薫ちゃんの好きに呼んでくれて良いよ」ナデナデ

 

薫「うん! Pお兄ちゃんは優しいね!」

 

P「ありがとう! 薫ちゃんは何年生なの?」

 

薫「四年生だよ! Pお兄ちゃんは?」

 

P「俺は二年生だから、薫ちゃんの方がお姉さんだね」ナデナデ

 

薫「ええええ⁈ 二年生なのに大きいんだね〜」

 

P「二年生って言っても今年で20歳なんだけどね〜」

 

薫「二年生なのに20歳? んんん?」

 

P「(混乱してるな〜可愛い)」

 

P「あはは」

 

薫「あ、でも、薫のお兄ちゃんも今年で20歳だよ! Pお兄ちゃんとお兄ちゃんは一緒なんだ」

 

P「そっかそっか! 同い年なんだね〜」

 

薫「薫が間違えるくらい似てるんだもん! えっへん」

 

P「(論理はよく分からんが、可愛い。可愛いは正義)」

 

P「そうだね」ナデナデ

 

薫「えへへ〜〜。あ!あそこが薫のお家だよ」

 

P「じゃあ、お兄さんはここまでだね。薫ちゃん、今日はありがとうね! 薫ちゃんが元気一杯だったから、お兄さんも元気になれたよ」

 

薫「Pお兄ちゃんもありがと! 薫ね、学校の先生にも元気だねって言われるの」

 

P「うん! また、今度会えたらその時はまた、元気な薫ちゃんでいてね」ナデナデ

 

薫「えへへ! うん、薫はいつでも元気だよ!」

 

P「じゃあ、またね、薫ちゃん。ばいばい〜」

 

薫「うん! Pお兄ちゃん、さようなら〜」

 

P「(本当に笑顔が似合う、向日葵みたいな女の子だな〜)」

 

〜家までの道〜

 

P「(さ、後は帰るだけだな)」

 

P「(せっかくだし、今日はいつもとは違う道で帰ってみようか。新しい発見があるかもしれないし!)」

 

...(時間経過)

 

P「(ん? こんな所に花屋さんなんてあったのか! 知らなかったな…。えっと、Flower Shop SHIBUYA。渋谷? ここは東京では無いけど、本店が渋谷にあるのかな…。まあ、入ってみるか)」ガラガラガラガラ

 

??「…いらっしゃいませ」

 

P「あ、どうも」

 

P「(レジの店員さん、ずいぶん若くて綺麗だな…。ん? てか、エプロンの下制服じゃないか? しかも、未央と同じ…)」

 

??「何か?」

 

P「え?」

 

??「じろじろ見られるのはあまりいい気分じゃないんだけど」

 

P「あ、ああ、ごめん…」

 

P「(めっちゃ怖い。凛とした表情とその口調はマッチしてるけど)」

 

??「はあ。ごゆっくりどうぞ…」

 

P「(あれは思ってないな、早く帰って欲しそうだ…。でも、少し見ていこう、そういえば店長が店内にお花飾りたいって言ってたし)」

 

P「(あ、この花、確かアネモネっだったような…。相葉さんが嬉しそうに春のお花を紹介してくれた時に言ってたアネモネの花言葉は)」

 

P「…はかない恋」ボソッ

 

??「…へえ、ちょっとは知ってるんだ」

 

P「え?あ、ああ知り合いにお花好きがいてさ、これってアネモネだよね?」

 

??「そう、アネモネ。プレートにも書いてあるでしょ?」

 

P「あ、本当だ。気づかなかった…」

 

??「はあ。それで、そのアネモネ買うの?」

 

P「うん、そうだね、バイト先に置きたいから買っちゃおうかな?」

 

??「ふうん、まあ悪くないじゃない? 包むから少し待ってて」

 

P「なら、他のお花を見て待ってるよ。出来たら教えてね」

 

??「少々お待ちくださいませ」

 

P「(いちいち言葉に棘があるな…)」

 

??「で、さっきのは何だったの?」ガサガサ

 

P「え? さっきのとは?」

 

??「私をじろじろ見てたの。そんなことするタイプの人じゃないでしょ? ってことは理由がある。違う?」ゴソゴソ

 

P「(なぜそんなタイプじゃないと言い切れるのだろう。最近の高校生はエスパーなのか。いや、確かにじろじろ見るようなこと普段はしないけど…)」

 

P「うん、気になることがあってさ、そのエプロンの下って、345高校の制服じゃない?」

 

??「そうだけど、それでどうして…ってまさか、制服マニアの変態?」ツツミツツミ

 

P「違うよ! バイト先で一緒に働いてる子の着てる制服と同じだったから、ちょっと面食らったんだよ」

 

??「…びっくりする程どうでもいい理由だった」

 

P「悪かったよ。本田未央って子なんだけど、知らない?」

 

<クシャッ

 

??「…本田未央? 今、本田未央って言った?」

 

P「え、ああ、もしかして知り合い? 友達だったり?」

 

??「…未央とバイト先が同じ。もしかして、あなたがPさん?」

 

P「なんで俺の名を? って未央と仲良いからしか考えられないか。いや〜、世間って意外と狭いんよな」

 

凛「この人が未央の…。はあ、こんな形で知るなんて、本当世間は狭いよ。私は渋谷凛。未央から聞いたことない?」

 

P「渋谷凛…! 未央がいつも、しぶりんしぶりん言ってたのは君だったのか! よく未央から話は聞いてたけど、ここまで美人だなんて思わなかったよ」

 

凛「未央が言ってたのはこれか…。なにそれ口説いてるの?」

 

P「え? あ、申し訳ない、思ったことが口から出ちゃうタイプでさ、でも凛って名前がぴったりのクールビューティって感じだね」

 

凛「どうも。はい、包み終わったから」

 

P「ありがとう! おいくら?」

 

凛「100万円です」

 

P「え、ちょっ、幾ら何でも高すぎない⁉︎」

 

凛「ふふっ、冗談。ゴールドカードで。じゃないんだね」

 

P「(微笑む時は高校生らしい可愛い表情になるんだな)」

 

P「未央は何を友達に話してるんだよ…」

 

凛「五百円になります」

 

P「ここだけ敬語なんだね。はい、どうぞ」

 

凛「お金をいただくんだから、礼儀は守らないと。ありがとうございます。今後ご贔屓に」

 

P「強かだな〜。うん、また寄らせてもらうよ! 今度はお花好きの子か未央と来るから」

 

凛「未央はダメ」

 

P「え? どうして?」

 

凛「どうしても」

 

P「(これは……。次は未央と来ないとな)」

 

P「わかったよ、じゃあまたね」ガラガラガラ

 

凛「ありがとうございました」ペコッ

 

P「(Flower Shop SHIBUYA。なるほど、名前だった訳だ。凛ちゃんのお家がお花屋さんだとは聞いてたけど、まさかここだとは思わなかったな。たまにはこうやって寄り道してみよう)」

 


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