【やあ、久しぶりだね。人の子らよ。え?ボクが誰だって?そんな無粋なことは聞かなくていいよ。それはともかくHEルートもぐだぐだになってきたから、ルルーシュの頭脳とスザクの身体能力をジョグレスして進化させちゃったままの廃スペックチートのライヴェルトを放り込むことにしたよ。原作にね】
【まずはそうだね。コーネリア皇女殿下の『親衛隊ルート』から行ってみようか】
Re:1
□ライヴェルト□
専用にチューンアップされた『ランスロット・ミラージュ』でスザクたちを迎えに行った後、機体をロイドたちに預けた俺はその足で帝都にある我が家に向かって、愛する家族に迎え入れられた。楽しい団欒の後、嫁のお腹に宿った自身の子の命の鼓動を感じ取り、明日は必ず勝って見せるぞと意気込んで床に就いた俺の前に現れたのは、無意識集合のそれ。
【久しぶりだね、人の子よ】
周囲を見渡せば、Cの世界に似た雰囲気でありながらも別空間にも見える場所に立たされていた。
【良きかな、良きかな。ちゃんとヒトとしての生を謳歌しているようで良かったよ。けど、見ている分には少しつまらないから、ちょっと別の世界線でも頑張ってみてよ】
「いや、その理屈は分からない」
【大丈夫。君という存在をコピペするだけだから。この世界の君は消えないし、勿論天然思考のお姫さまもそのお腹にいる赤ん坊も消えないから安心して。そして、重要なことだけれど新たな世界での君の活躍もボクが見ることが出来る。これも一種のWin&Winだよね】
「人の話を聞け。そう簡単にいく訳がないだろう?」
【いや人の無意識の集合であるボクが頑張れば無理ということは“ほとんど”ないから。とりあえず、行ってらー】
人の気も知らないで集合無意識の彼は手を振って別れを笑顔で惜しむ。
「だから、人の話を聞けと言って……」
俺の意思とは関係なく視界が閉ざされていく。くそっ、今度こいつに会ったら出会い頭にぶん殴ってやる。
Chapter 1【親衛隊隊長ルート】
茹る様な暑さに寝苦しさを感じて起き上がると、部屋には他数人の若い男たちの姿もあった。傍らには缶ビールの空き缶がいくつも転がっている。
「っあー……。二日酔いのダルさだな、これは……」
寝転がっていたソファから起き上がった俺は洗面台に向かって蛇口を捻って水を出すと手で掬って何度か顔を洗う。べた付いた上着を脱ぎ捨てて、水に濡らして軽く搾ったタオルで上半身を拭う。ある程度の清涼感を得られた俺は部屋に戻り、閉められたままであった部屋のカーテンを開け放ち、陽光を部屋に入れる。外は熱砂が舞う砂漠地帯。見ているだけで汗が噴き出てくる。
「たいちょー、眩しいです……」
「うあ゛あぁぁ……飲みすぎて気持ち悪っ」
部下であるグラストンナイツのメンバーのクラウディオが黄色い髪が生えた頭を掻きながら立ち上がり、白銀色の髪を持つエドガーが愛用の眼鏡を掛けて口元を押さえながら言う。
「だらしないなお前ら。“親父殿”とは酒を飲み交わさないのか?」
「父上は飲み始めると説教に変わりますから……」
「まぁいい。順番にシャワーでも浴びてすっきりしてこい。午後は“昨日の飲み会でお願いされた通り”俺が特別に稽古をつけてやるよ」
「「「よしっ!ありがとうございます、ローウェンクルス卿!」」」
先ほどまでのだらしない姿はどこへやら。ダールトンの息子たちはそれぞれの衣類を手に持って洗面台に向かっていく。少しばかり小競り合いをしているようだが、最終的には義兄弟仲良くシャワーを浴びることになったらしい。
「さて、現状を確認するか」
どうやら、この世界のライヴェルト・ローウェンクルスはコーネリア・リ・ブリタニアの親衛隊の隊長を務めているようだ。
コーネリアからは絶大な信頼を寄せられており、ギルバート・G・P・ギルフォード卿とは親友の間柄、アンドレアス・ダールトン将軍とは意見を酌み交わしがっちりと握手を交わしたほどだ。
そしてダールトン将軍の息子たちであるグラストンナイツの面々からは、憧れの存在として認識されているらしくこうやって部屋に呼んで酒盛りすることも少なくない。
「ルルーシェがルルーシュの世界か。……いや、俺が俺なのが普通だから。おかしくない、うん。……しかし、ライヴェルトのゴールはどっちだ?」
俺は現状を確認して頭を抱えた。
現在、皇暦2017年で雇い主であるコーネリアはクロヴィスが討たれたエリア11の総督としてギルフォードやダールトンを連れてすでに赴任しており、エリア18の統治後にある仕事の大まかな仕事を終えて行ったのは感心するが細々としたものは全て俺に丸投げしていったのである。
しかも終わり次第、グラストンナイツを連れてエリア11に来いという期限付きだ。まぁ、この世界の俺も能力はアレだったから、期限よりもずいぶんと早く仕事を終わらせてグラストンナイツの面々と街で遊んだり、KMFで稽古をつけたりして過ごしているようだった。
「……グラストンナイツがエリア18にいるっていうことは、まだナリタ連山が終わっていないということだよな」
思い浮かぶのは俺/ルルーシュがゼロという事実に気付いても、記憶を改変されても、ずっと好意をまっすぐに伝えてくれたオレンジ色の髪を持つ少女のこと。些細な行き違いで命を奪われる形になったシャーリー・フェネットのことだった。
「クラウディオ、エドガー」
「何ですか、隊長?」
シャワーを終えて出てきた青年たちに向かって俺はにこやかに微笑むと告げた。
「状況が変わった。すぐに稽古を始める。終わり次第、エリア11に行くぞ」
「「ええっ!?」」
『隊長にしては珍しいな……』という小言を聞き流した俺はKMFの整備班に連絡を入れる。その後、コーネリア皇女殿下がいるエリア11に急ぎ向かうことを関係各所に連絡を入れるとKMFの訓練場に向かう。
赤紫色のコーネリアの親衛隊カラーのパイロットスーツを身に纏う。内心で全く似合わないなと思いながらも鍛錬を希望した面々が来るのを待つ。すると、グラストンナイツの5人の他に親衛隊の若手メンバー全員が揃った。
「おい、これじゃあ演習をするのと一緒じゃないか。まぁいい。全員まとめて相手をしてやる。全員、KMFに騎乗せよ!」
「「「「「イエスマイロード!」」」」」
ルルーシュとして過ごした世界でも、ルルーシェの騎士となった世界でも結局乗る機会のなかったサザーランドをチューンアップしたグロースターに乗り込む。
砂漠地帯にある軍基地ということでKMF訓練場は砂漠の上だ。俺はランドスピナーを砂漠の地面に降ろした後、砂の流動性を設定しなおす。ハーケンの射出角度を調整し、アサルトライフルの弾が出ないようにロックを掛ける。
「派手に壊すとエリア11での活動に支障を来たすからな」
俺はそんなことをぼやきつつ、部下たちの準備が出来るのを待った。そうして、ようやく準備が出来た面々が並ぶ。
まずはグラストンナイツの5人組からのようだ。
「クラウディオ、エドガー、デヴィッド、アルフレッド、バートだな。まずお前たちに確認するが、KMFの戦闘において大事なのは機体の移動を潤滑に行えるように、地面の流動性を考慮しランドスピナーの調整を行うことだ。基本的にコンピューターが自動で設定してくれるが、それに任せきりの騎士は騎士ではない。戦場での自身が扱う武器や鎧の具合を人任せにする馬鹿は早死にする。で、デヴィッド、どの程度で設定した?」
『はっ!マイナス10です、隊長!』
褐色の肌に赤茶色の髪が特徴のデヴィッド・T・ダールトンが答える。他の4人にも同じ質問をする。
「個人で得意な移動速度や具合というものがあるだろうから、詳しく指定することはしないが、親衛隊の面々はとりあえずマイナス20に設定しなおせ。それで実際に走らせて見て不具合があれば、そこから調整を行うようにしろ。この場の訓練場の地形がいきなり沼地に変わるようなことはないが、コーネリア殿下たちが向かったエリア11は違う。豊富な地下水脈があり、深く掘れば水が溢れ出すようなエリアだ。乾いた山道が突然ぬかるんだ地形に早変わりすることもある。ランドスピナーの回転数や接地面などには常に気を配れ、そのままの設定で機体を動かせばエナジーの無駄遣いになる。これが戦闘中に設定を変えられる様になれば、一人前の騎士だな。勿論、グラストンナイツの面々は出来るぞ、ダールトン将軍に頼まれた俺が直接仕込んだからな」
その時の訓練内容を思い出したのか、グラストンナイツの1人である髪が青いバートと薄茶色のクラウディオの目が泳ぐ。
「さて、長々と訓練場を占拠している間も惜しいし、そろそろ始めるか。さぁ、グラストンナイツよ、掛かって来い!」
俺は向かってくるグラストンナイツや親衛隊の若い連中の挙動を指導しながら相手をしてやる。ランスの扱い方から、アサルトライフルを使った牽制の仕方など。助言を施し、個々の能力を自力で引き上げられるように気を遣いながら。機体は砂を被ってしまって掃除が大変そうだが、整備には時間は掛からないだろう。
KMFを操縦していた親衛隊の面々も汗だくになったが、程よい疲労感と満足そうな充実感を得られたようだ。ちなみに俺もHEルートではっちゃけていた期間が長かった所為で、熱くなり過ぎて演説っぽいことをかましてしまう。
もう後の祭り状態だった。
「さて、各自準備を整えろ。今夜の便でエリア18にいるコーネリア殿下の親衛隊は全員でエリア11に向かう。エリア11にはクロヴィス殿下を亡き者にしたテロリストが潜伏している。俺たちに課せられるのはエリア11に存在するテロリストグループの殲滅である。これまで以上の反抗が予想されるが、我々が負けるはずがない。何故なら俺たちはナンバーズに恐れられる『ブリタニアの魔女』コーネリア・リ・ブリタニア皇女殿下が率いる親衛隊だ。世界に見せ付けろ、我らがいる限り反抗するだけ無駄であるということ!オールハイルブリタニア!オールハイルコーネリア!」
「「「「「オールハイルブリタニア!オールハイルコーネリア!!」」」」」
「さあ、行くぞ。決戦の地へ!」
『後悔、先に立たず』。
素面に戻った俺はグロースターのコックピット内で悶絶する羽目になった。
◆
さて、ブリタニア本国を経由して20日近くかけて移動してくる愛機を待たずに俺はグラストンナイツの5人を連れて、エリア11に一般人のパスポートで入国を果たした。
コーネリア殿下たちには他の親衛隊の面々と同じ日程でエリア11には来る様に伝えてあるので、俺たちの動きは完全に彼女たちの予想外のところで動くはずだ。
「で、隊長?私たちを連れて、どこに行くのですか?」
「父上の目を盗んで何か行動をするって初めてだよな、バート!」
「ばれた時が恐ろしいけれど、まぁ楽しそうではあるな」
お忍びということもあり、グラストンナイツの面々もラフな格好をしているので、背が高く筋肉質な肉体を持つ顔立ちの良い若い男性が6人いるということで空港内では、女性たちから視線が集まり何らかのイベントではないかと黄色い悲鳴が上がるくらいの騒ぎになっている。誰かがギターでも持っていれば形になったのだろうが、そう都合は良くない。
「エリア11に来たらまずはサクラダイト産出世界一の富士山を見に行かなければならない!その後は温泉で日頃の疲れを癒す……いや、河口湖に行けば若い女の子たちが際どい水着で遊んでいるかもしれないな。よし、予定変更して水着を買いに行くぞ!」
「ちなみに隊長。拒否権は?」
「勿論、ない!」
両手で顔を覆ったクラウディオの肩に腕を回した俺は他の面々を連れて歩き出す。
水着を買いに訪れたショッピングモールで女性用の水着を見て何かを妄想したのか赤面したクラウディオを余所に俺たちはさっさと水着を購入。早く選ばないと『メンズビキニにするぞ』と軽く脅すと慌てた彼はすぐに自分の好みの水着を購入した。そして、列車に揺られて正午頃に河口湖最寄の駅に着いた俺たちはそのまま向かう。
河口湖は富士山に隣接する美しい湖で、付近にリゾートホテルが立ち並ぶエリア11でも有数なリゾート地である。そのため多くの観光客、富裕層のブリタニア人が押し寄せる。俺はグラストンナイツの面々を引き連れて、河口湖の遊泳スペースを訪れている。
「さすがにトップレスの女性はいないか。で、そこで蹲っているクラウディオ以外は好きにナンパでもしてくればいいんじゃないか?」
「いや、いきなりは厳しいっ!」
「せめて、隊長が手本を見せてください!」
アルフレッドとエドガーがそう言うので俺は河口湖に人工的に作られたビーチを眺める。するとビーチチェアに座ってぼんやりと水際で遊んでいる友人たちを眺めているオレンジ色の髪を首の後ろ辺りで一纏めにした少女を見つけた。
「そうか、それじゃあ行ってくる」
俺はアルフレッドたちにひらひらと手を振りながら人工ビーチを歩む。
途中で売り子からキンキンに冷えた炭酸ジュースを2本購入すると、少女に声を掛けた。
「こんにちは、暇そうだね。お嬢さん」
「ふえっ?」
目を丸くして見上げてくるシャーリーに、俺はにこやかに微笑む。そして、購入したばかりの炭酸ジュースを差し出した。
「良かったら、俺と一緒に泳がないかい?せっかく可愛い水着を着ているのに泳がないのは勿体無いよ。どうかな?」
「えっ……いや、その……。連れがいるので……」
「連れって、彼女たちのことかな?」
俺は水際で遊んでいたミレイ・アッシュフォードとニーナ・アインシュタインを指差しながら尋ねる。シャーリーは拙いと顔を顰めている。
これ以上、彼女を困らせることはやめようと俺は一歩引いた。
「ごめんね。そんな風な顔をするってことはもしかして、好きな男でもいるのかな?」
「はにゃぁっ!?」
「おっと、顔が真っ赤になった。図星っていったところだね。うーん、そうやって肩を落としているってことは、彼も河口湖に来る予定だったけれど、急遽取りやめになってしまったってところかな?」
「あう……あうあう」
頭から湯気が昇りそうなほど紅く染まってしまったシャーリーのおでこに炭酸ジュースの入った瓶を当てる。彼女が受け取ったのを見て、俺は自分用に買って置いた炭酸ジュースの瓶の蓋を開けて飲む。すると、グラストンナイツの5人がまとまってやってきた。
「悪い、轟沈したわ!」
俺は彼らに向かって親指を立ててサムズアップした後、すっきりとした笑顔でそう言った。5人はその場でずっこけた。
「隊長、そりゃないぜ。というか、その子かなり幼くないか?」
「ああ。どうも女子高生らしい。俺が手を出すと犯罪だな」
「隊長はそんななりでも24ですもんね」
「おっと、デヴィット。その発言はいただけないな」
俺は炭酸ジュースの瓶を砂に立てるとデヴィットの近くに移動し、胴体を抱えて持ち上げると槍投げの要領で河口湖に向かって放り投げた。
情けない「あーーー……」という声が放物線を描き、どでかい水しぶきがビーチから遠く離れた位置で上がった。
「デヴィットぉおおお!?」
「隊長が気にしていることを。デヴィットの奴、無茶しやがって」
クラウディオが波打ち際まで行って大声で叫ぶ。
バートが何やら不審なことを発言したようだが、俺が視線を向けると横を向いて口笛を吹いて難を逃れようとしている。ちなみに泳いで帰ってきたデヴィットは、ぐったりと疲労してしまっていたので、俺はシャーリーに別れを告げて予約しているホテルにグラストンナイツを連れて向かう。
そして、通された部屋で荷物を開き、グラストンナイツの面々に武器を渡す。
「えっと、これはどういうことですか?隊長」
「何の考えもなくコーネリア殿下たちがいるエリア11に旅行に来るわけないだろ。このホテルでは現在サクラダイト生産国会議が行われている。クロヴィス殿下がゼロという名のテロリストに殺されてしまった後ということもあって、エリア11において最大の反抗勢力と言っていい日本解放戦線が何もしないと思うか?とある筋から日本解放戦線の過激派がこのホテルを占拠しブリタニア軍に対して何らかの要求を突きつける可能性があるということを聞いた。普段であればそんな要求など聞きもせずに跳ね除けるコーネリア殿下だが、このホテルが占拠されると交渉の場に出ざるを得なくなる」
黒の騎士団の時には扇や玉城といった面々が『どういうことだ、ゼロ?』なんて考えもせずに尋ね返してきていたが、親衛隊のエリートである彼らはそんなことを口にはしない。現に、コーネリア殿下がそんなあり得ない行動をとる場合のことをそれぞれで考えている。そして、ふと顔を上げたのはクラウディオだった。
「コーネリアさまが、出ざるを得ない状況って、もしかしてこのホテルにユーフェミア皇女殿下がいらっしゃっているのですか?」
「あくまでオブザーバーという形だがな。それが日本解放戦線の奴らに知られると拙い。かといって、下手に個人で動くとホテルの利用客や従業員に被害が出る可能性がある。ということで、お前たちも連れてきたんだ」
コイルガンや電磁スタン警棒、ヘッドホン型の無線機などを手にとって確認するグラストンナイツたちの目は、今までのお茶らけた雰囲気のそれではなく軍人としての彼らの瞳だった。頼りになる奴らだと、俺は胸を撫で下ろす。
「俺はビーチで知り合った彼女のところから一緒に人質が集められる部屋に行き指示を出す。バートはバーテンダーの格好をして従業員たちに紛れ込め。アルフレッドとクラウディオは屋上に待機、デヴィットとエドガーは地下に身を隠せ。俺が指示を出すまで極力動くな。最悪始末しても構わないが、徹底的に処理を行え。証拠を残すなよ」
「「「「「イエスマイロード!」」」」」
□コーネリア□
妹でありエリア11の副総督であるユフィが参加している、サクラダイト生産国会議の会場である河口湖のホテルが、日本解放戦線というテロリストグループに占拠されたという情報を耳にした私の脳裏に、幼いルルーシュとナナリーの2人の泣き顔が過ぎった。
私はすぐにギルフォードとダールトンに指示を出し、ホテルを取り囲むように軍を配置した。日本解放戦線はユフィが人質に紛れ込んでいることを知ってか知らずか、人質の命を掛けてチョウフに拘束されている日本解放戦線のメンバーの釈放を要求してきた。
当然のことだが、テロリストの要求に答える事は出来ないことを高らかに宣言すると、ホテルの屋上に後ろ手に拘束されたブリタニア人が緑色の軍服を着た男たちに連れられて出てきた。
まさか、突き落とすつもりか!と私が身を乗り出した瞬間、屋上に設置されていた給水塔から2人の男が飛び降りてすぐに発砲。軍服を着た男たちをホテルの屋上から蹴り落とす。すぐにホテルの上で銃撃戦が始まったが、すぐに軍服姿のテロリストたちは残らず射殺された。
「ギル、ホテルの様子はどうだ!?」
「分かりませんが、中で暴動のようなものが起きていると思われます。突入しm「姫さま、心配はいらんようですぞ」」
ギルフォードの言葉に被せるようにして告げたダールトンは大口を開いて笑っていた。状況がうまく呑み込めていない私は苛立ちながら尋ねる。
「どういうことだ、ダールトン?」
「屋上におったのは私の自慢の息子のアルフレッドとクラウディオのようです。となると、ホテルの中には息子たちと共にアヤツがおるのでしょう。姫さまが他の皇族たちに自慢するブリタニア史上最強の騎士であり、親衛隊隊長ライヴェルト・ローウェンクルス卿が」
快活な笑みを浮かべて豪快に笑うダールトンを見て、周囲にいたブリタニア軍人たちにざわめきが広がっていく。しかし、程なくして日本解放戦線のリーダーの呻き声が聞こえた。
『こちらコーネリア総督の親衛隊に属する者です。隊長の指示の下、日本解放戦線のメンバーを拘束、および無力化に成功。人質に死傷者はありません』
私はその言葉を聞いて深く安堵の息を吐いた。
ギルフォードやダールトンの指示でホテルに突入していくブリタニア軍人たちの背を見送っていると入り口の方から6人の英雄たちに連れられた桃色の髪を揺らす少女がまっすぐ向かってくる。私は怪我ひとつ負っていない彼女を正面から抱きしめる。
「くるしいです、お姉さま」
そう言いながらユフィも涙を流して私を抱き返してくれた。
そんな素晴らしい再会に水を差さないように去っていこうとする者たちに向けて、私は声を掛ける。
「お前たち、良くやったと言いたい所だが、何故エリア11にいる?」
「「「「「「……。(タタッ!)」」」」」」
ピタッと足を止めた彼らであったが、すぐに逃げるように走り出した。
振り向いて制止させようと思ったが、私の胸で恐怖から解放されたばかりで泣きじゃくっているユフィを蔑ろにすることが出来ず、みすみすと逃してしまう。
翌日彼らの行方を捜せば、すでにエリア11から出国した後だった。ご丁寧に彼らのパスポートは微妙に名前が違っており、もし私の下に来たところで恍けられると追及できない仕様だった。
感想で原作にぶっこんでみては?とあったので書いてみた。