銀色に憑依した黒の皇子の話(仮)   作:甲斐太郎

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『コーネリア総督の親衛隊ルート』その②


Re:2

□スザク□

 

日本解放戦線の一派による河口湖のホテル占拠事件は、KMF部隊を投入する前にコーネリア総督の親衛隊のマンパワーで解決し、ブリタニア人の人質に被害が出ることなく終結した。ユフィもまた無事な姿でコーネリア総督と再会を果たした。

 

ただ、僕が所属する特別派遣喬導技術部の主任であるロイドさんはランスロットの活躍する機会を奪われ、がっくりと肩を落としていたけれど。

 

それから数日経ったある日、アッシュフォード学園での授業を受けた後に赴いた特派のフロアに、コーネリア総督の親衛隊の方が来られていた。彼の傍らにはオレンジという蔑称をつけられたジェレミア・ゴッドバルト辺境伯率いる、軍の仕事でも雑用しか回されなくなった純血派の方々の姿があった。

 

「やっと来たみたいだね~、スザクくん。君をご指名だよ」

 

フロアの入り口にアッシュフォード学園の制服を着て荷物を持ったまま立っていた僕にロイドさんが話しかけたことで、フロアにいた方々が一斉に視線を向けてくる。

 

ジェレミア卿は憎々しげに、

 

褐色肌の女性は鋭い目つきで一瞥するだけ、

 

背が高く生真面目そうな男性は興味なさそうに視線を逸らした。

 

そして唯一、コーネリア総督の親衛隊の制服を着た銀髪で碧眼の男性が、にこりと穏やかな笑みを浮かべて僕の方へ足を踏み出して話しかけてきた。

 

「枢木という名字を聞いた時から気になっていたんだ。“久しぶりだな”、少年。元気そうでなによりだ」

 

「へ?」

 

「そうか、覚えていないか。10年くらい前に枢木神社の境内で「ブリタニア人の癖に日本語をしゃべれるなんて生意気だ」って殴りかかったことがなかったか?当時の枢木少年を砂利の上に転がしたのが俺だ」

 

懐かしむように話す銀髪の人をマジマジと見ていて、僕の脳裏に過去の記憶が呼び起こされる。確か道場の師範代を務めていた藤堂さんにお客さんが来て、それが銀髪の少年と壮年の男性の2人だった。日本人よりも流暢な日本語を話すものだからおかしくて、確かに殴りかかった覚えがある。

 

けれど、あの時……。

 

「『弱い者いじめはしない』って言われて、泣いて逃げた覚えがあります」

 

「ははは。その通りだよ、枢木准尉。そして、何の因果か君の上官となった。コーネリア総督の親衛隊隊長を務めているライヴェルト・ローウェンクルスだ。シュナイゼル宰相やアスプンルド伯爵とも縁があって、こうやって特派を自由に使ってくれて構わないとお墨付きを頂いた次第だ」

 

僕はその話を聞いてとんでもない人に目を付けられたことを悟る。神聖ブリタニア帝国の頭脳とも言われるシュナイゼル殿下の名前を何の躊躇いもなく、世間話のように使うことが出来る人間はそう多くないはずだ。

 

「本来であればコーネリア総督の下で親衛隊を率いるのが筋なのだろうが、それは選任騎士のギルフォードでもダールトン将軍でも可能だ。よって俺はコーネリア総督に“とある問題”を直訴してエリア11における独自の捜査権を頂いた。俺が行うのは、今は亡きクロヴィス殿下の目を盗んで、弱者を虐げ、血税を貪り、甘い蜜を啜って肥え太った奴らを一匹残らず豚箱に放り込むこと。シャルル皇帝陛下が唱える国是を勘違いして解釈している阿呆共にそれ相応の罰を与える。ま、それを行うのに戦力が足りないとコーネリア総督に相談したら、租界のブリタニア軍に属する者なら誰でも使って良いと言質を頂いたので赴いた次第という訳だ」

 

ローウェンクルス卿の背後に立っているソレイシィ卿が悔しそうに表情を歪ませる。ゴッドバルト卿も悔しそうに拳を握りしめて肩を震わせていた。彼らはずっとクロヴィス殿下の下でブリタニア軍を率いて来た存在。

 

もしかしたら、ローウェンクルス卿の言っている悪事のことに関して見聞きしていたことなのかもしれない。

 

「枢木准尉は知っていると思うが、俺はブリタニア人と日本人のハーフだ。これは神聖ブリタニア帝国が建国後に起きた北南戦争で功績を収め領土を頂いた祖先の代からずっとローウェンクルス家の当主は日本人を娶るということを続けて来た結果そうなっている。このことはシャルル陛下を初めとした皇族の方々に周知されている事実であり、俺自身も誇りに思っていることだ。……俺の前で日本人をナンバーズ呼ばわりする時は死を覚悟しろよ?」

 

にこやかに話をしていたローウェンクルス卿が急に振りかえる。

 

自身の後ろにいた純血派のさらに後方で作業をしていた研究員に向けてドスの利いた声色で告げた。僕も正直、急に発せられた濃厚な殺気に膝が震え冷や汗が全身から噴き出たのを感じとっていた。自分たちに向けられた視線では無かったにも関わらず、純血派の方々も腰を抜かしており、特派のフロアであっけらかんとしているのはロイドさんだけ。

 

あれ、そういえばセシルさんの姿がない。

 

「おまたせしました~。軽食にと思っておにぎりを作ってきました」

 

僕は思わず顔を顰める。

 

セシルさんのおにぎりはもはや爆弾といっても過言ではない。セシルさんは部屋の凍った雰囲気を気にも留めず、ローウェンクルス卿に大皿に乗せられたおにぎりをひとつ差し出した。

 

いや、ダメだ。ロイドさん、止めてください!

 

しかし僕の願いは届かず、セシルさんから渡されたおにぎりを口にするローウェンクルス卿。だが驚いたことに彼は何もリアクションせずに食べ終え、ロイドさんと話をするために僕たちのいるところから移動していった。

 

何だ、普通のも作れるのかと思って、僕はセシルさんが持っていた大皿からひとつおにぎりを貰って食べて後悔した。

 

「うぐっ……これってマーマレード?」

 

やっぱりセシルさんはセシルさんだった。純血派の方々もおにぎりを貰って食べて顔を顰めるが、ローウェンクルス卿が何も文句を言っていない手前何も言うことが出来ない。次第にロイドさんと話を終えたローウェンクルス卿が戻ってきた。

 

「さてと、まずは俺の部下となる君たちの実力をシミュレーターで確認したい。扱う機体は、そうだな……まずはサザーランドでやろうか。枢木准尉もまずはサザーランドで戦ってくれ。無論、相手は俺が務める」

 

悪戯小僧のような『ニカッ』とした笑みを浮かべて言ったローウェンクルス卿はセシルさんに案内されてパイロットスーツに着替えるために特派のフロアを後にした。残されたメンバーの中に僕もいたのだけれど、早く着替えて来なきゃと思って足を動かそうとした時、ロイドさんが告げた。

 

「運がいいよね、君たち。こんな機会またとないよ、たぶん。『無冠のナイトオブラウンズ』と言われているライヴェルトくんに声を掛けられるなんてさ。特にスザクくんは本当に奇跡だよ」

 

「ロイドさん、僕はブリタニア事情に詳しくないのですが、ローウェンクルス卿はそんなに凄いのですか?」

 

「凄いっていうか、ローウェンクルス家自体が皇族の血を継いでいるんだ。現在の皇帝陛下の一族よりも濃いブリタニア皇族の血をね」

 

「え?」

 

「ライヴェルトくんもさっき言った通り、ローウェンクルス家のはじまりは北南戦争で功績を上げたローウェンクルス家のご先祖さまに時の皇帝であるリュグナー・S・ブリタニアが息子の一人を養子として授けたのがはじまりなんだよ。それからずっと、ローウェンクルス家はリュグナー皇帝の母親が日本人だったことに倣い、現在に至るまでそういう風に日本人だけを娶り続けて来たって訳。10年前のエリア11の侵攻も苦渋の決断だったらしいけれど、そこら辺はボクでも分からないかな」

 

「それは私に対する嫌みか、ロイド?」

 

見れば純血派を率いるゴッドバルト辺境伯が凄く怖い形相でロイドさんを睨みつけていた。

 

純血派はその名の通り、ブリタニア人至上主義を掲げる新興派閥だ。『軍内部の人員は、騎士ではない一般兵に至るまで純血のブリタニア人が務めるべき』という思想と目標を持っている人たちの上に立つのが、まさかブリタニア皇族と日本人のハーフだなんて納得がいかないのだろう。

 

「今の君に必要なのはどんな形であれ実績でしょ。清濁併せ呑むことも必要なんじゃない?少なくともライヴェルトくんは大きな器を持ってるよ」

 

「……分かった。キューエル、ヴィレッタ。我々も行くぞ」

 

「フンッ、命令するな、オレンジ」

 

「ソレイシィ卿!」

 

踵を返し、フロアから出て行く純血派の3人。僕はロイドさんに視線を向ける。

 

「さてと……スザクくん。今日はとことん、ライヴェルトくんが相手をしてくれるってさぁー。喜んでいいよー、何せ彼は神聖ブリタニア帝国において公式、非公式に関わらず、個人での戦闘や部隊を率いるあらゆる闘争において無敗の超人であり指揮官だから。その相手にはナイトオブワン、ビスマルク・ヴァルトシュタイン卿も含まれているらしいんだ。胸を借りるつもりでどんと当ってきなよ」

 

帝国最強の騎士であるナイトオブラウンズの第1席を下す実力を持つ人物が何故、コーネリア総督の親衛隊隊長という立場に満足しているのか、僕には到底理解できない。

 

できないけど、それがその人の選んだ道であるのであれば、僕には何も言う資格はない。とりあえず、今しないといけないのはパイロットスーツに着替えてくることだ。僕は荷物をフロアの隅に置くと、駆け足でドレッシングルームへ向かった。

 

 

 

□ライヴェルト□

 

河口湖での日本解放戦線によるハイジャック事件を『黒の騎士団』の介入前に解決させた俺たちは、コーネリア総督の追及を逃れるようにエリア11を出国した後、他の親衛隊メンバーと合流して何食わぬ顔でエリア11に入った。

 

過度な式典などはなかったが、先にエリア11に入っていたギルフォード率いる親衛隊のベテラン勢と共に“歯痒くて仕方ない”と言いたげな、妙にイラついた表情のコーネリア総督に歓迎の言葉を告げられた。

 

アンドレアス・ダールトン将軍は俺の肩をポンと叩いた後、後方にいたグラストンナイツの面々の背中を笑顔でバシバシ叩いていたが、河口湖でのことは一切口にしなかった。

 

ギルフォードもまた、ぐっと握り拳を掲げて笑みを浮かべただけで、俺が拳をぶつけるとキリッとした表情と姿勢に戻した。

 

タンカーから降ろされて次々と搬入されていくKMFを見ていると、コーネリア総督が隣に立った。

 

「昔からいらんところに手を回すな、貴殿は」

 

それが偽造パスポートのことだと理解した俺は周囲に気を配りながら、本音を漏らす。河口湖の襲撃に関しては俺がルルーシュとして経験したことが情報源だったからだ。差異があって対応がおかしなことになってはいけなかったから、安全牌を用意したのだ。

 

「得られた情報の信憑性が低かったもので、何事もなければお忍びでリゾートを満喫するだけの予定だったのですが」

 

俺がそう告げると、コーネリア総督は海と空を眺めながら大きくため息を吐いた。

 

「……そうか。ところで、ローウェンクルス。独自に動きたいとのことだが、お前が寄越した情報は確かなのか?」

 

「ええ、それに関しては間違いありません。しかし、総督となったコーネリアさまが動けば、即座に逃げ出す小物ばかり。故に少数精鋭で動かせる戦力と捜査権が欲しいのです」

 

これも俺がゼロとして黒の騎士団を率いていた時に正義の味方として活動するために粛清した富裕層のブリタニア人や軍人、ブリタニアと結託した日本企業に関する黒い噂というか確定情報を密かにデータ化して彼女に送っておいたのだ。

 

「分かった。内部に関してはユフィが私に隠れて何かを為そうとしている体で進めておく。お前のことだ、親衛隊の面々は使わないのだろう?この地で戦力の当てはあるのか?」

 

「純血派と特派を使わせて下さい」

 

「ふむ……、いいだろう。そいつらは私の下では、もはやその力を発揮できん。好きに使え」

 

「イエスユアハイネス」

 

コーネリア総督はそれだけを告げてギルフォードやダールトンを連れて去って行く。俺もぐっと背伸びをすると、政庁に向けて移動を開始した。

 

 

 

 

特派でのシミュレーターを終えて匡体から出ると、息も絶え絶えなスザクが研究員の一人であるセシル・クルーミーに肩を貸してもらいながら階段を下りるところだった。俺は階段を使わずにその場から床に向かって飛び下りる。

 

「あはぁ~、さすがライヴェルトくん。第5世代のサザーランドで第7世代のランスロットを圧倒するなんてことが出来るのは君だけだよぉ~」

 

「褒めているのか、悔しがっているのか、どちらかにしてもらいたいな」

 

「勿論、データがいっぱい取れて嬉しいのさぁ」

 

そう言いながらロイド・アスプルンドの眼は笑っていなかった。俺は苦笑いしながら告げる。

 

「枢木准尉はまだ俺に対して遠慮があったからな。最後の2試合くらいは疲労による思考力の低下で彼本来の燃え盛る焔のような戦い方をしてきたから、大分マシになったがまだまだだな。ゴッドバルト辺境伯は純血派のリーダーで指揮官として戦ってきていることもあって視野が広いが、ひとつひとつの動作に僅かだが隙が見られる。これは自身よりも弱い者しか相手にしてこなかった弊害だ。この僅かな隙が戦場で死を招くことになる。まあ、任務に出る以外は俺と模擬戦をするから次第にその癖は解消されるはずだ。心配することはない」

 

俺は暗に『その癖をどうにかしないと模擬戦では一方的に嬲られるだけだ』とジェレミアに脅しを掛ける。案の定、自身の操縦ログを研究者に取り寄せてもらったジェレミアはモニターの画面を見ながらうんうんと唸りだした。

 

「ソレイシィ卿だが、生真面目な性格に基づくブリタニア軍人として模範的な動きであった。が、それ故に動きが読みやすく、虚を混ぜた俺の動きには全く対応が出来ていなかった。ソレイシィ卿も軍学校を卒業してエリア勤務になって格下の相手しかしてこなかったため、軍学校を卒業した時の能力のままになっている。下地があるだけに勿体ない。純血派の3人に言える事だが、お前たちは同等の実力、または格上の実力者との実戦が圧倒的に足りていない。俺が相手をするから、他の者たちよりもマシにはなるだろうが、それ以上を望むのであれば努力をしろ。次!」

 

ソレイシィ卿もまた下唇を噛みしめるようにしながら俺に向かって敬礼をすると、ジェレミアの横に移動して自分の操縦ログと俺のものを比べ見て、口を大きく開けて唖然としている。

 

恐らく、自身の数倍のコマンドを入力している俺の操縦ログを見て生真面目な彼は奮起してくれるだろう。

 

「ヌゥ少尉だが、単独の戦闘に関してはゴッドバルト辺境伯やソレイシィ卿同様に実戦経験が絶望的に足りていない。これは俺との模擬戦を繰り返して行く中で力を付けてもらうしかない。しかし、純血派3人で組んで攻撃してきた際の援護射撃や連携攻撃は光る物を感じた。仲間をサポートする能力は戦場で輝くものだ。しっかりとその良い部分を伸ばしてゴッドバルト辺境伯やソレイシィ卿を支えてくれ。そうすれば貴女の望みである爵位も得る事に繋がるだろう」

 

「っ!?イエスマイロード!」

 

目尻に涙を溜めたヴィレッタも、ジェレミアたちの近くに行ってモニターに映し出された自身の操縦ログや、純血派3人で組んで俺と戦った映像を見て何かを打ち込んでいく。パイロットスーツの袖で涙を拭う姿も見られたが、彼らがこれからどんな道を歩むことになるのかは彼らの努力次第だ。

 

「さて、おまちかねの枢木准尉だな」

 

「はっ!」

 

「まずシミュレーターとはいえ実際に戦ってみた俺の感想だが、枢木。お前はまだランスロットを使いこなせていない印象を受けた。つまり機体性能を100%発揮できていない。にもかかわらずお前、俺に手加減しようとしたな。10回の模擬戦中6回は20秒以内に中破して終わっている。ロイドが喚く姿も見ていて面白くない訳で無かったが、上官となる俺に遠慮は不要だ。ふふっ、それに最後の2回は楽しかったぞ、枢木准尉。久しぶりに血が滾った戦いが出来た。とはいっても2分と持たなかったがな」

 

スザクの身体は目に見えて硬直したが、俺があっけらかんとしている様子に絆されたのか、肩の力抜けて苦笑いを浮かべた。

 

彼の背後で暴れるロイドがセシルに押さえつけられているのが見えるが、俺はモニターの睨めっこをしていた純血派3人を呼び寄せる。特派のフロアにあるパソコンの1台を借りて持ってきた小型記録端末を読み込ませてデータを展開する。

 

「まず、俺たちが潰すのは日本人をターゲットにして巨額の利益を上げている麻薬組織だ。この麻薬組織が扱っているのは、過去の栄光を呼び起こす幻覚作用のある麻薬、名称は『リフレイン』。これには表向き日本企業と銘打ったブリタニアの大企業と貴族、警察官僚が関わっている。リフレインは処分し、関わっている人間は全員拿捕し罰を受けさせる。リフレイン被害の中毒者は全員ブリタニアの更生施設もしくは病院に入れる。ここまでが一連の流れになる」

 

スザク以外の純血派の3人が何故と言いたげな表情を浮かべている。普段の彼らであれば上官の命令にそんな感情を読み取られるような表情を浮かべるはずもなかったが、彼らとスザクは素が出てしまうほど肉体的にも精神的にも疲労が出ている状態だ。

 

「日本人の中毒者を何故ブリタニアの施設にと思うかもしれないが、俺たちが裏で粛清を行う間、世間に公表する事は全て『ユーフェミア副総督が弱者である日本人に手を差し伸べた』という構図に持っていくことになっている。ユーフェミア副総督のメディア露出が増えれば増えるほど、俺たちが活躍しているという証明になるんだ。ぬるま湯に浸かり続けた犯罪者は山のようにいるんだ。当分、馬車馬の如く働いてもらうことになると思うが、これもブリタニアのためだ。力を尽くして欲しい」

 

俺はそう言ってパソコンを操作し小型記録端末を抜き取ると、情報漏洩を防ぐ目的で展開したデータを全てパソコン上から削除する。その後、パイロットスーツのジッパーを下ろして胸を露出させた俺は汗を流すためにドレッシングルームに向かおうとした足を止めて、スザクたちに振り返りながら言う。

 

「それと、俺が率いるお前たちを含めた機関の名称は『特殊警察イェーガーズ』。エリア11において、その名を聞けば悪党の誰もが震え上がるような機関にしていくつもりだから、お前たちも覚悟は固めておけ。まぬけにも捕まってしまった悪党から、恨み節を確実に吐かれるだろうからな」

 

まぁ、他人にばれるような拙い儲け方をしてきた薄汚い小物たちに情けを掛けるなんてこと、俺はしないがな。

 




誤字報告、修正もありがとうございます。

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