とあるポケモントレーナーのお話 (凍結)   作:ミストラル0

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遅くなりましたが、やっと2つ目のジムのあるショウヨウシティです。


コウジンタウン~ショウヨウシティ

色々とお世話になった化石研究所を後にしたヒビキもセレナはコウジンタウンを出て8番道路の浜辺を歩いてショウヨウシティを目指していた。そして、日も暮れ始めた頃、二人はテントを張り夜営の準備をしていた。

 

「このペースなら明日にはショウヨウシティに着けそうだな」

 

「そうね・・・・ところでヒビキ。ジム戦、どうするの?」

 

そう、ここ数日の間ヒビキとセレナの二人はその事を悩んでいた。二人ともバトルシャトーでやり過ぎたせいか主力のポケモン達のレベルは30~40と所持バッジ一個とはとても思えないレベルに達している。対してジムリーダーはトレーナーのバッジ所持数で使う手持ちのポケモンのレベルを制限している。そして、バッジ一個のトレーナーに対して使われるポケモンの規定レベル20前後と明らかにレベル差が出来てしまっているのだ。

 

「主力使って圧倒するのはなんか違うし、かといって育成中のメンバー使って舐めプとかもやりたくもないしなぁ・・・・ザクロさんとはちゃんとバトルしたいし」

 

「そういえばバトルシャトーで声をかけてもらったって言ってたわね」

 

そのザクロが火を着けた結果がこの状況なのだが、ヒビキはなんとか納得のいくジム戦がしたい。

 

「あー、ここで悩んだって仕方ない!その辺はジムに行ってから考えよう」

 

結局、妙案は浮かばず翌日に備えて眠ることにした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

翌日、ヒビキとセレナは無事に2番目のジムがある町ショウヨウシティへと辿り着いた。

 

「やっとショウヨウシティか」

 

ショウヨウシティはコウジンタウンと同じく海と崖に挟まれた町でその傾斜を利用した自転車のレースやロッククライミングが盛んな町だ。ジムリーダーのザクロもロッククライミングに魅せられた人の一人でジムの仕掛けにロッククライミングコースを作ってしまう程。なので挑戦者はそのロッククライミングコースを攻略しなければザクロに挑戦できないんだとか(身体的な事情があってロッククライミングができない挑戦者はエレベーターを使えるらしい)。

 

「で、妙案は浮かんだ?」

 

「全然だな。もういっそのことザクロさんに相談するか」

 

「それが無難ね」

 

「なら先に部屋取ってからジムに行ってみるか」

 

いつものようにホテルに部屋を取り、ザクロにジム戦の相談に向かおうとすると、ジムへ向かう途中で生意気そうな短パン小僧が二人の前に立ち塞がった。

 

「お前ら、ザクロさんに挑戦する気か?」

 

「だったら何だよ?」

 

「お前らみたいなのがザクロさんに挑戦するなんて10年早えんだよ!どうしてもってんならこのショウヨウジムジムトレーナーであるザニー様を倒してから行きやがれ!」

 

どうやらこの短パン小僧・ザニーはショウヨウジムのジムトレーナーのようだ。

 

「・・・・また変なのに絡まれたなぁ」

 

「相手してあげたら?どのみち彼を倒さないとジムに行けなさそうだし」

 

「はぁ・・・・かったるいが仕方ないな」

 

という訳でヒビキは短パン小僧のザニーと勝負することになった。

 

「使用ポケモンは2体の勝ち抜き方式だ!いけ!イシズマイ!」

 

「とっとと終わらせるか・・・・いけ、ルカリオ」

 

ザニーが出したポケモンは岩・虫タイプのイシズマイ。ヒビキはルカリオだ。

 

「イシズマイ!【かたく「ルカリオ、【グロウパンチ】」へ?」

 

ザニーは【かたくなる】で防御を上げてからの耐久戦を狙っていたが、ヒビキは先手必勝とばかりに【グロウパンチ】でイシズマイを瞬殺。ザニーのイシズマイはLv.15とルカリオとはレベル的にも2倍以上の差があり、例え【かたくなる】が決まっていても勝負にならなかっただろう。

 

「ぐぬぬ・・・・今のまぐれに決まってる!いけ!イワーク!」

 

ザニーが次に繰り出したのはイワーク。どうやらこのイワークが彼のエースなのだろう。Lv.20とこの辺りのトレーナーにしては強い方ではある。しかし、ヒビキのルカリオの現在のレベルはLv.40。しかもイワークは岩・地面タイプなので格闘・鋼タイプのルカリオとは相性が最悪であり、更に先程の【グロウパンチ】で能力アップしたルカリオは開始早々にイワークの下顎にアッパー気味に【グロウパンチ】を叩き込みイワークをも瞬殺する。

 

「う、嘘だ・・・・」

 

エースのイワークまで瞬殺され、ザニーは両膝を着く。今まで負けたことはあっても同年代の少年にワンキルニタテされたのは初めてらしく、信じられないものを見たかのようにヒビキを見上げる。

 

「相手の力量を見誤りましたか、ザニー」

 

そこへどこからか二人のバトルを見ていたザクロが姿を現した。

 

「ざ、ザクロさん・・・・」

 

「ザニー、彼らはバトルシャトーにてマーキスとマーショネスの爵位を持つ実力者です」

 

「なっ!?」

 

ザクロからヒビキとセレナの爵位を聞かされ、ザニーはようやく自分がどのような人物に喧嘩を売ったのかを知り驚愕する。

 

「そのルカリオはあの時のルカリオですね?あれから一段と力をつけたようですね」

 

「あはは・・・・お陰様で」

 

その後、未だに唖然としているザニーを放置してヒビキ達はザクロにジム戦の相談をする。

 

「なるほど、確かに今のバトルを見れば君達の危惧するところもわかります。ですが、わざわざ困難なジム戦に挑もうという君達は変わっていますね」

 

「あんまり楽な方へとやってたらいつか足元掬われそうで」

 

「良い心掛けです。では、特例として君達にはバッジ3つ持ちと同様のポケモンを使うことにしましょう」

 

「「ありがとうございます!」」

 

「ジム戦の難易度を上げてお礼を言われる日が来ようとは・・・・」

 

礼を言うヒビキ達を見てザクロは呆れつつも嬉しそうに新たな挑戦者をジムに招くのであった。




咬ませ犬トレーナーのザニー君、哀れ・・・・挑んだ相手が悪過ぎた。

次回はザクロ戦の予定。

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