シルヴァリオシリーズ短編集   作:ライアン

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現在活動報告のほうでネタ募集を行なっています。
今後もより良い阿片の提供と万仙陣の維持のためご協力をお願いいたします。

例によってかぐや様は告らせたいからパクったもといリスペクトした部分があります。


安いパンツと高いパンツ(後)

「姉さん、話って一体何?」

 

呼び出されたレインは姉であるアリスの部屋を訪れてそう尋ねていた。そんなレインに対してアリスはどこか試すような瞳で見つめながら

 

「ねえレインちゃん、単刀直入に聞くけど貴方ってまだ処女?」

 

「は!?」

 

最初何を言われているのかわかっていない様子のレインだったが瞬く間に意味を理解して顔が紅潮し出す

 

「いいいいいいいいいい、いきなり何言い出すのさ姉さん!?」

 

「その様子じゃどうやら処女のようね……はぁ」

 

貴方には心底失望したわみたいな呆れた表情で妹を見つめながらアリスはため息を突く

 

「な、何を仰いますか………それはもう私はアッシュとラブラブで…」

 

しどろもどろになりながらレインは明後日の方向を見ながらそんな風に見栄を張るが

 

「ふーん、バッチリくっきりやっていると。それじゃあ詳しく聞かせてもらいましょうか」

 

「ごめんなさい、見栄張りました。本当はまだキスまでしかやった事はありません。だから手をわきわきさせてこちらににじり寄ってこないでくださいお姉様」

 

その言葉を聞いてよろしいとばかりに立ち止まってアリスはレインを見据えて言う

 

「つまり貴方はまだ一回もやらせてあげていないのに彼女面してアッシュ君が娼館に行く事にあんなにプリプリ怒っていたと」

 

「か、彼女面って……私はれっきとしたアッシュの恋人だもん……」

 

プクリとふくれ顔をしてそんな風に抗議してくる妹をアリスは適当にあしらうように

 

「あーはいはい、そうね。キスまでしか許してないようなお子ちゃまな恋愛やっているだけでも一応恋人同士だもんね貴方達。じゃあ奥さん面に言い換えるわ」

 

「うう……姉さんなんだかいやに辛辣だけど私何か姉さんを怒らせるような事した?」

 

そんな妹の様子に姉は深い、本当に深いため息をついて

 

「怒っているんじゃないわ、呆れているのとちょっぴり我が妹のグラヴィティっぷりに引いているだけよ。何かした、というよりはむしろナニもしていないからそうなったという方が正確ね」

 

「ごめん、何がなんだかさっぱりわからないよ姉さん」

 

そんな事を言う妹に完全に顔に手を当てて天を仰ぎ

 

「じゃあ言うけどねレインちゃん、やらせてあげてないのに娼館行く事に文句言う女ってかなり重いわよ!!!」

 

「うぐぅ……」

 

くわっと目を見開きながら姉にそんな事を言われたレインはいじけるように左右の人差し指をつんつんとつつきあいながら

 

「わ、私だって最初はそれとなく釘を刺して……みたいな風にしようと思っていたんだよ……だけどアッシュが他の誰かとそういうことするって思ったらすっごい嫌な気分になっちゃって……自分でもどうにもならない感じになっちゃって……」

 

最初は姉のように如何にも男のその手のアレに理解のあるイイ女みたいな風に振舞おうとレインも思ったのだ。しかしアッシュが絡むとクールさなどどこかへ行き、ポンコツと化すのが何よりも愛深きナギサ・奏・アマツという少女である。どこまでも普通な少女の感性を持つ彼女は当然それ相応の独占欲だってあるのだ。

 

「そこまでアッシュ君にぞっこんなのになんだって未だに処女なのよ。お姉ちゃんてっきりもう当然済ませているものとばかり思っていたわよ」

 

呆れたような瞳で見つめられてレインはちぢこまって相変わらず人差し指を弄りながら

 

「だって……そういうのは結婚してからだってお母様とお父様が言ってたもん……」

 

そんな何時死ぬかわからない傭兵稼業の人間とは思えない箱入り娘のような事を呟くのであった。こんな事を言っているが、仮にアッシュが多少強引に迫ればすぐに満更でもない顔で受け入れるだろう。それどころか打算など一切なしにアマツとしての本能が目覚めて嬉々として愛する男の子どもを作ろうとすらするだろう。だが、平時におけるアッシュはこういった恋人の奥手な部分や身持ちの固い部分を察している為に早々強引に迫る事無く、何かきっかけがなければこの二人は割といつまでも一線を超えることのない清い交際を続ける事となるであろう。

そんな妹の呟きを聞いてアリスはますますうわぁと思う。この子すでに結婚を前提にしているよ、本当に重たい子だわと。……まあアッシュの方はアッシュの方で諸々の事情で踏ん切りがついていないだけで、プロポーズはいずれするつもりでいるのでその辺はお似合いと言えよう。

 

「貴方って本当に良い所のお嬢様だったのねぇ」

 

シミジミとした様子でアリスはそんな事を呟く。「結婚した旦那様以外には身体を許してはいけない」アリスからするとりろんはしっている!と言った具合の概念である。アリスに限らず傭兵連中は基本そんな感じだ。

 

「うーんでもでも~アッシュ君が相手だったら別に問題ないんじゃない?だってほら、アッシュ君はいずれ貴方の旦那様になるんでしょ?それともアッシュ君はただの遊び?」

 

「そんなわけない!アッシュ以外とだなんて私考えられないもの!!!」

 

「じゃあ問題ないじゃない。それって要は愛する旦那様以外に身体を許しちゃいけませんって教えでしょ?貴方の旦那様はアッシュ君が内定済み、つまりアッシュ君とだったらやっても旦那になってからやったか旦那になる前にやったかの違いのみ。そして無理は身体の毒でセック〇はとっても気持ち良いのでもう早いところ経験した方が良い。ほーら、どこにも問題ないじゃない」

 

どうよこの完璧な理論はなどとアリスはドヤ顔で(無い)胸を張る。そんなアリスの言葉にショート寸前のレインは、アレ?アレ?と混乱しだしている。そんな妹に対してここぞとばかりにアリスは畳み掛ける

 

「と、言うわけで~明日にでもそれ用の下着を買いに行かなくっちゃね!」

 

「え、ちょっと姉さん……私まだ別にするって決めたわけじゃ……」

 

「いや~楽しみだわ~考えてみたらレインちゃんと二人でお買い物に行くってのも久しぶりだもの。それも妹の勝負下着を見繕うためだなんて。こーんな小さいかった頃を知っている身としては色々と感慨深いものがあるわ」

 

よよよよっと言った具合でなにやら嬉しそうにする姉を見るとレインとしても断ることは出来ずに、かくしてアリス・ミラー監修の下、アッシュ悩殺丸秘レッスンがスタートするのであった……

 

 

ーーーーーーーー

 

(うう……勝負下着って……)

 

顔を真っ赤にして縮こまっているレインの目の前には昼間アリスの勧めで買った勝負下着が置かれている。上質な布が使われており、かなりお値段も張ったがその特徴はなんと言っても上半身がシースルーになって透けている事だろう。正直着るのには聊か、いやかなりの勇気を要する。

 

(こ、こんなの着て迫るだなんてまるっきり痴女じゃないか……)

 

その上でアリスより授けられた「プレゼントはわ・た・し」大作戦を思い起こす。考えているだけで羞恥で顔から火が出そうだ。とてもではないが出来る気がしない。だがそんな恥ずかしさと同時に

 

(アッシュ……喜んでくれるのかなぁ……)

 

年頃の女として愛する男と結ばれることを夢見て、お腹の辺りにキュンと疼くようなものも確かに感じているわけで……今彼女の中では二人の自分が言い争い、葛藤と混乱の只中にあった。

 

「駄目駄目駄目ーーー!そんなはしたない事!姉さんの言っている事はきべんだよ!やっぱりそういうのは結婚してからじゃないと!!!」

 

レインの中で自分にとっての恥じらいや幼少期の間に培った倫理観などを司っている小さい頃、ナギサ・奏・アマツであった頃の幼い自分が顔を真っ赤にしてそう主張する。(以降ナギサ(ロリ)と記述)

 

「姉さんの言っている事も最もじゃないかな?今の私は奏の家のお嬢様じゃなくて、暁の海洋所属の傭兵なんだからさ。そんな事に拘る必要は無いって」

 

そうレインにとって姉であるアリスに育てられている間に培った傭兵としての視点や考え方を司る自分レイン・ミラーがそう主張する。(以降レイン(クール)と記述)

 

「毒されすぎだよーーーー!!姉さんは恩人で尊敬しているけど、男に関しては節操なさ過ぎて当てにならないなんてわかりきっている事じゃない!そんな風にはしたなく迫ってアッシュに幻滅されたらどうするの!!!」

 

「いやいや、でもそれはつまり色んな男を落としてきた百戦錬磨って事だぞ。父さんと母さんの教えはお嬢様だった頃の私の状況に合わせての教えだろ?立場が違う今なら参考にすべきは姉さんの方じゃないか?」

 

それにとそれこそが一番の理由だとでも言いた気にレイン(クール)は続ける

 

「大体アッシュに幻滅されたらっていうならそれこそ迫らずにアッシュを他の誰かに掻っ攫われたらどうするのさ、アッシュみたいな素敵な人何時本気に好きになってアプローチかけてくる女が出てきたっておかしくないんだぞ。……下手をすれば姉さんだって今はからかう気持ちが大半だけど、ふとしたきっかけで本気になったっておかしくないんだぞ」

 

そんな事を言われるとナギサ(ロリ)は涙目になって

 

「ア、アッシュは浮気なんてしないって言ってくれたもん……それに、そんな風に自分から迫るだなんて……恥ずかしいじゃない!」

 

そんな風に主にレインの中で恥じらいや乙女としての夢を見ている部分を司るナギサ(ロリ)は主張する。

 

「だからってそれに甘えてちゃいけないだろ。姉さんが言っていたように今の私のやっている事ってかなり重たい女のそれだぞ。それに……」

 

そこで主に彼女の中の積極性や傭兵としてのクールな部分を司るレイン(クール)は冷静な表情から色っぽい表情を浮かべて

 

「ごちゃごちゃ言っているけど素直になろうよ。私だって年頃の女なんだし、本当は今すぐにでもアッシュの子どもが欲しいでしょ?本当はアッシュを見るたびに子宮がキュンキュン疼いているでしょ?」

 

そうして艶っぽくお腹の部分を抑えるレイン(クール)に対してナギサ(ロリ)は顔を真っ赤にして

 

「何言っているのよーーーーーー!!!だからそういうのは結婚してからじゃないと駄目だってばーーー!!!」

 

「私がアッシュ以外と結婚するなんて有り得ないんだから、形式が先か実態が先かの違い程度じゃない」

 

「だからそんなはしたなくて恥ずかしい事なんて出来ないってばーーーーー!アッシュにいやらしい子だって思われたらどうするのよーーーー!!!」

 

「だから何時までもそんな子どもみたいな事言っていて他の誰かに掻っ攫われたらどうするのさ」

 

「アッシュは浮気なんてしないって言ってくれたもん!」

 

「じゃあそういうのを抜きにして自分に素直になろうよ。アッシュに会うたびに子宮が疼いているでしょ」

 

「だからそういうのはry」

 

「だからry」

 

そんな子どもの頃に培ったアマツのお嬢様としての倫理観と恥じらいと傭兵として培った思考と女としての本能が何時までもレインの脳内で激突し続けて、一晩中レインは答えの出ない問いに悶々とし続け、結局は何時ものように恥じらいが勝った(ヘタレた)彼女は買った勝負下着を仕舞い込むのであった……




ちなみに理性と恥じらいを司るナギサ(ロリ)も本能と素直さを司るレイン(クール)も
アッシュ好きー大好きー♪なのは共通しているのでアッシュが情熱的に告白してきたり迫ってきた場合は即効で和解して、身体が完全にバッチコイな子作りモードになります。

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