□スザク□
反ブリタニア組織である『扇グループ』に属している俺やカレンの前に現れたのは白髪で長身の少年であった。俺は前の世界でナナリーを誘拐し、ルルーシュを脅した相手だと知っているが、彼もまた俺のことを『親殺し』と言った以上、前の世界の記憶を持っていることになる。
「……C.C.なら、ここにはいない」
「知っているよ。ボクを見てそういう反応をするってことは君も“前の記憶”があるんだね。それなら話が早い。君たちをボクの雇い主が呼んでいるんだ。勿論、黙ってついて来てくれるよね?」
彼は、にこりと無邪気に微笑んだ。
「ちょっと、私を無視して話を進めないで」
「カレン……」
すると隣にいたカレンが立ち上がって白髪頭の彼を見ながら言う。
彼は頬を掻きながらカレンをじっと見据え、紳士が自己紹介するように優雅に礼をする。
「ボクの名前はマオ・リターナー。役職は神聖ブリタニア帝国情報機密局局長。主に不正を働くブリタニア貴族の粛清が仕事さ。そして、ボクの雇い主の名前はライヴェルト・ローウェンクルス、この世界に転生した“ルルーシュ”だよ」
思いもよらない名前が出てきたことで俺やカレンは言葉を失い固まった。まさか、もう会うことは叶わないと思っていた相手の方から俺たちを招いてくれたのだ。俺はカレンと視線を交わす。恐らくここで彼についていけば、日本に帰ってこれなくなる可能性もある。だけど、俺たちに迷いは無かった。
「私は行く。ルルーシュに会って言いたいことがあるから」
「カレン……。俺も行くよ。俺たちをルルーシュの下へ連れて行ってくれ」
「いいよ。ボクはそのためにエリア11に来たんだ」
マオはそう言って部屋から出て行く。俺たちはその後を追った。アジトを出ようとした俺たちの前に扇グループの仲間たちが立ち塞がったが、首と拳を軽く鳴らしたマオの手で瞬く間に地面に転がされることになった。あれ、彼ってこんなに強かったっけ?
「あー、やだやだ。ボクみたいな文官の相手にもならないくらい弱いのに、ブリタニアに勝てるなんてほざく馬鹿の相手は疲れちゃうよ」
遠慮のない声でへらへらと笑いながら告げるマオの姿に激昂した扇が食い掛かった。しかし、ひらりと身を捩るように扇の攻撃を避けたマオは彼の足を引っ掛けて転がすと、手首を捻り上げた上で背中に腰を下ろした。
「動きがバレバレで、考えていることも筒抜けだよ、扇要。面倒なことや、ややこしいことはぜーんぶ人任せにして、自分に都合がいいものだけを奪おうとする愚かな考えがね」
「お前は何者なんだっ!どうして俺を知っている!」
見知らぬ少年にいいようにされて激昂している扇が親の敵を見るような怒りが篭った目でマオを見上げる。しかし、彼の相手をしているマオは冷静な口調で、扇だけでなくここにいる全員に語りかけるように話し始める。
「残念だけど、この世界に君の都合のいいように動くものは何一つないよ。『ルルーシュ・ヴィ・ブリタニア』なんていう皇子はこの世に存在しないから、『ゼロ』なんて正義の味方は現れない。彼の超能力を知っている君は、それをネタに日本を取り戻す算段だったのかな?甘いね、砂糖に練乳をかけるくらい甘過ぎるよ。直に君たちのようにブリタニアによる支配を拒む者は駆除される」
扇の背から立ち上がったマオは四つ這いになった扇を見下しながら言い渡した。
「ボクたちブリタニアの手ではなく、日本人の同胞たちの手によってね。その日まで精々足掻くといいよ。君みたいなクズにはお誂えだ」
マオが言うのが早いか、扇が懐からコイルガンを取り出すのが早いかだった。
しかし、コイルガンを構えた扇の前にマオはおらず、目が点となった。扇を飛び越えたマオは振り向くようにして左足でミドルキックを放つ。扇の顔面へと。鼻が折れ、歯が砕けて、鮮血が舞った。
コイルガンを手放し、大の字に転がる扇に目もくれず、マオは歩き出す。
「どいてくれるかな?」
マオがそう言うと、彼の進行上にいた扇グループのメンバーたちは蜘蛛の子を散らすように道を空けた。カレンは気絶した扇を一瞥するとマオの後を追う。俺もその後に続こうとした時、この扇グループで一番騒がしい男が喚いた。
「カレンもスザクもどこに行こうっていうんだよ!俺たちは仲間じゃねぇのかよっ!」
「仲間?」
俺はその言葉に疑問を抱いて振り向いた。俺が視線を向けた男は、何か恐ろしいものを見たかのように息を呑んでいる。なんだ、分かっているじゃないか。
「仲間って、心を合わせて何かを一緒にする間柄のことだろ?カレンや俺が上げた功績を我が物で自慢して、味方を殺すような奴が言えたことか?俺は知っている。お前が気に食わないってだけで、KMFに細工をして俺を殺そうとしたことを。確かに“前の世界”で、俺はお前たちの敵だったがこの世界では日本のために本気で戦っていたよ」
そこにいた扇グループの数人が首を傾げる中、彼は驚き慄いた。後方を確認すればカレンが苦虫を噛み潰したような表情を浮かべていた。俺は出来うる限り笑みを浮かべると、別離の言葉を告げる。
「さよなら、もう会うこともない仲間たち」
□カレン□
お母さんにはすぐに迎えに来ると伝えて、私はスザクと一緒にブリタニアの船に乗り込んだ。
小型高速航空船のブリッジでマオに紹介されたのは、皇帝直属の騎士ナイトオブラウンズの第9席でこの船の持ち主であるノネット・エニアグラム卿。それと、見覚えのありすぎる男だった。
思い返すたびに反吐を吐きたくなるような軽薄な笑みを浮かべるナイトオブテン、ルキアーノ・ブラッドリー。しかし、ブリッジで会ったブラッドリー卿は別人のように覇気がなく、のほほんとした口調でくつろげと言ってきたのである。
唖然とした表情でブラッドリーを私たちが見ていると自身が着ている服に何か不備があったかと探し始める始末。私とスザクは同時に思った。
こいつは誰だ!と。
雲の上を移動するエニアグラム卿の船の大きな窓から外を眺める。空の青と宇宙の紺色が綺麗なコントラストを作り出している。前の世界ではこんなにものんびりと過ごす暇もなかったなと思っていると、足音が聞こえた。隣に腰を下ろしたスザクがカップに入ったコーヒーを手渡してくる。
「環境が色々と変わってしまったね」
「ええ。日本の弱小反ブリタニア組織に所属していた私たちがいきなりナイトオブラウンズの部隊に引き抜かれるって、ルルーシュは一体どれほどの影響力がある存在になっちゃったんだか……甘っ!何コレ!?」
「ご、ごめん。カレンも女の子だし、アーニャと同じくらい甘くないとダメかなって」
スザクはそう言って角砂糖を一握り入れたような仕草を見せる。どれだけ甘党だったのかしら、前の世界のナイトオブシックスの彼女。
「ねぇ、スザク。気になったんだけれど、この世界のナイトオブラウンズって何人いるのかな?ほら、私たちの時は空席があったじゃない」
「そういえばそうだね。……ナイトオブワンはヴァルトシュタイン卿のままなのかな?」
「それは違うぞ、ボーイミーツガール!」
快活な女性の声に気付いて振り向けば、『たぷんっ』と大きな胸が二つ、何にも阻まれることなく空気に晒されながら揺れていた。私と一緒に彼女の声に気付いて振り向いたスザクは、それを目視した瞬間に凄い勢いで顔を逸らして、『ゴキャァッ』と首から凄い音が鳴った。
「えっと……エニアグラム卿。どうして上半身裸なんですか?」
「うん!シャワーを浴びた後だからな!」
「いえ、それは理由になってない……」
「そうか?別に見られて恥ずかしい肉体にはなっていないと思うのだが」
エニアグラム卿はそう言いながら腕で力瘤を作ったり、六つに分かれた腹筋に指を這わせたり、カモシカのようにしなやかな足の筋肉を確認するために前屈みになったりしている。
私は彼女との会話が噛み合わないことに今更ながら気付く。
ナイトオブラウンズにもこんなにも豪快な女性がいたのだなと達観していると、エニアグラム卿の肩にばさりと大きなタオルを掛けた存在がいた。それは素面のブラッドリー卿だった。
「エニアグラム卿、いくらなんでも貴女の肉体は少年には目の毒だ。思春期男子の心くらい察せよ」
「ほう!枢木少年は私の肉体に欲情したと!いいぞ、今夜は私と一緒に寝るか?天井の染みを数えている間に男にしてやるぞ!」
「「…………」」
無言だった。
これに反応してはいけないとツッコミの神が言っている気がした。
そんな静寂を切り裂いたのは、やはりブラッドリー卿だった。
「すまんな、枢木、紅月。エニアグラム卿はいつもこんな感じなんだ。ついでにナイトオブフォーのエルンスト卿の前では隙を見せるなよ、枢木。エニアグラム卿のように宣言はしないで、いつの間にか全裸で押し倒されていたなんてこともあるからな」
「何、その痴女っ!?」
私は思わず叫んだ。
「痴女ではない!愛の狩人と呼べっ!」
私の発言にすぐに反応したエニアグラム卿であったが、彼女の発言を聞いて黙っていないブラッドリー卿。
「傍から見れば、十分に性犯罪者だって言っているだろうがっ!巨乳好きと公言していた少年たちを何人、貧乳好きに変えれば気が済む!!」
『ちがう!そうじゃない!』と私とスザクはブラッドリー卿に心の中でツッコミを入れる。
割りとブリタニア帝国軍内が平和なのは分かったから、もうそろそろ真面目な話をしてもらえないだろうか。と思っていたら、ブラッドリー卿がエニアグラム卿を部屋に戻して服を着てくるように促していた。彼のおかげでカオスになりかけていた空間が正常になった。
「いたたた……」
「さすが、スザクね。凄い反射神経だったわ」
「ははは。あまり、嬉しくないよ……」
スザクは寝違えたかのように痛みを発する首を擦っている。
「で、お前たちは一体何の話をしていたんだ?」
ブラッドリー卿が窓に凭れ掛かりながら話しかけてくる。
何故だろう、前の世界では確実にかませ犬ポジションだった彼が、すごく頼もしい兄貴分のような存在に見える。もしかして、ブラッドリー卿をこういう風に変えたのもルルーシュなのかしら?
「ブラッドリー卿を含めたナイトオブラウンズについて話し合っていたんです。俺たちが知るのはナイトオブワンのヴァルトシュタイン卿やブラッドリー卿くらいだったので」
「変な異名で有名になっていたのは甚だ遺憾だが仕方あるまい。それとヴァルトシュタイン卿は皇帝陛下が交代した際に軍を辞めているから、ナイトオブワンは替わっているぞ」
ついてこい、とブラッドリー卿が先導するように移動し始めたので私たちはその後を追う。つれてこられたのはブリッジであった。
船を操縦している軍人たち1人1人に声を掛けるブラッドリー卿。そうして彼が私たちに向かってモニターを見るように促してきた。モニターに映し出された人物を見て私たちは思わず噴出す。
「まずは、ナイトオブワン、ユーフェミア・リ・ブリタニア皇女だな、搭乗機は副座機のガウェインでナイトオブファイブのナナリー皇女とタッグを組んで戦う。戦いでは積極的に相手に語りかけて精神を折に来るから対峙した時は気をつけろ」
私とスザクの思考が停止した。え、あのほんわかしていて、ルルーシュのギアスで虐殺皇女になってしまった心優しい皇女さまがナイトオブワンって何!?
それとナナリーがナイトオブファイブっ!?知らない、そんな活発なナナリーなんて私は知らない!
「ナイトオブツー、ミケーレ・マンフレディ。飲みに行くと必ず全員分を奢ってくれて、高い酒をばんばん空けてくれる面倒身がいいおっさんだな。やること為すこと豪快だから、軍人の中でも人気が高いけど、人が良過ぎるのも玉に瑕だな。いつか寝首をかかれて死にそうで」
ブラッドリー卿はカラカラと笑いながら言う。気付けば、船の操縦を任されている人たちも彼の面白いナイトオブラウンズのメンバー紹介を聞きながらクスクスと笑っていた。
「ナイトオブスリー、ジノ・ヴァインベルグ。名門貴族出身で、ブリタニアでも類を見ない可変型KMFトリスタンを操縦する少年だ。枢木や紅月たちと同年代だから話が合うかもしれん。会うことがあったら、話しかけるといい。名門貴族出身者にしては親しみやすい性格をしているからな。ただし、お前たちの配属先に関しては先約が入っていることは伝えろよ」
「そうだ!“カレン嬢”はうちの大将が声を掛けているんだってな!」
「ローウェンクルス卿に感謝しなきゃ。エニアグラム卿を抑えられるかもしれない“カレンちゃん”を寄越してくれるなんて奇跡に近いわ」
頬を掻きながらブラッドリー卿がおどけるように言うと、ブリッジ内で笑いが巻き起こった。それと同時に私の名前も呼ばれる。いつの間にか、私はこの船にいる人たちから認められていたのだ。
「ナイトオブフォー、ドロテア・エルンスト。最近の口癖は『婚活しないといけないんだ』だ。実は密かに恋した相手がいたらしいのだが、完全に眼中にないことに気付いて失恋。うじうじしている間に婚期を逃し、自分の運命の男を探し出すために、地球上の全ての雄にアタックを仕掛けようとした過去があったり、なかったり……。落ち込むとエニアグラム卿と飲みに行って、いたいけな少年を襲うから気をつけろ、枢木」
「何で、俺が名指しされるんですかっ!?」
「たぶんだが、今頃エニアグラム卿がインスタでエルンスト卿に枢木のことを自慢しているだろうからな。ブリタニア本国についたら襲われないように気をつけろ」
「そんな襲われ方、いやだぁああああ!」
スザクがこれから訪れる未来に絶望して慟哭を上げる。そんなスザクの様子を見て、ブラッドリー卿が舌を出して、『そんな見境ない女がナイトオブラウンズにいられる訳ないだろ』と呟き、何かを思い出してフルフルと頭を横に振ったのを私は見逃さなった。
「えっと、ナイトオブファイブは言ったから、次はナイトオブシックスだな。名前はジャック・ルメイヤ。戦場のトリックスターと呼ばれている、俺の士官学校時代の同期だ。私とライヴェルトに鍛えられたKMF操縦技術に加え、地理地形を即座に見抜いて自分たちに都合のいい戦場を用意する特殊工作班のエキスパートって言ったところだ。一番盛大だったのは、山岳地帯に溜まった大量の雪を使って指向性を持たせた雪崩を起して、敵軍を戦闘開始前に排除した作戦か。呆然とする作戦司令部は銃を突きつけられて、すぐに降参さ」
私は前の世界のナリタ連山の戦いを思い出した。あの時は輻射波動で刺激して意図的に土砂崩れを起したけれど、この世界にはブリタニア軍にもそういうことを考えるエキスパートがいるのだ。これもルルーシュが関わった結果か。
「ナイトオブセブン、藤堂鏡士朗。ライヴェルトの叔父だな」
「「はぁあああああ!?」」
「おっと、今までの説明で一番の驚き具合だな。まぁ、同じ日本人だし、それも当然か」
意味が分からない!
どうして藤堂さんがブリタニアでナイトオブラウンズ入りしているの!?
日本侵攻が始まる前にブリタニアに渡ったのは知っていたけれど……というかライヴェルトの叔父って、ルルーシュが思いっきり関わってるー!?
「ナイトオブラウンズの中でも近接戦闘は右に出る者なしだな。刀と呼ばれるエリア11の武器をKMFサイズに鍛錬したものを使っているんだが、斬鉄っていうのか?あの高速の抜刀術と三連続の突きはヤバイ。狭いところで奴と対峙した場合、即座に距離を空けることをお勧めする」
割とまともな説明をしてくれるブラッドリー卿。もはや、私の中で前の世界の彼と目の前にいるブラッドリー卿は=ではなくなった。
「ナイトオブエイト、オーサ・サブナック。搭乗機はベディヴィエールで戦い方は正に実直剛拳。正々堂々とした戦いを好むというか、一応フェイントとか騙しあいといった技術を取り入れるように矯正しようとしたんだが、失敗した私の同期だ。彼の戦い方を否定できる相手がいなかったというのもあるのだが、今回の戦いではデカイ的になるだろうよ」
ブラッドリー卿が懐かしむように言う。
しかし、ブラッドリー卿を含め、ナイトオブラウンズにはルルーシュが関わったことで才能を開花させた人物の多いこと。ナイトオブワンとナイトオブファイブは除くけど。
「ナイトオブナインと私の説明は不要か。次はナイトオブイレブンか……。あいつの説明するのは嫌だな」
「何か問題があるんですか?」
「あるといえばあるし、ないといえばないのだが。まぁ、……いいか。名前はシュラン・オペル。私みたいな人間がいるんだ、反対におかしい奴がいて丁度調和が取れているだろう。基本的に後方で情報工作などを行う参謀タイプの軍人だな。こいつが立案した作戦は碌なことにならないから、似た思考を持つ奴らが自然と集まってブリタニア軍においてもひときわ異彩を放つ集団になっている。見た目はクールで沈着冷静な印象を受けるが、こいつはな……ガチでホモだ」
私の視界の端でようやくショックから立ち直ったスザクが崩れ落ちた。もうやだ、この世界。色々と変わりスギィ!
「こいつにロックオンされると夜が眠れなくなるから、マジで目を付けられないようにしろ。私もこいつには手を焼かされたよ」
遠い目をしながら機械を操作するブラッドリー卿が最後に映したのは、ケーキを頬いっぱいに入れてご満悦の金髪の女性だった。
「ナイトオブトゥエルブ、モニカ・クルシェフスキー。こんななりだが、攻撃にも隙はないし、防御にも粗がない。指揮能力も高く、部下をうまく使える司令塔だ。狙撃をさせたらブリタニア軍に右に出るものはないのに、これで近接戦も得意と来ている。ただし、男運が絶望的にない!」
私はその場で転ぶ。今までで一番、ブラッドリー卿が熱弁したのが、女性の男運の無さって一体。
「私が何度、戦場の問題ではなくクルシェフスキーの男関係で彼女の戦地に派遣されたことか。金がない夢追い人、強烈なマザコン、かと思えば多くの女を侍らせるチャライ男に引っ掛かったこともあれば、既婚男性と分かっていて男女の関係を持ってしまって奥さんと裁判待ったなしなど、正直洒落にならない男運のなさ。あれで、女性らしい肉付きしているんだから、まともな男を見つければいいのに」
大きく溜息をついたブラッドリー卿を見ながら思ったのは、『私という男がいるのに、どうして振り向かないのだ』と言いたげな寂しそうな背中だった。
私はブリタニア本国についてクルシェフスキー卿に会うことがあったら、ブラッドリー卿のことをどう思っているのかを尋ねようと決心したのだった。
誤字報告ありがとうございます。
いやぁ、HEルートは筆がヌルヌル動くなぁ。